大洗の10両目は上にあり?
艦底まで探し9両揃えた大洗だが、最後の戦力は上にあると思われる。なので、校舎の屋上という場所をだしたが、艦橋等の高い場所にあると思われる。そして、ソ連製かイギリス製のどちらかを押したい。ネタ枠と戦力を兼ね合わせるなら、英国面を代表してチャレンジャー巡行戦車かTOG2。純粋な戦力の場合は、ISかKV3等のソ連製重戦車の可能性も(だが、本作では少しネタに走った感じがある)。搭乗員は王大河が有力候補。
配役表
KV1S アンコウ(愛里寿・沙織・華・優花里・麻子)
ヘッツアー 生徒会チーム
チヌ バレー部
三突 歴女
4号D型 ネトゲ
M3 1年生
「早速だが来週練習試合を行うこととなった。相手は竪琴高校だ」
・・・?どこ?という空気が場を支配する。生徒会室に集められた各車長たちだ。隊長に就任した愛里寿も聞いたことがないとか呟くぐらいだ。戦車道も始まったばかりだろうと思われた。だが、
「この高校は、近年まで聖グロリアーナの系列であったことを鑑みてもイギリス戦車を使うものと思われる」
この試合も聖グロリアーナから持ち掛けられたと話す広報の河嶋桃。自身満々で話すのはいつものことなのだが、実際に出てきたのは、九五式であった。ただの勘違いであった。そして二戦目。
「こんな言葉を知っている?やられたらやり返す。お前らが後悔するまでな」
「知りませんよ、そんな言葉」
チャーチルを守るために撃破されたマチルダが4両転がっていた。こんな大胆な戦略を披露されると思ってもいなかった。守っていたはずのマチルダが邪魔で思い通りに動けずにいたからだ。
「おやりになりますわね」
「これまでにないデータですね」
砲撃音が頭上に響く。最小の動きで躱してはいるが、天板を抜かれるまでにそう時間がかからないだろうことはペコの目にも明白であった。どうしてこうなったのだろう。と、ペコは思い返した。
「随分と個性的な戦車ですわね」
「私もそう思う」
ダージリンの言に愛里寿もうなずく。愛里寿だって一言いってはいるのだ。迷彩の有用性を知らないガ〇ダム世代め!!と。別にガン〇ムが悪い訳ではない。ではないのだが、ぱっと頭に浮かぶほどの人気を博しているということだ。金色のヘッツアー。ピンクのM3。三突は赤を押し出しており、主砲は新選組の隊旗になっており、旗が4本掲げられている。チヌはバレーボール模様が入っていた。KV1Sがそのままであった。
「ですが、プラウダや、サンダースのような下品な戦いはしませんわ」
そうして、試合が開始された。審判は聖グロの試合に出ない一年生から選出していた。審判長がニルギリ。副審判がシッキム・セイロンである。
「試合開始だ。作戦通り頼む」
そしてまずやったことは、車両の入れ替えだった。KV1Sから、4号D型に乗り聖グロを迎えに行くことである。
「ダージリン。囮に付き合う必要はないと思うのだけれど」
「それもそうですけど。あんな策じゃあ我々は負けませんのよ。それに、8割以上で囮作戦を使うといったのは貴女よ、アッサム」
「そう言いましたが、データ上にはないモノがあります」
島田流の跡取りなんですから、と締めくくるアッサム様。確かに、だ。あの島田流の人間が安直な囮作戦を仕掛けるとは言い難い。と私は思った。こんな見え見えの作戦ならローズヒップさんの突拍子も無い作戦のほうが100倍増しだろう、とも考えた。
「ルクリリ周囲を確認して、大洗の車両は」
「周囲敵影なし。4号のみ」
…。4号以外の敵はいないようだ。なら?普通の囮作戦なのか?指揮と作戦立案は別々であることもあるが、絶対に違う。普通の囮なのだろうか。考えが分からない。と私の思考が袋小路に囚われそうになった時だった。
「高低差を利用しての撃滅狙いね。この先の地形を見れば分かるわ」
「その可能性は97%ですね。細かい指示をだしても到底こなせるような練度でもないでしょうしね」
ダージリン様もアッサム様も納得のようだ。先ほどまで何を言っていたんだろうと思うくらいチョロい結論だ。頭が痛くなる。頭を抱えようとした時だった。
「ペコ、お替り」
私はお替りじゃないとの言葉を飲み込みカップに暖かい紅茶を入れる。広場までもう少しだ。
「ペコこんな言葉を知っている?やられたらやり返す私の気のすむまでね」
「知りませんよ、誰も」
ドリフトをするように広場へ入っていった4号戦車。それを追う我々。すると、3発の発砲。高低差を利用する策であった。半分正解で半分は外れていた。上と後方からの挟撃だった。三突・ヘッツアー・M3が上から砲撃し、その間に4号戦車が後方へと回り視界から消える。
「ローズヒップ、行きなさい」
「はい、でございますわーーー」
元気いっぱいの声を残し、消えていくクルセイダー。そして直ぐに戻ってきた。見つけられなかったのだろうか?
