ナルトの世界に転生したと思ったら、なぜか生まれたのは水の国でした。   作:八匙鴉

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誤字の報告ありがとうございます。

いまだ機能の操作に不慣れで申し訳ありませんが、
なるべく優しく見守ってくださると幸いですm(__)m

今回の話から展開を変えようと思っています。
公開より後に章の変更が有りますのでご了解下さい。


私は村娘であって忍者ではないんですが、何故皆さん頼りにされるのでしょうか?

 風神シキとして生まれて物心つき、前世の記憶が甦ってから着々と村の開拓を手伝って結構過ぎたと思う。最近は栄養不足で細かった手足も年相応に太くなり、ちょっと動いただけで息が切れるようなそんな状態にはならなくなった。

 自分でもこの体のひ弱さにはてんで参っていたから、それだけでも丁度良いと安心していたのだけど。

 自分が元気になるということは当然一緒に暮らす母も一緒に元気になっていくということだったらしく。それはそれで全然良いことなのだけど、それに伴い母が家の外を出歩く事が増えたように思えた。

 まあ今までろくに歩けなかったのだから、外に出られる事が嬉しいのは分かる。でもまた倒れてやしないかと心配になるから出来るなら控えて欲しいと思うのは悪いことなんだろうか。

 そんな悶々とした気持ちを最近の私は抱えている。

 

 「で、お母さん? 今日はどこまで行ってたの?」

 「あ、あらシキちゃん……どこまでって、えぇと…」

 

 そんなこんなで今日もまた夜もふけた遅い時間に家へ帰ってきた母親を問い詰める。まさか起きているとは思ってもなかったようで、私を見つけて玄関先で驚き焦った顔を浮かべる母を前に私は溜め息を吐いた。

 これではまるで不貞を働き帰ってきた旦那へ尋問する妻のようだ。と、疲れた頭で考える。

 

 「言えないとこなの? こんな時間に帰ってきて……何処かで何かあったのか、って心配するじゃない。いくら最近は元気になったからって限度ってもんが…」

 「ご、ごめんねぇ。でも私なら本当に大丈夫なのよ? 元々貴方が心配し過ぎなだけで…。それにほら、最近やっと戦争も終わったじゃない? だから近隣の村や町に住んでる知り合いの顔も見ておきたくて」

 「他の村や町……って。どこか行ってるとは思ってたけど、まさかそんなとこまで…」

 

 呆れて言葉もない。今のところ無事に帰ってきてるから良いが、このご時世、野党が出ないとも限らないんだから女の一人歩きなんかするもんじゃない。

 

 「シキももう14歳だし、家の事も任せられる年でしょ? それに貴方は村の中でも色々やってるみたいだから頼りになるし」

 

 そう。あれから気づけば私はもうそんな年になった。

 その間の出来事で一番大きかったのは、やはり五大国の戦争が沈静化したことだと思う。全世界のビッグニュースは瞬く間に広がり、こんな田舎の方まで噂はすぐに回ってきたほどだ。

 それに彼の大国《火の国》で、大きな狐の化け物《九尾》が現れて里を襲った、というニュースも。

 今の今まで頭の片隅程度にしか考えていなかった原作の物語が、少しずつ進んでいる。

 それでも今までの私の生活が大きく代わることは無かったのだから、あまり感慨はなかった。

 何せ主人公は遠く離れた異国の地で生まれ、物語は知らない所で歩いている。当然そんなだから私が原作に関わる機会なんて一つもない。

 …まぁせっかくこの世界に生まれたんだから、少しは間近で本物を見てみたかったという欲求はあったけど。

 兎も角そんなこんなで自分の知らないところで歴史は着々と進んでいる。

 聞きかじった時系列と史実から逆算して計算するなら、恐らく私が生まれる4、5年前に戦争が始まったのだろう。

 そしてその十数年後に戦争が終わり、その後更に数年の内に木の葉の里が九尾に襲われている。だから大体私が7、8才の頃にナルトが木の葉の里で生まれた計算だろうか。…詳しくは分からないけど。

 

 私は一旦、冷える玄関の石畳から火を焚いた部屋の中へと移動する。

 

 「あのさ、確かに私は村の事色々やってるよ。その成果もあって今や村は綺麗だし、住民たちは皆健康。食べ物だって困らないようにして、…まぁ言っては無かったけど、村の近くの土地くらいなら治安を守るために警備みたいなこともしてる。でもね、それでも私の目の届く範囲でのこと。いくらなんでも隣町なんてそんなとこまでやってられないよ」

 

