ポケモンの世界に転生したけど、なぁにこれぇ   作:パルモン

7 / 9
ニンフィアの特性はフェアリースキン
イーブイはてきおうりょくです。

ちなみに現時点での二匹のレベルは、
イーブイLv.34
ニンフィアLv.38

ひたすらそこらへんにいるトレーナーとバトル『させられた』結果です。


温泉街に来た以上男にはどうしても譲れないものがある。それが例え自身の評価を下げることになろうとも、代々男たちはその危険な橋を渡ってきたのだ

 圧勝……そう、圧勝だった。

 

 あまりにも一方的にボコる展開だったため、こいつら本当にジムリーダーかと思うほどだった。いや、ジムリーダーは本気出せば強いことはエメナルドの殿堂入り後のジム再戦で思い知った。そう、彼らは言わば、程よくチャレンジャーに苦戦させて負けるという役割であり、ポケモンリーグに挑むに相応しいかを見極める立場であるのだ。当然力が足りなければ、ジムリーダーに勝てない。だが、俺たちには少々難易度が低すぎたようだった。

 相棒技を駆使するイーブイにレベルが38あるニンフィア。相性の悪さとか関係なしにゴリ押しで倒せてしまう。

 

 ちなみに先日のマリクと同じ部屋だった件、特に何も起きませんでした。

 

 ホウエン地方編

 第6話『温泉イベントと言えば、あれだろぉ?』

 

 

 

 

 俺は現在、3つのバッチを手に入れフエンタウンに向かうべくりゅうせいのたきに来ている。

 神秘的な雰囲気がこの場所は所謂鍾乳洞であり、ホウエン地方の観光スポットとしても有名である。

 

 しかし俺は周囲を警戒しながら慎重に進んでいた。野性のポケモンに出会わないようにとかそんな理由ではない。イーブイとニンフィアで十分対応できる。俺が警戒理由はただ一つ、ここはアクア団とマグマ団のイベントが発生する場所であるからだ。

 とはいえ、グラードンは海馬が持っているため実質本格的な活動をしているのはアクア団だけだと思っている。だってマグマ団頑張る意味ないじゃん。

 

「っ!二人共、ストップ」

 

 イーブイとニンフィアを制止して、息を潜めら。案の定アクア団とマグマ団がいるではないか。

 

 

 そして何故か海馬がいる。

 

 その海馬と話をしているのはマグマ団リーダーのマツブサだ。その隣で腕を組み、マツブサの話を不機嫌に聞いているのはアクア団リーダーのアオギリだ。

 

「海馬君、我々の計画には君の持つグラードンが必要なのだ。是非とも我々に協力してほしい」

「おいお前、こんな奴の話など聞く必要はない。世界に必要なのは海、恵の雨だ。干からびた大地をカイオーガの力を使い復活させ、水に困っている人々を救うのだ」

 

 この二人がやろうとしていることは別に悪いことではないのだ。それぞれのやり方で世界に救いの手を差し伸べようとしているのだから。しかし、問題はそのやり方だ。彼らは知らないのだ。伝説とも呼ばれるポケモンの力を、伝説と呼ばれる所以たるものを。

 

 しかし、海馬はそんな話に興味を持つはずもなく……

 

「貴様らの理想とやらに興味はない。俺は俺の戦いのロードを突き進むのみ!そしてそれを邪魔する者には容赦しない」

 

 どうやらゲームの本編は海馬がいる限りどうにでもなりそうなため、俺が首を突っ込む必要はなさそうだ。

 

 その後、海馬に勝負を挑んだマツブサがボコボコにされ、それを見たアクア団リーダーのアオギリが満足そうに去るという形になった。そして、計画を進めることが実質不可能になったマグマ団は姿を消したそうな。

 

 

 そんなことはさておき、えんとつやまを南に降り遂に俺はフエンタウンにやってきた。待ち遠しくかったぜぇ!何故こんなにもワクワクしてるかって?決まってるだろう!フエンタウンは温泉で有名な場所、さらに温泉内はなんと、『混浴』なのだ!いいか、『混浴』なんだよ!大事なことだから二回言ったぞ。

 

 まずは恒例、安定のポケセンにレッツゴー!

