『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
勇者一行の馬車が王宮に入り、全員が降車すると王宮の方から一人の少年が駆けて来るのが見えた。十歳位の金髪碧眼の美少年である。
光輝と似た雰囲気を持つが、ずっとやんちゃそうだ。その正体はハイリヒ王国王子ランデル・S・B・ハイリヒである。
「香織! よく帰った! 待ちわびたぞ!」
もちろんこの場には、香織だけでなく他にも帰還を果たした生徒達が勢ぞろいしている。その中で、香織以外見えないという様子のランデル殿下の態度を見ればどういう感情を持っているかは誰でも容易に想像つくだろう。
子供の事と思いながらも光輝にも不快感が湧く。
実は、召喚された翌日から、ランデル殿下は香織に猛アプローチを掛けていた。
と言っても、彼は十歳。香織から見れば小さい子に懐かれている程度の認識であり、その思いが実る気配は微塵もない。生来の面倒見の良さから、弟のようには可愛く思ってはいるようだが。
「ランデル殿下。お久しぶりです」
パタパタ振られる尻尾を幻視しながら微笑む香織。そんな香織の笑みに一瞬で顔を真っ赤にするランデル殿下は、それでも精一杯男らしい表情を作って香織にアプローチをかけるが、年相応なだけに可愛らしいとしか見えない。
「ああ、本当に久しぶりだな。お前が迷宮に行ってる間は生きた心地がしなかったぞ。怪我はしてないか? 余が剣聖の様に強ければお前にこんなことさせないのに……」
悔しそうに言うランダル殿下の言葉から出た、剣聖の名に思わず光輝が唇を噛む。
(……こんな所でも、あいつか……)
香織としては守られるだけなどお断りなのだが、そんな少年の微笑ましい心意気には思わず頬が緩む。
「お気づかい下さりありがとうございます。ですが、私なら大丈夫ですよ? 自分で望んでやっていることですから」
「いや、香織に戦いは似合わない。そ、その、ほら、もっとこう安全な仕事もあるだろう?」
「安全な仕事ですか?」
ランデル殿下の言葉に首を傾げる香織。そんな彼女の仕草にランデル殿下の顔は更に赤みを増す。となりで面白そうに成り行きを見ている雫は察しがついて、少年の健気なアプローチに思わず苦笑いする。
「う、うむ。例えば、侍女とかどうだ? その、今なら余の専属にしてやってもいいぞ」
「侍女ですか? いえ、すみません。私は治癒師ですから……」
「な、なら医療院に入ればいい。迷宮なんて危険な場所や前線なんて行く必要ないだろう?」
医療院とは、国営の病院のことである。王宮の直ぐ傍にある。
要するに、ランデル殿下は香織と離れるのが嫌なのだ。しかし、香織はさっさと王宮から迷宮に戻りたいと思っている。ハジメが今も苦しんでいるかもしれにからだ。
……なお、主にハジメなのは恋する乙女のフィルターの他に、京矢については生き残れている可能性が高く、檜山については最初から考えには入っていなかったりする。
「いえ、前線でなければ直ぐに癒せませんから。心配して下さりありがとうございます」
「うぅ」
ランデル殿下は、どうあっても香織の気持ちを動かすことができないと悟り小さく唸る。そこへ、勇者光輝がにこやかに参戦する。
「ランデル殿下、香織は俺の大切な幼馴染です。俺がいる限り、絶対に守り抜きますよ」
光輝の発言は、この場においては不適切な発言だった。当人には善意のつもり、年下の少年を安心させる意思の中に、こんな気持ちも混ざっているのかもしれなかった。
序でに、彼の言葉が恋するランデル殿下にも彼の言葉の中に混ざっている気持ちとして意訳されている。
〝俺の女に手ぇ出してんじゃねぇよ。俺がいる限り香織は誰にも渡さねぇ! 絶対にな!〟
その言葉をきっかけにランデル殿下が光輝に敵意を持ち始めたが、香織はランデル殿下の関心が光輝に移った時点で後ろに引っ込み、となりの雫はそんな香織に同情の眼差しを向けた。
本来一番敵意を向けるべき相手が不在の中で、敵意を向けるランデル殿下に光輝が更に煽りそうなセリフを吐く前に、涼やかだが、少し厳しさを含んだ声が響いた。
「ランデル。いい加減にしなさい。香織が困っているでしょう? 光輝さんにもご迷惑ですよ」
「あ、姉上!? ……し、しかし」
「しかしではありません。皆さんお疲れなのに、こんな場所に引き止めて……相手のことを考えていないのは誰ですか?」
「うっ……で、ですが……」
「ランデル?」
「よ、用事を思い出しました! 失礼します!」
逃げるように去っていくランデル殿下。どうやら姉には敵わないらしい。
そんな弟の姿にハイリヒ王国王女リリアーナはため息をついた。
「香織、光輝さん、弟が失礼しました。代わってお詫び致しますわ」
「ううん、気にしてないよ、リリィ。ランデル殿下は気を使ってくれただけだよ」
