四糸乃マインド
四糸乃マインド
◇
目が覚めると知らない天井、知らないベッド、貫かれたはずの肩から胸にかけての傷もなくなってる。
そして何故か裸!!
隣にも裸の変態(美九)がいる。
黎「あ、ここ地獄か………」
どうしよう。大切なものを隣の変態に奪われていそう。
・・・・・・・・・殺るか。
それにしても現代医学でこの傷の治療は僕が知る中では不可能なはず。
でも体の感覚はあるってことは僕は死ね無かったんだ。
黎は自分の肩を撫で下ろしながら考えていると1つ大事な事に気がついた。
黎「あ、負けた」
そう、黎は自分が出したゲームで気絶してしまい負けたのだ。
まぁ、あの子達、異常なくらい五河士道を守るような動作をしていたからなー。
黎「とりあえず、ここを離れないと………………ここどこだっけ?」
とりあえず目の前のテーブルにあった水が入ったボトルとタオルがあったので、タオルに水を染み込ませ、そのタオルで美九の顔を縛った。
そして自分に付けられていた機械を全部外し床に落ちていた入院着を着てその部屋から出ていった。
しかし、思うように体が言う事を聞かない。
頭も痛い上に、立つ事も壁に手を付けながらでしか歩けない。
黎「左腕が上手く動かせない。完全に治った訳ではないのか…」
廊下を歩いていくと曲がり角からパーカーのポケットに手を入れながら不機嫌にしている女の子が歩いてくる。
七罪である。
こちらに気付いたのか何かブツブツ言いながら早歩きで黎の目の前まで来た。
七罪「アンタのせいで…アンタのせいで四糸乃が!!」
胸ぐらを捕まれ、顔を引き寄せられ殴られた。
その後、馬乗りにされ殴られ続けた。
しかし、痛くないとても非力な拳だ。だが、自分が殴られている理由は理解出来た。
今自分の中にあるザドキエル・リオンが安定していないことで器のだけの四糸乃に何かが起きているのだろうと。
殴りながら「アンタのせいで!アンタのせいで!」とずっと言い続けた。
七罪の目からは大粒の涙が黎の顔に落ちていく。
1分くらい殴り続けられたのち黎は右手で七罪の拳を受け止めた。
黎「どいて…」
七罪「離して!」
黎「離すからどいて」
七罪「離せって言ってるでしょ!!」
黎「仕方ない…」
体を丸め両足で七罪の体を固定し自分から無理矢理剥がした。
黎「とりあえず今の状況を教えて」
七罪「嫌だ」
黎「そう…。なら、もう構わないで」
七罪「誰のせいでこうなったと思っているのよ!!」
黎「わかっているさ。僕のせいであの青髪の少女が危ない目にあっているのだろう?だから現状を聞こうとした。だが、君は断った」
さっきの七罪の声が廊下中に響き渡ったせいか士道と琴里が曲がり角から走って来た。
士道「目が覚めたのか!黎」
黎「おはよう五河士道。そして、どうして死なせてくれなかったの?」
琴里「あなた、自分の命をなんだと思っているのよ!?」
黎「そうだね~。例えるなら捨て駒?」
この一言に今ここにいる3人は黎が元々生きる気がないと言っているようにしか聞こえなかった。
士道「お前正気か?!」
黎「僕は正気さ。それで、現状はどうなってる?」
琴里「お陰様でパニック状態よ。今DEMの本部に突っ込もうとしているところ」
黎「そう、わかった。あ、五河士道ゲームの勝ったら何でも願いを聞くって言ってたけどどうする?」
士道「今はそれどころじゃ」
黎「まあ、わかってるよ。じゃあね」
琴里「じゃあねってあなたどこ行く気よ!」
黎「ここを出て行く。出口どこ?あれだったら穴開けて出るけど?」
琴里「じょ、冗談わよね…?」
黎「僕がそんな冗談を言うような人に見える?」
琴里「見えない訳でもないけど…。あなた今自分の体がどうなってるか理解しているわけ?」
黎「左腕が痺れてるくらい?」
