叫ぶ、
[アラート!]
警報音。
続き、
『敵モビルスーツ接近!』
AIギンガが鳴らす警鐘。
逃避していた世界からギンガを現実へ引き戻した。
眼前に迫る、
「うわぁぁ!」
モビルスーツがモニターの八割を占めた。
一つ目が、
『もらった!』
そう輝く。
操縦桿に込めた力が扱う右腕通して、ビームライフルに伝わる。
反射的に、
「駄目だ!」
抜く力は、
「この武器は強力過ぎる!」
トリガーから、
「また、コロニーが…。」
離した。
死神はモビルスーツ。
振り上げる鎌は斧。
それは、ガンダム・ギンガの命を狩る為に。
隙き。
迷う心が、瞬の遅延を作る。
開幕。
振り下ろされる斧。
振り上げられる盾。
攻防戦は、十分な体制を取れなかった盾の負けで始まった。
斧はその威力で盾を押し込み支えの腕ごと体へ、ぶち当てる。
そのダメージが、
「くっ!」
機体を媒介にしてギンガを揺らす。
直ぐ様、
『装甲へのダメージ軽微。』
続き、
『内部構造体へも軽微なダメージ確認。』
アナウンス。
盾を支える腕に、
『スッ…。』
かかる圧力が音を出し抜けた。
直後!
今までにない衝撃が、
『グワッン!』
機体と共にギンガを四歩後ろへと歩ませた。
またも、
『装甲へのダメージ軽微。』
同じ内容の、
『内部構造体へも軽微なダメージ確認。』
アナウンス。
下がり、見えたのは敵モビルスーツのこちらへ伸ばした右脚とその足の裏。
蹴り。
それが敵モビルスーツより放たれていた。
幸運。
常に逆転する幸と不幸。
喰らった蹴りの威力が作った距離がギンガに時間を与える。
右の蹴り足が大地に降ろされ、重心を乗せられると踏み足へ変わる。
フリーになった左足が次の踏み足となり、機体を加速させる。
また、モニターを敵モビルスーツが占め始める。
ギンガの視線が、
「駄目だ…。」
コクピットから見えないはずのビームライフルへと向く。
選んだのは、
「シ…。」
左手の、
「シールド!」
盾だった。
それは…。
十分な体制で差し出された盾と、
『グワァァァァァン!』
助走を威力に換えた斧との共演。
不服。
斧を振り下ろしたものは、
〘気に入らぬ!〙
音を失敗と感じ、
〘今度こそ!〙
斧を振り上げる。
盾を構えたものは、
「他に…。」
音を成功と感じ、
「武器は無いのか!」
声を張り上げる。
答える、
『現在使用可能装備…。』
AIギンガは、
『表示します。』
メインモニターに小窓を開く。
そこには、簡易的なガンダム・ギンガの全身像がワイヤーフレームで描かれていた。
次に注釈線が走り、装備の状態を表示して行く。
追うギンガの視線が、
「ビームサーベル!?」
一つの装備で止まる。
決断は、
「これなら!」
早く、
「いけるか?」
迅速に行われる。
自分の罪から逃れる様に、
『ズドン。』
手を離したビームライフルは、その形の窪みを地面に作る。
そして、空いた右手は救いを求め肩口に装備されているビームサーベルへ伸びる。
鯉口を切る。
鞘の本体より少し浮き上がったビームサーベルは準備万端と抜かれるその時を待つ。
掴む右手が引き抜く!
ピンク色の刀身が形成と共に、
『ブォォォォォン』
低い羽音の唸りを上げる。
夢中。
意識が向かない代表の例え。
盾へと振り下ろす斧に、
『この!』
集中し、
『この!』
心で叫んでいた。
そう…。
その後ろで行われていた反撃の狼煙を見落としていた。
手応え。
操縦桿を通した、
『いける!』
斧の感触。
ほんの少し…。
そう、ほんの少しだけ…。
余剰に付けた振り被り。
時間にして、コンマ・ゼロ以下。
無意識が、
〘今だ!〙
誘(いざな)い、
「このぉぉぉぉぉ!」
腕に込められた力が操縦桿に伝わる。
対決、再び。
振り下ろされる斧。
振り上げられる盾。
『ガィィィィィン!』
盾の勝利。
再び。
振り下ろされる斧。
振り上げられる盾。
二度目の攻防戦は、十分な体制を取れなかった斧の負けだった。
その差は、言わずもがなコンマ・ゼロ以下であった。
不十分な速度と威力は盾により、斧そのものへと返される。
そのベクトルは、肩の付け根を支点とし斧に弧を描かせた。
更に、「まだ足りぬ!」と機体の重心へと襲いかかる。
その事に、失った左腕が手を貸していたのは言うまでもない。
よろけ。
そう呼ばれる現象を誘発した片腕のモビルスーツ。
その事態を収拾する為に、バランサーが全ての機能を取られる。
容赦…。
いや…。
余裕の無い一撃。
跳ね上げられた斧が、体を引っ張っるその時。
右足の踏み込みから、
「いけぇぇぇぇぇ!」
水平に繰り出された一閃。
それが左脇から、
『クワァァァァァッ…。』
入り…、
最初に来たのは熱。
次は、壁の破損。
そして、知る死神の刃は美しいピンク色だと…。
それが、モビルスーツを斬り裂き、ノーマルスーツへと届く。
悲鳴。
それを聞いたピンク色の刃はあざ笑い、自らの発する羽音でかき消した。
…、
『ザシャン!』
右脇へ抜けた。