『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

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「……ん、やりすぎた」

 

「おいおい、あんな魔法、俺も知らないんだが……」

 

「ユエさんのオリジナルらしいですよ? ハジメさんから聞いた龍の話と例の魔法を組み合わせたものらしいです」

 

「俺がギルドに篭っている間、そんなことしてたのか……ていうかユエ、さっきの詠唱って……」

 

「ん……出会いと、未来を詠ってみた」

 

折角鎧を纏ったんだから少しくらいは分けて欲しかったと思っている京矢の後ろからハジメ達のそんな会話が聞こえてくる。

 

「指揮官、周囲に敵影はない。敵の群れはあれで全部だった様だ」

 

「だろうな。獣が百匹以上の群れを作れるとは思えねえからな」

 

群れを二つに分けるという考えも無ければ、出てきたとしても出遅れた魔物達が精々多くても十匹前後残るくらいだろうと思いながらエンタープライズの言葉に同意する。

その程度の魔物ならば、自分達も含めて万全の体制の冒険者十五人も居れば余裕で殲滅しながら進めるだろう。

 

と、京矢が少しは戦いたかったと思いながら会話していると、焼け爛れた大地を呆然と見ていた冒険者達が我に返り始めた。

そして、猛烈な勢いで振り向きハジメ達を凝視すると一斉に騒ぎ始める。

 

「おいおいおいおいおい、何なのあれ? 何なんですか、あれっ!」

 

「へ、変な生き物が……空に、空に……あっ、夢か」

 

「へへ、俺、町についたら結婚するんだ」

 

「動揺してるのは分かったから落ち着け。お前には恋人どころか女友達すらいないだろうが」

 

「魔法だって生きてるんだ! 変な生き物になってもおかしくない! だから俺もおかしくない!」

 

「いや、魔法に生死は関係ないからな? 明らかに異常事態だからな?」

 

「なにぃ!? てめぇ、ユエちゃんが異常だとでもいうのか!? アァン!?」

 

「落ち着けお前等! いいか、ユエちゃんは女神、これで全ての説明がつく!」

 

「「「「なるほど!」」」」

 

「いい具合に錯乱してんな……」

 

「あの様な光景を見れば仕方が無いことかと思います」

 

錯乱している冒険者達を前に京矢とベルファストが呆れた様に呟く。ユエの魔法が衝撃的過ぎて、冒険者達は少し壊れ気味のようだった。

それも仕方がないだろう。何せ、既存の魔法に何らかの生き物を形取ったものなど存在しないのだ。まして、それを自在に操るなど国お抱えの魔法使いでも不可能だろう。

雷を落とす〝雷槌〟を行使出来るだけでも超一流と言われるのだから。

 

魔法を生物の形にするのはエンタープライズが矢を炎の鷲にする事とハジメから聞いたことのある龍からインスピレーションを得たらしい。

その手のアイディアは地球のファンタジー系のラノベには良くあるネタだが、此方の世界には全く無い様子だった。

 

壊れて「ユエさま万歳!」とか言い出した冒険者達の中、唯一まともなリーダーガリティマは、そんな仲間達を見て盛大に溜息を吐くとハジメ達のもとへやって来た。

 

「はぁ、まずは礼を言う。ユエちゃんのおかげで被害ゼロで切り抜けることが出来た」

 

「今は、仕事仲間だろう。礼なんて不要だ。な?」

 

「……ん、仕事しただけ」

 

「はは、そうか……で、だ。さっきのは何だ?」

 

ガリティマが困惑を隠せずに尋ねる。そんなガリティマを眺めながら、自分が突っ込んで無双すれば良かったかとも思う。

 

「なあ、南雲、オレ達で無双すれば良かったんじゃねえか? 仮面ライダーになれば楽勝だしな」

 

「それも悪くなかったな」

 

百匹生物相手に特撮ヒーローに変身して無双する光景を想像してみる。

戦闘員の大群の前で変身して無双する様は、正に劇場版のヒーローの姿そのもの。それも悪く無いと思ってしまうハジメだった。

そんな京矢とハジメの会話に更に表情を痙攣らせるガリティマ。

 

……ブレイドかバールクスに変身すれば楽に倒せる程度の敵でしか無いのだから。

 

「……オリジナル」

 

「オ、オリジナル? 自分で創った魔法ってことか? 上級魔法、いや、もしかしたら最上級を?」

 

「……創ってない。複合魔法」

 

「複合魔法? だが、一体、何と何を組み合わせればあんな……」

 

「……それは秘密」

 

「ッ……それは、まぁ、そうだろうな。切り札のタネを簡単に明かす冒険者などいないしな……」

 

深い溜息と共に、追及を諦めたガリティマ。ベテラン冒険者なだけに暗黙のルールには敏感らしい。肩を竦めると、壊れた仲間を正気に戻しにかかった。

 

