サイド07の1番地(1番コロニー)宇宙港の外れにある軍専用の港。
自動化進み、民間では最低人数で運用されているターミナル。
だが、軍のターミナルともなれば事情は異なる。
【感(かん)】
そう呼ばれる人間にしか持ち得ない未知のセンサー。けっして、機械では再現できない。
故に、自動化の機械以上に人間が対応している。
そんな軍用ターミナルの一角。
警備ボックスの扉を開き、対応しているのは二十歳(はたち)そこそこの兵士。
対応させたのは、
「父のハムロを、お願いします。」
レイカ。
ギンガ達一行が向かったのは、ここであった。
兵士が、
「本人確認します。」
目線で、
「そこへ。」
指すのは、ボックスの外に取り付けられた専用のパネル。
毎度の通過儀礼だと、無言で右手を差し出すレイカ。
兵士の方も、顔見知りとはいかないまでも、見知った顔といった対応であると傍目にも判る。
パネルが乗せられた、
『ピピッ。』
レイカの右手を感知し、
『ウィーン。』
読み取りを始めた。
同時に監視カメラが顔認識と共に網膜の虹彩認証を始めていた。
完了の音と共に、
『ピッ!』
ボックス内のディスプレイに[確認完了]も文字が浮かぶ。
視線で、
「少し…。」
ディスプレイを確認し、
「お待ちを。」
受話器に手を伸ばす兵士。
レイカの浮かぶ、
「?」
表情がいつもと違うと語る。
兵士の、
「はい。」
「はい。」
「解りました。」
「では…。」
やり取りを傍らで見つめるレイカ達四人。
受話器を置く音の、
『ガチャリ…。』
余韻を待ち、
「ハムロ博士ですが…。」
兵士が、
「シャトルで先行して、コロニーへ入られているそうです。」
レイカに告げた。
一瞬の間。
見開かれた目が、
「えっ!?」
レイカの驚きを強調する。
レイカのその目が、
「現在は…。」
落ち着く間を取り、
「研究施設だそうです。」
答える兵士。
無意識に、
『コクリ。』
頷(うなづ)き、
「解りました…。」
了解したレイカ。
そして…。
振り向き、
「お父さんは…。」
説明したが、
「新型の軍艦に乗ってないって…。」
尻すぼみで声が小さくなっていた。
思わず、
〘おい!〙
心の中で、
〘軍の機密がだだ漏れじゃないか!〙
突っ込む兵士。
ゆっくりと、
「残念…。」
フゥーと呼ばれていた男性が短く反応。
先のレイカとのやり取りの事を、
「新型の軍艦…。」
気にした風もなく、
「見たかったなぁ…。」
軽く残念がるギリニオ。
前髪を、
「まっ…。」
掻き揚げ、
「色々と事情あるだろうから、仕方ないさ。」
ポーズを決めるオルト。
ギンガの結んだ口が、
「…。」
静寂を語り。
そして…。
レイカの左手に持ったバックを、
『ジーッ。』
見詰めた視線が音を出す。
間。
皆に、
「なら…。」
笑顔で、
「研究施設に行こうぜ。」
投げかける。
いの一番にギリニオが、
「そうだね。」
乗った。
その発想は無かったと、
「おーっ!」
フゥーが目を見開く。
斜に構えたオルトが、
「皆が行くなら、仕方ないね。」
まんざらでもないと賛同する。
皆へ、
「じゃあ…。」
視線を送り、
「決まりだ。」
最後に、
「レイカも良いね?」
同意を求めたギンガ。
突然、
「う…。」
振られ、
「うん…。」
驚きよりも、
「いいよ…。」
喜びを隠す為に、
『ギュッ…。』
持っていたバックを抱きしめるレイカ。
その意味に、
「じゃあ…。」
気付いていたのか、
「直ぐに…。」
気付いていないのか、
「行こうぜ。」
歩き出すギンガ。
後に続く、オルト、ギリニオ、フゥー。
一人、立ち尽くしたまま、
「ギンガ…。」
背中を見詰めるレイカの顔には、喜びが浮かぶ。
はたと…。
喜びの表情を消し、
『ブルブル。』
顔を左右に振る。
それは、否定…。
いえ…。
本当は、恥ずかしさ。
ギンガに見透かされた、父親に会いたかった、との心の中の思いに。
故に、
「あなた達!」
共に、
「待ちなさいよ!」
父親の着替えの入ったバックを、「私が行かないと駄目でしょう!」
抱きしめる力と声は強かった。