『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』外伝   作:ドラゴンネスト

98 / 112
089

『遠藤って誰だっけ?』と言うのが京矢にとっての遠藤浩介の印象だった。光輝に付き合って戦争に参加したいなら勝手にこっちで死ねば良いと切り捨てられたかもしれない側の人間にされていたかもしれない相手だ。……影が薄すぎて。

不幸にも今まで京矢に一度も認識されていないと言うのが彼にとっての最大の不幸で、此処で認識してもらえたと言うのが最大の幸運であったかもしれないのだ。

 

ハジメの呟きと京矢の酷い呟きに〝!〟と某ダンボール好きな傭兵のゲームに出てくる敵兵のような反応をする黒装束の少年、遠藤浩介は、辺りをキョロキョロと見渡し、それでも目当ての人物が見つからないことに苛立ったように大声を出し始めた。

 

「南雲ぉ! 鳳凰寺ぃ! いるのか! お前等なのか! 何処なんだ! 南雲ぉ! 鳳凰寺ぃ! 生きてんなら出てきやがれぇ! 南雲ハジメェー! 鳳凰寺京矢ァー!」

 

あまりの大声に、思わず耳に指で栓をする人達が続出する。その声は、単に死んだ筈のクラスメイトが生存しているかもしれず、それを確かめたいという気持ち以上の必死さが含まれているようだった。

 

ユエ達の視線が一斉にハジメと京矢の方を向く。

ハジメは、未だに自分の名前を大声で連呼する遠藤に、頬をカリカリと掻くとあまり関わりたくないなぁという表情をしながらもどうするべきかと京矢に視線を向けるが、其処にはいつの間にか京矢の姿が無かった。

 

「くそっ! 声は聞こえるのに姿が見当たらねぇ! 幽霊か? やっぱり化けて出てきたのか!? 俺には姿が見えないってのか!?」

 

「……へへへっ……そうだぜ、地獄からお前達を迎えに……」

 

いつの間にか気配と足音を消して誰にも気付かれないように浩介に近づいた京矢が死角からそんな言葉をかけた。

浩介が振り向く前に死角から死角へと移動しながらそれを繰り返して、完全に遊んでいる。

 

もう、地獄から二人が恨みつらみでやってきたとでも思ってるのか頭を抱えて怯えている姿は流石に哀れみさえ覚えてしまう。

 

「遊ぶなよ、鳳凰寺」

 

「いや、此処でオレ達が死んでるって思わせといた方が後々あの阿保勇者に絡まれないで済むかと思ってな」

 

要するに今後の為の行動としてらしい。怖がらせて追い返そうとしていたと言う訳だ。

 

「おい、目の前にいるだろうが、ど阿呆。つか、いい加減落ち着けよ。影の薄さランキング生涯世界一位」

 

「オレは今日まで名前さえ知らなかったからな。実は存在抹消ってスキルでも有るんじゃねえのか?」

 

「!? また、声が!? ていうか、誰がコンビニの自動ドアすら反応してくれない影が薄いどころか存在自体が薄くて何時の間にか消えてる男だ! 自動ドアくらい三回に一回はちゃんと開くわ!」

 

「三回中二回は開かないのか……お前流石だな」

 

「いや、あれって影の薄さとか関係ないだろ? 地球にいた頃から物理的な存在感も消せたって、もはや才能だな……」

 

ハジメが京矢の行動を止めてくれた事で、目の前の白髪眼帯の男が会話している本人だと気がついたようで、遠藤は、ハジメの顔をマジマジと見つめ始める。

男に見つめられて喜ぶ趣味はないので嫌そうな表情で顔を背けるハジメに、遠藤は、まさかという面持ちで声をかけた。

 

「鳳凰寺に……お、お前……お前が南雲……なのか?」

 

「はぁ……ああ、そうだ。見た目こんなだが、正真正銘南雲ハジメだ」

 

「面影はほとんど無いからな……」

 

迷宮で再開した時は一瞬分からなかったぜ、と言う京矢に、あの時はお前の方が面影無かったと思うハジメであった。

 

「お前等……生きていたのか」

 

