『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝 作:ドラゴンネスト
それは、京矢達がウルの町での戦いを終えた後の事……。
場所は、【オルクス大迷宮】の八十九層。前衛を務める光輝、龍太郎、雫、永山、近藤に、後衛からタイミングを合わせた魔法による総攻撃の発動カウントが告げられる。
何とか後衛に襲いかかろうとする魔物達を、光輝達は鍛え上げた武技をもって打倒し、弾き返していく。
そして、彼らの探索が今までの人の限界を大幅に更新し、九十層に到達した頃、魔物を引き連れた魔人族の女に遭遇した。
その九十層で一度も魔物と遭遇しないことを疑問に思い始め、それを警戒して撤退するか進むかで意見が分かれた頃だった。
魔族の女からの勧誘の言葉を光輝が否定したことで魔人族との初めての戦闘が開始される。
敵の従える姿の見えない魔物や回復役の魔物の存在に苦しめられる中、京矢と比べられ続けた光輝の執念によるものか、限界突破の効果もあり魔人族を追い詰める。
だが……
「ごめん……先に逝く……愛してるよ、ミハイル……」
トドメを刺される寸前の彼女のその一言で、光輝は剣を止めてしまう。
ここでようやく、敵は自分達と同じ知的生物だと言う事を、自分達が人を相手に戦争をしているという自覚を持ったのだ。いや、持ってしまった。
そのことを自覚してしまった光輝は、この期に及んで話し合いで解決しようなどという場違いな発言をしている。そんな時だった。
『ハリケーン、クリティカルストライク!』
「うわぁ!!!」
そんな音と共に突如襲いかかって来た竜巻に、光輝は吹き飛ばされてしまう。竜巻に巻き上げられ壁に叩きつけられる光輝。
「危ないところだったな」
「助けに来たよ~」
複数の足音とそんな声が竜巻の向かって来た方向から聞こえる。其方へと視線を向けると
「何だって……?」
「嘘だろ……?」
忍者を思わせる特撮ヒーローの様な姿の男とパーカーの少女。その後ろには槍で武装したロボットの様な鎧の兵士達と、四人の男女。
そして、ゆっくりと忍者の様な男……風魔はベルトに触れ、ガシャットを抜き取ると変身が解除される。
光輝達が驚いているのは新たに現れた彼等の服装だった。バラバラだが共通点は一つある。……それは、彼等の身に纏っている衣服が全てトータスには存在しない地球の衣服である事だ。
目の前にある光景に信じられないと言う顔をする一行を代表するように光輝が口を開く。
「君達は……地球の人間なのか?」
「その通り。私は……そう、風魔だ」
「私はダークゴーストだよー。宜しくねー」
光輝の問いかけに明らかに偽名と分かる様な名を名乗り一礼すると、ダークゴーストに指示を出し、風魔は改めて光輝達に向き直る。
風魔の意図を理解したダークゴーストが魔人族の女に手を翳すと、彼女の体が崩れ落ちる。穏やかな寝息を立てている事からダークゴーストが眠らせたのだろう。
「さて、此処で会えたのも幸いなのでこう言っておこう。此方には地球との移動手段がある」
『っ!?』
風魔と名乗った男の言葉に全員に動揺が走る。これ以上ないほど欲していた地球に帰る方法が目の前に現れたのだ。動揺しない訳が無い。
「条件次第では君達を地球に連れて行っても良い」
風魔の言葉に動揺しながらも喜びの篭ったザワメキが起こる。
だから、誰も疑問に思えない。風魔は連れて行く、連れ帰るとは言っていないのだ。
「条件はこちら側に来る事だ」
