学校が夏休みに入って、フランス旅行が目に見えて迫ってきたある日、俺は父さんに連れられて父さんの友達の家に来ていた。
学生時代の友達に最近、偶然再会したらしくそこから再び交流を持つことになったようだ。
そんな彼の名字は弦巻、そう、弦巻こころのお父さんのようだ。まさかこんな形で新たな原作キャラに会えるとは。ワクワクが止まらん。
期待を胸に応接間らしき場所で待っていると、ダンディなお父様がやってきた。
仕立ての良い服に自信に満ちた目。それに加え、ちょび髭に余裕のある表情が常人とは違った不思議な圧を生み出している。
なるほど、これがこころのお父さんか。まさに世界有数の金持ち、というイメージを具現化したみたいなダンディな人だ。
そこからはうちの父さんとこころのお父さんが親しげに話し続けていたため、とても暇だった。
しばらくぼーっとしていると、父さんから俺の紹介があったので、適当に賢い子どもをイメージして挨拶をした。
すると、こころのお父さんもうちにも賢い娘がいるんだよみたいなことを言って、召使い?(執事?)に何か合図をした。
待望のこころんですよこころん!という興奮を無理矢理押さえ込み、すんっという感じの表情で待っていると、ドアがノックされた。
そこで入ってきたのはまさにお嬢様然としたこころだった。正直びっくりしすぎて危うく声が出るところだった。
だってあの天真爛漫なこころんが楚々とした仕草でお辞儀をしたり、ですます口調だったりするんだぜ?誰でも驚くわ。
その後再びしばらく父親同士で語り合うのをぼーっと見ていたが、こころがなんかもぞもぞし始めたので、二人で遊びに行ってきていいかと聞いてみた。
すると快くOKがもらえたのでこころんの手を取って部屋から出た。さて、どうやって被った猫を剥がして楽しく遊ぼうか。
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ある程度歩いたところで俺から話を切り出した。
「何して遊びたい?」
「なんでもいいわよ、じゃなくていいです」
「その喋り方慣れてないなら無理せず辞めればいいのに」
「むりなんてしてないわ……してません」
こころは明らかに無理のある口調にもかかわらず、意地を張っているのか毅然としてそう言ってくる。
明らかに言い慣れてないのがバレバレだし、こういうこころも可愛いが、ゲーム通りのこころも見たいという気持ちも強い。
「じゃあそのですって付けるのやめない?」
「いやです」
「なんで?」
「だっておきゃくさんだから……」
少し俯きながらこころが呟くように言う。……なるほど、名家の家柄ということもあって礼儀作法をしっかりと教え込まれているようだ。
こうやって見ると、弦巻こころという俺の中のイメージが先行して、目の前の弦巻こころという人物をきちんと見れていなかったようだ。
しかし、それはそれ、これはこれなのだ。俺は天真爛漫なこころちゃんが見たい!
というわけで、純真無垢なこころちゃんに笑顔の布教(洗脳)をしたいと思います。
「ちょっとこっちに来て!」
「え?」
未だ事情がつかめず困惑するこころを引きずり、こころ宅を飛び出した! 目指すは来るまでに見かけた近所の公園だ!
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そうしてテンションが高いままこころを公園まで引きずってきた。護衛らしき人が慌てていたが気のせいだろう。
今日が日曜日ということもあり、公園は大勢の子どもとその親達で賑わっていた。
とりあえず、近くでドッジボールをしている子どもに話しかける。
「仲間に入れてくれないか?」
「いーぞー!」
そのまま呆然としているこころと一緒にコートに入り、ドッジボールを楽しんだ。
その後も鬼ごっこやケイドロ、女子グループに混ぜてもらい、おままごとなんかも楽しんだ。
最初は困惑していたこころだったが、次第に笑顔を見せるようになり、最終的に全力で遊んでいた。
気がつけば夕方になり、みんなが帰ってしまうと、とても寂しそうにしていたので帰り道に切り出した。
「今日みんなと遊んでいて、どうだった?」
「とってもたのしかったわ!でも、みんなかえっちゃったわ……」
そういって、また寂しそうに顔を俯かせる。そんな顔を見ているとこっちの気まで暗くなってくるので、むにーっとほっぺたを動かして笑顔を作る。……うわっ、めちゃくちゃ柔らかい。
「にゃにひへるの?」
「暗い顔をしてたからつい。楽しかったんだったら笑えばいいのに」
「でも、みんなかえっちゃったからさみしいの」
「じゃあ明日会えばいいじゃん。それに、みんな笑顔でいたから楽めたんだ。だから明日以降も楽しむために、ほら笑顔笑顔!」
「……うん!」
我ながらなかなかキャラにないことをしてしまったが、こうしてこころが笑顔になってくれたなら本望だ。
その後、親にもっと頼ってみると親も喜ぶよーとか、色々なことを教え込みながらこころ宅に帰った。
こころ宅に着くなりこころパパが飛び出てきたり、勝手に連れ出したことを怒られたりしたが、こころが満面の笑みを浮かべて楽しそうに今日の出来事を話してくれたおかげで、短時間の説教で済んだ。
いろいろやらかしたが、充実した一日だった。余は満足じゃ。
忘れてないですよアピールのために投稿。筆が……筆が進まん……。