『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
辺りに粉塵が舞い、地面にはクレーターが作られており、その中に胸部を砕かれた巨大なゴーレムが横たわっていた。
そのミレディゴーレムの前で片膝をついたキシリュウジンジェットから降りた一同の中、ハジメが感慨深い視線をキシリュウジンジェットに向けていた。
「……オレ、本当に乗ってたんだな。巨大ロボに」
片膝をついて立つキシリュウジンジェットを見上げながら感慨深げに呟くハジメ。異世界に召喚され、奈落に落とされ地獄を味わい、この世界以上の非常識の塊だった友人の真実を知り、その友人に特撮ヒーローに変身するアイテムをもらい、巨大ロボを見せて貰い、巨大ロボにも乗れた。もはや感無量といった様子である。
何やら不満げなユエとシアもいるのだがそれはそれ。
「あのぉ~、ちょっといいかなぁ~? そろそろヤバいんだけどぉ~」
突如聞こえて来る物凄く聞き覚えのある声。
京矢達がハッとしてミレディ・ゴーレムを見ると、消えたはずの眼の光がいつの間にか戻っていることに気がついた。
咄嗟に、飛び退り距離を置くハジメ達。確かに核は砕いたはずなのにと警戒心もあらわに身構える。
「いや、どうやら最後の力で会話してるだけみたいだぜ」
ハジメ達が警戒をあらわにする中、京矢はミレディゴーレムに近づいてコンコンと装甲部分を叩きながらそう告げる。
「そうそう! 大丈夫だってぇ~。試練はクリア! あんたたちの勝ち! 核の欠片に残った力で少しだけ話す時間をとっただけだよぉ~、もう数分も持たないから」
京矢と当人の言葉にハジメが少し警戒心を解き、ミレディゴーレムに話しかける。
「で? 何の話だ? 死にぞこない。死してなお空気も読めんとは……残念さでは随一の解放者ってことで後世に伝えてやろうか」
「ちょっ、やめてよぉ~、何その地味な嫌がらせ。ジワジワきそうなところが凄く嫌らしい」
「おいおい、そう虐めてやるなよ。こんな状況で最後に言い残す事なんだ。聞くだけは聞いてやろうぜ」
「それもそうだな。で? 〝クソ野郎共〟を殺してくれっていう話なら聞く気ないぞ?」
「こっちから率先して始末はしねえよ。向こうから手を出して来るなら、輪廻転生も出来ないように、念入りに始末してやるけどな」
京矢とハジメの機先を制するような言葉に、何となく苦笑いめいた雰囲気を出すミレディゴーレム。
「言わないよ。言う必要もないからね。話したい……というより忠告だね。訪れた迷宮で目当ての神代魔法がなくても、必ず私達全員の神代魔法を手に入れること……君達の望みのために必要だから……」
ミレディの力が尽きかけているのか、次第に言葉が不鮮明に、途切れ途切れになってゆく。
だが、そんなことは気にした様子もなくハジメが疑問を口にする。
「全部ね……なら他の迷宮の場所を教えろ。失伝していて、ほとんどわかってねぇんだよ」
「あぁ、そうなんだ……そっか、迷宮の場所がわからなくなるほど……長い時が経ったんだね……うん、場所……場所はね……」
いよいよ、ミレディ・ゴーレムの声が力を失い始める。
どこか感傷的な響きすら含まれた声に、ユエやシア、エンタープライズやベルファストが神妙な表情をする。長い時を、使命、あるいは願いのために意志が宿る器を入れ替えてまで生きた者への敬意を瞳に宿した。
ミレディは、ポツリポツリと残りの七大迷宮の所在を語っていく。中には驚くような場所にあるようだ。
「以上だよ……頑張ってね」
「……随分としおらしいじゃねぇの。あのウザったい口調やらセリフはどうした?」
ハジメの言う通り、今のミレディは、迷宮内のウザイ文を用意したり、あの人の神経を逆なでする口調とは無縁の誠実さや真面目さを感じさせた。戦闘前にハジメの目的を聞いたときに垣間見せた、おそらく彼女の素顔が出ているのだろう。消滅を前にして取り繕う必要がなくなったということなのかもしれない。
「あはは、ごめんね~。でもさ……あのクソ野郎共って……ホントに嫌なヤツらでさ……嫌らしいことばっかりしてくるんだよね……だから、少しでも……慣れておいて欲しくてね……」
「おい、こら。狂った神のことなんざ興味ないって言っただろうが。なに、勝手に戦うこと前提で話してんだよ」
「……成る程。嫌でも向こうから手を出して来る、って訳か」
「……本当に鋭いね……そうだよ。……戦うよ。君達が君達である限り……必ず……君達は、神殺しを為す」
「……意味がわかんねぇよ。そりゃあ、俺の道を阻むなら殺るかもしれないが……」
「…………」
若干困惑するハジメ。そんなハジメとは逆に、ミレディの言葉の真意をある程度は推測した京矢は押し黙る。
下手したらエヒトの遊び場としては、セフィーロや時空管理局のことを含めて仕舞えば、地球の方が面白味は強い可能性もあるのだ。
ミレディは、その様子に楽しげな笑い声を漏らす。
「ふふ……それでいい……君は君の思った通りに生きればいい…………君の選択が……きっと…………この世界にとっての……最良だから……」
いつしか、ミレディ・ゴーレムの体は燐光のような青白い光に包まれていた。その光が蛍火の如く、淡い小さな光となって天へと登っていく。死した魂が天へと召されていくようだ。とても、とても神秘的な光景である。
その時、おもむろにユエがミレディ・ゴーレムの傍へと寄って行った。既に、ほとんど光を失っている眼をジッと見つめる。
「何かな?」
囁くようなミレディの声。それに同じく、囁くようにユエが一言、消えゆく偉大な〝解放者〟に言葉を贈った。
「……お疲れ様。よく頑張りました」