 

 タンタンッタラタン!

 

 部屋を借りて、荷物を下ろす。観光名所ということもあり部屋の大きさもなかなかだ。角の4箇所に二段ベッドが設置されており、カーテンで仕切っている構造だ。

 温泉が多数あることからポケセン内にいても微かな硫黄の匂いがし、早く温泉に入りたい衝動に駆られる。

 火山を降ってきたこともあり、汗ばんだ肌をスッキリさせたいのもあるが、俺がこのフエン温泉に一目置いているのにはもう一つの理由がある。

 

 それが、混浴だ。

 

 定番のイベントだよなぁ?そしてここは日本じゃない異世界。だったらイモる必要なんてない。己の欲望に忠実にいこうじゃないか。

 

 ポケセン内から露天風呂に行けるため、足早に更衣室に向かい颯爽と着替える。当然混浴なため俺の下半身にはタオルが巻かれている。

 

「げへへへへ、さぁショータイムだ」

 

(ユウキがとんでもなくヤバイ顔してる……)

「フィ……」

 

 下心丸出しのユウキに2匹とも呆れ顔である。

 そんなことは御構い無しにユウキはズカズカと木で作られた道を進みモクモクと湯気を立てていい感じに視界が悪い温泉に着く。側方にある体を流すため、樽に入ったお湯を頭から豪快に被る。その水しぶきを受けるイーブイはしかめ面をつるが本人は妙に興奮した様子で気付いていない。

 

 全身を流した後、イーブイとニンフィアにもお湯をかけ、待望の温泉へと足を踏み入れる。程よい熱さに感動を抑えながらユウキは温泉内を目を細めて見渡す。

 

「ふふ……」

 

 不敵な笑みを浮かべるユウキの先には数人の女性の姿が——

 

「BBAっ!!」

 

 温泉内にいる女性は全員老婆だった。

 

「誰がババァじゃ!このクソガキャア!ぶっ殺したろか!?」

 

「すいまっせぇぇえんん!!」

 

 ユウキはそれは見事な土下座を披露しました。

 

「ィブゥゥゥ」

「フィァァア」

 

 2匹は気持ち良さそうに温泉に浸かっている。

 

「うっ……グスッ……俺の……ロマンがぁ……」

 

 一方でユウキは、泣いていた。

 

 土下座の後、老婆方は全員温泉を出て行ってしまい、一人と二匹の貸切状態になっている。

 イーブイとニンフィアはどこからかユウキが持ってきた浮き輪を身につけているため沈むことはない。

 

 チャポッ

 

「はっ……!」

 

 その音は誰かがこの温泉に入ったことを知らせるものだった。一瞬の期待をするが、先程のBBAたちのこともありすぐに肩を下げるユウキ。

 

「…………」

 

 しかし、無言で入ってきたその人を見た瞬間、ユウキは全身の血液が急速に頭に登るような、血の巡りが急行したかのように顔を赤くし、消えかけた期待は確かなものになる。

 

 綺麗な赤髪は肩にかかるか、かからないかぐらいの長さ。なだらかな撫で肩に均整のとれた手足。体に巻かれた白いバスタオルから垣間見える艶のある白い肌はまさに妖艶。

 

 ゴクリと、喉を鳴らし息を潜める。しかし、堂々と両膝を石垣に乗せ、偉そうな上役のような体勢でその女性を凝視する。

 

「……!」

 

 その女性はこちらをに気付くと少し驚いたような表情を見せる。しかし、声を上げることがない様子はここが混浴だと知っているからの態度だろう。

 よくわかってるじゃないとユウキは内心感心しつつ、その艶やかな身体を撫でるように見る。今のユウキは、ただの変態……いや、前世のスケベな性格がそのまま出ている。

 

