『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
時は遡り、京矢が複製RXとの、ハジメがヒュドラとの死闘をキングフォームの力を持って制し倒れた頃、ベヒモスの討伐に成功した勇者一行は、一時迷宮攻略を中断しハイリヒ王国に戻っていた。
かつて遭遇したベヒモスを倒したと言うのに一行の顔には達成感は無かった。特に勇者である光輝の顔は屈辱に歪んでいた。
一行の脳裏に浮かぶのはあの時の京矢の姿だ。
『鎧装!』
紫の鎧を纏いベヒモスを圧倒していた京矢の姿、
『エンシェント、ブレイクエッジ!』
ハジメの錬成によって動きを止めたベヒモスを簡単に切り裂く姿にはメルドさえも言葉を失うほどの圧倒的な姿だった。
あれが国の望んでいる勇者の姿だと言わんばかりの強さに対して、仲間達と力を合わせて死闘の末にベヒモスを倒せたクラスメイト達に浮かんだのは失望の感情だった。苦戦もせずに倒して見せた奴の存在を知っているからだ。
京矢がいれば、と誰もが思わずにはいられない。光輝自身も全員がそう考えているのが分かっている。
王や貴族達はベヒモスの討伐に成功している事から、そんな京矢の成果を勇者である光輝の成果としているが、騎士達からは剣聖の成果を奪った卑怯な勇者と見られてもいるし、クラスメイト達からは、勇者の癖に何で京矢の様に強く無いんだと言う目で見られている。
檜山が居なくなった後の小悪党たちからは『お前が戦争に誘った癖に』と陰口を叩かれている。全裸で武器を持っても服を着たら、無能扱いされていたハジメにさえ勝てない……そんなスライム並みになる奴隷と勘違いされている連中にである。
なお、露出狂達についてはお前らの方が無能だろうがと王国の全員から思われていたのは別の話。寧ろ、スライム以下の戦闘職よりも錬成師の方が価値がある。
さて、そんな暗い空気の中、全裸の男達の存在が異様な空気を放つ馬車に揺られて勇者達が帰還しているのは休息という訳ではない。休息だけなら宿場町ホルアドでもよかった。王宮まで戻る必要があったのは、迎えが来たからである。
何でも、ヘルシャー帝国から勇者一行に会いに使者が来るのだという。
何故、このタイミングなのかと言う疑問に対する答えは、元々、エヒト神による〝神託〟がなされてから光輝達が召喚されるまでほとんど間がなかったからである。
そのため、同盟国である帝国に知らせが行く前に勇者召喚が行われてしまい、召喚直後の顔合わせができなかったのだ。
もっとも、仮に勇者召喚の知らせがあっても帝国は動かなかったと考えられる。なぜなら、帝国は三百年前にとある名を馳せた傭兵が建国した国であり、冒険者や傭兵の聖地とも言うべき完全実力主義の国だからである。
それが突然現れ、人間族を率いる勇者と言われても納得はできないだろう。
聖教教会は帝国にもあり、帝国民も例外なく信徒であるが、王国民に比べれば信仰度は低い。
大多数の民が傭兵か傭兵業からの成り上がり者で占められていることから信仰よりも実益を取りたがる者が多いのだ。もっとも、あくまでどちらかといえばという話であり、熱心な信者であることに変わりはないのだが。
そんな訳で、召喚されたばかりの頃の光輝達と顔合わせをしても、既に異世界を二回、世界を救うレベルの戦いを四回経験していた京矢以外は軽んじられる可能性があった。
そんな彼らからしてみれば、ド素人の光輝達など眼中に無いと言った所だった。
しかし、そんな勇者らがベヒモスを倒し、オルクスの最高攻略地点を更新した、と言う話題が帝国にも届いた為、帝国の皇帝の関心を引いたので、今になって使者を送ると言ってきた、と言う事だ。
……だが、最初にベヒモスを倒したのは勇者ではなく、京矢とハジメの二人だと知っているのは一部上層部の人間と現場にいたものだけであり、前述の通り、公には『勇者が聖なる力を目覚めさせ、強大なベヒモスを打ち破った』という話になっている。
