創造神が行く幻想の世界   作:しぐれ水天丸

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今回は聖視点です。
回想シーン多めです。


PART.36 昔話

私は聖白蓮。この命蓮寺の住職です。先ほど武志さんを叱っていたらどこからか矢が飛んできて果たし状が届きました。そこには交渉をしようと書かれていましたがおそらくどちらにせよ私の妖怪たちは退治されてしまうでしょう...。私は妖怪たちを守るべくとある作戦を思いつき、皆様に話しました...。そして各自解散させたあと、私は武志さんに呼ばれて今、1対1で向かい合っています。

 

「武志さん、何の御用でしょうか。」

 

「なんてことは無い。ただ少し聞きたいことがある。」

 

聞きたいこと...何でしょうか。

 

「いいですよ。何でも聞いてください。」

 

「いくつか質問があるんだが、一度に言っていいか?」

 

「勿論いいですよ。」

 

「なら単刀直入にいこう。貴方は一体何なんだ?そしてあの力は一体何なんだ?あの村紗の時に使った光り輝く船や、錨を片手で受け止める力。あれはただの僧侶や陰陽師が使えるものではない。教えてくれ。一体あれは何なのか。」

 

それは予想外の質問だった。武志さんはあれだけで私の正体を不審に思ったのですか。確かにあの力は陰陽師からしたらあり得ない力。でも普通の人間には陰陽師と大差ない力です。武志さんは一体何者なのでしょうか...

 

「いいでしょう。その質問には答えますが、少し私の昔話に付き合ってもらえませんか?」

 

「いいだろう。どうぞ。」

 

 

~~~~~~~~~~以下、回想シーンが入ります。~~~~~~~~~~

 

 

「私は昔、命連という弟がいたんです。命連はとても強い力を持ち、伝説の僧侶とも呼ばれ、軽々と鉢を飛ばし、その鉢でごうつくばりな長者の倉を持っていったり、離れた場所にいる人間の病気を治したりという事をしていました。また、陰陽師とも協力して数々の妖怪から民を守っていました。ですが、その力の代償故か、体が弱く、病気にかかっていたことが多かったのです。そして私は命連から法力を学びました。私はもうその時にはだいぶ年老いていましたが、普段から命連の法力が詰まった飛倉で生活していたので、その法力は完璧に習得することが出来ました。」

 

「そうなのか。しかし、そんな年老いているようには見えないな。」

 

「えぇ。因みにですが、その法力が貴方の気になっていた光り輝く船を作り出した時の力です。」

 

「成程。」

 

「それで、話はまだ続きますが、命連は結局私より先に病で亡くなりました。私は勿論嘆き悲しみました。あの時の悲しみは今でも忘れませんよ。そして私は死という物が極端に怖くなりました。『自分もいつか死んでしまうのだろう。』そんな恐怖がずっとありました。だから私は若返りの術を手に入れました。ですが、その力は法力よりは魔術の類だったのです。それは陰陽師、いや、人間達からしたら異端児扱いなのです。」

 

「だが今貴方はこうしてここにいるだろう?」

 

「えぇ。私はその時まだ表舞台には立ってなかったので。それで、私はもう寿命の心配をしなくてよくなったのですが、次に感じたのは『この力が失われたら私はどうなるのだろう』という恐怖が頭をよぎるようになりました。先ほど私は魔術の類といいましたが、ここ日本ではそれは妖術と大差ないのです。つまり、私がこの力を維持するためには妖怪たちの力が必要なのです。妖怪たちがいなくなったら私のこの術が維持できなくなる。そうなったら私は死んでしまう。そうなりたくはなかったので裏で妖怪たちを敬い、助けていました。表向きは妖怪たちを退治していましたが、裏では助けてここに匿っていたのです。丁度、貴方が見ていた村紗さんのように。」

 

「成程な。という事はこれは自分の私利私欲のために妖怪たちを助けていたのか?」

 

「最初はそうでした。ですが、いろいろな妖怪たちを助けているうちにいかに妖怪たちが不憫な過去を過ごしていたか知ったのです。私はそれを知って、私が何とかしなければいけないと思いました。勿論、だからと言って人間たちに牙をむくわけにはいかない。だから私はここで隠れ住んでいるのです。そして表舞台で活躍するようになったのですが、どこからか私のこの秘密が漏れてしまって、今現在に至るわけです。」

 

「成程な。結局お前は何なんだ?」

 

「妖怪も人間も皆平等という信念を持つ高僧ですよ。」

 

「ふむ。それで取引はもう妖怪たちを守るんだろう?」

 

「えぇ。そのつもりです。」

 

「だったら気をつけろ。恐らく妖怪たちは交渉の結果にせよ退治されるだろう。この作戦が成功しなければ彼女たちに明日はないさ。」

 

「...。」

 

「まぁ、そういう事だな。では、私もそろそろ準備するとしよう。」

 

「ちょっと待ってください。」

 

聖は武志を呼び止める。

 

「貴方は...一体何なのですか?」

 

「私か...そうだな...一介の修行人というところかな。それ以上でも、それ以下でもない。」

 

「そうですか...。作戦、成功するといいですね。」

 

「あぁ。それでみんなで暮らせたらいいな。」

 

そう言い残して武志は準備をしに向かうのだった。




「こんにちは。水矢と」

「ユレイドスです!」

「今回は聖の視点から、聖の昔話でしたね。」

「そうだね。聖はああ見えてストーリーが深いからね。優しさの裏には大変な苦労があったんだね。」

「そして次回はまた武志視点に戻るよ。」

「まぁ主人公ですもんね。」

「そうだね。」

「ところで今日はバレンタインデーだよね?ユレイドスってチョコ貰えるのかい?」

「そもそもチョコレートが無いですよ...。」

「そうか。因みに私は義理で何個か貰ったよ。」

「いや貰えるだけいいじゃないですか。そんな自慢要らないので早めに消えてください。」

「辛辣だなぁ」

「仕方ないです。それはこの世の摂理ですから。」

「...納得いかん。」

『それでは皆さんさようなら~!』
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