「今、目の前にいるんだから当たり前だろ」

 

「まっ、檜山はもう生きてないけどな」

 

「何か、南雲は、えらく変わってるんだけど……見た目とか雰囲気とか口調とか……」

 

「奈落の底から自力で這い上がってきたんだぞ? そりゃ多少変わるだろ」

 

「そ、そういうものかな? いや、でも、鳳凰寺は全然……」

 

「そりゃ、オレにとっては奈落の底程度じゃ変わる必要も無かったからな」

 

「そ、そうか……ホントに生きて……」

 

あっけらかんとした京矢とハジメの態度に困惑する浩介だったが、それでも死んだと思っていたクラスメイトが本当に生きていたと理解し、安堵したように目元を和らげた。

いくらハジメが香織に構われていることに他の男と同じように嫉妬の念を抱いていたとしても、死んでもいいなんて恐ろしいことを思えるはずもない。

ベヒーモスを一太刀で真っ二つにして見せた京矢の強さを、光輝を簡単にあしらいメルドとも互角に渡り合った最強の剣士が死んだのには絶望した。

ハジメと京矢の死は大きな衝撃であった。だからこそ、浩介は、純粋にクラスメイトの生存が嬉しかったのだ。

 

「っていうかお前達……冒険者してたのか? しかも〝金〟て……」

 

「ん~、まぁな」

 

「一騎当千って感じの大暴れしたら貰えた様なモンだしなぁ」

 

二人の返答に浩介の表情がガラリと変わる。

クラスメイトが生きていた事にホッとしたような表情から切羽詰ったような表情に。改めて、よく見てみると浩介がボロボロであることに気がつく。

一体、何があったんだと内心首を捻る。

 

「……つまり、鳳凰寺だけじゃなくて南雲も、迷宮の深層から自力で生還できる上に、冒険者の最高ランクを貰えるくらい強いってことだよな? 信じられねぇけど……」

 

「まぁ、そうだな」

 

浩介の真剣な表情でなされた確認に肯定の意をハジメが示すと、浩介はハジメに飛びかからんばかりの勢いで肩をつかみに掛かり、今まで以上に必死さの滲む声音で、表情を悲痛に歪めながら懇願を始めた。

 

「なら頼む! 一緒に迷宮に潜ってくれ! 早くしないと皆死んじまう! 一人でも多くの戦力が必要なんだ! 健太郎も重吾も死んじまうかもしれないんだ! 頼むよ、南雲! 鳳凰寺!」

 

「お前等が望んだ事だろ? 勝手に死ね」

 

京矢はそんな浩介の懇願を一言で切り捨てる。あまりの返答に言葉を失う浩介を他所に、京矢は異世界に見捨てていくやつ等のリストに心の中で浩介と健太郎と重吾の三人の名を刻むのだった。

 

「あの阿呆に洗脳されて勝手に戦場に突っ込んで行った結果だろうが。死ぬのもお前等の責任だ、勝手に死んでろ」

 

元々京矢は光輝とは違い戦争反対の立場をとっていた。そんな光輝について行った結果死んだとしても自業自得だと切り捨てる。

 

「ちょっと待て、鳳凰寺。状況が全くわからないんだが? 死んじまうって何だよ。天之河がいれば大抵何とかなるだろ? メルド団長がいれば、二度とベヒモスの時みたいな失敗もしないだろうし……」

 

「いや、あの毎回オレにお約束みたいな負け方してた『剣道界のお笑い芸人』のホームランボールだぞ、2回くらいは繰り返すんじゃねえか?」

 

ハジメが、普段目立たない浩介のあまりに切羽詰った尋常でない様子に、困惑しながら問い返すが、京矢に言われてあり得そうだと思い直す。

 

地球では剣道大会の度に京矢によって反対側の壁に叩きつけられて『ホームランボール』と渾名されてた光輝を思い出すと、そうかもしれないと思ってしまう。

しかも、光輝の事を剣道界のスーパースターとして盛り上げようとしていたマスコミの前でそれをやってしまった訳だから、全国ネットで恥を晒してしまった訳だ。今やすっかり、学校外では光輝は剣道芸人である。

