運命の眷属   作:正直者ライアー

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オラリオ

そびえ立つ白亜の巨塔。飛び交う賑やかな声。森の中で暮らしていた時にはなかったものがそこには有る。ハールはただ驚くままにその光景を見つめた。そんなハールの肩をウルドが叩く。

 

「行くわよ。取り敢えず本拠になる建物を買うか建てるかするまでの宿を探すわよ。出来るだけ安くて長く泊まっても大丈夫そうなところね」

 

 みんなで頷いて重い鞄を背負いながら歩き出した。自給自足の生活をしていた森の家にいてお金を使うことは殆ど無い。そして行商の人に作物や編んだ服を売ったりするとお金は貯まっていく。結果的にファミリアの本拠の土地を買って、建築してもらえる程の金額を持っていた。だから盗まれないようにする為大きな鞄の中身がお金だとは気づかれないようにして歩く。すると後ろから喧しい声が聞こえてきた。

 

「その背中はー、、ウルドたん!!」

 

後ろから駆けてくる赤い髪の女性。そして女性はウルドに思い切り飛びついた、と思ったらウルドは見事に女性を躱し、女性は地面に顔をくっつけピクピクと痙攣している。

 

「、、、大丈夫ですか?」

 

半ば引きながら手を差し出す。女性はそれにしがみついて身体を起こした。

 

「もーウルドたんのいけずー。ってのは冗談や。久しぶり。ウルドたんにヴェルたん、スクルドたん」

 

「ええ久しぶりね」

 

ウルドがロキから差し出された手を握って上下に振る。

 

「ハール。これは私達の神友のロキ。オラリオで最強ファミリアの一つの主神よ。ロキ。この子は私達の弟で眷属のハール」

 

ウルドがそれぞれを紹介し合い、ハールとロキは握手をした。

 

「眷属っつうことはついにノルン・ファミリア結成か。ええなぁ。おめでと」

 

「ありがとう」

 

立ち話はなんだからとおすすめの酒場へと案内された。

 

 

 

 

 

 ロキに案内されて一行は豊饒の女主人なる酒場へと入った。夜は沢山の冒険者が利用する酒場、昼間は食堂として人気のその酒場の特徴はボリュームのある食べ物と従業員の全てが女性だということ。これは冒険者、特に男性冒険者から利益が出るわけだと納得しながら席についた。

 

「ノルン・ファミリア結成おめでとう!乾杯!」

 

スクルドの音頭に合わせてビールジャッキをぶつけ合う。

 

「、、、ロキの眷属は?」

 

「今遠征中や。あー。早く帰って来んかなぁ」

 

慈愛に満ちた表情。それはまるで母のようだった。

 

「天界にいた頃のロキが今の貴方をみると驚くんじゃないかしら」

 

「そんなに変わったか?」

 

「ええ。変わったわよ」

 

ウルドはロキに向かって優しく微笑んだ。その姿も母のように見える。当たり前といえば当たり前だ。ロキもウルドも眷属を家族として大切にしているから。

 

「そう言えば宿とホームを建てる土地と大工を探してんよな?」

 

「ええ。そうね」

 

「土地はギルドに行って良いところ選んで買ったらウチんとこ来ぃ。ウチから建築をゴブニュんとこに頼んでやるわ。で、宿についてやけどウチの知り合いがやってる宿があってな、そこに入るときにウチの名前とこの紙を出しとき。少し安くなるはずや」

 

そしてロキはポケットから出した適当な羊皮紙にペンでサインを書いて渡した。四人は喜び、それぞれお礼を言った。

 そして昼間だというのに沢山飲んだあと、ハールは酔い潰れたヴェルダンディを、ウルドはスクルドを背負いつつ紹介された宿へと入る。木造のいかにも歴史のありそうな年季の入った宿。経営している人のいい老人にロキのサインを出して鍵を貰い、部屋を開けた。古びているものの綺麗でそこそこ広い。ベッドなどは丁寧に手入れをされている。荷物を一通り起き、旅の汗を流すためにシャワーを浴びるとウルドは酔い潰れて眠る二人を叩いて起こした。

 

「二人とも起きなさい。ほら、恩恵刻むわよ」

 

酒を飲んだらいつも目覚めの悪い二人だが恩恵と聞くと直ぐに飛び起きた。

 

「普通なら一人の主神だけど私達は三人で一人の主神なんだよね?どうやって恩恵刻むの?」

 

スクルドが不思議そうに首を傾げてそういう。

 

「、、、誰が刻んでもいい。更新するときもそう。だから誰か一人が刻めばいい。けど全員が恩恵を刻む様子を見ていないといけない、、らしい」

 

博識なヴェルダンディの説明に皆が納得したように頷く。

 

「じゃあステイタス更新はかわりばんこでいこうよ!今日はウルドでいいよね、ヴェル?」

 

「うん。私はお酒で目が回ってるから手元が狂いそうだからウルドでいいよ」

 

ハールは既に上着を脱いでベッドにうつ伏せになっている。そしてウルドは顔を赤くしながらハールの背に乗った。

 

「流石に毎日鍛えていればこうなるわよね」

 

バキバキの筋肉がついた背中を眺めたウルドはそういう。そして、人差し指を針で刺した。白い指から流れる血。それをハールの背中に落とす。赤い血はハールの背中に落ちると沢山の神聖文字を刻み赤く光った。ウルドはそれを羊皮紙に写す。

 

「成功したわ。これがハールのステータスよ」

 

羊皮紙を皆で囲む。

 

 

 

 ハール・ノルン・レガリア

 

Lv1

 

力:I 0

耐久:I 0

器用:I 0

俊敏:I 0

魔力:I 0

 

魔法

 

スキル

【憤怒】

大罪なり。留意せよ

 

 

 

レベル1でステイタスは全てIの0。魔法はなし。しかし、妙なスキルが一つ。憤怒、説明文の大罪とは七つの大罪のことについて示しているのだろうか。特に効果はないようで留意せよとしか書いていない。四人して首を傾げる。

 

「まぁこれで晴れてハールも冒険者だね!」

 

「、、、おめでとう。一杯稼いでね」

 

「鬼だな」

 

どっと起こる笑い。そんな中ハールの脳内を憤怒という文字がぐるぐるとループしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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