PART.43 悪報
新しい世界に住み慣れてきたころ、武志の元にとある手紙が送られてくる。
「ここに本日の書類を置いておきますね。」
「分かった、ありがとう。」
武志は今、天界や神界からの書類を見ている最中である。この世界には一部の生物(鳥や魚)はいるものの、人間はまだこの世界にはいない。武志曰く、この世界に慣れてから考えるとのことだからだ。
「今日もまた書類が多いなぁ...。母さんの奴送りすぎだろ...。」
高天ヶ原と事務室のポストは繋がっており、高天ヶ原から書類が直で送られているのである。そのためかは分からないが、千古が仕事の書類を大量に送り付けてくるのである。
「マスター、あとこんなものがポストの外に落ちていたのですが...。」
「なんだそれ。」
それは明らかに天界からの物ではない一枚の手紙だった。武志はそれを読んでみる。
「え~と...,,,,,,何!?」
それを読んだ武志の顔が青くなる。
「なんて書いてあったのですか?」
「それを説明するから今すぐ吉美を呼んでこい!」
ラダヴィーニャも事情を察したのか、
「...!分かりました。」
直ぐに向かうのだった。
「これはまずいことになったぞ...。」
「呼んできました!」
「何があったのマスター!」
「あぁ、今から説明するからよく聞いてくれ。」
そこにはこんなことが書いてあったのだ。
『武志兄さんへ。
前に会ったのは白蓮の騒動の時だったかな?もう知っているかもしれないけど白蓮は魔界で厳重に封印されて眠っているよ。とまぁ、こんな話は置いといて本題に入るけど、今度俺達の妖怪組織...鬼とか天狗とか河童とかなんだけど、そいつ等と月に攻め込もうとしているんだけど、流石に彼奴らだけだとちょっと不安だから兄さんの力を借りたいんだけど、とりあえず会って話がしたいから、妖怪の山もしくは兄さんの所へ案内してほしいな。返事はいらないから早めに結論を出してほしい。無理に参加しなくてもいいから兄さんの都合と相談して決めてほしい。忙しいと思う中申し訳ない。理都より。』
という事が書かれていた。武志はこのことを簡潔に説明する。
「月と戦争ですか...。」
「月ってあのモニターにも映ってたけどどれくらい強いの?」
「月の兵士はとても強い。今の私みたいな戦い方をする奴がうじゃうじゃいるんだ。当然奴らだけでは厳しいだろう。しかもあれから時も流れているんだ...。きっと装備も強化されているだろう。」
二人との間に冷たい空気が流れる。
「とりあえずラダヴィーニャ、理都の所につないでくれ!」
「分かりました。」
前回言い忘れたが、ラダヴィーニャの能力は【人妖神をつなぐ程度の能力】。つまり人と人の間で声だけつないだり、その人の所へ行けたりもするのだ。そのため、この世界から裂け目を作る権限は彼女にもある。吉美の能力は【兵器を扱う程度の能力】。有人兵器を手を触れず操れたりする能力である。
ラダヴィーニャが理都の所へ裂け目をつなぐと、武志はそれをくぐる。二人もそれに続いて入っていく。
「理都はいるか?」
「兄さんか!手紙を読んでくれたのかい?ところでそっちの二人は?」
「ラダヴィーニャ・A・ハルトマンです。武志様の秘書を務めております。」
「金河吉美でーす!マスターのもとで働いているよ~!」
「そうか。俺の名前は洩矢理都。武志兄さんの双子の弟でこの妖怪組織の長をやっている。」
それに続いて小声で、
「あと俺が神様ってことは秘密にしているんだ。くれぐれもそのことを言わないでくれ。あと兄さんも妖怪ってことにしてくれ。話がややこしくなるから。」
「了解。」
「それで?月に攻め込むだって?」
「そうさ。月に攻め込み月の技術を手に入れる。それが俺達の第一目標さ。」
「そうかそうか。だったらやめておけ。」
「何でさ?兄さんもいるから安心でしょ?それに月の使者がこっちに来たときは全員返り討ちにしたさ。あのレベルならなんてことない。さらに元々あの古代都市で指揮官をやっていた兄さんなら敵でもないでしょ。」
