『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
「ちっ、面倒な」
「どうする、オレが切り札を斬ってもいいぜ」
「いや、此処はオレがやる」
ハジメは京矢の言葉答えるとドンナー・シュラークを太もものホルスターにしまう。そして〝宝物庫〟から一つの兵器を取り出す。
それを聞いて京矢は、この場はハジメに任せると、この迷宮ではライダーシステムよりも優位に戦えるであろう、ガイソーケンを取り出しながら、ハジメの後ろに下がる。
ハジメの手元に十二連式の回転弾倉が取り付けられた長方形型のロケット&ミサイルランチャー:オルカンである。
ロケット弾は長さ三十センチ近くあり、その分破壊力は手榴弾より高くなっている。弾頭には生成魔法で〝纏雷〟を付与した鉱石が設置されており、この石は常に静電気を帯びているので、着弾時弾頭が破壊されることで燃焼粉に着火する仕組みだ。
ハジメは、オルカンを脇に挟んで固定すると口元を歪めて笑みを作った。
「全員! 耳塞げ! ぶっぱなすぞ!」
「ん」
「ああ!」
「えぇ~何ですかそれ!?」
初めて見るオルカンの異様にシアが目を見張る。
逆にそれを知っている他の4人は、走りながら人差し指を耳に突っ込んだ。
シアのウサミミはピンッと立ったままだが、お構いなしにハジメはオルカンの引き金を引く。
『バシュウウ!』と言う音と共に、後方に火花の尾を引きながらロケット弾が発射され、狙い違わず隊列を組んで待ち構えるゴーレム騎士に直撃した。
次の瞬間、轟音、そして大爆発が発生する。
通路全体を轟音が激震させ、大量に圧縮された燃焼粉が凄絶な衝撃を撒き散らした。
ゴーレム騎士達は、直撃を受けた場所を中心に両サイドの壁や天井に激しく叩きつけられ、原型をとどめないほどに破壊されている。
これなら再構築にもしばらく時間がかかるだろう。
「あんなに密集してたら単なる的だろうに」
吹き飛んでいくゴーレム騎士達を一瞥しながら呟く京矢の言葉に同意する様にエンタープライズとベルファストが頷く。
中世の時代やこの世界ならば有効な、正解とも言える戦術なのだろうが、近代兵器を基にしたアーティファクトの前では単なる的である。
京矢達はそんな哀れなゴーレム騎士達の残骸を飛び越えていく。
「ウサミミがぁ~、私のウサミミがぁ~!!」
耳を塞げた京矢達と併走しながら、一人耳を塞げなかったシアはウサミミをペタンと折りたたみ両手で押さえながら涙目になって悶えている。
兎人族……それは亜人族で一番聴覚に優れた種族である。そんな優れた聴覚に空気を揺らすほどの轟音を聞いてしまったのだ。そのダメージは大きいだろう。
「だから、耳を塞げって言っただろうが」
「ええ? 何ですか? 聞こえないですよぉ」
「……ホント、残念ウサギ……」
「って、また降ってくるぞ、ゴーレムが」
「晴れ時々鎧、か?」
ハジメとユエが呆れた表情でシアを見るが、悶えるシアは気がついていない。
再び落ちて来たゴーレム騎士達に京矢の剣掌・旋で後方に吹き飛ばすことで対処しながら、駆け抜けること五分。
遂に、遂に通路の終わりが見えた。通路の先は巨大な空間が広がっているようだ。道自体は途切れており、十メートルほど先に正方形の足場が見える。
「ユエ、シア! 飛ぶぞ!」
「エンタープライズ、ベルファス、オレ達もだ! それから、エンタープライズ、艦載機をいつでも出せる様にしておいてくれ!」
ハジメの掛け声に頷くユエとシア(何とか聴力は回復した)に、京矢の指示に頷くエンタープライズとベルファス。
背後からは依然、ゴーレム騎士達が落下してくる。それらを吹き飛ばし、躱しながら京矢達は通路端から勢いよく飛び出した。
身体強化された彼等の跳躍力はオリンピック選手のそれを遥かに凌ぐ。世界記録を軽々と超えて京矢達は眼下の正方形に飛び移ろうとした。
が、思った通りにいかないのがこの大迷宮の特徴。
放物線を描いて跳んだ京矢達の目の前で正方形のブロックがスィーと移動し始めたのだ。
「なにぃ!?」
この迷宮に来てから何度目かの叫びを上げるハジメ。目測が狂いこのままでは落下する。
「エンタープライズ!」
「分かっている!」
だが、その程度は予想していた異世界経験者が一人。
京矢である。予めエンタープライズにいつでも艦載機を出せる様に指示を出していた。その為に全員が乗れる数の艦載機を直ぐに呼び出す。
出現した艦載機は魔法由来ではないので、未だに離れて行こうとするブロックに追いつくことに成功する。ブロックの上にエンタープライズの艦載機が並走し、艦載機に捕まりながら慎重に降りるとハジメ達は安堵の息を吐く。
「ナ、ナイスだ、鳳凰寺、エンタープライズ」
「エンタープライズさん、流石ですぅ!」
「いや、指揮官の指示が的確だっただけだ」
落下せずに済み、安全に着地した事に安堵し、ハジメ達はエンタープライズを賞賛する。
だが、そんな和やかな雰囲気は空飛ぶゴーレム騎士達によって遮られた。
そう、ゴーレム騎士達は宙を飛んでいるのである。おそらく重力を制御して落下方向を決めているのだろう。
「くそっ、こいつら、重力操作かなんか知らんが動きがどんどん巧みになってきてるぞ」
「……たぶん、原因はここ?」
「大雑把なコントロールしか出来なかったのが、これだけ巧みに動かせるって事は……此処に中核が有るんだろうな」
「あはは、常識って何でしょうね。全部
シアの言う通り、周囲の全ては浮遊していた。
京矢達が入ったこの場所は超巨大な球状の空間だった。直径二キロメートル以上ありそうである。
そんな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊してスィーと不規則に移動をしているのだ。完全に重力を無視した空間である。
