HFは皆さん見られましたか?僕はまだ見てないです。見たい。
あらすじ
夜の校庭でセイバーとアーチャーの戦闘を見て死の恐怖を感じて「おまじない」を唱えた洲崎箕栞。しかしそれは、サーヴァントを召喚するための詠唱であった。
召喚したサーヴァント、ライダーから聖杯戦争の事を聞いた箕栞。次の日、ライダーはちょっとしたわがままを言い始める。
「3日前から連続で続く不審火災につきまして警察は、その手口から連続放火と見ており――」
「ほぇー……」
今朝からライダー……アストルフォはテレビにかじりついていた。
まるでテレビ見たことない子みたいに。
「ねぇ」
「すごいなぁこれ」
「ねぇってば」
「わっ⁉︎」
三つ編みの長い髪を触ると、アストルフォはビクッと身体を跳ねる。
「テレビ見たことないの?」
「無いよ。実際見るのははじめて」
「そっかー」
まあアストルフォも、サーヴァントとはいえ昔の人って事かな。
…………。
「ねぇ、マスター」
「んー?」
「この火事、この近くだよね」
アストルフォが指差す先には生中継と表示された紛れもない近くの家が燃えている映像。
「うん、そうだね」
「……マスター、今日学校行くのやめない?」
「いやぁそれはできないって」
「じゃあボクを連れてって」
「は?」
「連れてって!」
「だーめ」
「ぶー、ケチー」
いや、ケチとかじゃない。
けどそんな思いは口にすら出ず、ただため息をつく。
「ちょっ、ひどくない?」
「ひどくない。そもそもライダーがわがまま言うから」
「わがままじゃないってば!」
「じゃあなんだっての?」
「これ、多分サーヴァントのせいだし、昨日の今日だし……とにかく、ボクはマスターが心配なんだよ!」
「大丈夫だよ。人のいるところで戦うことなんてないでしょう?」
「ないとは言えない。いつ襲われるかなんて」
「遠坂さんも?」
「トオサカ?」
「私と一緒にいた人」
「あー。わかんない」
その返答に頭をかく。
そっか、分かんないと来たか……んーなんというべきか。
「とにかく! ボクは絶対ついていくよ!」
「えぇ……? バレないようにできる?」
「任せて!」
んん〜! とライダーは力む。
けど。
「…………あれっ?」
「どうしたの?」
「も、もう一回、もう一回……んんー!」
今度はさっきより念を込めて。
「はふ…………」
あっ、力抜けた。
「ダメだぁ……むぅ……」
何に怒っているのか頬を膨らませるライダー。……かわいい。
「何しようとしてたの?」
聞きながら頬をぷにぷに指で触る。
「とりあえず今マスターは何してるの?」
「柔らかそうだなって」
「ボクのほっぺたで遊ばないで欲しいなぁ……」
「ごめんごめん」
「言葉と行動が噛み合ってないんだけど……まあいいや」
諦めたのをいいことに私はそのままライダーの横に座る。
「霊体化しようとしてたんだ。姿消すの」
「あー、昨日アーチャーとかいう人がやってた」
「よく分かんないけど、多分それ。でもなんかできなくて」
「それって、私のせい?」
「へっ?」
「私のせいだよね?」
「なんで?」
本当にきょとんとした顔で首を傾げる。
「本当はできるってことは、問題はライダー本人じゃなくて、呼び出したマスター側にあるんじゃないの?」
「んー……そうじゃない、とも言えないんだよね」
何だか煮え切らない。
よく分からないライダーの肩を掴み、私は問いかける。
「で? どうすんの?」
「もちろん行くよ」
「…………そっかぁ……」
数時間後。
「洲崎」
「なんですか、生徒会長」
つとめて笑顔で、会長の柳桐一成さんに答える。
「なんですかとはなんだ。その彼女は誰だ」
「私の……えー……い、従姉妹です」
「……それで許されると?」
「デスヨネー……」
そりゃそうだ。
そもそもライダー、私と似てないし。多分日本人でもないし。知らないけど。
「それで、その従姉妹の方はどうして学園へ」
「えっ?」
「ん?」
…………今、なんて言った?
従姉妹の方……? マジ? 従姉妹信じたの⁉︎
という考えを全て押し殺し、私は自分でも分かるほど少し引きつった笑顔で首を横に振る。
「えーとこの子、来年ここに入りたいって言ってて」
「下見かね」
「そう! そんなとこ……そんなとこ」
「そうか……」
呟きながらじーっとライダーを見つめる。
じーっと…………。
「ジロジロ見んなヘンタイ」
「す、洲崎くん……急に」
「お寺の子なのに煩悩まみれですね本当」
「今のは一成が悪いな」
背中から聞こえた援軍に振り向く。
「衛宮くん……?」
「生徒会の手伝いでな。それより一成、今のは無いぞ。洲崎の言ってることが正しい」
そう言って私の肩に手を置く。
「あら、珍しく四面楚歌じゃない柳桐くん」
「遠坂さん、おはようございます」
「ええ、おはよう。柳桐くん、彼女の事は私に任せてくれる? 衛宮くんも」
「おーけー、じゃあ俺は手伝いに戻るよ」
ひらひらと手を振りながら、衛宮くんは柳桐さんを連れて立ち去る。
「さ、て。……来なさい」
突然乱暴に手を掴むと、遠坂さんは明らかに怒気を孕ませた足音を立てながら屋上の扉を開けた。
「すぅ……」
扉を閉め、深く息を吸う。
刹那。
「バッッッカじゃないの⁉︎」
風を感じるほどの怒鳴り声が私を襲う。
「何そんなプリプリしてんのー?」
「ライダーは何も分かってないんだね⁉︎」
嘘でしょう? あそこまで怒鳴られてどうしてそんなに落ち着いてるの?
