狂三と黎は、元いた拠点を離れ四糸乃が囚われている元日本部署、上空にいた。
黎「便利だね。君の分身能力」
狂三「黎さんもウリエルでやっていましたわよね?」
黎「見てたんだ。確かにウリエルで分身体を作ることはできる。でも、ウリエルは夜にしか本来の力を出せない」
狂三「時間限定の力ってことですわね。でも、あなたはもう1つ天使があるでは無いですか」
黎「ルシフェル…か。あれは、力と引き換えに記憶が奪われる」
狂三「記憶…」
わたくしの様に誰かから貰うというようなことが出来ないと…。
黎「でも、消えて辛い記憶なんてあまり無いから別にいいんだけど」
狂三「あなた、軽すぎませんこと?!」
黎「そんなことよりお出迎えが来たよ」
ニベルコルA「へー気づいてたんだー」
ニベルコルB「見られてたってこと?ストカーみたいでキモーい」
黎「その言葉、そっくりそのまま返すよ。<ウリエル>!!」
狂三「面倒ですわ。空間震で一掃しますわ。黎さん、わたくしを含めて防御できる…」
黎「あるわけないでしょ」
黎は何おバカなことを言っているんだといわんばかりの目で狂三を見つめる。
ウェストコット「いやぁ、はじめましてだね。アサシン」
黎「狂三、アサシンって何?」
狂三「あなたの精霊としての識別名ですわ」
黎「人として見られてないことだけはわかった。それで君は何用だい?」
ウェストコット「いや、何少し提案をね」
黎「提案?」
あーまたこの流れか、これで2度目か。話に入る前に浮いてる子達(ニベルコル)を消し炭にして中に入ろ。
狂三「黎さん、あなた顔が怖いですわよ?」
黎「よし。決めた時崎狂三、離れてて」
狂三「え?」
黎「あの浮遊してる奴らごと消し炭にする。<ウリエル>……ラストジャッチメント!」
黎の後ろに光が集まり数千人くらいの光の弓兵が出現した。
狂三「ちょ……」
黎「ギルティ!!」
◇
~フラクシナス司令室~
士道達は仮眠室のスピーカーで大音量で流され叩き起こされた後、司令室に集められた。
琴里「今回、四糸乃奪還作戦は私、十香、士道、折紙、耶倶矢、夕弦、美九、真那で乗り込むわ」
士道「大丈夫なのか?琴里」
琴里「えぇ、大丈夫よ」
六喰「むくが、力になれなくてすまぬ」
士道「気にするな。あれは仕方無いから」
ピーピーと艦内にアラームが鳴り響く。
令音「強大な霊波を観測した。この霊波は恐らく黎だろう」
琴里「あの子もあそこにいるってこと?」
令音「そうなるね。マリア、映像をモニターに出して貰えるかね?」
マリア「分かりました。こちらになります」
モニターに映し出されたのは体を穴だらけにされたニベルコル達と黎、狂三、ウェストコット、の3人だった。
士道「まさか、黎がいるなんてな。あいつもあいつなりに責任を感じてるんだな」
折紙「どうだろう。黎はただ魔王を手に入れようとしてるだけかもしれない」
琴里「それもありえるわ。でも、映像からすると今は黎と狂三はこちら側に手を貸してくれるはずよ」
チュッパチャプスをピコピコ動かしながらそう言う琴里に対して、ついに七罪が口を開いた。
七罪「そんな訳ない」
士道「七罪?」
七罪「そんな訳ない!!あいつは、あいつは!」
琴里「確かに七罪が思っていることは分かってるわ。でも、これを見てもそう言えるかしら?」
琴里は、上着のポケットからバラバラになったはずのよしのんを取り出した。
士道「琴里が直したのか?」
琴里「違うわ。直したのは黎よ。マリア映像を」
マリア「はい」
士道達には、その言葉が嘘のように思えたが映像を見たら琴里の言う通りだった。
フラクシナスから出る直前、リアライザやCRユニットの所にある、机の上に置かれていたバラバラにされたよしのんを銃で打ち修復した。
それは、以前士道が見たことがあるザフキエルのダレットであることが分かった。
ダレットは対象の時間を戻す。それならよしのんの修復も可能だと黎は思ったのだろう。
令音「彼女も、彼女なりに責任感じているのだろう」
士道「七罪、黎にも自分が原因でこの状況を引き起こしてしまった。それが分かっているからここを出る前に現状を聞き、四糸乃を助けに向かった」
琴里「七罪、信じられないかもしれないけど今、目の前に映し出されてるのが事実よ」
頭を思いっ切り掻きむしりため息を一つついた。
七罪「分かった。でも、私も行く」
琴里「何を考えているの!今のあなたには天使も限定霊装を纏える霊力もないのよ!」
七罪「だとしても!私は行く。四糸乃の所に、後悔なんてしない!!」
七罪の四糸乃を助けようとする意志と覚悟はここにいる全員の中で1番強いであろう。
