少し前…。
音と共に、
『グゴゴゴゴッ』
軽い揺れが艦橋へ届く。
反射的に、
「今のは!?」
声に出す艦長。
その声を背中で、
「震源はコロニー内…。」
聞きながら、
「と思われます…。」
答える女性オペレーター。
その指が操作パネルの上を滑るように、
「映像、出します。」
タッチする姿はピアニスト。
先程のアップロードの影響がある中、クルーは良く対応していた…。
が…。
多少の混乱は否めない。
天井のメインモニターに、
「録画です。」
映る映像と共に女性オペレーターの説明が入る。
そこに映るのはモビルスーツ同士の戦闘。
艦長の開く口と共に、
「あれは!?」
見開いた目は驚いたと語る。
その視線は、
「何故…。」
トリコロールカラーのモビルスーツに、
「動いている…。」
注がれていた。
そして、
「パイロットの情報は…。」
誰でもなく、
「無いか!」
艦橋のクルー全員に問う。
コントロールパネルの上を走る指は反射的…。
いや…。
訓練の賜物であった。
そして、
『ピッ!』
答えるモニター。
表示を目で、
「今だ…。」
追いながら、
「該当者無しです。」
読み上げる女性オペレーター。
その回答に、
〘何が起きた?〙
答えの無い自問自答の艦長。
次のトリコロールカラーのモビルスーツの行動に、
「な、なにぃ!」
驚きで椅子から腰を浮かす艦長。
その脳裏に浮かぶのは、あの日の会話…。
エアコンの音だけの室内に、
『パラリ…。』
時折、響く資料を捲る音。
読み進む視線が、
「この出力は…。」
止まる程のデータ。
目の前に差し出された資料へ、
「あぁ…。」
視線を落とし、
「未知のテクノロジーの成せる技…。」
呆れ顔を、
「と、言ったところだろうな…。」
作る上官。
ゆっくりと頷く艦長に合わせ、
「この出力だと…。」
間を取り、
「使える場所が限られる…。」
続ける。
もっともだと、
「確かに…。」
また、
「コロニー内等で使えば…。」
頷く、
「大惨事になりましょうな…。」
艦長。
その行為が、
「まさか…。」
もたらす結果が、
「使うだと!」
顔に出る艦長。
そして…。
放たれたビームの光が、受光の限界を超えモニターはホワイトアウト。
放たれたビームの熱が、カメラの耐久の限界を超えブラックアウト。
その後は、ノイズの乗る黒い画面となった。
それが、先程の艦の揺れの正体だと艦橋内のクルーは知り驚き、唖然とする。
浮いた腰を椅子へと着地させ、
「ライブ映像は出せるか?」
指示を出す艦長。
その声に、
「やって…。」
心を、
「みます…。」
こちらへと戻す女性オペレーター。
コントロールパネルと格闘する事数分。
少し張った声と、
「出します!」
共に押すキー。
天井のモニターに[LIFE]の文字を右隅に飾り付けた映像が映し出された。
ノイズの乗る、遠くで向かい合う二体のモビルスーツの戦いが映る。
それを見たクルーは、先程の録画からは時間が経過していると誰もが思った。
何故なら…。
トリコロールのモビルスーツの足元に転がる胴体を横一文字に斬り裂かれ、真っ二つに分断された残骸を確認出来たからである。
そして、皆が注目したのは…。
盾を構えたトリコロールのモビルスーツへ、緑のモビルスーツがマシンガンで攻撃をしている場面だった。
詳細を知りたいと思うのは、
「もう少し寄れないか?」
艦長だけでは無い。
目の前のモニターに視線を落とし、
「現状が、最大望遠です…。」
データを読み上げる女性オペレーター。
残念だと声に含み、
「そうか…。」
ビームライフルの威力を目の当たりにした諦めもあった。
響く、
『ピピッ。』
電子音が、
『ピッ!』
この場に静寂を作り出す。
一度目は、
『ポン!』
気を引く。
二度目は、
『ポン!』
疑問を浮かべる。
三度目は、
『ポン!』
正体を知る。
信号弾。
即座に、
「どこのだ!」
艦長の一声。
食い気味に、
「データありません!」
答える女性オペレーター。
その回答が、
〘この状況を解っていてなら…。〙
考えに、
〘当然の準備だな…。〙
気を取られる艦長。
誰ともなく、
「あっ!」
誰からも上がった声。
それは、状況とモビルスーツが同時に動いたからであった。
信号弾の介入という要素が二体のモビルスーツの運命を決めた。
信号弾に、隙きを作った緑のモビルスーツ。
信号弾に、勝機を見出したトリコロールのモビルスーツ。
バーニアから伸びる炎がトリコロールのモビルスーツを加速させ、間合いを自分のものとする。
出遅れた緑のモビルスーツは、盾を構えるがコンマ遅い。
結果、袈裟懸けにされた緑のモビルスーツ。
艦橋内に響く、
「お、おーっ!」
勝者へのどよめき。
その斬り口から血ではなく、放電の様なエネルギーを噴出させながら、ゆっくりと二つになる緑のモビルスーツ。
上がる声は様々たが、
「あっ!」
「おっ?」
「げっ!」
全て同じ意味であった。
そして、生まれた光…。