武志は大きなため息を吐いてから、
「あのなぁ...月の使者が何しにこちらへ来たのかは知らないが、月の兵力は倍以上あるんだぞ?さらに私がいた時からもう大分経っている。兵力も倍増していることだろう。悪いことは言わん。侵攻はやめておけ。」
「そうだよ!マスターがそう言っているんだからやめた方がいいよ。」
「そんな事言われてもなぁ...。もう他の妖怪もノリノリだし何ならもう準備に取り掛かっているんだ。力にならないならもういいさ。少々不安だが自分たちの力で何とかするから。」
「そうか...。ならいいさ。」
武志が振り向いて帰ろうとすると、
「あら、お客様ですか。」
「...お前が月に攻め込もうとしている妖怪達の一人か?」
金髪の胡散臭い妖怪が口を開く。
「えぇ...。その前に貴方達の名前を教えてくれませんか?」
「私は洩矢武志だ。」
「ラダヴィーニャ・A・ハルトマンよ。」
「金河吉美で~す♪」
「私は八雲紫よ。それで?なぜ貴方達は私たちが月に攻め込むことを知っているのかしら?」
「あぁ、それは俺が教えたんだ。兄さんはとても強いからきっと役に立てると思って呼んだんだけど、どうやら拒否したみたいでね...。」
「そうだ。月に攻め込むのはやめた方が良い。お前らの力では到底かなう訳ないだろう。」
「あら...。お師匠様はとても強いのに...?私たちの力を合わせれば月なんて余裕ですわ。」
駄目だ...。この妖怪も攻めることにノリノリなようだ。警告を込めて最後の忠告をする。
「理都...いいのか?ここで攻めて下手すればこの妖怪も、お前も命を落とすかもしれない。それでもいいなら勝手に行け。」
「あら~貴方結構冷たいのねぇ~。」
「当り前だろう。お前らは月の勢力を嘗めすぎている。月には高威力で強烈な光線を放ってくる兵器や空を飛んで爆弾を無差別に落としてくる兵器があるんだぞ?それに対してこっちは何か対策しているのか?してないだろ。それが分かればさっさとその話はなかったことにしてこっちで平和な生活を送っておくんだな。」
そう吐き捨てるように言って、裂け目を作って帰ろうとする。
「待って...、貴方は本当にこの戦いには参加しないの...?」
「あぁ。私は参加する気はない。まぁ月の技術は欲しいから別で月にいくかもしれないけどな。まぁ無駄な戦争を起こす気はない。」
それだけ言って武志は裂け目に入って帰るのだった...。
「マスター、あれでよかったのですか?」
「あぁ。あれくらい言っておけば侵攻を辞めなくても、やる気に火はつくだろう。それにいざとなれば偶然を装って手助けをするつもりだ。」
「だけど月の首脳組にはほとんど顔バレしているよね?それはどうするの?」
確かにそうだ。月のトップの那珂皇子、月の頭脳の八意永琳、稀神サグメ、軍の魯鵡大佐。そして月の首脳クラスの綿月姉妹も私の顔くらいは知っているだろう。
「とりあえず覆面でいくから大丈夫だろう...。」
「あと、月に攻め入る日時を聞いてなかったですが大丈夫なんですか?」
「...。まぁ、いつかの満月だろう。満月は妖怪にとって一番力が増す時だからな。準備がかなり進んでいたことを考えると一週間後に次の満月が来る。恐らくその時だろう。」
「だったらその時に合わせて向かいますか?」
「そうしよう。とりあえず準備をするぞ。」
武志たちは来る戦争に向けて準備を始めるのだった...。
「こんにちは。水矢と、」
「ユレイドスです。」
「はい。今回から第一次月面戦争編ですね。」
「何気に初めて幻想郷創設組と関わりましたね~。」
「そうだね。向こうは基本的に理都が主役だからね。」
「理都視点は書かないのですか?」
「書いたとしても武志と別れてからだね...。今のところは書く予定ないですが。」
「しかし月って強いんですか?」
「強いよ。実際武志みたいなやつが沢山いますからね。」
「それは強いなぁ...。」
「武志が止めるってのもわかるでしょ?」
「ですね~。」
『それでは皆さんさようなら~!』