 

だが、浩介はメルド団長の名が出た瞬間、ひどく暗い表情になって膝から崩れ落ちた。そして、押し殺したような低く澱んだ声でポツリと呟く。

 

「……んだよ」

 

「は? 聞こえねぇよ。何だって?」

 

「……死んだって言ったんだ! メルド団長もアランさんも他の皆も! 迷宮に潜ってた騎士は皆死んだ! 俺を逃がすために! 俺のせいで! 死んだんだ! 死んだんだよぉ!」

 

「惜しい人たちを亡くしちまったな……」

 

「……そうか」

 

癇癪を起こした子供のように、「死んだ」と繰り返す浩介に、京矢は悔やみの言葉を、ハジメはただ一言、そう返した。

 

ハジメの天職が非戦系であるために、ハジメとメルド団長との接点はそれほど多くなかったハジメとは違い、京矢は何度も正面から訓練の為に剣を交えた事もある。

そんな関わりの薄いハジメでもメルド団長が気のいい男であったことは覚えているし、あの日、二人が奈落に落ちた日、最後の場面で最強だった京矢は兎も角、〝無能〟の自分を信じてくれたことも覚えている。

そんな彼が死んだと聞かされれば、奈落から出たばかりの頃のハジメなら「あっそ」で終わらせたかもしれないが、今は、少し残念さが胸中をよぎる。

少なくとも、心の中で冥福を祈るくらいには。

 

「で? 何があったんだ?」

 

「だな。あの阿保が周りを巻き込んで自滅したなら兎も角、メルド団長達までなんて、普通じゃ無いだろ?」

 

「それは……」

 

尋ねるハジメと京矢に、浩介は膝を付きうなだれたまま事の次第を話そうとする。と、そこでしわがれた声による制止がかかった。

 

「話の続きは、奥でしてもらおうか。そっちは、俺の客らしいしな」

 

「そうだな、こんな所で騒ぐ様な話でも無さそうだ」

 

声の主は、六十歳過ぎくらいのガタイのいい左目に大きな傷が入った迫力のある男だった。

その眼からは、長い年月を経て磨かれたであろう深みが見て取れ、全身から覇気が溢れている。

 

ハジメは、先程の受付嬢が傍にいることからも彼がギルド支部長だろうと当たりをつけた。そして、浩介の慟哭じみた叫びに再びギルドに入ってきた時の不穏な雰囲気が満ち始めた事から、この場で話をするのは相応しくないだろうと判断し大人しく従う事にした。

 

おそらく、浩介は既にここで同じように騒いで、勇者組や騎士団に何かがあったことを晒してしまったのだろう。

ギルドに入ったときの異様な雰囲気はそのせいだ。

 

ギルド支部長と思しき男は、浩介の腕を掴んで強引に立たせると有無を言わさずギルドの奥へと連れて行った。

浩介は、かなり情緒不安定なようで、今は、ぐったりと力を失っている。

 

きっと、話の内容は碌な事じゃないんだろうなと嫌な予想をしながら京矢達は後を付いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……魔人族……だけじゃなくて」

 

「特撮ヒーローかよ?」

 

冒険者ギルドホルアド支部の応接室にハジメと京矢の呟きが響く。

対面のソファーにホルアド支部の支部長ロア・バワビスと遠藤浩介が座っており、彼のの正面にハジメと京矢が、そのハジメの横にユエとシアが座って、ティオがハジメの後ろに、ベルファストとエンタープライズは京矢の後ろに立っている。ミュウは、ハジメの膝の上だ。

 

浩介から事の次第を聞き終わった二人の第一声が先程の呟きだった。

魔人族の襲撃に遭い、勇者パーティーが窮地にあるというその話に浩介もロアも深刻な表情をしており、室内は重苦しい雰囲気で満たされていた。

特撮ヒーローという言葉はロアは理解出来ていないが、それだけに地球組には伝わっている。敵に地球人がいると。

 

「ダークゴーストに風魔か……」

 

「それって」

 