 ユウキは満足げに口角をニヤつかせていると、湯気が風に乗せられ女性の全体像がハッキリと見えた。

 その瞬間、ユウキの全身の血の気が引いた。ユウキは勘違いしていたのだ。その女性が大人の女性であると。

 湯気ではっきりと見えていなかったこともあるが、その子はどう見ても自分より年下の少女だった。

 

 よりによってユウキは歳下の少女に下心丸出しの目線を送っていたのだ。当然その視線に相手も気付いている。ユウキは温泉に浸かっているにも関わらず、全身に寒気が走り背筋が震える。

 前世ならこの行為はセクハラと呼ばれ通報されてもおかしくない状況だ。そしてポケモンの世界にも警察はいる。もうユウキに逃げ道はないのだ。

 

「…………」

 

 少女は未だに沈黙を守ってこちらを見ている。その表情は今彼女が何を考えているのかわからない、ただこちらを見ているのだ。

 

 ヤバイ、何かしらアクションを起こさなければ。

 

「ど、どうも」

 

 変な上ずった声がなんとも情けないと自負しつつ、この場を乗り切る方法を全力で考える。

 ふと、目線をずらすと少女の横でこちらの修羅場に気付かず呑気にここから見えるフエンタウンを眺めている二匹が目に入った。

 

(こんちくしょぉぉ!何二人で黄昏てんだ……!いや、待てよ……そうだ!)

 

 ふと思いついた作戦。というよりただ開き直ったと言える。そう、ここでたどたどしくしている方が余計に危険なのだ。ならば、堂々とここから立ち去ればいいのだ。

 

 ザパァッと勢いよく立ち上がると少女はビクッと怯える。ユウキは御構い無しにイーブイとニンフィアの方に向かう。

 

「さて、イーブイ、ニンフィア。そろそろ上がるか」

(え?もう?)

「フィア?」

 

 目を丸くする二匹を抱き抱えて石段に向かう。

 

「あ、あのっ!」

 

 ピタリとユウキの動きが止まる。

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

 緊張から思うように発言できない。

 

「えっと……その……」

 

 モジモジとこちらを上目遣いで見る少女、あれ?ヤバイ、破壊力ヤバイ!

 

 ユウキが何かに目覚めかけていると意を決した少女は勢いよく頭を下げた。

 

「ごめんなさいっ!!」

 

「…………はっ?」

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

「ま、まさか……お前、ラティアスなのかっ!?」

 

 場所は変わって再びえんとつやま登山道。話があるとここに来た時は鉄拳制裁でもされるのかと緊張していたが、人気のない場所に来ると、少女は自身の正体を晒した。

 少女は光のベールに包まれた後、なんとラティアスの姿になっていたのだ。

 

「私、ずっとあなた方を追いかけていたのです」

 

 そして普通に喋っている。

 

「イーブイと同じテレパシーならとにかく、人間の言葉を話せるなんてな」

 

「……驚かないのですか?」

 

「いや、だってもうイーブイに慣れてるしな」

 

 それに昔、ポケモンのアニメだとニャースが必死に人間の言葉を勉強して話せるようになってたしな。要はポケモンだってその気になれば人間の言葉を使えるというわけだ。

 

「まあ、とにかくさ。さっきお前、俺に謝ってきただろ?別に俺たちについて来たことに怒ったりなんてしないぜ?」

 

 ラティアスは首を横に振り、申し訳なさそうに口を開いた。

 

「あなた方のきのみを奪ったのは私なんです……」

 

「フィアッ!?」

 

 ニンフィアは犯人が目の前にいることに驚き、ユウキを見上げる。しかし、まあまあとユウキに抱き抱えられることで落ち着いた。

 

「なるほどね……でもなんで奪ったんだ?」

 

「それは——」

 

 と、ラティアスが言いかけた時、『グゥー』と盛大な音を立ててラティアスのお腹が鳴った。

 

「はははっ!なんだお腹空いてたのか。その様子だと楽に食べれてないんだろ?ほら」

 

 そう言ってユウキはバックから袋を取り出す。その中には様々なきのみがたくさん入っている。

 

「で、でも……」

 

「いいんだよ。腹、減ってるんだろ?」

 

