ベルが魔王の義息なのは間違っているだろうか?   作:クロウド、

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幼い姫との出会い

 【迷宮都市オラリオ】、それはこの世界の中心に存在する、地下迷宮を保有する巨大都市、いや、迷宮の上に作られた巨大都市という方が正解だ。

 

 街の中央に天高くそびえる塔、バベル。あれは、迷宮に潜むモンスターを封じる蓋のような役目をしているという。

 

 都市、ひいてはダンジョンを管理する『ギルド』を中核として栄えるこの都市でヒューマン、亜人と様々な種族が共存し生活している。

 

 その中でダンジョンに潜った成果で生計を立てている者達も少なくない、彼らはその職業から冒険者と呼ばれている。

 

「確か、じいちゃんの話だとこんな感じだったっけ」

 

 僕、ベル・クラネルは村を出る前に祖父から話された内容を思い出し少しだけ感慨深い思いをする。

 

「ここが……僕の本当の両親が夢見た場所。でも、本当ならもっと遅く来るはずだったんだよね」

 

 本当なら今の僕はこちらではまだ6、7歳。父さんの話だと、僕が作った【羅針盤】が不安定だったから時間軸がずれた、または、新しい概念魔法を誤って生み出してしまったかって話だったけど……。

 

 僕がこっちの世界に帰ってきたときじいちゃん驚いてたなぁ。まあ、数ヶ月前に行方不明になった孫が12歳になって帰ってきたんだから。

 

 さて、じいちゃんの話だとダンジョンに潜るにはギルドで冒険者登録をしなきゃいけないんだったっけ?その為には主神となる神を見つけなきゃいけない。

 

 じいちゃんは自分で決めろと言ってたけど、どうしたものか……。

 

 これからの予定を考える前に曇ってしまった眼鏡を外してハンカチで吹いていると少しばかり変わった光景が司会に映った。

 

 金髪の少女が自分と同じくらいの大きさのバッグパックを背負いフラフラな状態で街を歩いていたのだ。僕より3、4歳くらい年下だろうか?

 

 流石に同じくらいの歳の妹がいる身として気になったので、そのまま放置とは行かなかった。

 

「大丈夫かい?」

 

 僕は少女に近づき、身を屈めて彼女の視線で声をかける。彼女は一瞬、驚いたような顔で僕を見ると、掠れた声で呟いた。

 

「おとう……さん?」

 

「え?」

 

 その子はそう呟くと、そのまま体の力が抜け背中の重荷が彼女を押し潰そうとするが、その前に僕がその体をバックごと支える。

 

 ……結構、重いな。こんな子供が持てる重さじゃない。まあ、子供という時点では僕も似たようなものか。

 

「このままにしておく……というわけにも行かないよね」

 

 彼女が背負っているバックを変わりに背負い、その少女を横抱きに抱いて彼女が歩いてきた方向を見る。

 

 バックの中身は大方ドロップアイテムだろう。なら、下手にギルドに届けて換金すると変な疑いを受けかねない。となれば、彼女のファミリアのホームに届けるのが一番なんだろうけど何処のファミリアの子か見当がつかない。

 

 じいちゃんの話だと背中の紋章を見ればわかるんだろうけど……。

 

「まさか、自分より年下の女の子の背中を覗くわけにはいかないし……。」

 

 僕は周りを見渡し彼女と同業であろう冒険者風の男性に話しかける。

 

「すみません、この子何処のファミリアの子か知りませんか?」

 

「ん? ああ、『人形姫』か。その子なら【ロキ・ファミリア】の新人だよ。」

 

「すみません、何分こちらに来たのはつい最近なもので、よろしければホームの場所も教えていただきたいのですが」

 

「ああ、ここからだとーーー」

 

 僕は男性から聞いた道順を記憶し、礼を述べてから【ロキ・ファミリア】のホーム。『黄昏の館』に向けて歩き出した。

 

(それにしても……『人形姫』、か)

 

 

 

 

「ここが『黄昏の館』」

 

 たどり着いたそこは周囲の建物とは群を抜いて高く、無数の塔を連ねて作ったそこはまるで槍衾のようであり、その中央の一際高い塔には道化師の旗がひらめいている。

 

 この子の主神も心配してるだろうと思い早く送り届けようと中に入ろうとすると、門の向こうから翡翠色の髪の女性が現れた。

 

「アイズッ!」

 

 僕が抱いている少女を見て、翡翠色の髪のエルフの女性がこちらに向かって走ってきた。

 

「もしかして、この子のファミリアの方ですか?」

 

「ああ、【ロキ・ファミリア】所属、リヴェリア・リヨス・アールヴだ。君は……」

 

「僕は偶然街を歩いているとき彼女がこの大きなバックを、背負ってるのを見て心配になって話しかけたら、この子妙なことを口にして倒れてしまって……。」

 

「妙なことというと?」

 

「えっと、『お父さん』って……。」

 

 僕が告げると目の前の女性、リヴェリアさんは顎に手を当て難しい顔をしてしまう。

 

「すまない、ついてきてもらえるだろうか?」

 

「え?」

 

「私達の主神、ロキに会ってもらいたい」




12歳のベル君と8歳のアイズさん、そして、ありふれクロス。新しいだろぉ?

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