京矢が持っている仮面ライダーシリーズに出てくるダークライダーの名前だ。これでサーベラとソーサラーと名乗った女二人と合わせて四人もこの世界に地球人が、仮面ライダーの力を持って存在している事になる。

 

「しかも、連中の狙いは……バールクスか?」

 

間違いなく連中の狙いは京矢だ。シンのライドウォッチを当て馬のアナザーライダー付きで渡してきた事からもよく分かる。

 

…… 重苦しい雰囲気で満たされていた。のだが、ハジメの膝の上で幼女がモシャモシャと頬をリスのよう膨らませながらお菓子を頬張っているため、イマイチ深刻になりきれていなかった。

ミュウには、京矢達の話は少々難しかったようだが、それでも不穏な空気は感じ取っていたようで、不安そうにしているのを見かねてハジメがお菓子を与えておいたのだ。

 

「つぅか! 何なんだよ! その子! 何で、菓子食わしてんの!? 状況理解してんの!? みんな、死ぬかもしれないんだぞ!」

 

「ひぅ!? パパぁ!」

 

場の雰囲気を壊すようなミュウの存在に、ついに耐え切れなくなった浩介がビシッと指を差しながら怒声を上げる。

それに驚いてミュウが小さく悲鳴を上げながらハジメに抱きついた。

 

当然、ハジメから吹き出す人外レベルの殺気。パパは娘の敵を許さない。

 

「てめぇ……何、ミュウに八つ当たりしてんだ、ア゛ァ゛? 殺すぞ?」

 

「ひぅ!?」

 

「よーし、この建物の裏に行こうか? さっさと首を出せ」

 

「ヒイイイイ!?」

 

ミュウと同じような悲鳴を上げて浮かしていた腰を落とす浩介。

ユエから「……もう、すっかりパパ」とか「さっき、さり気なく〝家の子〟とか口走ってましたしね~」とか「果てさて、ご主人様はエリセンで子離れ出来るのかのぉ~」とか聞こえてくるが、ハジメは無視する。

挙げ句の果てに刀を持って立ち上がろうとする京矢の殺意に本気で命の危機を感じていた。

 

ソファーに倒れこみガクブルと震える浩介を尻目にミュウを宥めるハジメに、冷たい表情でギルドの裏に連れて行こうと画策する京矢に、ロアが呆れたような表情をしつつ、埒があかないと話に割り込んだ。

 

「さて、ハジメ、京矢。イルワからの手紙でお前の事は大体分かっている。随分と大暴れしたようだな?」

 

「まぁ、全部成り行きだけどな」

 

「大した手間でも無かったしな?」

 

成り行き程度の心構えで成し遂げられる事態では断じてなかった上に、大した手間でも無いと言えるレベルの事態でも無いのだが、事も無げな様子で肩をすくめる二人に、ロアは面白そうに唇の端を釣り上げた。

 

「手紙には、お前の〝金〟ランクへの昇格に対する賛同要請と、できる限り便宜を図ってやって欲しいという内容が書かれていた。一応、事の概要くらいは俺も掴んではいるんだがな……たった数人で六万近い魔物の殲滅、半日でフューレンに巣食う裏組織の壊滅……にわかには信じられんことばかりだが、イルワの奴が適当なことをわざわざ手紙まで寄越して伝えるとは思えん……もう、お前達が実は魔王だと言われても俺は不思議に思わんぞ」

 

ロアの言葉に、浩介が大きく目を見開いて驚愕をあらわにする。

京矢は兎も角、自力で【オルクス大迷宮】の深層から脱出したハジメの事を、それなりに強くなったのだろうとは思っていたが、それでも自分よりは弱いと考えていたのだ。

 

元々、遠藤が冒険者ギルドにいたのは、高ランク冒険者に光輝達の救援を手伝ってもらうためだった。

もちろん、深層まで連れて行くことは出来ないが、せめて転移陣の守護くらいは任せたかったのである。駐屯している騎士団員もいるにはいるが、彼等は王国への報告などやらなければならないことがあるし、何より、レベルが低すぎて精々三十層の転移陣を守護するのが精一杯だった。

七十層の転移陣を守護するには、せめて〝銀〟ランク以上の冒険者の力が必要だったのである。

 