「断る! 人間族を……仲間達を……王国の人達を……裏切れなんて、同じ人間なのに、よくもそんなことが言えたな! その魔人族と同じ様に、わざわざ俺を勧誘しに来たようだが、お前達こそ投降しろ!」
「いや、お前は特に不要だ。何の価値もない、寧ろ居られるとマイナス。速やかに此処で死んでくれ」
風魔の言葉に流石の光輝もフリーズしてしまう。
光輝の言葉に対して滅多斬りというレベルで切り捨てた風魔は他に龍太郎と小悪党達を指差し、
「ああ、後、お前達も要らないからな。この場で始末する。見せしめの意味で、投降しようが始末するだけだ」
あんまりな言葉に思わず言葉を失う指名された彼等を他所に、残りの者達を一瞥し風魔は更に言葉を続ける。
「此方としてはバールクスへの人質一人の確保ができればそれで良い。他は人質の人質だ。断れば始末させてもらう」
風魔の言うバールクスと言う言葉の意味は分からないが、少なくとも一人だけは殺されないと言うのは分かるが、それが誰か分からない。
「それにお前達程度、戦力として求めてはいない。人質として囚われている。それだけしか求めていない。それならば別に裏切りでは無いだろう? 勿論、降伏すれば、全員地球にも連れて行こう。……お前達以外はな」
犠牲は出るが地球に帰れる。そもそも、自分たちは勇者である光輝に巻き込まれた被害者なのだ。そいつが犠牲になれば帰れる。何人かの心にそんな悪魔の様な誘惑が染み込む。
「答えは同じだ! 何を言われても、俺の仲間達が裏切る事なんて一切ない!」
「そうか。なら良い」
即答する光輝に何人かが巫山戯るなと叫びそうになる中、あっさりと交渉決裂とした風魔の合図で言葉に後ろにいる四人の男女と風魔とダークゴーストはそれぞれの変身アイテムを取り出す。
『ハリケーンニンジャ』
『アーイ!』『バッチリミナー!』
『POISON』
『WING』
『ドードー』
『ジャパニーズウルフ』
『変身』
その言葉と共に目の前に起こるあり得ざる光景に、彼等は思わず言葉を失ってしまう。
『マキマキ! 竜巻! ハリケーンニンジャ!』
『カイガン! ダークライダー! 闇の力! 悪い奴ら!』
『フォースライズ! スティングスコーピオン! Break down. 』
『フォースライズ! フライングファルコン! Break down... 』
『フォースライズ! ドードー! Break down. 』
『フォースライズ! ジャパニーズウルフ! Break down…… 』
風魔を筆頭にパーカーを纏い白い亡霊に姿を変える者、風を纏い変身する者、雷を纏い変身する者、ベルトから飛び出した隼に包まれる様に変身する者、ベルトから飛び出した毒針に貫かれ変身する者。
その光景をテレビの画面越しに見た記憶が無い者は、光輝位しか居ないだろう。
それは異世界転移と言う非現実以上に非現実な、特撮ヒーローの世界に迷い込んだ様に感じてしまう。
「特撮、ヒーロー……?」
男子生徒の誰かがそう呟くと、幼い日に夢中になって画面越しに見た光景を目の当たりにして、これからヒーローに蹂躙される悪役になってしまった様な気持ちにも襲われる。
目の前に並び立つのは六人のヒーロー。目の前に居るのがヒーローならば、自分達は悪役? 自分達は人間族の危機を救うために異世界から召喚された勇者じゃ無いのか? そんな疑問が男子生徒達の中に湧いてくる。
「ま、まだだ! 多勢に無勢なんだ!」
兵士達は大した事は無いと判断したのだろう。六人の仮面ライダー達だけが危険だと考えたのだろうか?