「……」
それは労いの言葉。たった一人、深い闇の底で希望を待ち続けた偉大な存在への、今を生きる者からのささやかな贈り物。
本来なら、遥かに年下の者からの言葉としては不適切かもしれない。だが、やはり、これ以外の言葉を、ユエは思いつかなかった。
ミレディにとっても意外な言葉だったのだろう。言葉もなく呆然とした雰囲気を漂わせている。
やがて、穏やかな声でミレディがポツリと呟く。
「……ありがとね」
「……ん」
付け加えると、ユエとミレディが最後の言葉をかわすその後ろで、知った風な口を聞かれてイラっとしたハジメが「もういいから、さっさと逝けよ」と口にしそうになり、それを敏感に察したシアと京矢に「空気読めてないのはどっちですか! ちょっと黙ってて下さい!」「いや、空気を読んで黙ってた方が良いだろう……一応」と後ろから羽交い絞めにされて口を塞がれモゴモゴさせていたのだが、幸いなことに二人は気がついておらず、厳かな雰囲気は保たれていた。
「……さて、時間の……ようだね……君達のこれからが……自由な意志の下に……あらんことを……」
オスカーと同じ言葉をハジメ達に贈り、〝解放者〟の一人、ミレディは淡い光となって天へと消えていった。
辺りを静寂が包み、余韻に浸るようにユエとシアが光の軌跡を追って天を見上げる。
「……何だろうな、ミレディの性格を考えると、直ぐにこの感動が台無しになりそうな予感があるのは?」
「……指揮官、流石にそれはないと思うぞ」
「そうだと良いんだけどな……」
過去にあった別れの時のことを思い出しながらそんな事を思ってしまった京矢だった。
妙に天に登るタイミングが良すぎる気もするのだし。
そんな京矢の判断も一理あるとでも思ったのか、エンタープライズもベルファストからはハジメの様にKY扱いはされていない。
そんな雑談をしていると、いつの間にか壁の一角が光を放っていることに気がついた京矢達。
騎士竜の姿に戻ったディノミーゴとプテラードンが小さくなりポケットの中に入り込むと気を取り直して、その場所に向かう。
上方の壁にあるので浮遊ブロックを足場に跳んでいこうと、ブロックの一つに三人で跳び乗った。と、その途端、足場の浮遊ブロックがスィーと動き出し、光る壁まで京矢達を運んでいく。
「……」
「わわっ、勝手に動いてますよ、これ。便利ですねぇ」
「……サービス?」
「……指揮官?」
「……京矢様?」
「ああ、なんか、オレの予想が当たりそうだな……」
勝手に京矢達を運んでくれる浮遊ブロックにシアは驚き、ユエは首をかしげる。ハジメは何故か嫌そうな表情だ。エンタープライズとベルファストも京矢の予想が正しかったのではないかと言う様な視線を彼へと向ける。
十秒もかからず光る壁の前まで進むと、その手前五メートル程の場所でピタリと動きを止めた。すると、光る壁は、まるで見計らったようなタイミングで発光を薄れさせていき、スっと音も立てずに発光部分の壁だけが手前に抜き取られた。奥には光沢のある白い壁で出来た通路が続いている。
京矢達の乗る浮遊ブロックは、そのまま通路を滑るように移動していく。どうやら、ミレディ・ライセンの住処まで乗せて行ってくれるようだ。
そうして進んだ先には、オルクス大迷宮にあったオスカーの住処へと続く扉に刻まれていた七つの文様と同じものが描かれた壁があった。
京矢達が近づくと、やはりタイミングよく壁が横にスライドし奥へと誘う。浮遊ブロックは止まることなく壁の向こう側へと進んでいった。
くぐり抜けた壁の向こうには……
「やっほー、さっきぶり! ミレディちゃんだよ!」
ちっこいミレディ・ゴーレムがいた。
「……大体そうだろうと思ってたけど、やっぱり生きてたのかよ」
「予想通りだったな、指揮官」
「この方もあのまま消えていればよかったのですが」
「こんなこったろうと思ったよ」
予想通り早々に再登場してくれたミレディに対して頭痛でも堪える様に頭を抱える京矢と感動を返せとでも言う様に冷たい視線をミレディへと向けるエンタープライズとベルファスト。言葉もないユエとシア。京矢と同じくハジメの方は予想がついていたようでウンザリした表情をしている。
ハジメが、この状況を予想できたのは、単にふざけたミレディも真面目なミレディもどっちも彼女であることに変わりはないということを看破していたからだ。
ウザイ文のウザさやトラップの嫌らしさは、本当に真面目な人間には発想できないレベルだった。また、ミレディは、意思を残して自ら挑戦者を選定する方法をとっている。
だとしたら、一度の挑戦者が現れ撃破されたらそれっきり等という事は有り得ない。それでは、一度のクリアで最終試練がなくなってしまうからだ。
なので、ハジメは、ミレディゴーレムを破壊してもミレディ自身は消滅しないと予想していた。
それは浮遊ブロックが京矢達を乗せて案内するように動き出した時点で確信に変わっていた。浮遊ブロックを意図的に動かせるのはミレディだけだからだ。
「あの馬鹿でかい末端は試練用で、力を持った狂信者みたいな信用できない相手に突破された時はあの場でゲームオーバーにすることも可能って訳か」
「そうだよ! うん、そんな試練を考えるなんてやっぱり天才!」
キラーんと擬音でもつきそうなポーズを決めてくれるミレディに更に頭を抱えたくなる京矢だった。
赤城(アズールレーン)はどちらのヒロインに
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京矢
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ハジメ