リリカルサバイバー   作:タカノ

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デビルサバイバーは正直最初はメガテンらしく無いイラストだと思って敬遠していました。
で、初めてオーバークロックをやってそんな考えが完全に吹っ飛びました。

アリサやすずかの口調はちょっと違うかも知れません。
物語はなのは達が中三の夏休みになったくらいだと思って下さい。


第一話 一日目前半

 「君は悪魔と言う存在を信じるかい?」

 

 それは歌舞伎町の前で携帯を見ていた時に、ふとかけられた声だった。

 軽薄そうなスーツの男は柔かに……そして、何処か小馬鹿にしたように続ける。

 「いやいや、いきなり信じるか? と言う答えは性急かな。だけどおかしいとは思わないかい?」

 男の言葉はそれほど気に止めるものではない……俗に言う電波系なのだろう。ただ、何故か耳を傾ける……注視してしまう雰囲気があった。

 「そもそも、この世界に人間だけが知恵を持ってるとは、何ともおこがましい話だと思わないかい?」

 視線は携帯の画面から完全に男に移っていた。

 それは、ガチャでSRが出たのが気にならないくらいに。

 「だけど、どうやらそんな日常もすぐに終わってしまうようだよ? いやー残念だねぇ」

 何が……そう言いかけた時、すでに男はいなくなっていた。

 あれは何か白昼夢みたいなモノなのだろうか?

 いや、あれは……。

 

 

 

 

 

 一日目

 

 

 「ほらほら、こっちのワンピースもいいと思わない?」

 「もう……アリサちゃん速いよ……」

 人がごった返す渋谷の道玄坂の昼。

 それは平日とは言え多くの人で賑わっていた。とは言え夏休みに入ったのもあり若者の数はいつも以上に膨れ上がっていたわけなのだが。

 元気に街を周る二人の少女の服装は同じ制服……聖祥大附属中学の物だった。

 小学校時代は長く伸ばしていた髪を肩口までに切り揃え、一気にスポーティになった少女……アリサ・バニングスは傍らにいる小学校時代からの親友に声をかける。

 「だって、渋谷だよ。やっぱり海鳴とは違って欲しい物がいっぱいあるし……こう、わくわくするじゃない?」

 傍らにいる少女は、その言葉に納得したように微笑むと「そうだよね」と、その隣に歩み寄る。

 アリサとは対照的に小学校時代から変わらぬ髪型のまま大人びた少女……月村すずかは思う。

 (「なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃんも一緒に来れれば良かったんだけど……」)

 二人とは小学校時代からの親友である高町なのは。そしてフェイト・T・ハラオウン、八神はやて。三人とも合流して今日の買い物をする予定だったのだが、三人共仕事が入ってしまったらしく、今回は二人での買い物となったのであった。

 「すずかーボーっとしてないでこっちのコーナーも見に行くわよー」

 「あ、待ってよー」

 とは言えせっかくの都会に出て来ての買い物、楽しまないと損と言う物である。

 そう考えを切り替え、すずかはアリサに向き直る。

 「じゃあ、次はあの有名な109に行ってみようよ」

 うん、楽しまないと。

 

 

 「あー面白かったー!」

 「うん、そうだねー」

 からんっと空になったグラスの中で氷が踊る。

 日陰に入ったオープンカフェとは言え、この季節の日差しは暑い。

 あっという間に空になったグラスを持て余しながら二人は次の予定を試行錯誤していた。

 「うーん……やっぱりデザートは翠屋の方が上かなー」

 「もう、そんな事声に出して言っちゃダメだよ」

 私もそう思ったけど。そんな言葉を飲み込みながら。

 「……ねえ、すずか」

 それは突然だった。

 今までのアリサからでは想像できない、重い声。

 すずかは一瞬で気配が変わった事に気がつき慎重に言葉を選ぶ。

 「……どうしたの?」

 聞き返しはしたが言いたい事は分かっている。

 年も変わらないのに戦っている大切な三人の友人の事だろう。

 「何か悔しいよね、私たちには何もできないのかーって」

 「アリサちゃん……」

 「せめて、私たちにも戦える特殊な力とかあったらねー」

 そのアリサの何気ない一言はすずかの胸に深く突き刺さる。

 それは、戦える力を持たない同士だから……では、無い。

 何故かと言えば、すずかが中途半端にしか戦えない力を持った化物の出来損ないだからだ。

 少なくともすずかは自分の事をそう思っていた。

 

