『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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護衛依頼の際の冒険者達の食事関係は自腹である。

周囲を警戒しながらの食事なので、商隊の人々としては一緒に食べても落ち着かないのだろう。故に別々に食べるのは暗黙のルールになっているようだ。

そして、冒険者達も任務中は酷く簡易な食事で済ませてしまう。ある程度凝った食事を準備すると、それだけで荷物が増えて、いざという時邪魔になるからなのだという。

代わりに、町に着いて報酬をもらったら即行で美味いものを腹一杯食うのがセオリーなのだとか。

そんな話を、この二日の食事の時間に京矢達は他の冒険者達から聞いていた。京矢達が用意した豪勢なシチューモドキをふかふかのパンを浸して食べながら。

 

「カッーー、うめぇ! ホント、美味いわぁ~、流石シアちゃん! もう、亜人とか関係ないから俺の嫁にならない?」

 

「ガツッガツッ、ゴクンッ、ぷはっ、てめぇ、何抜け駆けしてやがる! シアちゃんは俺の嫁!」

 

「はっ、お前みたいな小汚いブ男が何言ってんだ? 身の程を弁えろ。ところでシアちゃん、町についたら一緒に食事でもどう? もちろん、俺のおごりで」

 

「な、なら、俺はユエちゃんだ! ユエちゃん、俺と食事に!」

 

「ユエちゃんのスプーン……ハァハァ」

 

「ベルファストちゃん、町に着いたら一緒に食事でもどう!」

 

「エンタープライズ、お姉さま……ハァハァ」

 

うまうまとベルファストとシアが調理したシチューモドキを次々と胃に収めていく冒険者達。

初日に彼等が干し肉やカンパンのような携帯食をもそもそ食べている横で、普通に〝宝物庫〟から取り出した食器と材料を使い料理を始めた京矢達。いい匂いを漂わせる料理に自然と視線が吸い寄せられ、ハジメ達が熱々の食事をハフハフしながら食べる頃には、全冒険者が涎を滝のように流しながら血走った目で凝視するという事態になり、物凄く居心地が悪くなったシアが、お裾分けを提案した結果、今の状態になった。

 

当初、飢えた犬の如き彼等を前に、京矢とハジメは平然と飯を食っていた。京矢はともかくハジメはもちろん、お裾分けするつもりなど皆無である。

しかし、野営時の食事当番をシアとベルファストが受け持つ以上は、外で美味い食事にありつくには二人を頼る必要がある。

糧食で済ませがちなエンタープライズは兎も角、京矢もハジメもユエも作れないわけではないが、どうしても大味なものになってしまうのだ。

ハジメと京矢は男料理ゆえに、ユエは元王族らしく経験がないために。なので、美味い飯を作ってくれる片割れのシアに、お裾分けを提案されては、流石のハジメも断りづらかった。

 

仕方ないとは言え冒険者の食生活に思う所のあったベルファストもお裾分けには賛成だった様子だが、主である京矢の許可なしに分けられない様子だったが、当の京矢も賛成した以上は問題も無かった。

 

それからというもの、冒険者達がこぞって食事の時間にはハイエナの如く群がってくるのだが、最初は恐縮していた彼等も次第に調子に乗り始め、ことある毎に女性陣を軽く口説くようになったのである。

 

ぎゃーぎゃー騒ぐ冒険者達に、ハジメは無言で〝威圧〟を発動。

熱々のシチューモドキで体の芯まで温まったはずなのに、一瞬で芯まで冷えた冒険者達は、青ざめた表情でガクブルし始める。ハジメは、口の中の肉をゴクリと飲み込むと、シチューモドキに向けていた視線をゆっくり上げ囁くように、されどやたら響く声でポツリとこぼした。

 

「で? 腹の中のもん、ぶちまけたいヤツは誰だ?」

 

「「「「「調子に乗ってすんませんっしたー」」」」」

 

見事なハモリとシンクロした土下座で即座に謝罪する冒険者達。

彼等のほとんどは、ハジメよりも年上でベテランの冒険者なのだが、そのような威厳は皆無だった。ハジメから受ける威圧が半端ないというのもあるが、ブルックの町での所業を知っているのでハジメに逆らおうという者はいないのである。

 

「おいおい、そんなに怒るなよ南雲」

 

無理矢理何かをしようと言うなら容赦する気はないが、単なるナンパ程度ならば多目に見ると言うスタンスの京矢が威圧を放っていたハジメを止める。

 

「もう、ハジメさん。せっかくの食事の時間なんですから、少し騒ぐくらいいいじゃないですか。そ、それに、誰がなんと言おうと、わ、私はハジメさんのものですよ?」

 

「そんなことはどうでもいい」

 

「はぅ!?」

 

バッサリとシアの言い分を切り捨てたハジメを横目に、妙に男の冒険者よりも女の冒険者にお姉様と慕われ始めたエンタープライズの肩を叩いて気にするなと慰める。

 

遠近共に優れた弓術もさることながら、近づかれたとしても弓兵ながら近接戦闘で魔物を制圧する様を見せつけた結果なのだが。……今回の護衛任務の最中は全面的にエンタープライズに戦闘は任せているので残念ながら京矢は戦えていなかったりする。

