『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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そして翌日早朝。

 

愉快? なブルックの町民達を思い出にしながら、正面門にやって来た京矢達を迎えたのは商隊のまとめ役と他の護衛依頼を受けた冒険者達だった。

どうやら京矢達が最後のようで、まとめ役らしき人物と十四人の冒険者が、やって来た彼らを見て一斉にざわついた。

 

「お、おい、まさか残りの奴等って〝スマ・ラヴ〟なのか!?」

 

「マジかよ! 嬉しさと恐怖が一緒くたに襲ってくるんですけど!」

 

「見ろよ、俺の手。さっきから震えが止まらないんだぜ?」

 

「いや、それはお前がアル中だからだろ?」

 

ユエとシア、エンタープライズとベルファストの登場に喜びを顕にする者、股間を両手で隠し涙目になる者、手の震えを京矢達のせいにして仲間にツッコミを入れられる者など様々な反応だ。

京矢は苦笑いを浮かべながら、ハジメは嫌そうな表情をしながら近寄ると、商隊のまとめ役らしき人物が声をかけた。

 

「君達が最後の護衛かね?」

 

「ああ、これが依頼書だ」

 

ハジメは、懐から取り出した自分と京矢の依頼書を見せる。

それを確認して、まとめ役の男は納得したように頷き、自己紹介を始めた。

 

「私の名はモットー・ユンケル。この商隊のリーダーをしている。君達のランクは未だ青だそうだが、キャサリンさんからは大変優秀な冒険者と聞いている。道中の護衛は期待させてもらうよ」

 

(もっと、ユンケル? 疲れているみたいな名前だよな)

 

「……もっとユンケル? ……商隊のリーダーって大変なんだな……」

 

日本のとある栄養ドリンクを思い出させる名前に、ハジメの眼が同情を帯びる。

なぜ、そんな眼を向けられるのか分からないモットーは首を傾げながら、「まぁ、大変だが慣れたものだよ」と苦笑い気味に返した。

 

「へへっ、期待には応えさせてもらうぜ。オレは京矢。こっちはエンタープライズとベルファスト」

 

「俺はハジメだ。こっちはユエとシア」

 

「それは頼もしいな……ところで、この兎人族……売るつもりはないかね? それなりの値段を付けさせてもらうが」

 

モットーの視線が値踏みするようにシアを見た。兎人族で青みがかった白髪の超がつく美少女だ。

商人の性として、珍しい商品に口を出さずにはいられないということか。首輪から奴隷と判断し、即行で所有者たるハジメに売買交渉を持ちかけるあたり、きっと優秀な商人なのだろう。

 

其処で何となくハジメの反応を予想した京矢は、気配を周囲に同化させながら、さり気無くハジメの背後に近づく。

 

モットーの視線を受けて、シアが「うっ」と嫌そうに唸りハジメの背後にそそっと隠れる。ユエのモットーを見る視線が厳しい。

だが、一般的な認識として樹海の外にいる亜人族とは、すなわち奴隷であり、珍しい奴隷の売買交渉を申し出るのは商人として当たり前のことだ。モットーが責められるいわれはない。寧ろ、商人として優秀と言えるだろう。

 

「ほぉ、随分と懐かれていますな…中々、大事にされているようだ。ならば、私の方もそれなりに勉強させてもらいますが、いかがです?」

 

「ま、あんたはそこそこ優秀な商人のようだし……答えはわかるだろ?」

 

シアの様子を興味深そうに見ていたモットーが更にハジメに交渉を持ちかけるが、ハジメの対応はあっさりしたものである。モットーも、実はハジメが手放さないだろうとは感じていたが、それでもシアが生み出すであろう利益は魅力的だったので、何か交渉材料はないかと会話を引き伸ばそうとする。

 

だが、そんな意図もハジメは読んでいたのだろう。やはりあっさりしているが、揺るぎない意志を込めた言葉をモットーに告げようとする。

 

「ほら、そんなに殺気立つなよ、南雲」

 

「っ!? 鳳凰寺!?」

 

