先日、Fate/stay night[Heaven’s Feel]最終章を見て来ました。いやぁ、すごいですね……語彙力無くなりそう。
UBWの時もそうでしたが、士郎が覚醒するところは本当何度見てもカッコいい。好き。
というわけで第4話です。どうか、よろしくお願いします。
あらすじ
ライダーのわがままに付き合った事を遠坂凛に怒られた箕栞は、凛との共闘関係を結ぶことに。
凛の情報では、箕栞と同じクラスの更科恵吾がマスターであるという事であり、凛と箕栞は彼を誘い出すことに。
しかし、そんな動きを察知している人物はもう1人いたのであった。
夜の帳が降りた頃。
人一人いない校庭に、遠坂さんと2人踏み入る。
「アーチャーから報告は無し……今のところはなにもいなさそうね」
遠坂さんの言葉通り、アーチャーは偵察役として私達とは別行動をしている。
なんでも、アーチャークラスには単独行動スキルがあるから大丈夫なんだそう。
まあ私はサーヴァントが単独行動しちゃダメな事自体さっき知ったんだけどね! ちゃんと教えて欲しかったな!
「えーっと……なんでマスターはそんな苦虫噛み潰したみたいな顔してるの?」
そんな私を他所に、ライダーは首を傾げる。
「なんで逆にそんな言葉知ってるの?」
「聖杯からの知識に入ってた」
「どういう事なの……」
日本の慣用句まで網羅してる聖杯って……。
「そんな事より、何もいないなら帰った方がいいんじゃない?」
私から目を逸らしたライダーが遠坂さんに提案した直後、遙か頭上を赤い閃光が通り過ぎた。
それが何もない空で爆発した刹那、アーチャーがライダーの隣に立つ。
「わっ、どうやって来たの⁉︎」
「瞬間移動だ。そんな事より……」
まぶたを開け、空を仰いだアーチャーはそのまま口を開く。
「最初からそこにいたのなら、挨拶の一つもしたらどうだ」
「なるほど、分かっていたのか。それは失礼な事をした」
姿を現した英霊は、ゆっくりと地上に舞い降りる。
黄金の鎧、白い髪、槍のような、杖のようにも見える長物を手に持った細身の男性。
炎のマフラーのような物をはためかせた彼は、極めて落ち着いた口調で語りかける。
「非礼を詫びよう。マスターの命令で自ら姿を晒すわけにはいかなかった」
「貴様……ランサーか」
「そうだ。そこまで見破られていたのならば、それは称賛に値する」
「光栄な事だ」
チラッと、遠坂さんを見る。
遠坂さんがうなずいたのと同時に、アーチャーが強く踏み込んだ。
砂埃だけを残して姿が消えた直後、金属がぶつかる甲高い音が響く。
「どう思う?」
「わかんないけど、多分ボクらじゃ無理かも」
ライダーの言葉通りアーチャーが持っていた双剣は吹き飛ばされて私達の目の前に突き刺さり、アーチャーは辛うじて遠坂さんの前に着地した。
「なるほど……それほどの力、ただの英雄ではないらしい」
もう一度双剣を持つアーチャーがこちらに目を配る。
「ライダー、合わせてみて」
「おっけー」
私の指示に答え、2人同時に踏み出す。
アーチャーは走りながら双剣を投げ、ライダーが剣で彼の槍を受け止める。
その間にランサーに肉薄した双剣と、背後に回り込んだアーチャーの矢が確実にランサーの背中を貫いた。
――と、思ったんだけど。
「甘い」
爆発の直後に立ち上った炎はライダーとアーチャーを襲い、そしてランサー自身へと取り込まれていった。
「馬鹿な……⁉︎」
「あんなのアリ⁉︎」
「生憎、オレは死ねないタチでな」
炎を纏った槍はその形を変え、黒く長大な剣のような形をとる。
そのまま火炎と共に一回転するように一薙ぎ。
「ぅわあぁっ⁉︎」
地面に叩きつけられたライダーは剣を突き立ててなんとか体勢を立て直し、アーチャーは瞬間移動で遠坂さんの元へと戻る。
「なんなのあのサーヴァント……まるで不死身ね……」
「まるで、というより、本当に不死身なのだろう」
冷静に語るアーチャーも、その額には汗が滲む。
「相手が不死身じゃあ、ボク達がどう頑張ったって倒しようがないよ!」
「そもそもの力量でも私達2人では勝ち目がない。君も分かっていただろう」
「それは……そう、だけど……」
「サーヴァントの見当がついていなかったとはいえ、挑発に乗って来たサーヴァントが神霊級など予想だにしなかったな」
そんな会話を断ち切るように、嫌な予感が走る。
「相談は終わりか」
ランサーの周りに空気が吸い寄せられていく。
槍に纏う炎は強まり、彼の黄金の鎧も輝きを増していた。
「ねぇ、アイツもしかして……宝具――」
「恐らく、そのまさかだ」