 

そんな訳で、今回の任務ではテン・コマンドメンツではなく鎧の魔剣を背負っているのだが一度も使えていない。

 

美女と美少女二人に囲まれている京矢とハジメ。

客観的にその様子を見せつけられている男達の心の声は見事に一致しているだろう。すなわち「頼むから爆発して下さい!!」である。

内心でも敬語のあたりが彼等と京矢とハジメとの力関係を如実に示しており何とも虚しい。

 

そんな事があってから二日。残す道程があと一日に迫った頃、遂にのどかな旅路を壊す無粋な襲撃者が現れた。

 

最初にそれに気がついたのはシアだ。

街道沿いの森の方へウサミミを向けピコピコと動かすと、のほほんとした表情を一気に引き締めて警告を発した。

 

「敵襲です! 数は百以上! 森の中から来ます!」

 

その警告を聞いて、冒険者達の間に一気に緊張が走る。

現在通っている街道は、森に隣接してはいるが其処まで危険な場所ではない。何せ、大陸一の商業都市へのルートなのだ。道中の安全は、それなりに確保されている。なので、魔物に遭遇する話はよく聞くが、せいぜい二十体前後、多くても四十体くらいが限度のはずなのだ。

 

「くそっ、百以上だと? 最近、襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからなのか? ったく、街道の異変くらい調査しとけよ!」

 

護衛隊のリーダーであるガリティマは、そう悪態をつきながら苦い表情をする。商隊の護衛は、全部で十五人。

ユエとシア、ベルファストとエンタープライズを入れても十九人だ。この人数で、商隊を無傷で守りきるのはかなり難しい。単純に物量で押し切られるからだ。

 

なお、温厚の代名詞である兎人族であるシアを自然と戦力に勘定しているのは、ブルックの町で「シアちゃんの奴隷になり隊」の一部過激派による行動にキレたシアが、その拳一つで湧き出る変態達を吹き飛ばしたという出来事が、畏怖と共に冒険者達に知れ渡っているからである。

 

「彼らの反応からすると、この数が現れるのは異常事態なのだろう。どうする、指揮官?」

 

シアの報告を聴いた冒険者達の反応を見たエンタープライズが京矢へと問いかける。

 

「どうもこうもねぇだろ? さっさと殲滅する。それだけだ」

 

「それもそうだ」

 

ガリティマが、いっそ隊の大部分を足止めにして商隊だけでも逃がそうかと考え始めた時、京矢がエンタープライズの問いに答える。

 

「迷ってんなら、俺らが殺ろうか?」

 

「えっ?」

 

まるでちょっと買い物に行ってこようかとでも言うような気軽い口調で、信じられない提案をしたのは、他の誰でもないハジメである。

ガリティマは、ハジメの提案の意味を掴みあぐねて、つい間抜けな声で聞き返した。

 

「おう、迷ってるならオレ達で殲滅しようか?」

 

自分と同じ意見だったハジメの言葉に京矢も自身の意見を続ける。

 

「い、いや、それは確かに、このままでは商隊を無傷で守るのは難しいのだが……えっと、出来るのか? このあたりに出現する魔物はそれほど強いわけではないが、数が……」

 

「数なんて問題ない。すぐ終わらせる。ユエがな」

 

ハジメはそう言って、すぐ横に佇むユエの肩にポンッと手を置いた。

ユエも、特に気負った様子も見せずに、そんな仕事ベリーイージーですと言わんばかりに、「ん…」と返事をした。

広範囲殲滅などは魔法特化のユエには得意分野だ。本来ならばタイプは違えどエンタープライズにとっても得意分野だが、多くの冒険者達の前で艦載機は使えないと言う判断から、この場はユエに譲った。

 

 ガリティマは少し逡巡する。一応、彼も噂でユエが類希な魔法の使い手であるという事は聞いている。

仮に、言葉通り殲滅できなくても、京矢達の態度から相当な数を削ることができるだろう。

半数にさえ削れれば弓使いであるエンタープライズの援護もあり、戦力を分散する危険を冒して商隊を先に逃がすよりは、堅実な作戦と考えられる。

 

「わかった。初撃はユエちゃんに任せよう。仮に殲滅できなくても数を相当数減らしてくれるなら問題ない。我々の魔法で更に減らし、最後は直接叩けばいい。みな、わかったな!」

 

「「「「了解!」」」」

 

ガリティマの判断に他の冒険者達が気迫を込めた声で応えた。

どうやら、ユエ一人で殲滅できるという話はあまり信じられていないらしい。ハジメは内心、そんな心配はいらないんだけどなぁ~と考えながら、百体以上の魔物を一撃で殲滅できるような魔法使いがそうそういないという常識からすれば、彼等の判断も仕方ないかと肩を竦めた。

京矢は京矢で軽い運動に2、30匹は残してくれて構わないと言った態度だ。

 

「んじゃ、オレも一応準備しておこうか? 鎧化(アムド)

 

