神獄塔 メアリスケルター ザ・ロイヤル 作:Million01
御伽話の人物達が戦う世界に参戦するはずが何かの手違いで御伽話の主人公と同じ名前の少女達が謎の塔から脱出を試みる世界へとやってきてしまった屋根裏のゴミ
何を言ってるのか分からないと思うけど多分、あってる
またあの夢だ。鼻の長い老人がこちらを見据えて笑っている。それを照らすようにライトが収束してる
「まずは再びあの力を取り戻した事を心より感謝します」
「あの力?」
「お忘れですか?あの力の名も使い方もご存知のはず……」
『ペルソナとは、外の事物と向き合う時に現れ出て、心を鎧う、いわば
金髪の少女の言葉に何かが頭の中から聞こえてくる
確か……あの力はペルソナ。そう呼ばれていた
「───っ!」
何かを思い出そうとすると頭が……意識が遠退いて行く
「これ以上は貴方の身体に負担がかかることでしょう。またの機会にお会いできれば……」
「今はごゆっくりお休みください」
また奇妙な夢をみた。これで二度目だ。夢も、そして目の前に広がる白い天上も
ただ、目が覚めた場所はどうやら先程とは違う部屋らしい
「目が覚めたようだね」
ベッドの部屋の隅の折り畳みの椅子に腰をかける老人がこちらを見てきた
白衣を着た老人、そして右目を隠すように垂らす白い髪。どこかの研究者だろうか
「誰だ?」
「私は黎明の博士だ」
「黎明?」
「あのジェイルに対抗する組織だ」
「ジェイル?」
「なぜ、私が質問攻めをそれなければならないのかね?」
「…………」
どういうことだろうか。この博士の言っていることがわからない
「やれやれ、君の名前は?」
自分の名前……?
「どうしたんだ?」
確か……自分の名前は……
『頼りにしてるぜ、ジョーカー!』
『つーか、なんでコイツがジョーカーなんだ?』
『戦力的に切り札だからな』
まただ、また頭の中に声が流れてくる
「───ジョーカー……」
「ふむ、ジョーカーくん。君は一体何者かね?あの力といい……」
何者……?自分は……
「わからない」
「わからない?」
自分の言葉に博士は復唱するように確認してきた
「気付いたら牢獄の中にいた」
「なるほど、なぜ牢の中にいたのかわからないと?」
博士の言葉に自分は首を縦に頷いた
「記憶喪失、か……恐らく、奴らの過度の拷問によってストレスが溜まったのだろう」
博士が何か悩んだような顔をしながらブツブツと呟いている
「あの化物は?」
「覚えてないのかい?」
確か、急に頭の中に声が流れてきて仮面を外したところまでは覚えている
「よく覚えてない」
「そうか、あの化物……『メルヒェン』は君が倒した」
「自分が?」
「ああ、君のあの力はなんだい?」
「あの力は……」
自分は博士に『ペルソナ』のことを話す。あくまで自分が知っている範囲でだ
「なるほど、心を鎧う存在……『ペルソナ』か。それ以上の事はわからないのかい?」
「知っていることは全て話した」
「なるほど……わかった」
「…………」
博士が何かを考え込んで黙り込む
「もし、君が良ければなんだが私達黎明と一緒に戦ってくれないか?」
「なぜ自分が?」
「先程も言ったのだが我々、黎明はジェイルに対抗する組織でね。そのため一人でも多く優秀な人材を集めているんだ」
そして博士はこちらの目を見据えてくる
「しかも単体でメルヒェンを撃破する力を持ってる者となるなら尚更だ。それに君は記憶喪失……行く当ても場所もないのだろう?」
確かにそうだ……
「君が力を貸してくれるなら君の生活は保証しよう……ただ、君にやってもらうのはメルヒェンたちとの戦いが多い」
命の保証はない、か……だけどらこの力があれば誰かを助けられるかもしれない
「協力しよう」
博士の言葉に自分は頷く
「感謝するよ。とりあえず視子くん」
博士の言葉で部屋に誰かが入ってきた。黒く長い髪に眼鏡をかけた女性が部屋に入ってきた
「話はさっき聞いていた通りだ。この子が新しく黎明に加わるジョーカーくんだ」
「わかりました、救護班の上島 視子よ。よろしくね」