二亜「カッコイイこと言ってくれるね~なっつん」
琴里「だとしても!行かせる訳には…」
七罪「ラタトスクは、精霊の積極的な要望は叶えるって言ってたわよね」
琴里「それは、それよ!」
士道「琴里…もう、諦めよう。今の七罪は誰にも止められない」
琴里はため息を一つつき話し出した。
琴里「いいわ。私、十香、折紙、士道、七罪で地下に、美九、耶倶矢、夕弦、真那は狂三と黎の援護それでいいわね」
耶倶矢「え~また、あいつ(黎)と一緒なの~?」
夕弦「拒否。彼女とは協力したくありません」
琴里「文句言わない!緊急事態なんだから!」
士道「じゃあ、行くぞ」
◇
~地上~
黎の天使の攻撃が地上に降り注ぎ、建物が崩壊したり、至る所にクレーターができた。
黎「よし!終わった!」
狂三「馬鹿じゃありませんの?!軽く数千人が死ぬレベルの災害を起こすなんて…。もう、頭が痛いですわ」
この方、そのうちわたくし以上に人を殺す気がしてきましたわ。
黎「いや、もう多分君以上に殺してるよ」
狂三「人の考えていること読まないでくださいます?」
黎「まぁ、それはいいとして悪い知らせが一つある」
狂三「なんですの?」
黎「ザドキエルの権限が完全に離れた」
狂三「反転しましたわね」
黎「だね」
その時、地面からドーンと大きな音を立てながら黒い氷柱が生えてきた。
狂三「黒い氷柱…」
ウェストコット「そろそろ私も入れて貰えるかね?」
黎「まさか。今ので生きてるなんて、しぶといね」
まぁ、生きてても死んでても関係ないけど。
黎「それであれは、どうすればいい?」
狂三「どうしろと申されても士道さんが再度封印して止めるか、それかいつも通り殺すか」
再び地面から大きな地鳴りのような音が鳴ると地下からエレンとアルテミシアが出てきた。
黎「時崎狂三、僕は先にあの青いヤツ殺してくるからここ任せていい?」
嫌気が指したのか狂三は、「好きにしてくださいまし」と短く答えた。
その言葉を聞き届け、アルテミシアのもとに向かった。
エレン「プリンセスの時より攻撃は軽いですがかなりトリッキーな攻撃をしてきますね」
アルテミシア「でも…」
黎「はあぁぁぁぁぁ!!」
アルテミシア「え?」
後ろを振り向くと鎌を長く持ちこっちに向かってくる黎がいた。
そしてレイザーブレイドとルシフェルが激しくぶつかり合う。
アルテミシア「生きてたんだ」
黎「君に恩返しをしようと思ってね!」
そう言いながらルシフェルでアルテミシアを押し返した。
その時、地面から黒く大きい何かが飛び出してきた。
???「君達、消えてくれないかなぁ~?」
その姿を見た途端、黎の背筋は凍りついた。
それもそのはず、それは見た目こそ四糸乃であるが髪は白く衣装は黒く不気味な笑みを浮かべていた。
まるで狂人でも目の当たりにしているようだ。
士道「黎!」
振り返るとそこには士道、七罪、折紙、十香、琴里の5人が立っていた。
黎「あ、たらし」
士道「・・・・・・」
琴里「それより、あれは四糸乃?」
???「やっほー琴里ちゃ~ん?」
今の口振りからここにいる5人が今の四糸乃は四糸乃では無いことがわかった。
そしてそれが誰なのかも。
士道「まさか!よしのんなのか?」
よしのん「そうだよ~?よしのんだよ~」
十香「よしのん、なら四糸乃は!」
よしのん「いるよ~。こ・こ・に」
そう言うと黒いモヤのようなものがよしのんの手に巻き付きよしのんの手の中に小さなパペットが現れた。
士道「それが四糸乃なのか?」
よしのん「そうだね~。でも、もう、士道くん達は四糸乃達に関わらないで」
士道「え?」
よしのん「士道くん達は、四糸乃を守ってくれなかった。よしのんもあの姿だから何も出来なかった。けど、今ならよしのんだけでも四糸乃を守れる」
士道「あの時は…」
よしのん「士道くんが言いたい事は分かるよ?でも、よしのんならいつでも四糸乃を守れる。それと君~」
よしのんは黎を指さし、その指先から氷柱を形成させ、黎に向かって放った。
黎「なんの!」
黎は向かってきた氷柱をルシフェルで斬った。
だが、斬ったルシフェルは段々凍りついていった。
黎「どうして?!僕は氷柱を確かに斬ったはず!」
ルシフェルから手を離すも凍る速度が早まり数秒で右半身を凍らせた。
黎「く…動けない…」
どうあがいても、体は1ミリも動かせない。
よしのん「黎ちゃん?とか言ったよね~?四糸乃を虐めた罪、償って」
今度は巨大な氷柱を放った。
士道「よしのんやめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
黎「ミカエル…」
ダメだ、間に合わない!!