琴里「あなたの体はもうボロボロなのよ!?もう、そうやって立っていられるのが不思議なくらいよ」
士道・七罪「……!!」
黎「それだけ?なら、ここから出て行くけど?」
琴里「こちら側としてもあなたを外に出す訳にはいかないわ」
黎「そう、それで?結果的にそれを決めるのは僕だけどね。<イザヤ>……」
静かに唱えると銀色の霊装を纏った。
琴里「わかったわ。ついてきて外に出してあげるから」
士道「いいのか?」
琴里「フラクシナスを壊されるよりはマシよ。黎、ついてきなさい」
琴里は転送装置の所に案内するために長い廊下を歩き始めた。
黎「それで、五河士道さっきの答えを聞こうか」
士道「あ、あぁ、黎、今の一件が終わったらデートをしよう」
黎は士道の言っていることが分からず目を丸くした。
黎「は?」
士道「だから!で、デートをしようって言ってるんだ」
黎の目は一瞬にしてゴミを見るような目に変わり士道との距離をとった。
士道「なんで離れるんだよ!?そしてゴミを見るような目で俺を見ないでくれるかな!?」
黎「いや、ただの女たらしのクズとは思わなかった。あ、ごめんクズに失礼だったね」
士道「俺は更にうえなのかよ!?」
琴里も七罪も士道を見るなり「まぁ、言われて当たり前か」と言うような視線を士道に送った。
士道「2人もそんな目で見ないでくれ!!」
琴里・七罪「いや、だって士道だし」
黎「三対一で五河士道は女たらしのクズ以下であるに決定」
士道「もう好きにしてくれ…」
肩を落としながら士道は3人の後をついて行く。
数分後。
琴里「着いたわ。今開けるから少し待っていて」
周りを見渡すとリアライザーやCRユニットなどが置かれていた。
士道「ほんとに行くのか」
黎「うん。あと、デートは来週の水曜日の朝10時に駅前」
士道「わかった」
琴里「開けてきたわ」
黎「またね」
七罪「もう来るな」
黎「あ、あと、あの変態ほっといたら死ぬから」
そう言うとユニットの専用の出入口から飛び出て行った。
士道「変態?……………………あ!!美九!」
士道は走って黎が眠っていた病室に向かった。
病室の扉を開けると濡れたタオルで顔を縛られた美九がベッドから落ちていた。
士道「あいつ!美九を殺す気かよ!」
黎は「正当防衛」とか言いそうだけど。
◇
黎「いやー。出てきてみたはいいものの。まさか上空数百メートルからのスカイダイビングになるとは」
そう今、僕はフラクシナスから出たあと、そのままスカイダイビングをしている。
黎「とりあえず、あの人探すか」
とりあえず、適当にビルに着陸するか。
黎「よっと」
後ろの水タンクの影に誰かいる…。
黎「いるんだろ?時崎狂三」
こんな都合良く見つかるとは思っていないけど、ダメもとで誰もいない中で話し出した。
黎「例の始源の精霊の討伐手伝うよ」
狂三「あらあら、そう言って頂いき感謝しますわ」
そう言うと狂三は水タンクの後ろから姿を見せてきた。
黎「本体?君」
狂三「違いますわ。今から案内しますのでついてきてくださいまし」
◇
~DEM第二日本部署地下5階~
四糸乃「ん…ん?」
目を開いて周りを見渡すも真っ暗で何も見ることが出来ない。
でも一つだけ、分かることがある。
四糸乃「よし…のん?……よしのん…どこ?よし…の…んよしのん…よしのん…」
四糸乃の目にはじんわりと涙が浮かんでいく。
すると部屋に灯りがつき、天井からモニターが現れた。
部屋の大きさは学校の教室の半分ないくらいの大きさである。
四糸乃「よしのん…よしのん…」
頬を流れる涙を手で拭いモニターに目をやると映像がながれ始めた。
流れる映像は、全て人が殺されるものであり、悲鳴や嗚咽、断末魔が部屋中に響き渡る。
四糸乃「<ザドキエル>!」
しかし、天使も限定霊装も発現しない。
四糸乃「どう…して…」
