#デート・ア・オルタナティブ
無月インデート上
◇
四糸乃をDEMから奪還し、約1週間が過ぎた。
今日俺は、多加音黎もとい多加音無月とデートする。
狂三からの入れ知恵が少し怖いが仕方ない。
『士道。黎いや、無月をあまり刺激しないことまた前みたいに逃げられたら探しようが無いんだから』
いつも通り、右耳につけてある、インカムから琴里からの注意事項を言われ、待ち合わせ場所である、駅前にきた。
「まだ、来てないのか?」
10分後。
無月は、まだ来ない。
まさか、寝坊か?約束を破るような奴には思えないし。
『士道!無月が見つかったわ』
「場所は?」
『あー、それがね?駅は駅でも、天宮市のじゃないのよ』
「え?じゃあ、どこに?」
「名古屋駅よ」
「は?・・・・は?!名古屋?!」
場所が遠すぎて理解が追いつかなかった。
「なんで、名古屋なんだよ!あ…」
そう言えば、無月は「駅前に10時ね」としか言っていなかった。
『常識の斜め上いったわね。とりあえず、フラクシナスで回収して名古屋まで送るから』
「もともと、デートする気無いのか?あいつ」
◇
懐かしい、何度も見てきた街並み、変わらず美味しいモーニングセット。
駅の中にある、喫茶店で朝食を取る黎。
「あ……名古屋って言うの忘れた。ま、いっか」
久しぶりに戻ってきた故郷。まぁ、たった3年しかたっちゃいないけど。
交通機関なんて利用しなくても飛んで行けばどこでも行けるし天使って便利だなぁ~。
「さてと、混んできたし出ますか」
出入口前のレジ行き会計している最中後ろから、「見つけた!」と聞き覚えのある声がし、振り向くとそこには、息を切らせた様子の五河士道が立っていた。
「あ……」
とりあえず、会計を済ませ店を出た。
「ストーカー?」
「んなわけあるか!」
「何も言わずにここに来たんだけど?」
琴里『士道。選択肢が出たわ』
1お前が何処に居たって俺はお前を見つけ出せる。
2フラクシナスで送ってもらった。
3狂三に行先を教えてもらったんだ。
「ちょっとマリア!もう少しマシな選択肢を…」
マリア「出ませんでしたので私が出来る限りで考えました」
「まぁ、100歩譲って1はいいわ。問題は2と3よ!」
インカム越しで、マリアと琴里の選択肢の言い争いが今の俺にとってそれが一番困る。
「あ、あれ?黎さん?」
目を離したら今まで目の前にいたはずの黎はいなく電車の切符を買いに行っていた。
「おーい、待ってくれよー黎ー」
「はい、君の切符」
「あ…ありがとうってどこに行こうとして…」
黎は目の色を変えこちらを睨みつけた。
「黙れ」
黎の気迫に押され黙り込むことしか出来なかった。
そのまま、黎の後をついて行き
電車に乗り込んだ。
「最初に言っておく。僕は君みたいな理想だけでしか物事を見ることが出来ない君が嫌いだ」
「あぁ、分かってる」
『士道、とりあえず機嫌でも取っておきなさい?今の好感度美九の時より低いから』
「あと…」
黎は士道の右耳からインカムを取り上げ、自身の右耳に付けた。
「ウザいよ?それと次は君だから」
それだけを言い、インカムを破壊した。
次は君だからの意味は既に分かっていた。ザドキエル、ハニエル、ミカエル、に続きカマエルを奪うつもりなのだろう。
「いつから知ってたんだ?」
「初めて会った時から」
そんな前から……いや、良く考えればそうだ。初めて会う前から黎が見えないはずの衛生カメラを破壊した。
多分、インカムも同じ仕組みで作られてるから分かったんだろう。
◇
電車に揺れながら一時間、俺達は言葉を交わすことなく目的地の場所の到着を待っていた。
うとうとしていた時、電車が止まり、黎が電車から降りた。
「ちょっ…待てよ!」
電車の出入口から出ようとした時。
「早く、多加音 無月を殺しなさい。でないと、君はこの世界と大切なものを全て失うことになる」
「え…?」
言葉を返そうとしたが電車は閉まり動き始めた。
窓越し、ではあったが出入口付近にはフードを被った人がいたのは見えた。
「全て失うって…」
電車の人に夢中になってる場合じゃない!早く黎を…。
「見失っちまった…」
インカムは破壊されたし、見つけるの時間かかるぞこれ…。
駅のホームから出ると複数の野良猫に群がられている黎の姿があった。
黎がぷるぷる震えている。なんか、見てて面白いからこのままでも…。
黎もこちらに気づいたようで鋭い視線をこちらに向けてきた。
今にも殺してやろうかと言わんばかりの目をしている。
「あ…なんか、すいません…」
その場から遠ぞこうとしたところ。
「見ていないで助けろ。猫だらけで足場が無い」
「あ、はい」
こうして、移動だけで一日のうち半分が終わって行った。