「乗員の交代中でしたので戻ってきましたわーー」
とのこと。砲手のプアールさんに詳しく聞き出しました。4号とKV1Sの乗員を交代中で、こちらが主砲をぶっぱなす3秒前にチヌからの砲撃を華麗にかわし戻ってきましたとのこと。私はクルセイダーは好きですけど、クルセイダー乗りは嫌いなんです。分かりますか?ローズヒップさんの厄介さを。あそういえば、言ってませんでしたね。私オレンジペコは装填手兼通信手でもあるのです。
「ペコ、無線機をこちらに。全車前進。挟撃される前に上を叩きますわ」
「フフッ。さぁペコ。お仕事の時間よ」
「…。そうですね」
無線機を捕られました。アッサム様に笑われたペコです。装填手用の皮手袋の感触を確かめながら、返事を返す。装甲を通して聞こえるローズヒップさんの声にうんざりしながら。ですが、歩兵支援戦車が多く、乗員の交代を終えた大洗の3両の砲撃で履帯を壊された車両が出たため(チャーチルⅦと、ルクリリさんの乗るマチルダⅡですが)、その場で交戦することになりました。ですが、
「あの亀の子みたいな戦車よく避けるね」
「あれはクルセイダー巡行戦車。機動力でいえば、KV1Sとほぼ互角ですから」
「へぇー。そんなに早いんだ」
沙織の言う通り撃破された車両を盾にしたりしつつ、こちらの砲撃を躱していた。チャーチルは数発被弾しているが、撃破されないでいた。私の建てた戦略にはクルセイダーは含まれていないが、別行動をとらないでいる分楽をしている。逃げ回られたら大変である。こちらより機動力があり、そこそこの火力。そして経験もある。こちらは機動力に劣り、経験もない素人集団。だから、見え見えの囮を使い、敵を一纏めにした。そして、結果は御覧の通りである。
「状況終了」
よし。勝てた。これでお兄ちゃんに褒めてもらえる。聖グロとの挨拶もそこそこに待ち合わせ場所に急ぐ。会長たちがなにか貰っていたけど今はどうでもいい。待ち合わせ場所は大洗駅近くの喫茶店だ。店に入ると、お兄ちゃんの他にもう一人いた。
「君華お姉ちゃん」
「久しぶりだね愛里寿。元気だったかい?」
継と書かれたジャージに良くわからない楽器を持っていたが君華お姉ちゃんだ。実際には翔平お兄ちゃんの姉で、島田流と親交のある、無幻流の跡取りである結城君華だ。この二人はある時期から愛里寿と一緒に過ごしていた。まぁ大好きなお兄ちゃんだが、姉のほうは、直ぐに中学に上がりそれからほとんど会っていないのだが、どういう訳だろうか?
「私が必要無くなったから君たちにと思ってね。この鍵と住所の場所にあるから必要なら行ってごらん」
「大洗ですか。戦車道を再開しましたのね」
「それで練習試合の申し込みなのですが」
「えぇ。受けた勝負は逃げはしませんわ」
「では」
「私たちの代わりをご紹介しますわ」
「え?」
「今は少しばかり都合が悪いのですわ。ですから、代わりに竪琴高校をご紹介しますの」
とかそんな会話が交わされたかは定かではないが、竪琴高校と試合することになった。