四糸乃のセフィラの中は空っぽであるのを本人は気づいていないからだ。
四糸乃「やめてください…やめてください…やめてください…やめてください…やめてください…やめてください。十香さん、琴里さん、耶倶矢さん、夕弦さん、美九さん、七罪さん、折紙さん、二亜さん、六喰さん、よしのん、士道さん…助けて…ください…」
四糸乃は両耳を塞ぎ断末魔が響き渡る中「やめてください…やめてください」と訴え続けた。
◇
黎はとある古びているが豪邸と言ってもいいぐらいの二階建ての屋敷に連れていかれた。
狂三「着きましたわ」
黎「でかい」
狂三「わたくしが待っておりますので早く中へ」
黎「わかった」
狂三に案内されながらリビングの前に連れていかれた。
狂三「ここですわ。それではわたくしはこの辺で」
黎「案内ありがと」
ドアノブをガチャりと捻り入って行くとソファに腰をかけている狂三がいた。
狂三「久しぶりですわね黎さん。どうぞお腰をお掛けくださいまし」
そう言われ、向かいのソファに座った。
黎「久しぶり、時崎狂三」
狂三「あなたが来たということは協力して頂けると言うことでよろしいですわね」
黎「うん。でも条件が4つある」
狂三「条件ですの?」
黎「1つ目は、四糸乃?とか言う少女をDEMから救出するのを手伝うこと。
2つ目は、来週の水曜日五河士道とのデートがあるその日は僕に干渉しないこと。
3つ目は、バイトしているからそのままやらせて欲しいということ。
4つ目は、これまで通り僕は暗殺を続けるそれの邪魔をしないこと。これが条件」
狂三「後半2つは別に言わなくてよかったのですが…」
黎「そう。あと、ここってさ君の家?」
狂三「まぁ、拠点ですしそう言われると家ですわね。この拠点を自由に使って頂いて構いませんわ」
黎「ありがと。じゃあ庭弄らせてもらうよ」
狂三「構いませんわ」
黎はリビングを飛び出し庭に向かった。
黎「レンガで囲ってあるのか…。土は」
土を手に取り触る。
黎「ほぐせばまだいけるね。あと、肥料があれば良いのだけど…」
周りを見渡す限り落ち葉の1枚も落ちていない。
黎「どうしたものか…あ!」
黎は庭の縁に木造の倉庫のようなものを発見し、走り出した。
倉庫の大きさは僕と同じくらいか。
黎「開けるか」
開けてみると肥料やスコップに植木鉢、といった具合に必要なものが揃っていた。
黎「これならやれる」
~数十分後~
黎「土もいい具合にほぐしたし、後はこの喫茶店のマスターからもらった薔薇の種を埋めて肥料を撒いて水をかけて終わりっと」
あれ?なんか忘れて~・・・・・あ、あの女の子の救出しなきゃ。
狂三「終わりましたの?」
黎「まぁ、一様は」
狂三「では、さっさと厄介事を終わらせに行きますわよ」
黎「は~い。あと帰りに前の拠点のテント畳んでくるから」
狂三「分かりましたわ」
◇
~フラクシナス司令室~
クルー5人と琴里は四糸乃の安否確認のため詮索を続けていた。
士道達は仮眠室で休息を取っている。
マリア「微弱ですが霊力を感知する事が出来ました」
琴里「それじゃあ、まだ反転はしていないのね。なら…」
マリア「ですが、予想していた本部ではありません」
琴里「なんですって?!じゃあ何処なのよ!」
マリア「数ヶ月前、十香が反転した時に破壊した日本部署の地下です」
琴里「あそこに地下が?」
マリア「はい。あります」
琴里「マリア!目的地を本部から元日本部署に変更!」
マリア「わかりました。それと、必ず戦闘になるので琴里も戦った方が良いのでは?」
琴里「えぇ、最初からそのつもりよ。さぁ、私達のデー…」
マリア「私達の戦争<デート>を始めましょう」
琴里「ちょっとマリア!私のセリフ取らないで!」
マリア「たまには良いでは無いですか、たまには」
琴里「へ~たまにはね~」