ハジメから殺気が漏れそうになった時、いつの間にか後ろに回っていた京矢に肩を叩かれて気が抜けてしまう。

流石にこんな所で雇い主を脅すような真似は止めて欲しいので止めておいたのだ。

 

そんな京矢の意思を理解したのか、気を取り直してハジメは

 

「例え、どこぞの神が欲しても手放す気はないな……理解してもらえたか?」

 

「…………えぇ、それはもう。仕方ありませんな。ここは引き下がりましょう。ですが、その気になったときは是非、我がユンケル商会をご贔屓に願いますよ。それと、もう間も無く出発です。護衛の詳細は、そちらのリーダーとお願いします」

 

ハジメの発言は相当危険なものだった。下手をすれば聖教教会から異端の烙印を押されかねない発言だ。

一応、魔人族は違う神を信仰しているし、歴史的に最高神たる〝エヒト〟以外にも崇められた神は存在するので、直接、聖教教会にケンカを売る言葉ではない。

だが、それでもギリギリの発言であることに変わりはなく、それ故に、モットーはハジメがシアを手放すことはないと心底理解させられた。

 

ハジメが、すごすごと商隊の方へ戻るモットーを見ていると、周囲が再びざわついている事に気がついた。

 

「すげぇ……女一人のために、あそこまで言うか……痺れるぜ!」

 

「流石、決闘スマッシャーと言ったところか。自分の女に手を出すやつには容赦しない……ふっ、漢だぜ」

 

「いいわねぇ~、私も一度くらい言われてみたいわ」

 

「いや、お前、男だろ? 誰が、そんなことッあ、すまん、謝るからっやめっアッーー!!」

 

ハジメは、愉快? な護衛仲間の愉快な発言に頭痛を感じたように手で頭を抑えた。やっぱりブルックの町の奴らは阿呆ばっかりだと。

 

「確かに、一度は言ってみたいセリフだよな」

 

「……お前だったら、恥ずかしげもなく言えるだろうが」

 

自分が気がつかないレベルで気配を消して後ろまで近づくなどという芸当をやらかしてくれた友人の言葉にも頭を抱えながら答える。

そんな技能については異世界を含めて世界を4回も救った経験は伊達では無いのだろうな、と思っておくことにした。奈落程度を生き抜いた自分とは格が違うのだろう、と。

 

その後、モットーへの言葉に感激したシアに抱きつかれたハジメを他所に、ごゆっくりと言って京矢はエンタープライズとベルファストの元に戻る。

 

「宜しいのですか?」

 

「邪魔しちゃ悪いだろ? 人の恋路は邪魔しない主義なんでな」

 

「……いいか? 特別な意味はないからな? 勘違いするなよ?」「うふふふ、わかってますよぉ~、うふふふ~」等と会話しているハジメとシアを眺めながら、身内を見捨てるような真似はしないと言う事なのだろう。

それを分かっていながら、あえて其処は指摘しない。

そして、ハジメの心情を察し、トコトコと近づいて慰めるユエに、ハジメは感謝の言葉を告げながら優しく頬を撫でた。気持ちよさそうに目を細めるユエ。

 

早朝の正門前、多数の人間がいる中で、背中に幸せそうなウサミミ美少女をはりつけ、右手には金髪紅眼のこれまた美少女を纏わりつかせる男、南雲ハジメ。

 

両隣に二人の銀髪美女を従えた男、鳳凰寺京矢。

 

商隊の女性陣は生暖かい眼差しで、男性陣は死んだ魚のような眼差しでその光景を見つめる。

京矢達に突き刺さる煩わしい視線や言葉は、きっと自業自得である。

……そんな視線を一切気にしちゃいない京矢ではあったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、ブルックの町から目的地の中立商業都市フューレンまでは馬車で片道約4~6日の距離である。

 

京矢達単独ならば大幅に時間は短縮できただろう。……人目さえ気にしなければキシリュウジンやヨクリュウオーを使って1日と掛からず移動することも可能だろう。

 

日の出前に出発し、日が沈む前に野営の準備に入る。それを繰り返すこと今日で三回目。京矢達は、フューレンまで三日の位置まで来ていた。

道程はあと半分である。ここまで特に何事もなく順調に進んで来た。京矢達は、隊の後方を預かっているのだが実にのどかなものである。

 