 『夜の一族』

 

 力は薄れてしまっているが、吸血鬼。人とは異なる存在の一族なのだから。

 その為すずかは見かけによらず幼少の頃から運動が得意であった。ただ、それもこの血のなせるモノである。

 そんな化物みたいな力だが、それでも友人たちが戦っているような相手に太刀打ちできるものでも無い。

 すずかの力では成人男性とやり合うくらいが精一杯だろう。

 叔母や叔父は力が強く、超常的な力を振るえると聞いた事がある。 

 姉である忍も身体能力はそこまで変わらないが、いざとなれば視線に力を込める事ができる。

 だが、すずかの力は身体能力の僅かな向上くらいであった。

 これで、『あの発作』まであると考えると割に合わない。

 そんな事もあって、すずかは自分の力が嫌いだった。

 (「なのはちゃんのお兄ちゃんみたいに、受け入れてくれる人がいればいいけど……」)

 なのはの兄である高町恭也……は、姉である忍の恋人でもあり、夜の一族を受け入れた数少ない人間だった。

 「……っか! すずかっ!」

 「へ……? ……あ、ゴメン」

 「もう、ボーっとしてないでよね」

 怒ったように頬を膨らませるアリサ。すずかが申し訳なさそうに謝ろうとした時、アリサの手にある機械が目に入った。

 その様子が目に入ったアリサは機械をテーブルの上に置き。

 「さっき、そこであの噂の宗教団体の……ナントカ会だっけ? その人が配ってたの」

 ナントカ会って全然覚えてないよね? とはけして表に出さず機械をじっくりと眺める。

 「これ、COMPだよね、情報端末の。無料で配ってるって事は何かのサンプルなのかな?」

 「COMPって何だっけ?」

 「コミュニケーションプレイヤー、通称COMP。今結構流行ってるんだけど……知らない?」

 「さあ? あーなのはがいたら詳しいのに」

 どうしたものかと天を仰ぐアリサの仕草に、思わずクスっと笑ったすずかはそっと機械を手に取り、アリサに向き直る。

 「まだ日も出てて暑いし、木陰のベンチにでも座ってこれで時間潰してみようか?」

   

 人気の無いベンチに腰掛けCOMPを二人で起動させる。

 電源が入り、いつものCOMPのタイトルが始ま……らず、意味の分からない文字の羅列が高速で走りすぎて行く。

 「ちょ、ちょっと、何コレ? 壊れてるの」

 「わ、わわ」

 意味の無い文字の羅列の後、一つの文章で画面が止まる。

 其処には。

 

 『Devil summons program start』

  

