艦内。
叫ぶ、
『ギュオーン!』
サイレン。
幾度も、
『ギュオーン!』
繰り返される。
それは、艦内に流れる警報。
艦長が開いた口が、
「何事だ!」
声を作る前に、
「このアラートは!」
副艦長の怒号が飛ぶ。
出しそびれた声を飲み込み、オペレーターの女性へ視線を送る艦長。
モニターを凝視したまま、
「コロニー内部での爆発を確認…。」
映し出された情報を報告するオペレーター女性。
怪訝そうな、
「爆発だと?」
表情に、
「事故か?」
声の副艦長。
パネルの操作を、
「いえ…。」
続け、
「事故ではなく…。」
モニターに表示された[ONLINE]の文字を確認し、
「大型モニターに出します!」
会話の内容と共に切り替えたオペレーター女性。
一斉に、天井の大型モニターが皆の視線を釘付けにする。
燃える街並を煙る空気が灰色に染める。
それはまるで…。
この惨劇を隠しているかの様でもあった。
影。
立ち込める煙をスクリーンにして、蠢く黒いモノ。
また、
「なんだ?」
副艦長が先に口を開く。
目の前のモニターを確認し、
「切り替えます!」
オペレーターの女性が対応した。
一画面目、
『カチャ。』
ニ画面目、
『カチャ。』
三画面目、
『カチャ。』
そして、映し出された黒い影の正体は…。
副艦長の、
『ゴクリ。』
固唾を飲む音が、
「モビルスーツだと!」
驚きを強調した。
大型モニターから目を、
「何処の所属だ!」
離さず聞く副艦長。
間を開けず、
「該当ありません!」
答えたのは言われる前からの対応。
切り替えの素早さは、
「在中軍は!」
流石の副艦長。
答えたのは、
「現在、出撃準備中との回答です。」
男性のオペレーター。
向き直り、
「艦長…。」
極めて冷静な顔で、
「本艦の部隊の出撃許可を…。」
聞く副艦長。
目の前に出した小型モニターから目を離さず、
「うむ…。」
返す生返事。
もう一度、
「艦長!」
呼ぶ副艦長。
今だ、
「準備が…。」
意識は、
「終わり次第、出撃で…。」
小型モニターに釘付けの艦長。
答えるは、
「はっ…。」
敬礼の、
「了解しました!」
副艦長。
それは、
「ところで…。」
話の流れを変える合図を
「所属不明のモビルスーツ付近の[ONLINE]のカメラの映像を全部表示できるかね?」
オペレーターに出す艦長。
声で答え、
「やってみます。」
残りは作業を始めたオペレーターの女性。
作業中。
時折、
『ピッ!』
電子音で鳴くコントロールパネル。
一瞬の手を止め、
「出ます。」
次に押すキーに結果を委ねるオペレーターの女性。
天井の大型モニターが碁盤の目に切り取られた。
小さく刻まれた枠、その一つ一つに映し出される現在の様子。
それを、無言で眺める艦長。その姿は、物思いにふけるであった。
暫時。
流れる状況報告と電子音が艦橋の静寂を彩る。
不意。
開いた口が、
「ブラックアウトしているモニターは破壊されているのか?」
考えが纏まったとも語る。
返答よりも早く、
「確認します。」
手が動くオペレーターの女性。
また、流れる状況報告と電子音が艦橋に静寂を作る。
暫時。
作業が実を結び、
『ピッ!』
結果の表示を音で知らせた。
読み上げる、
「無線カメラの損傷ではなく、通信エラーの様です。」
オペレーターの女性。
ため息の、
「ふうむ…。」
交じる返答に、
「では…。」
ゆっくりと間を取り、
「無線カメラとモビルスーツの位置を地図上に出せるかね?」
問う艦長に浮かぶ表情は複雑であった。
背を向けたままのオペレーターの女性は、
「やってみます。」
その表情を見る事なく作業にかかる。
三度、流れる状況報告と電子音が艦橋に静寂を作る。
暫時。
オペレーター女性の苦闘が続く。
発した声は、
「出します。」
苦闘の勝利者。
その声に促され、天井モニターへ視線を移す艦長。
映し出された地図上に、謎のモビルスーツと無線カメラの位置が表示される。
無線カメラの位置に注釈線が入り、その捉えた映像が小さく映し出されているのは、オペレーターの優秀さの証であった。
暫時。
見詰め、考える艦長。
そして…。
その表情に、
「うむ…。」
付けられた名前は、
「やはり…。」
渋い顔、
「か…。」
そして、
「『ふーっ…。』」
声とも、音とも区別のつかないため息。
決意。
そう語る顔で、
「モビルスーツを中心とした無線カメラの障害範囲は何メートルだ?」
オペレーターに向かい問う艦長。
返答よりも、
「確認します。」
先に手が動いていたオペレーターの女性は、
「直径約百メートルの範囲です。」
直ぐ様答えた。
艦長の前屈みから、
「百メートルか…。」
膝に肘を置き立て顔の前で組む姿は、物思いにふけると表現される。
艦橋に漂う雰囲気は、その場の全員にある言葉を連想させた。
ただ、一人艦長を覗いては…。