「宜しく」
「では、視子くん。彼を部屋に案内してくれ」
博士の言葉に対して視子は頷き、こちらを見て
「つい来て」と発した
どこまで行くのだろう……少しボロボロの廊下を歩いていく
「あれ、視子さーん!」
自分の後ろの遠くから女性の声がする
「あら、どうしたの?」
「いや、視子さんが誰かを連れてこっちに来たからどうしたのかなって思って───って君はあの時の……」
「あの時?」
黒い制服を着た茶髪の少女が視子を見たあとこっちを見た
「あれ、覚えてない?ほら、あのメルヒェンと戦っていた時にいたでしょ?」
「なんの話だ?」
「え、覚えてないの?」
「彼はね、あの時の事よく覚えていないらしいのよ。それになんで牢獄に捕まっていたかも思い出せないらしいのよ」
「あ、そうなの!?ごめんねー。こんな見ず知らずに気軽に話しかけて」
「気にしてない」
「それで、視子さんどうしたの?彼をこんなところに連れてきて」
「ああ、彼はね。今度から貴方達『血式少女』と一緒に戦うジョーカーくんよ」
「え、私達と!?確かに単体でメルヒェンで倒したのは心強いかもね。アタシは赤ずきん。よろしくね、ジョーカー!」
「赤ずきん……?」
なんだろう……どこかで聞いたことのある名前だ。だけど、どこで聞いたか思い出せない
「どうしたの?」
「どこかで会った?」
「どこかで?いや、流石に……あっ、もしかして牢の中で私達を見ていたんじゃない?」
牢の中……?いや、目を覚めたら外が川のように人が雪崩れていたからそんなはずは
「やっぱ気のせいかも」
「もー、ジョーカーは不思議な子だなぁ」
赤ずきんがニッカリと笑ってくる。
「まぁ、ちょうど良かったわ。赤ずきん、後でこの子に黎明の案内を頼めるかしら?血式少女達への紹介も兼ねてね」
「いいよー。、私、お姉さんだもん。そういう事なら任せといて視子さん」
「血式少女?」
「あれ、ジョーカー。知らないの?」
「そこら辺は博士がちゃんと説明してないからね」
「あちゃー、さすがはお父さんだ」
「お父さん?」
「あ、この呼び方はね。私、小さい頃にお父さんに拾われたんだ。だからお父さん実の父親じゃなくて育ての親なんだ」
アハハハ、と恥ずかしそうに笑う赤ずきんを見て自分はなるほどと納得する
「着いたわ。ここが貴方の部屋よ」
視子がいくつもある扉の内、一つの扉の前に止まる
中に入るように促され自分は部屋の中へと入った
部屋の壁も床も天上も白く、部屋の中にはベッドと箪笥が一つずつ置いてあった
「無駄に広いな」
「まぁ、家具がない分そう感じてしまうかもね」
確かにベッドと箪笥だけでは広すぎる……何か家具を起きたいぐらいだ
「私の役目はこれで終わりね。赤ずきん、後は任せるわ」
「うん、任されたよ!」
そう言って視子が部屋の外に出ていく。何をすればいいか分からない自分は赤ずきんを見た
「それじゃあ、君はこれに着替えてね」
赤ずきんは箪笥の中から何かを取り出し自分に渡してきた
「じゃあ、私は外にいるからそれに着替えたら声をかけてね」
バタン、扉を閉めて外へ出ていく赤ずきん
……着替えるか
自分は赤ずきんに渡された服に着替える。黒を主とした長袖長ズボンの服だ。まるで学校の制服にも見えなくもない
「えー、似合ってんじゃん!よし、行こうか!」
「どこにだ?」
「そりゃあ、君の仲間にだよ。ほら、行くよ」
そう言って赤ずきんが廊下を歩いて先導していく。
「ジャック、いるー?」
自分の隣の前で止まる赤ずきん。赤ずきんが扉の前で声を掛けて数秒、扉が開いた
「赤ずきんさん、どうかしたんですか……って、貴方は……」
自分と同じ制服を着た少年が部屋の中から現れた。赤ずきんの顔を見た後、こちらにも目が合う
「どちら様?」
「あ、いえ。えっと、初めまして、僕はジャックって言います」
「ジョーカーだ」
お互い自己紹介をする。
「赤ずきんさん、このジョーカーさんは…… 」
「ああ、ジョーカーはね。新しく黎明に加わったんだって」
「黎明に?」