初めて抜いた鎧の魔剣に冒険者達の表情が驚きに変わる。背負っていた大剣が京矢の全身を包みフルプレートの全身鎧となる様は驚き以外の何者でも無いだろう。

 

驚きから気を取り直した冒険者達が、商隊の前に陣取り隊列を組む。緊張感を漂わせながらも、覚悟を決めた良い顔つきだ。

食事中などのふざけた雰囲気は微塵もない。道中、ベテラン冒険者としての様々な話を聞いたのだが、こういう姿を見ると、なるほど、ベテランというに相応しいと頷かされる。エンタープライズもそんな戦闘前の空気は悪く無いという風に笑みを浮かべる。

商隊の人々は、かなりの規模の魔物の群れと聞いて怯えた様子で、馬車の影から顔を覗かせている。

 

京矢は全身鎧を纏っているので冒険者達と同じく前に立ち、エンタープライズとベルファストを含めたハジメ達は商隊の馬車の屋根の上だ。

万が一にも討ち漏らしが出ても京矢がしっかりと始末してくれそうなので、これで余計に心配もない。

 

「ユエ、一応、詠唱しとけ。後々、面倒だしな」

 

「……詠唱……詠唱……?」

 

「……もしかして知らないとか?」

 

「……大丈夫、問題ない」

 

「いや、そのネタ……何でもない」

 

「接敵、十秒前ですよ~」

 

周囲に追及されるのも面倒なので、ユエに詠唱をしておくよう告げるハジメだったが、ユエの方は、元々、詠唱が不要だったせいか頭に〝?〟を浮かべている。

なければないで、小声で唱えていたとでもすればいいので、大した問題ではないのだが、返された言葉が何故か激しくハジメを不安にさせた。

 

「彼の者、常闇に紅き光をもたらさん、古の牢獄を打ち砕き、障碍の尽くを退けん、最強の片割れたるこの力、彼の者と共にありて、天すら呑み込む光となれ、〝雷龍〟」

 

後ろから聞こえてくる、本来は必要のない呪文のを聞きながら京矢は、ハジメとの出会いでも歌ってるんだなと思う。

 

詠唱の途中から立ち込めた暗雲より雷で出来た龍が現れた。その姿は、蛇を彷彿とさせる東洋の龍だ。

 

「な、なんだあれ……」

 

それは誰が呟いた言葉だったのか。目の前に魔物の群れがいるにもかかわらず、誰もが暗示でも掛けられたように天を仰ぎ激しく放電する雷龍の異様を凝視している。

護衛隊にいた魔法に精通しているはずの後衛組すら、見たことも聞いたこともない魔法に口をパクパクさせて呆けていた。

 

そして、それは何も味方だけのことではない。森の中から獲物を喰らいつくそうと殺意にまみれてやって来た魔物達も、商隊と森の中間あたりの場所で立ち止まり、うねりながら天より自分達を睥睨する巨大な雷龍に、まるで蛇に睨まれたカエルの如く射竦められて硬直していた。

 

そして、天よりもたらされる裁きの如く、ユエの細く綺麗な指タクトに合わせて、天すら呑み込むと詠われた雷龍は魔物達へとその顎門を開き襲いかかった。

 

ゴォガァアアア!!!

 

「うわっ!?」

 

「どわぁあ!?」

 

「きゃぁあああ!!」

 

更には、ユエの指揮に従い、雷龍は魔物達の周囲をとぐろを巻いて包囲する。

逃走中の魔物が突然眼前に現れた雷撃の壁に突っ込み塵となった。

逃げ場を失くした魔物達の頭上で再び、落雷の轟音を響かせながら雷龍が顎門を開くと、魔物達は、やはり自ら死を選ぶように飛び込んでいき、苦痛を感じる暇もなく、荘厳さすら感じさせる龍の偉容を最後の光景に意識も肉体も一緒くたに塵へと還された。雷龍は、全ての魔物を呑み込むと最後にもう一度、落雷の如き雄叫びを上げて霧散した。

 

隊列を組んでいた冒険者達や商隊の人々が、轟音と閃光、そして激震に思わず悲鳴を上げながら身を竦める。

ようやく、その身を襲う畏怖にも似た感情と衝撃が過ぎ去り、薄ら目を開けて前方の様子を見ると……そこにはもう何もなかった。

あえて言うならとぐろ状に焼け爛れて炭化した大地だけが、先の非現実的な光景が確かに起きた事実であると証明していた。

 

なお、京矢の予想通りユエは馬車の上で「私とハジメの出会いを歌っています」とドヤっていたりする。

 

「おいおい、一匹くらいは残しといてくれよ」

 

神代魔法を得た後に開発したであろう魔法の威力を眺めながら、折角鎧を纏ったのに無駄になったと撃ち漏らしが無いことを残念そうに呟く京矢だった。

勇者(笑)が決闘を挑んできたら京矢は?

  • 龍太郎と小悪党の残りも巻き込んで集団戦
  • 会得したアバン流刀殺法の実験台
  • 一度殺して天生牙で蘇生
  • 1〜3のフルコース
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