半目になりながらモニターを見つめる琴里、しかしマリアはフラクシナスそのもののため何を使用が言おうが意味は無い。
マリア「あと、黎についてなのですが」
琴里「彼女がどうかしたの?」
マリア「はい、映像と黎と言う名前から彼女の素性を知らべた所、彼女は黎ではありません」
琴里「じゃあ誰よ」
マリア「彼女の名前は多加音無月、そして妹に多加音黎という人物がいます。ですが多加音黎も多加音無月も4年前に消息不明になりました」
琴里「あの子に妹がいるなんてね。それに何故、自分の名前ではなく妹の名前を名乗っているのかも気になるわね」
そう言いながら胸ポケットに入っていたチュッパチャプスのビニールを外し口に運ぶ。
マリア「彼女達の家族は、母親は黎を産んだ4年後に他界し、その後は父親と3人暮らしだったみたいなのですが…」
琴里「何か問題でも?」
マリア「はい、2人は父親から虐待を受けていたようです。警察や教育委員会にもこの事は伝えてるようです」
琴里「虐待か……精霊になった原因は多分それね」
なんか、黎いや、無月のやっていることを考えると昔の折紙と近い何かを感じる……。
琴里「とりあえず、士道にこの事を伝えて頂戴、私は少し仮眠を取るわ」
マリア「はい、目的地付近になったら仮眠室のスピーカーを大音量で鳴らします」
琴里「それ!ただの嫌がらせよね!?まぁ、いいわおやすみマリア」
マリア「はい、おやすみなさい琴里良い夢を」
この後大音量でマイ・リトル・シドーの主題歌が流れ、寝ていた全員がベッドから飛び起きたのであった。
◇
~DEM元日本部署地下5階~
四糸乃は、既に感情を閉ざそうとしている。
これ以上、この映像や声を聞いていたら自分が自分でなくなってしまうと思ったからだ。
でも、士道達が自分を迎えに来てくれる、それを信じるしか今の自分が理性を保っていられない。
音が止み目の前のモニターを目をやる。
四糸乃「終わっ……た?……」
モニターの映像が変わりさっきまでいた森が映し出される。
四糸乃「これって………さっきの…」
すると視点が変わり、よしのんを片手にもう片方の手にはレイザーブレイドが握られていた。
四糸乃「や、やめて…ください!それだけは……よしのんだけは…」
目に涙を浮かべる四糸乃。
次の瞬間、エレンは無言でよしのんを切り刻んだ。
よしのんが切り刻まれると同時に四糸乃の中で何かが壊れていく、それが何か分からないでも誰か大切な人から受け取った大切なものを壊されていくような喪失感が四糸乃を襲う。
四糸乃「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁ、う、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あ、、」
体からどんどん力が抜けていき、その場に膝まづく。そして頭の中が真っ白になっていく。
四糸乃の周りに黒い雪が降り始め、黒い雪が四糸乃の体にも振り積もっていく。
そして、意識が遠ぞいていく。
黒い雪はやがて四糸乃が見えなくなるまで積もりちょっとした黒い雪山ができた。
~元日本部署モニタールーム~
エレン「あまり期待していませんでしたが、予備電源が起動してよかったです」
半目をしながらウェストコットを見つめる。
ウェストコット「始まったようだね。後は頼むよ2人とも」
エレン・アルテミシア「はい」
ニベルコル達「お父様、私達は~?」
ウェストコット「そうだね。ラタトスクの精霊とナイトメアとアサシンの足止めを頼もうかな」
ニベルコル達「はい~。お父様はどちらへ?」
ウェストコット「少しアサシンと話してみようと思ってね。いくよ我が娘達」
さぁ、どうするイツカシドウ今回はプリンセスの時みたいにはいかないよ。
END