「そうか、ならばアレの実践テストも行うとしよう」
そんな光輝の言葉を鼻で笑いながら、風魔が手をあげると四人の兵士が兵士達の中から人が一人入れるサイズのカプセルを四つ運んでくる。
地面に置かれたカプセルが開き、その中から新たに四人の人影が現れる。風魔達が回収した僅かなエネルギーを元に再生、制御させた闇の戦士。
『ゼロダークネス』
『エックスダークネス』
『オーブダークネス』
『ジードダークネス』
かつて、ウルトラマンが存在した宇宙で誕生した光の戦士達の複製体を元に生み出された複製体達。
滅亡迅雷netと合わせ平成無効を持つバールクス用の為に用意した複製体のダークネスだ。
敵として並び立つ仮面ライダーとウルトラマン。それは悪夢の様な光景だろう。
「ターゲット以外は管理が楽な2〜3人程でいい。殺せ」
冷酷な風魔の宣言と共にダークライダー達とダークネス達は光輝達
最初に動いたのはゼロダークネスだ。
地面を砕くほどの踏み込みでゼロダークネスの姿が光輝達の視界から消える。視認すら許さない動きを見せるゼロダークネスが狙ったのは、
「ぐっ!」
「がっ!」
響くのは二つの苦悶の声。
先ずは龍太郎と永山が苦悶の声を上げて吹き飛ばされる。彼等が立っていた筈の場所には、ゼロダークネスが拳を振り切った姿で佇んでいる。
永山は、〝重格闘家〟という天職を持っており、格闘系天職の中でも特に防御に適性がある。
〝身体強化〟の派生技能で〝身体硬化〟という技能と〝金剛〟を習得しており、両技能を重掛けした場合の耐久力は鋼鉄の盾よりも遥かに上だ。
自らの巨体も合わせれば、その人間要塞とも言うべき防御を突破するのは至難と言っていい。
だが、その永山でさえ、ゼロダークネスの攻撃により防御する事さえ許されず、龍太郎と共に血反吐を吐きながら吹き飛び、たまたま後方にいた全裸の三人にぶつかって辛うじて地面への激突という追加ダメージを免れるという有様だった。
突然の襲撃に、反応しきれていないクラスメイト達を揺らめきが切り裂かんと迫った、その瞬間、
「光の恩寵と加護をここに! 〝回天〟〝天絶〟!」
香織が殆ど無詠唱かと思うほどの詠唱省略で同時に二つの光系魔法を発動した。
殴り飛ばされ、吹き飛び、地面に叩きつけられた龍太郎と永山を即座に癒す光系中級回復魔法〝回天〟。
複数の離れた場所にいる対象を同時に治癒する魔法だ。痛みに呻きながら何とか起き上がろうともがく二人に淡い白光が降り注ぎ、尋常でない速度で傷が塞がっていく。
そんな二人の回復を待つ様に、かかって来いとでも言うような態度でゼロダークネスは構えをとったまま、追撃もせずに手招きしている。
二つ目は光系の中級防御魔法〝天絶〟。〝光絶〟という光のシールドを発動する光系の初級防御魔法の上位版で、複数枚を一度に出す魔法だ。
〝結界師〟である鈴などは、この魔法を応用して、壊される端から高速でシールドを補充し続け、弱く直ぐに破壊されるが突破に時間がかかる多重障壁という使い方をしたりする。この点、香織は、光属性全般に高い適性を持つものの、結界専門の鈴には及ばないため、そのような使い方は出来ない。精々、設置するシールドの微調整が出来る程度だ。
その揺らめきの正体。鈴を狙った風魔の忍者刀を間一髪のところで逸らす。
それを鼻で笑いながら風魔が後ろに飛ぶと、慌てて鈴が張った強力な結界をオーブダークネスのダークネスカリバーによる一閃と、ジードダークネスの拳が砕き、その余波だけで小柄な鈴は吹き飛ばされる。
吹き飛ばされ鈴を受け止めていた恵里が片手を突き出し、鈴と同様、危機感から続けていた詠唱を完成させ、強力な炎系魔法を発動させた。〝海炎〟という名の炎系中級魔法は、文字通り、炎の津波を操る魔法で分類するなら範囲魔法だ。素早い敵でも、そう簡単には避けられはしない。
だが、敵にとって彼女の魔法は回避する必要すらない。
新たに現れたエックスダークネスがダークネスゴモラアーマーを纏い、炎の津波はエックスダークネスが放ったダークネスゴモラ振動波によって掻き消してしまう。
オーブ、ジード、エックスの三体のダークネスの中央に立つエックスダークネスが残った火の粉を鬱陶しげに振り払う。
鈴と恵理と香織の三人を標的に捉えたダークネス達に
「香織から離れろぉおお!!」
鈴と恵理はいいのか? とツッコミを入れてはいけない。
光輝は、怒りを多分に含ませた雄叫び上げながら〝縮地〟で一気に三人の近くにいたダークネス達に踏み込もうとする。
「させないよー」
そんな光輝の移動速度が焦点速度を超えて背後に残像を生み出し、振りかぶった聖剣をムサシ魂に変身していたダークゴーストが、二刀を持って受け止めて無防備な身体に無慈悲な一撃を打ち込む。
闇を前にした絶望は此処から始まるのだ。
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