「このままだと、ユエ教なんて生まれそうな勢いだよな……」

 

京矢のいう通り、このままでは〝ユエ教〟なんて新興宗教が生まれかねないので、ガリティマには新興宗教の設立阻止の為にも是非とも頑張ってもらいたい、などと人ごとのように考えるハジメ。

 

そんな商隊の人々の畏怖と尊敬の混じった視線をチラチラと受けながら、一行は歩みを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユエが、全ての商隊の人々と冒険者達の度肝を抜いた日以降、特に何事もなく、一行は遂に中立商業都市フューレンに到着した。

 

フューレンの東門には六つの入場受付があり、そこで持ち込み品のチェックをするそうだ。

京矢達も、その内の一つの列に並んでいた。順番が来るまでしばらくかかりそうである。

 

馬車の屋根で、ユエに膝枕をされ、シアを侍らせながら寝転んでいたハジメと、エンタープライズとベルファストを侍らせながらお茶を飲んでいた京矢のもとにモットーがやって来た。何やら話があるようだ。

若干、呆れ気味に京矢達を見上げるモットーに、ハジメと京矢は軽く頷いて屋根から飛び降りた。

 

「まったく豪胆ですな。周囲の目が気になりませんかな?」

 

モットーの言う周囲の目とは、毎度お馴染みの京矢とハジメに対する嫉妬と羨望の目、そしてユエとシアとエンタープライズとベルファストに対する感嘆と嫌らしさを含んだ目だ。

それに加えて、今は、シアに対する値踏みするような視線も増えている。流石大都市の玄関口。様々な人間が集まる場所では、ユエもシアもエンタープライズもベルファストも単純な好色の目だけでなく利益も絡んだ注目を受けているようだ。

 

「さすが、これだけの大きさの商業都市だな。なんて思ってるさ」

 

「まぁ、煩わしいけどな、仕方がないだろう。気にするだけ無駄だ」

 

「向こうからやってきたら、その時は始末すりゃ良い。それだけだろ?」

 

「違いないな」

 

そう言って肩を竦めながら京矢の言葉に返すハジメにモットーは苦笑いだ。

 

「フューレンに入れば更に問題が増えそうですな。やはり、その兎人族と宝物庫を売る気は……」

 

さりげなくシアと宝物庫の売買交渉を申し出るモットーだったが、その話は既に終わっただろ? というハジメの無言の主張に、両手を上げて降参のポーズをとる。

内心では二つもあるのだから一つくらいは売ってもらえないかとも思っていたのも事実だ。実際には京矢のそれは四次元ポケットであり、宝物庫では無い上に更にあと二つ類似品が有るのだが、それはそれ。

 

「そんな話をしに来たわけじゃないだろ? 用件は何だ?」

 

「いえ、似たようなものですよ。売買交渉です。貴方達のもつアーティファクト。やはり譲ってはもらえませんか? 商会に来ていただければ、公証人立会の下、一生遊んで暮らせるだけの金額をお支払いしますよ。貴方のアーティファクト、特に〝宝物庫〟は、商人にとっては喉から手が出るほど手に入れたいものですからな」

 

「そりゃ、商人にしてみれば倉庫を持ち歩く様な物だからな」

 

「ええ。それに貴方のその大剣のアーティファクトも、見たところ国宝級の品だと思いますよ。売っていただけるのなら」

 

「悪いが武器は使われてこそ。って考えなんでな。それに、こいつは城に飾られるなんて扱いされて満足する剣でもないからな」

 

喉から手が出るほどではなく、モットーの笑ってない目は正に「殺してでも奪い取る」と言った方が正しいだろう。

だがそれも無理はない。商人にとって常に頭の痛い懸案事項である商品の安全確実で低コストの大量輸送という問題が一気に解決するのだ。

京矢の鎧の魔剣も商人ではなく騎士ならば欲しがりそうな一品だ。キーワードと共に全身鎧になる大剣のアーティファクト。交渉次第では幾らでも吊り上げられるだろうし、王宮に献上すれば覚えも良くなるだろう。自身が使わなくとも幾らでも使い道がある。

 

まあ、その点については見る目があるとは思う。別の世界で魔界の名工と呼ばれた男の作り上げた武具の一つなのだ。

最終的には完全に砕け散ったとはいえ、オリハルコンを使い神が作り上げたとされる神剣を折った経緯を持つ。

これに比べれば、この世界の最高の聖剣などガラクタに等しい。京矢の持つ鎧の魔剣は間違いなくその時に砕け散った剣と同じ物だ。少しでも価値の分かる騎士や冒険者が見れば欲しがるだろう。

 

ハジメのドンナー・シュラークに至っては戦いの歴史を塗り替えかねない代物なのは、地球の過去の歴史を見れば明らかだ。日本の織田信長やアメリカの西部開拓時代等はいい例だ。

 

「何度言われようと、何一つ譲る気はない。諦めな」

 