「はぁ……アンタらねぇ……!」
「怒るとシワ増えるよ?」
「うっさい!」
どうして逆撫し始めるのかなぁこのバカ!
「こらライダー、そんな事――」
「アンタは黙ってて!」
「それは理不尽では⁉︎」
咄嗟に返したものの、遠坂さんの眼力に私は肩をすぼめる。
「で? なんで連れてきたの?」
「どうしてもって言われたから、つい……」
「つい、じゃないわよ! ばっかじゃないの⁉︎」
ごもっともな怒声が響いた時、遠坂さんの背後から声がした。
「ここで大声を出すと怪しまれるぞ、凛」
「……そうね。納得はできないけれど、じゃあ本題」
姿勢を正し、まっすぐ私を見据えた遠坂さんはふわりと笑顔を見せる。
「お互いマスターになったわけだし、共闘といかない?」
「……共闘……ですか?」
「そう。ほら、洲崎さんがマスターになったのって私のせいでもあるから」
「でも、それは遠坂さんにとってメリットが――」
「この学校には少なくともあと1人はマスターがいる。それが分かっているなら、面識があって今のところ敵じゃないマスターは味方側につけておくべき。違う?」
「それが、私を味方につける遠坂さんのメリット」
「ええ」
それなら話が早い。
私も戦うのは初めてだし、遠坂さんがいるなら百人力。私に基本的にデメリットは無い。
遠坂さんの足手まといになる可能性はあるけど……遠坂さんから共闘を持ちかけてきている以上、それを補って余りある利点があると踏んでの事だろう。
「でしたら、喜んで」
「交渉成立。なら、これから私の情報を教えるわ。洲崎さんは何も知らないだろうけれど、私は色々調べてるの」
そう言いながら、遠坂さんは携帯の画面を見せてきた。
それを目で追って頷き合う。
「この学校にいるマスターは、おそらく更科恵吾よ」
[⁇⁇]
『更科恵吾よ』
「更科……」
耳につけたイヤホンから聞こえた名前を反芻する。
誰もいないがらんとした教室で、静かに目を開けた。
「アサシン」
「はい」
暗闇から姿を見せる彼女に、俺はただ告げた。
「更科恵吾という男を見張ってくれ。今日だけでいい」
「はっ」
それだけで彼女は消える。
『夜、彼を校庭に呼び出してみようと思うの。どうかしら』
『それなら私同じクラスですし、遠坂さんが私を訪ねて教室に来たついでとか』
『いい作戦ね。それで行きましょう』
……更科恵吾と洲崎箕栞は同じクラスか。
不用意にペラペラと喋る奴らだ。
盗み聞きは性に合わないが、教わった甲斐はあった。
あとは、このまま。
[洲崎箕栞]
「洲崎さん、遠坂さんが」
ろくに話したこともないクラスメイトの声に振り向くと、綺麗すぎて目立つ女性がそこにはいた。
教室で見ると眩しい……。
なんでだろう、昨日の校庭とか今日の屋上ではそんな事なかったのに。
「放課後、ちょっといい?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ夜に、昨日の場所で」
「戦争、ですか」
「ええ。ま、私達は愉しみましょう?」
更科くんをチラ見して、遠坂さんはひらひらと手を振りながら教室を出る。
彼は涼しい顔をしていたけど、意識はこっちにあったように思う。
私が教室にいる間、ライダーはアーチャーと一緒にどこかに行っているという話だった。
遠坂さん曰く、聖杯戦争は神聖なもので、人の多い昼間にサーヴァントを出す事は稀だという。
仮に出したり、サーヴァントの力で人の目につくような犯罪をした場合は監督組織がマスターに要請を下すとのことだった。
言葉は濁した。でもきっと、マスターの更科くんならわかるワードだ。
彼から離れるように席を立ち、少し襟を気にしながら廊下を歩く。
今夜、どっちが誘いに乗ってくるかと少し怖い気持ちを隠すために。
――第3話 「スクールガール⁉︎」――
ありがとうございました。
[今作オリジナルキャラクターの紹介]
更科恵吾(さらしなけいご)
洲崎箕栞のクラスメイト。凛の見立てでは彼もマスターという事だが果たして……。
という事で、今回は一成さんも登場して原作キャラの登場も増えた感じですね。次はまた書けたら投稿スタイルで。
それではまた次回お会いしましょう!
[出典]
衛宮士郎 竜堂一成…Fate/stay night
アサシン…Fate/Grand Order