 きのみを受け取ったラティアスはパァっと笑顔になりオレンのみを頬張っる。

 

「……うっ……うっ……」

「お、おい……」

 

 オレンのみを頬張ったままラティアスは泣き出してしまった。もしかして、オレンのみが傷んでしまっていたのだろうかと心配するユウキにラティアスは首を横に振る。

 

「こんなに優しくしてもらったの……初めてで……」

 

 その後、落ち着いたラティアスは自身の話をしてくれた。もともと、ラティアスと言えば兄弟であるラティオスがいる。しかし、不慮の事故で兄のラティオスを失くしてしまったラティアスは一人彷徨っていた。

 ラティアスが人間の言葉を話せるのは、兄であるラティオスも人間の言葉を話せたからだと言う。何故、ラティオスが人間の言葉を話せたかはわからないままになってしまったが、兄は人間のことがかなり気に入ってしたそうで、その影響かもしれない。

 

 独りになったラティアスはホウエン地方を巡り、食べ物を恵んで貰おうと偶に人の前に現れたそうだ。しかし、人の言葉を使うラティアスに人々は奇妙に思い、誰も近寄らなくなってしまったそうだ。

 

「そんなある日、あなたとイーブイを見かけたのです」

 

 ラティアスはその少年を見た時、とても驚いたそうだ。ポケモンの言葉を理解し、イーブイと意思疎通ができるユウキにラティアスは心惹かれた。彼ならば、こんな自分でも接してくれるかもしれないと。しかし、ラティアス自身、人間に対しての信用が無くなりかけていたこともあり、しばらく観察していたそうだ。

 

 そしてわかったこと。それはユウキがポケモンに対してあまりにも優しすぎることだった。ポケモントレーナーは野生のポケモンとバトルをして自身のもつポケモンのレベル上げをすることが基本であり、それ自体は別に悪いことではない。

 しかし、倒したポケモンを放置している者がほとんどあるのだ。それに対してユウキは野生のポケモンとバトルした後、戦った野生のポケモンのケアをし、戦ってくれてありがとうときのみをあげていたのだ。

 

 そんなユウキの優しさに甘え、ラティアスは空腹に耐え切れず、彼からきのみを奪ったのだ。きっと許してくれるだろうと。

 結果、後悔と罪悪感、そして彼に謝りたいとこうして彼の前に現れたのだった。

 

「……本当にごめんなさい。なんでも言うことを聞きます。どんなことでも受け入れる覚悟です」

 

 下を向くラティアスの表情は見えないが、震えている様子からきっと自分にはそれ相応の罰が下されるのであろうと怯えているのがわかる。

 

(どうするの?ユウキ)

「フィア……」

 

 二匹が心配そうにこちらを見る。

 

「……よし、わかった」

 

 ユウキはバックからあるものを取り出す。

 それにラティアスはビクッと震えるがそれを見た瞬間目を丸くした。

 

「もし良かったら、俺と一緒に旅をしないか?」

 

 そう言ってユウキが差し出したのはモンスターボールだった。

 

「い、いいんですか……?私なんかで……?」

 

「幻のポケモン、むげんポケモンのラティアス。旅のお供には最適じゃないか。それにさ、俺、ポケモンに乗って空飛ぶの好きなんだ」

 

 母さんのチルタリスに乗って空を駆けた時のあの感動は忘れもしない。

 

 ラティアスはクシャクシャな笑顔で頷くとモンスターボールにコツンと頭を当てる。赤いオーラと共にモンスターボールの中に吸い込まれ、手のひらの上でウインウインと音を立てる。そして——

 

 カチン

 

 捕獲完了の音がなり、たった今ラティアスが仲間になったのだ。

 

「うぉおお!ラティアス、ゲットだぜ!」

「ブイブーイ!」

「フィアーっ!」

 

 幻のポケモン、ラティアス。ユウキはそんなポケモンが今自分の仲間になったことに震え、鳴り止まぬ鼓動と嬉しさで申請するつもりだったジム戦をすっかり忘れましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ニンフィアだけ話せない?それはどうか許して下さい。
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