琴里「<カマエル>!!メギド!」
炎の弾は氷柱に当たり粉砕した。
琴里「あなたにしては、少し暴虐的過ぎないかしら?」
よしのん「も~邪魔しないでよ~琴里ちゃ~ん」
琴里「そういう訳にもいかないわ。精霊の保護がラタトスクの仕事だから」
士道「あの時は、悪かった。お前が俺達を恨む気持ちも分かる。俺だって後悔した、だから……次に活かす、だから俺を、俺達を信じてくれ。よしのん」
よしのん「……………」
エレン「それは、無理ですね。私達がその魔王を頂くのでついでにアサシンも」
十香「貴様は、私が相手だ!」
エレン「久しぶりですね、プリンセス。あなたとやり合うのは、あなたを始末してからでも遅くはないので」
黎「僕はついでか。ほんとに動けない、なら<ウリエル>」
黎は左手に黄金色の忍者刀を形成した。
アルテミシア「させない」
折紙「<メタトロン>ーマルアク!」
アルテミシア「邪魔しないでくれないかな?」
折紙「あなたの相手は私」
黎「<ウリエル>…クリッシュテ!」
これは僕が、引き金を引いてしまったから始まった。だから、これは、僕の問題なんだ!
だから、僕がこの事を終わらせる。
光が集まり数体の分身が生まれた。
黎「直ぐに、この氷を破壊して!」
分身は、静かに頷き光のハンマーを形成し、数秒で氷を破壊し、抜け出した。
黎「あの時は悪かった。許してくれ、なんて都合の良いことは言わない。だけど、その子の仲間を信じてあげてくれ」
そう言うと黎はウリエルを消滅させ、その場に膝まづいて、土下座した。
士道・琴里「黎……」
確かに、四糸乃が反転してしまった原因は黎にもある。
でも、ここまでするとは、考えていなかった。
黎「僕に何をしようが構わないだけど、今の僕も五河士道も君を助けるためにここに来たんだ。それに君は五河士道の意思を無視して、自分だけでその子を守るのか?」
よしのん「…………」
黎「君はその子の意思を無視して、そんなことができるの?黙ってないで答えて!」
黙り込むよしのんに対して、黎は強気な口調でそう言い放った。
よしのん「言いたい事はそれだけかーい?じゃあ、さよならー」
黎「この!わからず屋がぁぁぁ!ウリエ…」
急に肺を締め付けるような痛みがはしりその場に膝まづいた。
ここで動けなくなるなんて…僕は運が悪いな…。
黎はアルテミシアから受けたダメージが完全に回復しきってないのに戦闘をしていたため、左半身が上手く動かなくなったのだ。
士道「黎!!」
◇
~上空~
狂三達がニベルコルと戦闘を繰り広げていた。
狂三「全く…きりがありませんわね」
ウェストコット「素晴らしい戦いぶりだねー。ベルセルク、時崎狂三」
耶倶矢「あいつ、いちいち腹が立つ言い方をするわね」
夕弦「同感。夕弦もです」
美九「えぇ~。私はこのままでもかまいませんよぉー?」
美九に関してはニベルコルと戯れたいだけである。
いっその事美九だけをこの場に置いて士道達のところに向おうか悩んだ3人であった。
十香「はぁぁぁぁぁぁ!!」
エレン「流石ですね。プリンセス」
エレンは一度、十香と距離を取った。
十香「お前達に四糸乃は渡さん!!」
十香は、更に追撃をしていく。
その時、よしのんがいた場所から全方向に向けて巨大な氷柱が放たれた。
耶倶矢「なんかきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
夕弦「回避。危ないです」
アルテミシア「おっと」
折紙「ちっ」
向かってきた氷柱は見事に避けたが、上空を浮遊していたフラクシナスに直撃し煙が出ていた。
狂三「わたくし達はよけれましたけれども、船の方は当たりましたわね」
◇
~地上~
よしのんの1番近くにいた黎は今の攻撃で倒したとよしのんは思った。
爆風によって起こされた煙が晴れていくと、そこにいたのは黎では無く、七罪であった。