だが、不思議なことに京矢達はしっかりと重力を感じている。おそらく、この部屋の特定の物質だけが重力の制限を受けないのだろう。
「宇宙空間で戦うロボットになった気分だな」
そんな空間をゴーレム騎士達が縦横無尽に飛び回っているのを見て京矢はそう呟く。
ゴーレム騎士達は落下方向を調節しているのか、真ゲッターほどではないが方向転換が急激である。
生物なら凄まじいGで死んでいてもおかしくないだろう。この空間に近づくにつれて細やかな動きが可能になっていった事を考えると、京矢の推測通り、
「鳳凰寺の言う通り、ここに、ゴーレムを操っているヤツがいるってことかな?」
京矢とハジメの推測にユエとシアも賛同するように表情を引き締める。
ゴーレム騎士達は何故か、京矢達の周囲を旋回するだけで襲っては来ない。
取り敢えず、何処かに横道でもないかと周囲を見渡す。ここが終着点なのか、まだ続きがあるのか分からない。
だが、間違いなく深奥に近い場所ではあるはずだ。ゴーレム騎士達の能力上昇と、この特異な空間がその推測に説得力を持たせる。
ハジメは〝遠見〟で、この巨大な球状空間を調べようと目を凝らした。
と、次の瞬間、シアの焦燥に満ちた声が響く。
「逃げてぇ!」
『っ!?』
一同は何が? と問い返すこともなく、シアの警告に瞬時に反応し弾かれた様に飛び退いた。
運良く、ちょうど数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して現在立っているブロックを離脱する。
直後、隕石が落下してきたのかと錯覚するような衝撃が今の今までハジメ達がいたブロックを直撃し木っ端微塵に爆砕した。
隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大な何かが落下してきて、ブロックを破壊すると勢いそのままに通り過ぎていったのだ。
ハジメの頬に冷や汗が流れる。シアが警告を発してくれなければ確実に直撃を受けていた。〝金剛〟が使えない今、もしかしたら即死していたかもしれない。感知出来なかったわけではなかった。
「エンタープライズ、ベルファスト、無事か?」
「はい、シア様の警告が遅ければ危なかったかもしれませんが」
「私も無事だ」
京矢がエンタープライズとベルファストの無事を確認するとガイソーケンを構え、いつでも変身できる体制をとる。
シアが警告をした直後、京矢もハジメも、確かに気配を感じた。だが、落下速度が早すぎて感知してからの回避が間に合ったとは思えなかったのである。
「シア、助かったぜ。ありがとよ」
「……ん、お手柄」
「えへへ、〝未来視〟が発動して良かったです。代わりに魔力をごっそり持って行かれましたけど……」
どうやら、二人の感知より早く気がついたのはシアの固有魔法〝未来視〟が発動したからのようだ。
〝未来視〟は、シア自身が任意に発動する場合、シアが仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだが、もう一つ、自動発動する場合がある。今回のように死を伴うような大きな危険に対しては直接・間接を問わず見えるのだ。
つまり、直撃を受けていれば少なくともシアは死んでいた可能性があるということだ。
改めて戦慄を感じながら、ハジメは通過していった隕石モドキの方を見やった。ブロックの淵から下を覗く。と、下の方で何かが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。それは瞬く間にハジメ達の頭上に出ると、その場に留まりギンッと光る眼光をもってハジメ達を睥睨した。
「おいおい、マジかよ」
「……すごく……大きい」
「お、親玉って感じですね」
「おいおい、キシリュウジン並みの大きさかよ」
三者三様の感想を呟く京矢達。若干、ユエの発言が危ない気がするが、ギリギリ許容範囲……のはずだ。
京矢達の目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。
全身甲冑はそのままだが、全長が二十メートル弱なのでキシリュウジンよりは遥かに小さい。右手はヒートナックルとでも言うのか赤熱化しており、先ほどブロックを爆砕したのはこれが原因かもしれない。左手には鎖がジャラジャラと巻きついていて、フレイル型のモーニングスターを装備している。
京矢達が、巨体ゴーレムに身構えていると、周囲のゴーレム騎士達がヒュンヒュンと音を立てながら飛来し、ハジメ達の周囲を囲むように並びだした。
整列したゴーレム騎士達は胸の前で大剣を立てて構える。まるで王を前にして敬礼しているようだ。
すっかり包囲され京矢達の間にも緊張感が高まる。
辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。動いた瞬間、命をベットしてゲーム殺し合いが始まる。
そんな予感をさせるほど張り詰めた空気を破ったのは……
「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」
……巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。
『……は?』
思わず呆けた声を上げてしまう京矢達。だが、一つだけ解ることがある。
この迷宮の怒りをぶつけるべき相手が現れたと言う事だ。
赤城(アズールレーン)はどちらのヒロインに
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京矢
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ハジメ