 だから危険だって気付いて。平和なのはこの村の近辺までなんだと理解して。そう言うと母は「それでも十分すごい事だとお母さん思うけど…」と呟いた。が違うそんなことどうでも良い。今は私の事より母の事だ。

 

 「母さんは感覚がマヒしてるだけなの。今のうちに治さないといずれ酷い目にあうからね」

 「そうさせたのはシキちゃんじゃないかしら…」

 

 何でそうなるの。いやそうかもしれないけど。

 どこまでもおっとりした反応を返す母に焦れて、どんどん私の感情がヒートアップしていく。このままでは家の薄い壁のこと、近所迷惑になりかねないと危惧したとき、誰かが家の前に立つ気配がした。

 

 しまった遅かったか…。恐らく隣の家の人が騒がしいうちの様子を見に来てしまったのだろうと私は畳を立ち上がる。

 そして戸を開けようとした私は、しかし扉の外にいる気配が妙な事に気付いて足を止めた。

 私の人の気配を読む能力は、ここ数年の体の成長、身体能力の向上といったものと同時、著しく成長していた。今となっては村の住民達の気配は全て覚え、近いところなら誰がいるかくらいはおおよそ分かるようになった。その私が今家の外に知らない人の気配を感じとったとなれば警戒するしかない。

 

 古い一階建ての掘っ建て小屋みたいな家の中。相手と自分の距離は戸をへだてても精々数メートル。訪ねてきた時間が時間だけに何者かと怪しむなという方が無理である。

 そう思いながら戸を開けるか開けまいかその場で悩んでいた矢先。

 

 「やっぱり、シキには分かるのね」

 

 後ろから突然、母が言った。何が? と私は振り返る。見れば母は今まで見たことの無いほど真剣な顔をしてこちらを、――私を見ているようだった。

 

 「薄々…いいえ、ほぼ確信していたけど、やっぱり貴方には人を超えた何か……『力』があるのね」

 「……え? …ごめん、何を言ってるの?」

 

 突然の母親の雰囲気の変わりようにも驚くが、言っている内容にはもっと混乱した。いつものほほんとしてる癖に急にこんな真面目な顔をされて、私の心情を察して欲しい。

 

 「と言うか…どうしたの? 急にそんな怖い顔して、……もしかして外にいる人知り合いなの? だったら今中に入れるから」

 「シキ、本当に成長したわね。まさかこの数年、気配だけで外にいる人物を見抜けるようになってるとは思わなかったわ。ちょっと釜をかけてみる程度のつもりだったのだけど、これなら合格よ。試すような事をして悪いけれど…。ごめんなさい。もう時間がないの」

 「いや、だから何言って…」

 「失礼します」

 

 気配もなく、当然後ろから声がした思った時には首に鈍い衝撃を受けていた。それが自分の意識を刈り取るためのものだったのだと今さら気付いても、最早私の意識は深い闇の中に堕ちていくしかないまっ最中だった――。

 

 

 …

 ……

 ………

 

 …

 ……

 ………

 

 

 「…それで、ここはどこよ?」

 「申し訳ございません。秘匿事項の為に申しあげられません」

 「秘匿? ……じゃあ貴方は誰。何で私をこんなところに連れてきたの?」

 「私の名はホムラ。シキ様をここへお連れした者は私の同僚のフブキと言います。貴方のお母君のカオリ様の命により、私たちは今回あなた様をここへお連れしました」

 

 ぎり…と歯ぎしりする。手は後ろへ回されて縛られていて身じろぎするので精一杯なこの状況。まさかと思っていた人の名前が出たことにやるせなさがにじみ出る。

 

 「何でここで母さんの名前が出るのよ? 一般人の母さんにあんた達みたいな誘拐犯の知り合いがいるはず無いじゃない」

 「カオリ様はお話ししていなかったのですね。まああの方の出時や家業は、まだ小さかった貴方には話しにくい事だったのでしょうから仕方ありませんが」

 「また訳の分からない事を、と言いたいとこだけど…ここまで来ると流石に薄々想像できるのが嫌ね」

 「…気付かれたのですか?」

 

 ホムラが目を丸くして聞く。

 

 「昔から、もしかして…と思えることは何度かあったもの。その都度それらしい言葉で濁すから、私もそんなもんなんだって納得してたけど。ここまでお膳立てされれば今はそれが嘘だったと思った方が色々つじつまが合うわよ」

 

 妙に忍術やチャクラに知識が深いところも、母が実体験の元にしゃべっていたのだとしたら頷ける。

 