黎は数メートル離れた所に倒れていた。
だが、七罪の横腹を氷柱が貫通してしまっていた。
黎「どう…して…」
七罪の元に駆け寄る士道と琴里。
士道「七罪!しっかりしろ!」
琴里「今すぐ、フラクシナスで回収を…」
何度もフラクシナスに対話を試みるも繋がらない。
琴里「こんな時に故障?ふざけないで!」
黎「どうして助けた…。訳が分からない」
頭を抑えながらとぼとぼ七罪のところに歩いてくる。
黎「どうして助けた…?」
七罪「あんたが…初めて会った時のこいつ(士道)に似てたから…」
黎「馬鹿か!君は。君は死なせない。五河士道、僕はこの子を助けたいだから力を貸してほしい」
士道「あぁ、わかった!」
黎「本来のあの子の意識を引き出す」
琴里「それじゃあ、七罪が…」
七罪は、琴里の袖を掴み「大丈夫…だから」と答えた。
どうやって四糸乃の意識を引き出すつもりなのか。
黎「直ぐに終わらす。<イザヤ>…<ミカエル・リオン>!」
確かにミカエルでなら引き出すことが可能かもしれない。
でも、一か八かの賭けね。
よしのん「どうしたのー?七罪ちゃんを諦めるのー士道くぅーん?」
士道は、無言でよしのんの方に歩いていく。
そして、閉ざしていた口を開き話始めた。
士道「いや、諦めない。だからみんなで帰ろう」
よしのん「ほんと士道くんてばしつこいんだからー」
黎「トランスウェーソ!!」
よしのんの背中に孔が形成され鍵先がよしのんの背中に刺され回された。
その瞬間、よしのんの髪が白から水色になっていき、霊装も共に空気に溶けていき元の四糸乃に戻った。
士道「ここからどうするんだ?」
黎「再び僕の方にザドキエルの権限が戻ったから後は…」
黎は七罪に近づき、無くなった横腹に触れるとそこを凍らせた。
黎「表面は凍らせて、血管が無くなっている部分は、血液が通るように道を作って切られて方に繋いだ。余り冷たいとほんとに死ぬから凍らせた場所は長くて2分しか持たない。だから早く連れていって」
そう言うと黎は背を向けた。
士道「黎…。ありがとう」
黎「いや、君に礼を言われても困るんだけど」
その時の黎は少し顔を赤くしていたように思えた。
◇
~上空~
ウェストコット「引き上げるとしよう。ハーミットも元に戻されてしまったようだし、またの機会にしよう」
ニベルコル達「はーい」
まさか、アサシンがイツカシドウに協力するとは、ベルゼバブにも記されていなかった。
魔王に匹敵する力を持つ天使いや、あれは堕天使と言う方がいいかな。
エレン「アイク、まだ反転体を回収できておりませんが」
ウェストコット「構わないさ。チャンスなんていくらでもある。それに、あの魔王は余り強いとは言いがたい」
エレン「そうですか。引き返しますよアルテミシア」
アルテミシア「わかった」
アルテミシアはエレンとウェストコットの元に行くが十香と折紙がそれを許すわけもなく追撃する。
十香「サンダルフォン!」
折紙「メタトロンーシュメッシュ!」
だが、ニベルコル達が肉壁となり、攻撃は防がれた。
その後、ウェストコット達はその場から去ったが、フラクシナスとの連絡が着かなく、琴里が抱き抱えながらフラクシナスに連れていきそれを追うように士道達もフラクシナスに向かった。
黎「長いようで短い戦いだったね」
狂三「そうですわね。でも、もうすぐ夜が開けましてよ」
黎「だったら、日が昇るまで話さないかい?」
狂三「いいですわよ」
黎「君は、なんで精霊になったの?」
狂三「また、急な質問ですわね。まぁ、共に戦う以上知る権利くらいはありますし…」
黎「早く話してよ」
狂三はため息を一つつき自分の過去の事を話した。
黎と同じように大切な人が死んでしまった過去を…。
黎「ごめん…。傷口を抉り返すような話させて…」
狂三「構いませんわ」
2人はボロボロになった街を見渡し、そのまま日が昇るのを言葉を交わさず待った。
end