「しかし、そのアーティファクトは一個人が持つにはあまりに有用過ぎる。その価値を知った者は理性を効かせられないかもしれませんぞ? そうなれば、かなり面倒なことになるでしょうなぁ……例えば、彼女達の身に……」

 

モットーが、少々、狂的な眼差しでチラリと脅すように屋根の上にいるユエとシアに視線を向けた瞬間、ゴチッと額に冷たく固い何かが押し付けられた。壮絶な殺気と共に。

周囲は誰も気がついていない。馬車の影ということもあるし、ハジメの殺気がピンポイントで叩きつけられているからだ。

 

「それは、宣戦布告と受け取っていいのか?」

 

静かな声音。されど氷の如き冷たい声音で硬直するモットーの眼を覗き込むハジメの隻眼は、まるで深い闇のようだ。モットーは全身から冷や汗を流し必死に声を捻り出す。だが、モットーが声を捻り出す前に京矢がモットーの頭に押しつけられたものに触れる。

 

「落ち着けよ、南雲。この人はオレ達に忠告してくれただけだろ?」

 

何かしようとしていたのかは分からないが、京矢はこう言っているのだ「そう言うことにしておいてやる」と。

 

「そ、そうです……。どうか……私は、ぐっ……あなたが……あまり隠そうとしておられない……ので、そういうこともある……と。ただ、それだけで……うっ」

 

「だとさ。面倒ごとを避けるにはある程度手の内を隠すのが丁度いいって事だ」

 

京矢が比較的普通の剣よりの魔剣・聖剣を使っているのは使いやすい斬鉄剣以外ではただの強力なアーティファクトで済ませられるからだ。

それだけなら、鎧に変化したり、複数の姿と能力を持つ、珍しい上に希少で強力なアーティファクトで誤魔化せる。死者蘇生が出来る刀に比べれば。魔剣目録を人前で開かないのもそれが理由だ。

 

だが、モットーの言う通りハジメはアーティファクトや実力をそこまで真剣に隠すつもりはなかった。

ちょっとの配慮で面倒事を避けられるなら、ユエに詠唱させたようなこともするが、逆に言えば、〝ちょっと〟を越える配慮が必要なら隠すつもりはなかった。

ハジメは、この世界に対し〝遠慮しない〟と決めているのだ。

敵対するものには容赦はしないが、京矢の場合はそれなりに配慮はする意思はある。

同じく敵対するものは全てなぎ倒して進む。その覚悟があるハジメと京矢の違いは配慮の大きさだ。

 

……まあ、下手したら普通に巨大ロボを持ち出して暴れて国を滅ぼす程度は簡単に出来るのが京矢なのだが。

なお、王国は下手したら物理的にひっくり返される危険もあった事を追記しておこう。あの国、京矢は王族貴族含めて敵視しているのだ。

 

「そうか、お前がそう言うなら、そういうことにしておこうか」

 

そう言って、ドンナーをしまい殺気を解くハジメ。

モットーがその場に崩れ落ちる前に京矢が肩を貸す。京矢に肩を借りたモットーは大量の汗を流し、肩で息をしている。

 

「別に、お前が何をしようとお前の勝手だ。あるいは誰かに言いふらして、そいつらがどんな行動を取っても構わない。ただ、敵意をもって俺の前に立ちはだかったなら……生き残れると思うな? 国だろうが世界だろうが関係ない。全て血の海に沈めてやる」

 

「へっ、血の海は辞めとけ。後始末が面倒だろ? 物理的にひっくり返してやった方が面白いだろ?」

 

「なるほど。それもそうだな」

 

「つー訳だ。モットーさん、取引相手が減るのはデメリットだろ? 何が正しい判断か、アンタなら分かるだろ?」

 

「……はぁはぁ、なるほど。割に合わない取引でしたな……」

 

未だ青ざめた表情ではあるが、気丈に返すモットーは優秀な商人なのだろう。

それに道中の商隊員とのやりとりから見ても、かなり慕われているようであった。本来は、ここまで強硬な姿勢を取ることはないのかもしれない。彼を狂わせるほどの魅力が、ハジメのアーティファクトにあったということだろう。

 

「では、私は手続きがあるので、これにて」

 

フューレンに入った所でモットーは冒険者達と別れる際に京矢達を呼び止め、

 

「とんだ失態を犯しました。ご入用の際は是非我が商会を」

 

「銃口突き付けた相手に営業かよ? ホント、商魂たくましいな」

 

「まっ、それだけ優秀な商人ってことだろ?」

 

自分の商会の宣伝をして行ったのだった。

勇者(笑)が決闘を挑んできたら京矢は?

  • 龍太郎と小悪党の残りも巻き込んで集団戦
  • 会得したアバン流刀殺法の実験台
  • 一度殺して天生牙で蘇生
  • 1〜3のフルコース
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