手を上に振り上げたアーチャーは自身の周りに浮かび上がった無数の剣を撃ち付ける。
「武器など前座」
左手で目を覆ったランサーは次の瞬間。
「真の英雄は”眼で殺す”」
その目から放ったビームで全ての剣を消しとばした。
「もうなんでもアリじゃんか! 少しは大人げないとか思わないわけ⁉︎」
「戦いとは、力と手数が全てだ。不平を述べる前に策を出すべきとは思わないか」
「あーもう! ボク本当にキミの事嫌いだぁぁぁぁーっ!」
そんな事を涙目で叫びつつもランサーに向かっていかないあたり、ライダーも彼には勝てないと踏んでいるんだと思う。
「貴様らの策はそれで終わりか。では――」
「遊びはそこまでだ、ランサー」
突然聞こえた声の方を見る。
校舎の屋上、そこに微かに人影が見えた。
「更科くんなの?」
「あぁ、まさかとは思ったが……洲崎もそうだったのか」
極めて淡々と言葉を紡ぐ彼に、それでも私はどことなく冷徹さは感じなかった。
「どうして、更科くん……」
「選ばれたからだ。選ばれたからには、僕は僕の目的を果たす」
「……そっか……」
「今夜はここまでだ。帰るぞ、ランサー」
「了解した」
そうしてランサーは炎と共に消えた。
同時に屋上の人影も消え去り、再び静寂がやってくる。
「はふ……終わった……」
「いえ、まだよライダー」
目を閉じ、遠坂さんは告げる。
そしてゆっくりと振り返り、人影の見えない入り口側へと。
「朝から今まで隠れて盗み聞きなんて、性格悪いわね衛宮くん」
「なんだ、バレてたのか」
「当然よ。朝から気づいていて、わざと洲崎さんに聞かれてもいい話しかさせなかったのよ」
「つまり、オレはここに呼び出されたと」
「ええ、そうね。貴方も参加者なのかしら」
木陰から姿を現した衛宮くんの傍に女性が現れる。
ああ、やっぱり。
「マスターだったんですね」
遠坂さんより早く言葉が出る。
「別に隠す気は無かったし、実際バレてたけど」
「桜から聞いていた貴方とはだいぶ行いが違うけれど」
その声はどこか怒気を孕んでいた気がする。
「桜から?」
「ええ。もっと誠実でまっすぐだって」
「なるほど……じゃあ、そっちが嘘だ」
「っ……!」
「確かにオレは目標には忠実だけど、誠実でもまっすぐでもない。だから、桜に見せてる方が嘘だ」
「ッ……アンタねぇ!」
素早く腕を振り上げ黒い弾を撃つが、それは衛宮くんをかすめるだけ。
「次は当てるわ」
「遠坂にだけはわかって欲しかったんだけど。遠坂だって、桜には聖杯戦争に参加した事は言ってないだろ」
「ンなことどうでもいいのよ。アンタみたいなのに、桜が騙されてるのが気にくわないだけ!」
「眩しいな、遠坂のそういうところ」
言いながら振り返ると、衛宮くんはサーヴァントが撒いた煙の中に消えた。
「衛宮くん……」
「……」
俯き、拳を握る遠坂さんが視界に入る。
妹さんの事を大切に思っているからこそ……なのかな。
「そうか……そちら側に行ったか……」
アーチャーがそんな事を呟いたのは聞こえなかったことにした。
「帰りましょう、遠坂さん」
しばらく経ってから話しかけると、遠坂さんはいつものように強気な顔に戻っていた。
「ええ。目的は果たしたし帰りましょうか。付き合わせて悪かったわね」
「いえ、全然。ね、ライダー」
「そうそう、いつでも頼ってよね!」
「今日はライダーいいとこなしだったけど」
「むぅ……それは言わないでよ……」
膨れっ面のライダーの頭を撫でて歩き出す。
気持ちいいくらいの夜風。
衛宮くんと更科くんには驚いたけど、敵であるならいつか倒さなくちゃいけない。
本当は戦いたくないけど……仕方ないのかな。
ともあれ、今日すぐに襲ってくる事はないだろう。
深夜だというのにまだ人通りがまばらな大通りで遠坂さんと別れた私は、ライダーと手を繋いで帰路につく。
ライダーは既に私があげた私服姿だから、きっとバレていないはず。……だよね?
そんな一見どうでもいいようで、どうでも良くないような不安を振り払うように半ば早歩きで家に帰ったのであった。
――第4話 「初陣」――
ありがとうございました!
ランサークラスのサーヴァント初登場でした。Zero、UBWでは自害を強いられ、Apocryphaでは融合されたりと結構悲惨な目にあっているランサークラス。今回はどうなることやら。
衛宮士郎は様々な都合で原作よりも切嗣寄りにしております。ここからはストーリー上、原作からキャラクター設定が違ったりする事もあるので、温かい目で見ていただけると幸いです。
それでは、また次回!
出典
ランサー…Fate/Apocrypha Fate/EXTRA