ナルトの世界に転生したと思ったら、なぜか生まれたのは水の国でした。   作:八匙鴉

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 「シキ様~、深すぎます。掘りすぎですよ~!」

 

 村人達の朝は早い。鶏の(いなな)く頃には目が覚めて、みんな仕事に精を出す。

 

 「あれ? ごめんごめん、ちょっと間違えたかな――――これでどう?」

 「あ~それなら良い感じです。丁度良いですよ~」

 「了解」

 

 そんな鶏がコケコケ鳴いてる横で、家事に準ずる村人たちを横目に私は外を歩いていた。

 今日は自分だけじゃなく手の空いている者たち数名を伴っての行動だ。

 村の中でも比較的平地で開けた場所を選んで、見つけた場所に私はいま土遁で大穴を開けている、そんな最中。

 

 「しっかし、固い地面だね~。これなら液状化の心配は要らないのかな?」

 

 足下の岩盤を足でコツコツやっていたら、寄ってきた青年が二人声をかけてきた。

 

 「シキ様。ここに水を溜めるんですか?」

 「うん、そのつもり。外の滝壺まで歩いてくのは大変だからね。近くに池がある方が良いでしょ?」

 「ありがとうございます。俺らじゃこんなこと絶対に出来ないですから、シキ様が居てくれて本当に助かりますよ」

 「まあ折角力が使えるんだから有効活用しないとね。これで単純に皆の労働力が減らせると思えば軽いもんでしょ」

 

 そう。単純に考えて水の確保は土壌とともに優先的にしなければいけないことだった。ただ村には最低限地下水を汲める井戸があったし、今まではそれだけで事足りていたから先送りにしていたのだけのこと。

 だけど最近、土壌の改善と共に打ち出した策。

 今ある村の畑を大々的に拡大し、世話や管理を村人全員で共同してやっていくことで、個人の負担を減らし尚且つ収穫量を上げるという策を提案した時、村の井戸だけでは水不足に陥ることは明白だった。

 

 「ねえ、本当にここには地下水脈が通ってるの?」

 「ええ。この村の下には豊富な水脈が眠っています。ですからどこを掘っても安定して水が出ますよ」

 「へえ~。流石水の国なだけあるのかな」

 「ただ水脈の上には恐ろしく固い岩盤の層があって…そう簡単には掘り進めないんです」

 

 眉を下げて困り顔の青年が言う。

 

 「それは多分大丈夫」

 

 私は袖を上げて地面に手を着くと、堀の中心に管のような細長い穴を穿つ要領で地面を掘り進めていく。

 土からの抵抗はない。手伝いを買ってくれた住人たちも、その様子を静かに見つめていた。

 やがていくらか掘り進めて、彼の言った通り何か固いものに当たった感触に出会った。多分これが言っていた岩盤なんだろうと予想して力を込める。すぐに手のひらに固いものを貫いた感触が伝わった。

 

 「離れて!」

 

 地面から手を離し、隣で穴を覗き込んでいた青年の腕を後ろに引っ張り倒すと、直後に猛飛沫を上げて水柱が穴から吹き出した。 

 滝のような水の粒が頭の上から落ちてくる。

 

 「す、すげえ! あっという間に水が湧いた――!」

 「おおお、水じゃ、水が湧いたわい…!」

 「流石シキ様だ!」

 

 みんな思い思いに水を喜びはしゃいでいた。

 池から上がって濡れた服を絞る私の頭の中は、すでに次にやる他の事で一杯だったが、取りあえず今はこの光景を目に焼き付けることにしておいた。

 いずれこの時のことが良い思い出になるような。そんな気がして。

 

 やがて水飛沫の勢いも落ち着いて充分に溜め池に水が溜まった頃、時を見計らって私は手伝ってくれた人達にお礼を言うとその場を離れた。

 

 懸念した水は確保したのだ。なら次だろう。

 

 一人村の外に出て、よく村人達が利用する森にやって来た。

 目当ては秋のうちに木々達が落とした落ち葉だった。

 

 「農業に携わった事なんて無いから詳しいことは分からないけど、簡単に土を元気にするなら昔から肥料が一番だって言うしね」

 

 その肥料作りに、落ち葉を集めにきた次第である。

 先んじて巨大化させた畑は、溜め池に隣接した場所で作ってあった。後はそこの土に細かく砕いた落ち葉を

交ぜて腐葉土とさせるだけだ。

 

 「あ……でもこの落ち葉どうやって持って帰ろう」

 

 気が急いて入れ物を持ってくるという根本的な事を忘れていた私だった。

  

 結局荒っぽくなったが、風で集めた落ち葉を風で巻き上げて畑まで持って帰るという荒療治にでた。

 もちろんそんな光景を目にした人達は、何をしてるんだと慌てていたけど、畑作りに必要なんですと私が言えば、一応納得はしてもらえたようだ。

 

 だけどこれ、端から見ればかなり奇妙な光景に見えていたそうで。

 

 小さな幼女が一人、巨大なつむじ風を頭上に抱えて歩いていれば、それは確かに妙だろう。

 次からは自分達にも手伝いに声をかけるようにと厳命されてしまった。

 

 ……正直、自分がやりたくて勝手にしてしまっていることだから、あんまり他人に手間をかけさせるようなまねは嫌なんだけどね。

 でも言われてしまったこと次第は仕方がないから、次からはちゃんと報告しよう。――手伝わせるかどうかは別として。

 みんなニコニコと笑って私の言うことを聞いてくれる。その優しさに答える為にも。

 

……

 

 そして村の池作りが終わり。畑作りにも着手し始めて数ヵ月が過ぎる。

 ようやく寒かった冬が終わって、村には暖かい日差しの届く春がやってこようとしていた。

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