さて、そんな長閑な旅路だが、京矢達はまたまたやらかしてしまった事がある。

 

初日の夜、焚き火を囲みながら現在の行程を確認していた際の話だ。

 

「今日はどのくらい進んだんだ?」

 

「大体三分の一って所ですな。順当に行けばあと4日ほどで着くでしょう」

 

「結構かかるな」

 

「まっ、順当って言えば順当な旅路なんじゃ無いか?」

 

内心で良くも悪くも、と付け加える京矢。重ねて言うがハジメと京矢の移動手段ならばもっと早く着くことも可能だ。

 

「ちなみに食事はどうされるおつもりで? 一応食料の販売もしてはいますが……」

 

冒険者達は任務中は酷く簡易な食事で済ませてしまう。

ある程度凝った食事を準備すると、それだけで荷物が増えて、いざという時邪魔になるからなのだという。代わりに、町に着いて報酬をもらったら即行で美味いものを腹一杯食うのがセオリーなのだとか。

 

「ああ、そう言った心配は要らないな」

 

「だな」

 

宝物庫と四次元ポケットの中から食料と調味料及び調理器具を取り出してシアとベルファストに渡すハジメと京矢。

その光景にモットーは唖然とするしか無かった。

 

「頼んだぞ、食事係」

 

「今日もうまい飯を頼むぜ、ベルファスト」

 

「おまかせくださーい!」

 

「かしこまりました」

 

そんなモットーの様子も気付かずに、他の冒険者と同じく糧食で済ませようとするエンタープライズからそれを取り上げつつ会話を交わす京矢とベルファスト。

だが、京矢は完全に失念していた。ハジメが普段から、戦闘中にも便利に使っている為に忘れていたが、この世界において宝物庫と言うアーティファクトがどれだけ希少かという事を。

 

「なっ……何ですか、その道具は!?」

 

再起動は絶叫と共に。である。ハジメ自身は隠す気が無かった為に宝物庫の事を教えるが。

 

「言い値で買う!!! 幾ら欲しい!?」

 

宝物庫と言うアーティファクトは正に商人にとっては夢のアイテムである。

大量の物を運ぶ以上移動に時間もかかり護衛も多く必要になる。だが、宝物庫が有れば僅か一台の馬車で済む事だろう。

それ以外にも考えられる利点は大量にある。あり過ぎるのだ。

 

(……いや、これは使えるかもな)

 

そこまで考えた後、ふとそんな事を考える京矢。京矢のはアーティファクトの宝物庫と違い直接手を入れて取り出す必要のある四次元ポケットだが、同じ四次元ポケット系列の道具は二つもあるのだ。

 

商人の情報網は馬鹿にできない。諜報力もこの文明の警察組織のそれよりも高いかもしれないのだ。

 

目を血走らせてハジメに宝物庫の事を質問するモットーを眺めながら、情報網を利用する手段を考えていた。

 

「京矢様、何をお考えですか?」

 

「商人の情報網で王国に残ったクラスメイトの情報が手に入らないか? なんて思ってな」

 

ベルファストの問いに京矢は自分の考えを答える。

 

「成る程、確かに二つ残っていた筈だが、危険では無いか、指揮官」

 

エンタープライズの考えももっともだ。迂闊に渡しては教会に情報が渡ってしまう事になる。勇者達の事を知りたいなど、余計にだ。

 

「それに着いちゃ、勇者一行に居る強い剣士に興味があるって誤魔化すつもりだったけどな」

 

「だが、それでも露骨に聞いては怪しまれる。いや、彼に怪しまれなかったとしても、教会や国に知られる危険があるのでは無いか?」

 

単純に剣士としての興味として知りたいと言う話に持っていこうと思ったが、確かにエンタープライズの怪訝ももっともだ。

 

「王国の情報全般にしても、もうちょっと見極めてみるか」

 

最悪は金と情報の二つを対価にして四次元ランプ辺りを使って情報網を作ろうかとも思っていたが、即断は拙そうだと判断する。

赤城(アズールレーン)はどちらのヒロインに

  • 京矢
  • ハジメ
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