国の士気を上げるため、光輝は一番嫌っている男から手柄を野良犬の様に与えられている事に今も苛立っている。
天之河光輝と言う人間は、その人生に於いて常に主人公だったのだ。才能にも恵まれ、尊敬する祖父を始め、愛情を注ぎ適度に叱ってくれる両親や、彼を慕う妹、気の良い友人にも恵まれた人生を送っていた。
そんな彼が初めて敗北したのが京矢だ。
光輝と京矢の初めての出会いは雫の家の道場での事だ。
通っていた道場で初めて見る顔。初めは新しく入門したのかとも思っていたが、時折にしか目にしない事から、サボっていて時折にしか顔を出さないのかと考えて注意をした。
……実際には京矢は出稽古に来ているだけで、其処の門下生でもなんでもないのだが。
そんな事も知らない光輝は京矢に決闘を挑む。自分が勝ったら真面目に練習に出ろと言って。
結果は光輝の惨敗。何が何だか分からないうちに彼は京矢に負けていたのだ。しかも、師範からはもうこんな事はしない様にと注意までされる始末。
それから、次の挫折は京矢が転校した後の剣道の全国大会での事だ。
一回戦で当たった京矢に何も出来ないまま胴を打たれたかと思うと、そのまま壁に叩きつけられて気を失うと言うなんとも情け無い敗北を喫した。
しかも、その時期に剣道部の顧問の教師が辞めていった。自分の正義に理解を示してくれる良い教師だったのに。
(光輝が起こす問題を剣道部での彼の実力を理由に揉み消していたが、全国大会の一回戦で京矢に惨敗した事で、これまでの光輝の問題行為を揉み消していた責任を取らされた)
その後も毎年京矢に壁まで吹き飛ばされると言う負け方を繰り返したせいで『ホームランボール』なんて言う変な渾名が付けられ、一部では剣道界のお笑い芸人扱いされている。
(実際には、毎回京矢をムカっとさせる様な彼の言動が原因で、京矢が流石に頭に来た結果である)
そんな、光輝にとっての人生の汚点象徴みたいな相手の手柄を押し付けられている現状は光輝にとって面白い訳がない。
「巫山戯るな……。アイツは死んだんだ……」
勇者に選ばれたのは自分の筈なのに、誰もが言っている『剣聖が居たら』『剣聖なら』と。
京矢が居れば自分など必要ないとでも言う様な言動が光輝を苛つかせていたのだ。
だが、今回の【オルクス大迷宮】攻略で、歴史上の最高記録である六十五層が突破されたという事実をもって帝国側も光輝達に興味を持つに至った。
帝国側から是非会ってみたいという知らせが来たのだ。王国側も聖教教会も、いい時期だと了承したのである。
光輝にとってもそれは嬉しい事態だ。実力主義の帝国に勇者として認められれば京矢の方がなどと言う陰口は消えていくだろう。
京矢は(クラスメイト及び王国側の認識では)既に死んだ人間だ、時が経てば、それ以上の活躍を示せばいずれ忘れ去られる筈だ。
内心では、京矢が死んだ後で良かったと暗い考えが浮かんでいることさえ、光輝は気付かない。
内心では、ハジメが死んだ事も、京矢が死んだ事も、邪魔者が消えたと喜んでいると気付かない。
内心で、二人を殺してくれた上に一人でその罪を背負って檜山が死んでくれた事を喜んでいると当人は気付かない。
その心の中に産まれた妬みに本人は気づかない。
光輝がそんな事を考えながら、帰りの馬車の中で帝国や王国の事情をツラツラと教えられながら、光輝達は王宮に到着した。
ハジメに巨大戦力を渡すとしたら?
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倒したのを頑張って修復キングジョー
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京矢からのレンタル、ヨクリューオー
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ダイボウケン