「そうだな。なぜ、怒っていたのかわからないけど……何か失礼なことをしたんなら俺の方こそ謝らないと」
香織と光輝の言葉に苦笑いするリリアーナ。
姉として弟の恋心を察しているため、意中の香織に全く意識されていないランデル殿下に多少同情してしまう。
まして、ランデル殿下の恋敵は別にいることを知っているのでその気持ちは尚更だった。
「とにかくお疲れ様でした。お食事の準備も、清めの準備もできておりますから、ゆっくりお寛ぎくださいませ。帝国からの使者様が来られるには未だ数日は掛かりますから、お気になさらず」
光輝達が迷宮での疲れを癒しつつ、居残り組にベヒモスの討伐を伝え歓声が上がったが、逆に京矢とハジメの二人だけで戦った時よりも手間取った事に落胆されて光輝の苛立ちが増したり、愛子先生が一部で〝豊穣の女神〟と呼ばれ始めていることが話題になり彼女を身悶えさせたりと色々あったが光輝達はゆっくり迷宮攻略で疲弊した体を癒した。
香織と雫は内心、ハジメと京矢を助けるべく迷宮攻略に戻りたくてそわそわしていたが。
なお、クラスメイト達の中で既に檜山を心配する者は誰も居なかったりする。
そして、光輝達の帰還から3日後、遂に帝国の使者が訪れた。
現在、光輝達、迷宮攻略に赴いたメンバーと王国の重鎮達、そしてイシュタル率いる司祭数人が謁見の間に勢ぞろいし、レッドカーペットの中央に帝国の使者が五人ほど立ったままエリヒド陛下と向かい合っていた。
「使者殿、よく参られた。勇者方の至上の武勇、存分に確かめられるがよかろう」
「陛下、この度は急な訪問の願い、聞き入れて下さり誠に感謝いたします。して、どなたが勇者様なのでしょう?」
「うむ、まずは紹介させて頂こうか。光輝殿、前へ出てくれるか?」
「はい」
陛下と使者の定型的な挨拶のあと、早速、光輝達のお披露目となった。陛下に促され前にでる光輝。
光輝を筆頭に、次々と迷宮攻略のメンバーが紹介された。
「ほぅ、貴方が勇者様ですか。随分とお若いですな。所で、召喚された直後からメルド団長とも互角に渡り合ったと言う噂の剣聖殿は何方に?」
使者の何気ない一言に微かに光輝の顔に嫌悪が浮かぶ。
「かの剣聖殿は迷宮の罠に嵌った光輝殿達を庇い、現れたベヒモスを単身で食い止めて……」
「……そうでしたか」
京矢の扱いは一応外にはそう伝わっている。
仲間の攻撃で奈落に落とされたと言う醜聞が広く伝われば、ベヒモス退治の手柄を奪ったと言う事実と合わせて、勇者か国が、或いはその両者が結託して手柄を奪う為に京矢を謀殺したと言う醜聞になりかねない為だ。
仲間を庇って一人でベヒモスを食い止めて命を落としたと言う美談で醜聞を誤魔化す為に。
「失礼ですが、本当に六十五層を突破したので? 確か、あそこにそのベヒモスが出ると記憶しておりますが……」
使者は、光輝を観察するように見やると、イシュタルの手前露骨な態度は取らないものの、若干、疑わしそうな眼差しを向けた。
使者の護衛の一人は、値踏みするように上から下までジロジロと眺めている。
その視線に居心地悪そうに身じろぎしながら、光輝が答える。
「えっと、ではお話しましょうか? どのように倒したかとか、あっ、六十六層のマップを見せるとかどうでしょう?」
光輝は信じてもらおうと色々提案するが使者はあっさり首を振りニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「いえ、お話は結構。それよりも手っ取り早い方法があります。私の護衛一人と模擬戦でもしてもらえませんか? それで、勇者殿の実力も一目瞭然でしょう」
「えっと、俺は構いませんが……」
光輝は若干戸惑ったようにエリヒド陛下を振り返る。エリヒド陛下は光輝の視線を受けてイシュタルに確認を取るとイシュタルは頷いた。
神威をもって帝国に光輝を人間族のリーダーとして認めさせることは簡単だが、完全実力主義の帝国を早々に本心から認めさせるには、実際戦ってもらうのが手っ取り早いとイシュタルは判断したのだ。
「構わんよ。光輝殿、その実力、存分に示されよ」
「それでは決まりですな、では場所の用意をお願いします」
こうして急遽、何故か勇者対帝国使者の護衛という模擬戦の開催が決定しちゃったのである。
ハジメに巨大戦力を渡すとしたら?
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倒したのを頑張って修復キングジョー
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京矢からのレンタル、ヨクリューオー
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グランドライナー
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ダイボウケン