 「母さんも父さんと同じく忍だった。そして貴方達が敬称で呼ぶくらいだし、格式のある家の出時なのでしょう? 恐らく、気を失う前に母さんが言ってた『私の事を試した』って台詞からして、私にとってこれから録な事にはならないのだろうけど」

 

 そう一息に言いきって私は溜め息をつくと、私の考察にホムラはまるで肝を抜かれたような表情で答えた。

 

 「若いのに素晴らしい慧眼でしたシキ様。流石、現ご当主様の娘様です」

 「…ご当主って、まさかのトップだったの…うちの母さん。それは流石に驚く…」

 「先日、一族を纏めていた前当主様が任務中に亡くなり、ご息女であったカオリ様がその跡目を継がれたのです。ですので今はカオリ様が我々の頭領で当主となります」

 「へえ…」

 

 それはそれは御大層なことで。我が母親ながら何とも大変そうな人生を歩んでらっしゃる。

 で、結局私は何でここに連れてこられたのよ。そろそろ理由を話して欲しい。…本当に嫌な予感しかないのは勘弁してほしいとこだけど。逃げらんないんだろうな。逃げらんないよね。……諦めるしかないか。

 

 「……私も貴方達のやってることを手伝えばいいの?」

 「それがご当主様の意向になりますので」

 「…はぁぁ、こうなる未来は十分予想してた筈なのに、結局私は選択を間違ったってことなのね…」

 

 好き勝手しといて今さらだけど。

 …まだ身内事であるだけましと、そう思うべきなんだろうか。

 なんせ私のような力が必要になるような場所なんて、この世界じゃ戦場以外にありえないだろうし。…こうなるのが嫌で色々やって来たのになぁ。

 

 「で? 私は何をするの? 手始めにこの国でも滅ぼせば良いのかしら?」

 「出来るのですか?」

 「食い付いて来ないで。やるつもりないし、した事ないから分からないわよ」

 「それは、やれば出来ると言っているようにも聞こえますが」

 「だから食い付くな。言ってみただけだっての」

 

 こいつら、怪しい怪しいとは思っていたけどガチの方面か。ちょっと発破をかけたらあっさりと食い付いてきた。間違いなく反政府組織の一味、というかここがその本部なのか。だから秘匿がどうこう言って場所を吐かないわけだ。

 

 「本気でこの国と戦うつもりなの? そんなことしても勝てると思えない。どれだけの忍を敵に回すか……犬死によ」

 「ですから今なのです。戦争で少なからず疲弊した今の忍ならばきっと私たちでも好機はある。これを逃せばもう次はありません」

 「だから今度は身内で全面戦争? そうやってまた戦争で…内乱で苦しむ人達が出ると分かっていながら?」

 「この腐敗した世の大名家、そしてそれに寄生して生きる里の忍たちの統治がこのまま続けば、いずれ戦争よりも多くの人々が亡くなるでしょう。彼らが居るかぎり人々に平穏な時など永遠に訪れる時は来ません」

 「確かにこの国の内政は酷いと思うよ。導いて行く立場のはずの彼らが私腹を肥やしてのうのうと暮らして、私らのような弱い立場の人間が今日明日にも死んでいくんだから。でも、それでもそんな状況を打開して今を必死に生きようとしてる人はいる。貴方達がやろうとしてるのは、そんな必死に生きている人達さえ巻き込んでの戦争だ」

 「お言葉ですが、そのように前向きになれる者はシキ様、貴方以外におりません。そして貴方に関われたごく小数の人のみだ。残念ながらこの世の大多数の人間は誰もが貴方のように心を強く持っては生きられないのですよ。早くこの飢えから脱し救われる事を神に願う。…もし自分たちを助けてくれるのなら、例えそれが悪魔だろうと人々は願い乞うでしょうね。“助けてくれ”と」

 「…………――――」

 

 ホムラは私から目をそらすこともなくそう言いきり、それに返す言葉は今の自分には無かった。彼の言うことは間違ってない。

 だってこんな苦しい世の中なら誰だって救いを求める。楽になれる道を探している。

 そんな彼らに、絶望の苦しみを知らない自分が“頑張ればたいていどうにかなるよ”なんて説いたところで反感しか買わないだろう。

 ならばお前が何とかしてくれと。自分たちを早く助けろと、怒りの矛先を向けて来さえするかもしれない。

 

 「だから我々が立つのですよ」

 

 人々を救うため、今必要なのは革命なのです。

 そう言って部屋を出ていくホムラを私は黙って見送った。

 

 

 

 翌日になって、手首にはめられていた縄はようやくほどかれた。

 どうも例のフブキさんと言う人が戻ってきたらしい。なら母さんも一緒だろうか。そう考えて私は自分に当てられた部屋で大人しく座っていた。

 