「そうらしいよ。まぁ、あのメルヒェンをすんなりと倒せたからお父さんが勧誘したんだろうけど」
「そうですか……」
ジャックが何か複雑そうな顔をしている。どうしたんだろうか……
「彼も血式少女か?」
「血式少女?もー、ジョーカーは面白い事を言うね!血式『少女』は少女なんだからジャックが血式少女なわけないじゃん!」
と赤ずきんが愉快に笑って面白がる
「では、なぜジャックがここに?」
「まぁ、そりゃあ彼にも色々あるんだよ。それはまた今度話すよ。長くなるし」
赤ずきんがそう言ってくる。そういえばまだ血式少女の事を詳しく聞いていない……
「次、行くよ。じゃあ、ジャックまた今度」
そう言ってジャックに手を振りながら赤ずきんは次の部屋へと足を運ぶ
「アリス、ちょっといい?」
扉を数回ノックして、扉の奥の人物を呼びかける
「赤ずきんさん、何かあったんですか?」
そして黒い髪の少女が部屋から出てきた
「そちらの人は……」
アリスと呼ばれた少女がこちらを見て不思議な目でこちらを見てくる
「ジョーカーだ」
「……………………」
瞳が明らかに不審者を見る目に変わる。何かおかしなところがあっただろうか
「あ、この子はアリス。つい最近、黎明に入った血式少女なんだ」
「宜しく」
「……よろしくお願いします」
お互い短い会話を終える。
アリス……どこかで聞いたような名前だけど全然思い出させない
「ジョーカー?ぼーっとしてないで次行くよ」
赤ずきんが自分の腕を引っ張ってきた
「おつう!人魚!居るんでしょ?」
おつう?人魚?これも血式少女達の名前だろうか?
「赤ずきんか、急にどうしたんだ?」
「おねーちゃんと……えっと確か貴方は」
黒い髪の爽やかな顔の女性と長い水色の髪の少女が部屋の中から出てきた
「どこかで会った?」
水色の髪の少女がこちらを見た。どうやら自分の事を知っているらしい
「あ、えっと、この間あのメルヒェンを倒してくれた……」
「あのメルヒェン?」
「あー、人魚。この子はね。その時の記憶が全然覚えてないらしいのよ。しかもつい最近のことしか覚えていない。言わば記憶喪失らしいよ」
「え、そうなんですか!?」
「それで赤ずきん。僕達になんの用だい?それを言うためにわざわざここに来たわけではないだろう?」
「そりゃあそうよ。それで話なんだけどこの子、新しく黎明の組織に加わったジョーカーだよ」
「ジョーカーか、僕の名前はつうだ。よろしく」
「私は人魚姫って言います。よろしくお願いします、ジョーカーさん」
「こちらこそよろしく」
「そういえば君の背後に現れたあの人型の人形?みたいなのはなんだい?」
ペルソナの事だろうか。
「ぺるそな?なんだいそれは?」
つうに聞かれ自分はわかる範囲でペルソナについて話す
「心を鎧う存在?」
「むしろ、ますますわからなくなってきまよ。赤ずきんは理解できたかい?」
「うん、全然!」
赤ずきんの緊張感のない返事におつうがはぁ、とため息を漏らし、人形姫が愛想笑いをしていた
「にしてもおかしな話ですね。記憶喪失なのにそのペルソナ?という力の事は知ってるなんて」
「確かに」
人魚姫の疑問に自分は言われてみればと思いながら納得する
「そこ、自分で納得するんだ……」
納得する自分を見てつうが呆れたように呟いた
「とりあえずつうたちの自己紹介は終わったかし、後はかぐやだけか」
かぐや……?まだ、いるのだろうか。それにしても赤ずきんにアリス、人魚姫、かぐや……どこかで聞き覚えが……
「ほら、ジョーカー次行くよ。かぐや!居るんでしょ!出てきなさい!」
「えーまたですかー。妾はいいですー」
「いいから早く来なさい!」
「えー面倒くさいです。この間出てきたじゃないですか」
扉から聞こえてくる気怠げな声が聞こえてくる
「引き篭もりか?」
「いいから、早く出てきなさい!さもないと、この扉を切り刻むよ!」
……どうやら自分の話を聞いていないよう
「…………」
そして扉の向こうから現れる。黒い着物を着た少女。空中浮遊をしている黒い球体?に腰をかけている
どういう仕組みなんだろうか?