 瞬間、画面が光に包まれ中に魔法陣が展開される。

 「な、なによこれ!?」

 「……え?」

 眩い光が落ち着くと、其処には見た事の無いモノが存在していた。

 子供くらいの大きさで全身真っ黒な鳥のような生き物。

 そして、インドの民族衣装のような物を着た少女。ただし、その子の影はとても人とは思えない姿をしていた。

 色々な事が起こりすぎて理解が追いつかないが、少なくともこの状況が異常なのは二人にも理解ができた。

 その次に訪れたのは、異形に対する恐怖。

 以前になのはたちの戦いに巻き込まれた事があったが、そんなのとはまったく別次元の恐怖。

 「ケケケ、ヤットジユウニナレタゼ……」

 「ちがうよ、まだじゆうにはなってない。あのおねえちゃんたちをころさないと」

 「ケーッ! メンドウナハナシダゼ」

 目の前の二匹が物騒な事を言っているが、二人の耳には入らない。否、それどころではない。

 「……あ……あ……」

 「ア、アリサちゃん、逃げよう!」

 すずかが咄嗟にアリサの手を取るが……目の前にはすでに少女が近づいて来ていた。

 「だめ、にがさないよ。わたしたちのじゆうのために……しんでね」

 瞬間少女が何か呪文のような言葉をつぶやいたと同時に、すずかの体に強力な衝撃が走る。

 巻き込まれ、なぎ倒される街路樹を見て、すずかは決心する。

 (「最悪、腕の一本やられても私なら大丈夫……! 早くアリサちゃんを……」)

 其処で、はたと気づく。

 いくら化物の血を引いてるとは言え、耐久力は普通の人間とさほど変わらない。

 なのに、街路樹が倒れるような攻撃を受けて、何故自分は立っているのだろうかと。

 試しに手を握る。そして、力任せに思いっきり振り抜く。

 自分には叔母のような鋭い爪は無い。なのに、その一撃は完全に不意を打つ形で少女の顔面を捉え、壁の端まで吹き飛ばしていた。

 (「私は……戦える!」)

 「す、すずか……?」

 やっと正気を取り戻して来たのだろう、アリサは目の前の光景を見て驚愕した表情を浮かべていた。

 そんな親友の表情にチクリと胸が痛みながらも、すずかは前を見つめる。

 「良く分からないけど、戦えそうな気がするよ……アリサちゃん」

 「え、えーい! やってやろうじゃないの!」

 こうなりゃヤケだ! と言わんばかりに素人ながらも構えるアリサ。

 それは、偶然にも先ほど二人が話していた、戦う力。それを手に入れた瞬間だった。

 

 「ケケケ!」

 黒い化物が叫び声と共に炎を吐く。

 炎を体に浴びながらもアリサはこらえ、前に歩む。

 「クェッ!?」

 「熱いじゃ……」

 そして、思いっきり腕を振り上げ。

 「ないの!」

 全力で叩き下ろした。

 「ギャー! ……マイッタ、ニンゲン。ケイヤクトオリニアンタニツイテイクカラ、タスケテクレ」

 「……契約?」

 「ソウダ、オレハキョウチョウオンモラキダ。コンゴトモヨロシク」

 そして、その化物はまた光になったかと思うと、アリサのCOMPに吸い込まれて行った。

 「……はい?」

 其処にはすずかのフォローも忘れるくらいあっけに取られているアリサの姿があった。

 

 「はっ!」

 「あぅ……もう、おねえちゃんしつこいよ」

 少女が自分の腕を振るえば、影も連動して地面から殴りかかってくる。

 すずかはそれを紙一重でかわすと、お返しとばかりに貫手で少女の胸元を捉える。

 確かな衝撃。その一撃に咳き込み、少女は降参の意思を示すためか両手を上げてその場に立ち尽くす。

 「うん、こうさん。ざんねんだけどけいやくだし、これからおねえちゃんについていくね?」

 「契約って?」

 少女の言葉の意味が分からず首を傾げるすずかに少女がニッコリ微笑む。

 「わたしは、きじょあちぇりだよ。こんごともよろしくね、おねいちゃん!」

 その言葉を残して、少女も光となってすずかのCOMPの中に吸い込まれていった。

 「「……」」

 声もなく、その場に立ち尽くす二人。

 どれぐらいそうしていたか、やがてゆっくりと……そして深く息を吐き、アリサはすずかを見つめる。

 「……とりあえず……移動しましょう」

 「……そうだね……」

 それが、まだ始まりにすら過ぎなかった事を、この時の二人は知る由もなかった。

 




一日目前半の終了です。
この時点ではデビサバ側のキャラも出てませんし、なのは達すら出ていませんね。

あの発作ですか? いえいえ、大した事じゃありませんよ。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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