そう考えて冒険者ギルドに飛び込んだ挙句、二階のフロアで自分達の現状を大暴露し、冒険者達に協力を要請したのだが、人間族の希望たる勇者が窮地である上に騎士団の精鋭は全滅、おまけに依頼内容は七十層で転移陣の警備というとんでもないもので、誰もが目を逸らし、同時に人間族はどうなるんだと不安が蔓延したのである。

 

そして、騒動に気がついたロアが、浩介の首根っこを掴んで奥の部屋に引きずり込み事情聴取をしているところで、二人のステータスプレートをもった受付嬢が駆け込んできたというわけだ。

 

そんなわけで、浩介は、自分がハジメの実力を過小評価していたことに気がつき、もしかすると京矢と同様に自分以上の実力を持っているのかもしれないと、過去のハジメと比べて驚愕しているのである。

 

浩介が驚きのあまり硬直している間も、ロアとハジメの話は進んでいく。

 

「バカ言わないでくれ……魔王だなんて、そこまで弱くないつもりだぞ?」

 

「魔王なんざ雑魚にしか見えねえな、デボネアと比べると」

 

「ふっ、魔王を雑魚扱いか? 随分な大言を吐くやつだ……だが、それが本当なら俺からの、冒険者ギルドホルアド支部長からの指名依頼を受けて欲しい」

 

「……勇者達の救出だな?」

 

浩介が、救出という言葉を聞いてハッと我を取り戻す。

そして、身を乗り出しながら、二人に捲し立てた。

 

「そ、そうだ! 南雲! 鳳凰寺! 一緒に助けに行こう! そんなに強いなら、きっとみんな助けられる!」

 

「……」

 

「……はぁ……」

 

見えてきた希望に瞳を輝かせる浩介だったが、二人の反応は芳しくない。

遠くを見て何かを考えていたり、頭を抱えているようだ。

浩介は、当然、二人が一緒に救出に向かうものだと考えていたので、即答しないことに困惑する。

 

「どうしたんだよ! 今、こうしている間にもアイツ等は死にかけているかもしれないんだぞ! 何を迷ってんだよ! 仲間だろ!」

 

「……仲間?」

 

「いや、あの阿呆な仲間なんて悍ましいこと言ってんじゃねえよ」

 

考え事のため逸らしていた視線を元に戻し、冷めた表情でヒートアップする遠藤を見つめ返した。

その瞳に宿る余りの冷たさに思わず身を引く浩介。先程の殺気を思い出し尻込みするが、それでも、貴重な戦力を逃すわけにはいかないので半ば意地で言葉を返す。

 

「あ、ああ。仲間だろ! なら、助けに行くのはとうぜ……」

 

「勝手に、お前等の仲間にするな。はっきり言うが、俺がお前等にもっている認識は唯の〝同郷〟の人間程度であって、それ以上でもそれ以下でもない。他人と何ら変わらない」

 

「なっ!? そんな……何を言って……」

 

「黙れよ、本気で殺すぞ」

 

京矢の殺気を受けた浩介はそのまま黙り込む。

京矢にしてみれば光輝の仲間などと言われるのは吐き気がするレベルだ。そんな役目をストッパー役として押し付けてしまっている雫には心底申し訳ないと思っているが。

 

「南雲、悪いがオレは八重樫を助けに行ってくる」

 

そう言って立ち上がる京矢に、唖然とする浩介。

雫に対する惚れた弱みだけでは無い。バールクスへの人質としているなら、殺される事は無いだろう。

精々、両手両足の腱を切られて戦えない様にされた後は、逆に丁重に治療と十分な生活環境を与えられる事だろう。無力な囚われのお姫様に変えられるだけで命は奪われる可能性はゼロに等しい。

 

光輝のストッパーなどと言う難題を押し付けてしまったのだから、手の届く範囲のピンチの時位は颯爽と助けようと考えた訳だ。

 

ハジメに巨大戦力を渡すとしたら?

  • 倒したのを頑張って修復キングジョー
  • 京矢からのレンタル、ヨクリューオー
  • グランドライナー
  • ダイボウケン

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。