「そちらの方は?この間のジャックとは違う人のようですけど」
「あ、ジョーカーはね。黎明に加わった新人なんだ」
「ふーん……まぁら妾にはどうでもいいですけどね」
「…………」
なんだろうか、この面倒くささ
「それじゃあ、妾は部屋に戻ります」
そう言ってかぐやはバタン、と部屋に戻り扉を閉めた
「まぁ、あの子普段からああなんだけど悪気はないんだよ」
この黎明で上手くやっていくには少し骨が折れそうだ
「よし、血式少女はこのくらいかなー。まぁ、もう一人いるんだけど今は会うのはアレだし」
「もう一人?」
「うん、いるだけど今は療養中なんだ。だからまた今度挨拶した方がいいかなって」
なる、と自分は頷くと赤ずきんが歩き始めた
「ほら、次行くよ」
あかに来るように促され自分は歩き始めた
昨日、一日中歩き回ったせいかかなり疲れていたらしい
部屋に戻るとすぐ眠っていたようだ
血式少女……自分は彼女達と上手くやっていけるだろうか……
───ドンドンッ!
「ジョーカー、起きてる?」
まるで思い切りドアを叩くような音ご扉の向こう側から聞こえる。赤ずきんの声だ
「うるさいぞ」
自分は扉を開けて文句の一言を言う。もう少し優しくできないのか、と
「え、あ、ごめんごめん。けど、ジョーカーってなんだか起きるのが遅そうだったから」
失礼な、と自分は心の中で呟いた
「何か用か?」
だが、思った言葉は心の中にしまう。この血式少女達の中でも彼女は最古参だ。逆らわない方がいいだろう
「お父さんからの任務でね、今から君が捕まっていた牢屋を見にいくんだ」
「なぜ?」
自分は突然の疑問を彼女に問いかけた
「君って記憶喪失でしょ?だから、捕まっていた牢屋に行けば何かわかるかもって思ってね。それに君の実力を見ておきたいんだ。後者がお父さんの任務だよ」
なるほどと自分は赤ずきんの言葉に頷いた
「それに一応、君に血式少女の戦い方を見せてあげないといけないからね。だから早く着替えて行く用意をしなさいって!」
急かされるように背中を叩かれ扉を閉められた。なんとも強引なんだろうか……とりあえず着替えて用意をしよう
「遅いじゃん。早くいくよ!任務なんだから」
急に来てそんなに早く着替えろなんて言われても早く用意できるわけがない
「ほら、行くよ。元街道沿いエリアに着いたら案内よろしくね!」
自分が捕まっていた牢屋……なんとなくうろ覚えだけど大丈夫だろうか
とりあえず赤ずきんの言葉に頷いておく。それを見て赤ずきんが先頭を歩いていく
「ねー、ジョーカーって本当に記憶喪失なの?」
そもそも自分がなぜあの牢屋にいたのかもよく分からない。その旨を赤ずきんに伝えた
「そもそもここがどういうところかわかる?」
「監獄?」
「うーん、半分正解。もう半分はハズレ。ここはね元々はとある都市だったんだって。それが何かがあってその都市に穴が空いてこの都市や人々を飲み込み塔のように成長しているんだって」
赤ずきんが歩きながら思い出すように語り出す
「お父さんから聞いた話なんだけど。その塔のように伸びてるのって生きてるんだって。不思議でしょ?私達、謎の生物の中にいるんだよ。それでその生物が『ジェイル』って名付けられたんだ」
まるで建物みたいだな、と自分は思った
「それでメルヒェンとかいう化物はジェイル自体が生み出しているんだって。ジェイル内にいる化物にはメルヒェン以上にやばいのがいるんだけどそいつに遭遇したらとりあえず逃げるからねー」
呑気そうに歩きながら段々と歩いていく。そして、どこか見覚えのある場所へと出た
「ほら、着いたよ!」
白と黒で分けられた床に所々の壁に時計が飾られている
「ジョーカーが捕まっていた元街道沿いエリ───!?」
赤ずきんが急に止まり、こちらの方へ振り向く。だが、様子がおかしい……こちらを見て驚いた?いや困惑したような顔をしている
「どうした?」
「いや、どうしたって……ジョーカー。その服、どうしたの?」
服?と自分は首を傾げて自分の服装を見た。黒いロングコートに真紅の手袋を着た服装となっている。それに顔に掛かっていた眼鏡がドミノマスクに成り代わっていた