 「……ようやく屋敷の中なら気配をつかめるようになってきたわね。一族がどうとか言ってたから、結構な人が居るのかと思っていたけど、意外と少ない……出払ってる?」

 

 そこそこ広い屋敷の中、ひときわ慣れ慕んだ暖かい気配が周りに誰もつけずにポツンと一人で居るのを感じとって、これはきっと自分を待っているのだろうなと予測した。

 母が私と会うことをのぞんでいる。なら行ってやらない理由はないだろう。知りたいこともある。

 

 部屋の前に居たふたりの見張りは、幻術を使って眠らした。

 これでも相手は現役の忍びだから、私の仕掛ける術なんかに効果があるのか少し心配だったけど、どうも問題はなさそうだ。

 本当に私のスキルレベルというものは一体どうなっているのだろうか。本格的な戦闘になる前に調べておきたいかもしれない。

 手加減出来なくて相手を再起不能にとか、喧嘩もしたことない自分にはキツすぎる。

 

 人気が無いので堂々と屋敷内を歩いて母の下へ向かう。そしてある部屋の前で立ち止まり、その襖を開けた。

 そこには案の定、忍び装束に着替えた母がこちらに背を向ける位置で畳に座っている。襖を閉めて中に入ると、少し距離を開けて私はその場に静かに正座した。

 

 「ふふ、来てくれたのね、シキ。お早う。昨日はちゃんと眠れたかしら?」

 

 そう言って振り返った母の顔はいつもと変わらない様子で柔らかく接してきた母親の姿に、どことなくホッとしてしまった自分がいた。

 

 「お早う。手首縛られたままぐっすり眠れる人間がいるなら聞いてみたいよ」

 「それもそうねぇ。ごめんなさい。無理矢理連れてきたものだから、貴方に限ってとは思ったけれど、暴れられても困るでしょう?」

 「…そこは母親として、絶対大丈夫と言い切ってほしかった。で? わざわざ屋敷に人払いしてまでお膳立てしてくれたんだから、ちゃんと話してくれるんだよね?」

 「そうね、何から話したものかしら…。母さんが忍一族だって話は聞いた?」

 「聞いたよ。そこでお頭にもなったって」

 「そう。――うちはね、元々さる大名家の一人に仕える専属の忍なのよ。水の国の大名達の派閥は、他国との融和を求める穏健派と、他国を排し全てを自国の手中に治めるべきという過激派で別れていてね。私たちの主人である城主様は穏健派の一人よ」

 

 そうなんだ。そこは過激派とかじゃなくて正直良かったと思うけど。

 下手に暴力思想の主人なんて持ってしまったら、彼女らの一族がろくなものにならないのは目に見えてる。それじゃあホムラの言っていた考えとは余りに食い違ってしまうだろう。

 

 「で、その穏健派の城主さまに仕える母さんが、私を拐って戦争に加担させるのとなんの関係が?」

 「戦争…って人聞き悪いわねぇ…」

 「ホムラは革命って言ってたね。その為に私を連れてきたの? 戦うための力として」

 「ええそうよ。これまで何度も見させてもらったけど、正直貴方の力はとても魅力的だわ。疲れ知らずの体力。無尽蔵のチャクラ。威力にしたって申し分ないどころか敵知らずじゃないかしら。体術は習ったことが無いだけで、恐らく訓練を受ければ貴方なら人並み以上になれると私はふんでるわ」

 「…隠すこともしなくなったか」

 「ごめんなさい。前も言ったけど、もう時間が無いのよ」

 「………まあこの歳まで良くもったほうか」

 

 まさか革命を起こす連中が現れるなんて予想はしていなかったが、いずれこの国は終わるんだろうな、とは薄々感じていたし。

 原作じゃ四代目水影やぐらの統治に異を唱えた奴等が暗殺を企てて失敗してるけど、この世界線だとそこら辺どうなるんだろう?

 

 「ああ~っもう、色々考えんのめんどくさい! 誰を倒すの!? 過激派?」

 「張り切っちゃって、頼りになるわ~。――標的はもう決まってるのよ。この国の大名が霧隠れの忍達とズブズブなのはもう分かるでしょう? その繋がりを断ちたいの」

 「………つまり?」

 「霧隠れの水影棟に強襲を仕掛けられないかしら? そこで大暴れして注意を引き付けておいて欲しいのよ。そしたらお母さん達が後は上手くやるわ。ね? シキちゃんなら簡単よね?」

 

 そう言って母さんは悪魔のような笑顔でニッコリ笑った。

 

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