観客席に向かうには、この屋台通りを進んだ方が近いらしい。らしいのだが、まだ人込みがソレなりにあった。戦車道人気が下火とか聞くがそれが嘘だと断言できるくらいには人がいた。それが、モーゼみたいに割れたら反応出来ないよね。
「おっーーーほっほ」
「こらー、待ちなさいー」
「は?」
ゴンッ。食い逃げ犯と思われる似非お嬢様言葉の女の子とそれを追っていたのは、オレンジ色の髪をした背の低い女の子だった。
「いったいじゃん!」
「確か大洗の」
「無視か!」
っという訳で、聖グロのお嬢様達と一緒に観戦することになりました。同級生のオレンジペコ。そして、一つ上のギャルという金髪の変わり者だ。何でも、スパイ機関GI6に所属しており、ポジションは通信手だとか言っていたがスパイ機関というものが嘘くさい。お嬢様ジョークだろう。
「では、おすすめをお願いします」
「今日のおすすめは、ウバのミルクティーですね」
「それで大丈夫です」
「あれ?ペコちゃん?私には何も聞かないのかな?」
そう。聖グロリアーナの観戦席にいたのだ。同級生のオレンジペコ。一つ上のギャルという両手に華の状態だ。何でもギャルという茶葉あるらしい。聖グロリアーナは紅茶の名前や、等級といった紅茶にちなんだ名前を幹部に送る風習があるようだ。そして、ギャルという名の茶葉があることを初めて知った。
「おっ。サンキューってこれ、ホットミルクじゃん!」
「…。忘れてましたね」
「ウバを忘れるなんてドジっ子ねってそんな訳無いでしょって聞いてないし」
「はい。こちらが本日のおすすめのウバのミルクティーです」
「ありがとうございます」
見事な突込みを華麗にスルーして、僕の前にティーカップを置くペコちゃん。そして、心持ち僕に席を近づけ座った。彼女もミルクティーを飲むようだ。ティーカップを見、ペコちゃんを見る。ニコっと笑った。そしてギャルさんを見る。わなわなと震えていた。やっぱり仲が悪かったのかなと思っていたら、
「ペコの初恋!決定的瞬間‼」
「違いますけどっ」
やはり、どこから取り出したのか分からない程長い金属バットを取り出しフルスイング。顔面を強襲‼頭蓋骨が折れるような音と共に倒れるのを気にせず一言。
「初恋は終わってますから、気にしないで下さいね」
ただただ頷いた。怖い。あれを見るのは二度目だが、彼女には逆らわないでおこうと決意した。あと、試合が始まっていた。恐怖を気にせず見よう。なんとか集中して。
チヌ・四号D型・三突の小隊と、フラッグ車のヘッツアー・隊長車のKV1s・随伴のM3リーの小隊。二手に分かれて市街地を進む。後方を取られない限り撃破されないとは言われたが、初めての実戦となる私たちは不安だった。
「キャプテン。今からでも」
「弱気になるな佐々木。バレー部復活の時を待つんだ」
「さぁガンガン進むぞ」
違うと思うと、操縦手の河西は思った。先頭に位置するチヌがにょっきっと曲がった交差点。ガツンという鈍い音。敵車両からの砲撃だった。続けざまに打ち込まれる砲弾。そして、想定外の敵の数合計9両だった。
「フォーメーションA」
当初の予定では、持久戦に持ち込み、敵を釘付けにすることだった。だが、敵戦力の予想は5両程度であり犠牲覚悟の攻撃ではこちらの背側面や履帯を狙ってくるだろう、との予測はかなり成り立つ。では、その対策のフォーメーションとは?三突を中央に置き、右に4号。左にチヌ。つまり、
「「「師匠譲りのバミューダアタック」」」
ミミミSSひぃすとりー
「ねぇ、アズミあれ、どう思う?」
「ルミが思ってることと同じだと思う」
「「絶対素人じゃねぇ!!」」
「でも、指導しないとね」
「メグミは真面目ねぇ」
「そうそう。あんな回避する素人いないよ?」
「じゃあ私が大学選抜の隊長ってことで」
「「それは、ダメ!!」」
「最終試練なんだよ?ここで手を抜けないよ」
「まずは、お嬢様に会わないとね」
「そうだったわね。どの戦車に乗っているのかしら」
「KV1sって聞いてるけど。あの軽薄そうな茶髪じゃないわよね?」
「人見知りって聞いたけど、茶髪とはいわれてないわよ」
「「「じゃあどこに???」」」
その頃 校門にて
「まだ来ない…」