「いつの間に?」
「私に聞かないでよ。ジョーカーが着替えたんじゃないの?」
赤ずきんの言葉に自分は首を横に振る。だが、なんだろうか……若干、体が軽くなったような気がする。ん、懐に何かある……
「それってジョーカーの武器?」
取り出したナイフと銃を見て赤ずきんが驚いたように目を丸くする
「そうかも」
「ふーん、じゃあとりあえずジョーカーの牢屋に行こうか!案内、よろしくね」
自分はとりあえず武器をしまう。赤ずきんが自分の後ろへと付いて動くように急かしてきた
とりあえず覚えている限りでいいから進んでみよう
「ジョーカー、来るよ!」
数歩歩くと、緊張感の走る赤ずきんの言葉に反応する
とりあえず自分はバク転でなんとか二体のメルヒェンの不意打ちを避ける
「ほら、構えて!」
ジャキ、と赤ずきんが巨大な鋏を両手で構えた。自分もそれに続いて先程、確認したナイフを取り出した
自分がまず狙うのは足がない浮いているピンク色のメルヒェンだ
「───ハッ!」
即座に近づいてナイフで斬りつける。敵は仰け反るも倒すまではいかないようだ
「よいしょっ!」
それに続いて赤ずきんが追い討ちをかけるように鋏で敵を斬り刻む
「まずは一体だね!」
赤ずきんがどこか楽しそうにこちらを見て笑った。残りの一体が自分に攻撃をしてきた
「くっ……」
「ジョーカー、大丈夫?」
少し攻撃を食らってしまったがそれほど致命傷のものではなかった。
「───ペルソナァ!」
自分は仮面外してペルソナを召喚する。赤い四肢の人型に黒いシルクハットを被り、背に大きな翼を広げたペルソナ『アルセーヌ』。これが自分のペルソナだ
「───アルセーヌ!」
アルセーヌが右腕を振り払うと同時にメルヒェンが黒い衝撃波の攻撃で吹き飛ぶ。だけどどうやら、倒すまでには至らなかったらしい
「倒せてないけど上出来だよ!」
ジョキンッ!と赤ずきんが鋏で最後のメルヒェンを切った。ブシャァッ!とメルヒェンの切り口からピンク色の血が飛び出る
「いやー終わった終わった!」
そんなメルヒェンの返り血を浴びた赤ずきんは気にすることなく笑っている
「血が着いてるぞ?」
気付いてないだろうと思い自分は顔に着いた赤ずきんの血を指で拭き取る
「もう、そんな事しなくていいのに!」
赤ずきんが笑ってそう言ってきた。次からそんなことしなくていいよ、と言ってきたので自分は首を縦に振って頷いた
「それにしてもジョーカーのペルソナだっけ?この間の時より何か弱くなってない?」
「そうなのか?」
「うん、なんか威力が弱いって言うのかな。あの時は特別だったのかもしれないけど」
赤ずきんの言っていることがよく分からない。どういう意味だろうかと思っていると赤ずきんが動くように急かされた
何度かメルヒェンに遭遇するも見事撃退はしていく。一人では恐らく死んでいたかもしれないが赤ずきんがいるとなぜか心強さを感じた
奥へ奥へと進むた見知った場所が見えた。自分が閉じ込められていた牢屋だ
青くて薄気味悪い悪い壁に、ボロボロなベッド。そして申し訳程度に置いてあるトイレ。
「ここがジョーカーが閉じ込められていた牢屋か。見た感じ普通の牢屋だね。何か思い出せそう?」
赤ずきんの言葉に自分は牢屋の中を覗くように見る。これといってピンと来るようなものはない
「うーん、だめか。この場所にはもう用がなさそうだね」
赤ずきんの言葉を聞きながら自分は何かに気付く
「ジョーカー、どうしたの?」
赤ずきんに気付いた事を話す。ベッドの下に何か紙が落ちているのだ
「それが何か気になるの?」
コクリ、頷き肯定する。なぜかわからないが気になったら調べてみるというのが頭から離れない
「それっ!」
ジョキンッ!と赤ずきんが巨大な鋏で鉄格子を切った
自分は牢屋に入ってベッドの下にある紙を拾う
「何それ?何かの絵のようだけど……」
太い黒縁で描かれた丸の中に十字の線が描かれた紙。何かの暗示だろうか……けど、この紙……どこかで見覚えが……
この紙を見ていると何かを思い出せそうな……そんな感じがする……
