霞む。
ミサイルが起こした衝撃は、視界と意識に霞をかけた。
それは…。
どこか、遠くで…。
「………!」
次第に…。
「……カ!」
近付き…。
「…イカ!」
耳元で…。
「レイカ!」
怒鳴り声に変わる。
焦点。
虚ろに空ろを見る瞳が、影を落とすものにピントを合わせ始める。
その正体を、
「ギ…。」
口に、
「ンガ…。」
する。
安堵。
それは、
「レイカ!」
ギンガが、
「大丈夫か!」
浮かべた表情。
しかし、
「私…。」
意識の、
「どうしたの?」
ピントは合わないレイカ。
ギンガの喜びが、
『ギューッ!』
音を出し、
「レイカ!」
強く抱き締める。
二人の一瞬の硬直。
そして、その行為に反応するレイカ。
爆煙に薄汚れてはいるが、
「ちょ!」
透き通る様なレイカの白い肌を、
「何するの!」
一気に、
「ギンガ!」
桜色へと染め上げた。
脳が命令する拒絶の強さとは、
「離しなさいよ!」
反対に心の声は、
「ギンガ!」
振り解く力を弱くしていた。
我に、
「ごめん…。」
返り、
「レイカ…。」
力を緩めるギンガ。
そして、レイカの意識に掛かっていた霞がゆっくりと晴れていく。
今の状況が、
「何が起きたの?」
掴めず、
「ギンガ。」
辺りを見回すレイカ。
消える安堵の表情は、
「ミサイル…。」
真顔を、
「攻撃だ…。」
レイカに向ける。
暫時。
それは、言われた事を整理するまでに要した時間。
もう一度、
「えっ!?」
周囲を見回し、
「ミサイルって…。」
自分の居た場所を確認した。
唖然。
呆然。
驚愕。
その他の複雑な表情がレイカの顔を埋め尽くした。
そして…。
一つに纏め上げた。
ゆっくりとギンガへ、
「ねえ…。」
向き直り、
「みんなは…。」
口から出た言葉は力無く、
「どこ…。」
質問の答えを知っていると自らが語る。
返答に躊躇い、
「みんな…。」
見た場所は、
「は…。」
黒焦げたクレーター。
ゆっくりと、
「あそこに…。」
目を閉じ、
「居た…。」
同じくゆっくりと左右に首を振る。
次にレイカの、
「嘘…。」
肌を染め上げたのは、
「嘘よ…。」
血の気の引いた青。
素早く…。
ではなく、強い否定の、
「そんなの…。」
速度で、
「嘘よ!」
首を振るレイカ。
掴む両肩に、
「落ち着け!」
優しい力を、
「レイカ!」
込めるギンガ。
ゆっくりと上げた瞳に目の前の青年を映し、
「ギ…。」
開いた口から、
「ン…。」
呼ばれる名前。
それを遮る、
『シュルルルルル。』
あの音。
それは…。
ギンガの視線の先。
レイカの背中側の向こう。
そう…。
研究施設へと、
『ドドドウォォォォォ!』
着弾した。
遅れ、
「くっ!」
二人に、、
「レイカ!」
届く爆風をレイカを抱き締め庇い、一人受けるギンガ。
静寂。
それは、音の落差が作り出した偽物。
緩めた両腕の中のレイカに視線を、
「無事か?」
落としながら確認するギンガ。
抱き締められ丸くなった背中を伸ばしながら、
「だ、大丈夫…。」
答えるレイカ。
そして、ゆっくりと、
「今のは…。」
原因を起こした場所へ、
「何?」
首をめぐらせるレイカ。
上げた声と共に、
「あっ!」
見開いた目が、
「お父さん!」
驚きと共に理解したと語る。
上がる煙は、研究施設からであった。
ネコ科の動物の如き動きは、
「お…。」
ギンガの反応を超え、
「父…。」
抜け出した腕から、
「さん!」
レイカを疾走へと加速させていた。
遅れ走り出すギンガは、
「レイカ!」
前を行くレイカの背中を追う。