自分が必死に紙と見つめていると、急に世界が変わる
「これはっ!」
赤ずきんが異変に気付き身構える。何が起こったか分からない自分はあたりを見渡した
「───ギィシャャャャャァァァァ!!」
どこからか怪物の叫び声が聞こえる。だが、あたりが白い霧に覆われていてよく見えない
「ジョーカー、逃げるよ!」
赤ずきんが自分の腕を掴み引っ張るように走る
「メルヒェン以上にやばいのがいるって話をしたの覚えてる!?」
赤ずきんが走りながらそう叫ぶ。恐らく自分に向かってそう言ってるのだろう
「それがナイトメアって言うんだけど!そいつはね現れるときはこんなふうに白い霧みたいなのが出てきて人間を追いかけるの!」
なるほど、それなら迎え撃てばいいのではと自分はそう赤ずきんに問いかけた
「そうはいかないんだよ!あの化物は死なないの!何度殺しても復活するの!要するに不死身の化物なんだよ!」
死んでも死んでも追いかけてくる化物となると確かに太刀打ちできない。それならば戦わずして逃げ切るのが最善だ
「───っ!?」
赤ずきんが角を曲がる。だけど、何かに気付いたように足を止めた
「どこかで道を間違えた!?くっ、こうなったらやるしかないか」
赤ずきんが振り返って巨大な鋏を構えた。
「いい、ジョーカー!ヤツの体の一部を破壊すれば動きが止まる!その隙に逃げるよ!!」
赤ずきんの言葉に頷くと同時にナイトメアも角を曲がってこちらにやってきた
巨大な身体にまるで白い布を被ってるようにも見える異形の化物だ
「───っ!」
ナイトメアが大きな水かきの腕を振り下ろす。
「───ぐっ!」
今までのメルヒェンよりも数倍強い。体の一部を破壊するよりも先にこちらの体が破壊されそうだ
「ジョーカー、やれる!?」
赤ずきんがこちらを心配してくれてる。自分はその言葉に頷いて立ち上がった
「───ペルソナ!そこだ!」
自分はアルセーヌを召喚し、ナイトメアに魔法を食らわす。ダメージこそないもののナイトメアの動きを遅延させる魔法だ
「はっ!」
赤ずきんご炎を纏った鋏で相手を斬る。だが、それでもヤツの動きは止まらない。今度は赤ずきんにナイトメアの攻撃が迫る
「くぅっ……!」
傷付いた場所を手で抑えナイトメアと距離を取る赤ずきん。怪我を治そうにもそんなアイテムは持っていない
自分は仕方なく、ナイトメアにナイフで攻撃する
「これはヤバいかもね!」
赤ずきんが息を切らしながらそう呟いた。
「ジョーカー、私が囮になるからその隙に逃げて」
「───!?」
今、赤ずきんがとてつもない事を言った気がする。囮になる?
「仲間を見捨てられない」
「それなら仲良く一緒に無駄死にするつもり!?」
ナイトメアが赤ずきんを襲う。なんとか赤ずきんはガードで凌ぎ切るけどそれがいつまで保つか分からない
確かにこれ以上はどうすることも……
「───がぁっ!」
なんとかその場に踏ん張っていると赤ずきんが息苦しそうに胸を抑えた
「───なに、これっ!」
ピンク色の炎が赤ずきんが覆う。なんだ、何が起こっている?
「───ァァァァァァァァ!!」
赤ずきんの衣服が弾け、巨大な鋏が左腕と合体していく。茶色かった髪が白髪へと変わっていき、ピンク色の炎が頭、右腕、両足へと移っていき形をなしていく。頭のピンク色の炎が黒い被り物になり、右腕、足へと移ったピンクの炎が異形なものへと変わっていく
「赤ずきん?」
「───きひっ!」
ピンク色の瞳にナイトメアが映った直後、ナイトメアが斬り刻まれた
「───!?」
流石にこの光景に驚かされた。先程まで自分たちが劣勢だった敵を赤ずきんの急な一変によってこの場を凌いだのだ
「───きゃははははははっっ!!」
なんとかナイトメアの動きを止める。だが、赤ずきんの様子がおかしい
赤ずきんがこちらを振り向く。その目に映るのはもはや普通のものではない
「───きゃはっ!」
赤ずきんの瞳には新たな獲物を見つけたとしか思っていないようだ
恐らくペルソナはアルセーヌ固定
スマブラの事故セーヌいつか来る(
補足:世界線は2だけど色々と歪められてます(