リリカルサバイバー   作:タカノ

2 / 3
ふと思ったのですが、ハーモナイザーで強化された恭也とかベル系の悪魔ですら倒せるんじゃないかと。



第二話 一日目後半

 「さあ、物語はかくして始まった! わけだが、これは面白いね」

 何が面白いのか、スーツを着た軽薄そうな男は、さも愉快だと言わんばかりに声をあげていた。

 「物語ってモノはいくつもの分岐があってしかるモノだが、今回のケースは珍しいねぇ」

 男が愉快そうに笑う中、周りの無数の人影は一瞬目を向けるが、また視線を元に戻し作業を再開する。

 「イレギュラー。そう言えるのかも知れないね。おやおや、これでは折角のカイン君の計画も台無しかも知れないねぇ」

 

 ぴちゃり。

 

 そんな擬音を立て、彼は何処に行くわけでもなく歩みを始める。

 人であったモノが散らばる裏路地の中を。

 

 

 

 

 一日目、夕方

 

 

 

 

 「……」

 「……すずか、大丈夫?」

 ただ闇雲に走って、走り切って、その場のベンチに座り込む二人の少女。

 あれ以降一言も喋らない親友に対してアリサはどう声をかけるべきか悩んでいた。

 (「確かに、あんな目にあって平気でいられるわけないし、此処は私が何とかしないと……」)

 元来アリサの勝気な性格は生来の物ではない。普通の子供とは違う立場にいなくてはならない自分。

 そんな様々なしがらみが彼女を勝気な性格にしていたわけだが、生来はお人好しな面倒見の良い性格だ。

 だからこそ、混乱してる親友の為にも自分が何とかしなくては! そんな気持ちがアリサの中にはあった。

 「で、さっきの化物なんだけど」

 ぴくりっ。とすずかの肩が動く。

 「どうやらこのCOMPの中に収納されて……呼び出すと自分の味方になってくれるみたいだよ? これが契約ってヤツなのかな?」

 すずかの反応こそは無いが、話を聞いてるのを確認するとアリサは続ける。

 「とにかく、これがあると私たちでも戦えるみたいだね! こう、なのはみたいにビームとか出ればいいんだけど」

 「……もう、あれはビームじゃなくて魔法だって、なのはちゃん言ってたよ」

 少しはにかんだようにすずかが顔を上げて話す。 

 「まあ、似たようなモンでしょ。でも、この機械他にも何か機能がありそうなんだけど……良く分からないんだよね。特に謎なのが……コレ」

 アリサがすずかの頭の上辺りを指差し。

 「この頭の上の数字。これって一体何なんだろう?」

 「数字?」

 アリサの言葉に小首をかしげて答えるすずか。そのすずかの反応に訝しみながら。

 「ほら、この頭の上の『3』って数字。私のはどうなってる?」

 「え……えっと……話が見えないんだけど……」

 しつこく追求しようとして、ふと思い止まる。アリサは何か思いついたかのように腕を組むと……。

 「……もしかして……すずかには見えてない?」

 「もしかしなくても、うん」

 「あー……ゴメン。どうやら私だけみたいだね。何なんだろう、もう少し調べてみようかな?」

 そう言ってCOMPと睨めっこし始めるアリサを横目に、すずかは考えていた。

 

 『化物』

 

 あれは確かに人外の存在であった。

 もしかしたら自分たちと繋がる種族なのかも知れない。

 だとしたら、自分もああなってしまうのだろうか?

 そもそも契約とは? 夜の一族が秘密を話すのも契約とは言える。では、それとは違うのか?

 ぐるぐるした頭の中でいくつもの思考が、無意味な記号のように羅列していく。

 「……ずか、すずか!」

 そんな意識を呼び戻してくれたのは、親友である少女の声だった。

 「ゴメン、アリサちゃん」

 「もう、本当に大丈夫なの?」

 「うん……大丈夫」

 力なく頷くすずか。それに対して口を開こうとして……そのまま肩を竦め、また作業に戻る。

 しばらくそうやっていた時、視界が急に暗くなった。

 何てことは無い、付近の街灯、店の灯りなどが一斉に消えたのだ。

 「え?」

 「停電?」

 周囲の明かりが一斉に消え、辺りが一気に暗く染まって行く。

 この時期の18時過ぎくらいならば、そこまで暗くは無いがそろそろ明かりが無いと不便にはなるだろう。

 「……復旧しないね」

 「あー流石に夜もこれだと困るんだけどなー」

 とりあえずその場で時間を潰してみたが、一向に停電が治る見込みも無い。

 むしろ、空がどんどん闇に覆われて行き、状況は悪化して来たとも言える。

 「ともかく、移動しようか?」

 アリサがそうすずかに声をかけようと振り向いた時、奇妙なモノが視界に入った。

 黒い馬に乗った美形の白人男性の姿。

 それだけ言えばおとぎ話の王子様だが、そんな気配は微塵も感じない。

 その手には西洋剣と思われるものを持ち、身に纏っている雰囲気がすでに普通ではない事を滲み出していた。

 「ほう、このような場に可憐な少女が二人か……これは運が良い」

 白人男性は流暢な日本語で……いや、そもそも日本語なのだろうか? 聞こえる響きはもっと別な……何処の国とも取れない言葉だった気がする。だが、何故か二人にはその言葉がしっかりと聞き取れていた。

 「先ほどの召喚者のマグネタイトではいささか不満があったところだ。やはり、清らかな少女のマグネタイトに勝るモノはないからな」

 「な……なんなのよ、アナタ!」

 男性の独特な気配に気押されながらも……良く分からない恐怖感を押さえ込んでアリサは怒鳴りつける。

 間違いない。アレは関わってイイモノじゃない。そう本能が言っているが、すずかを置いては行けない。

 だからこそ、懸命に勇気を振り絞ってアリサは男性の前に立つ。

 「ほう、これは失礼した」

 男性はアリサの気迫を真正面から受け流し、仰々しくも礼をし。

 「私の名は、セエレ。貴女方の命を頂こうかと思います」

 言うが早し。セエレが横凪に剣を振るいアリサの首元を狙う。

 「!」

 間一髪しゃがんで攻撃をやり過ごし、後ろに転がり距離を取る。

 それを見てすずかも自分のCOMPに手をかける。

 「アチェリ、お願い!」

 すずかがCOMPの操作をすると、画面から魔法陣が展開され、その中から以前の少女が召喚される。

 「うん、おねがいされた。まかせておいておねえちゃん」

 アチェリを召喚しすずか自身も一緒に前に立つ。

 (「大丈夫……今の私ならやれるはず」)

 「それじゃあ、私も! 出番よ、オンモラキ!」

 立ち上がり、アリサもCOMPを操作する。展開される魔法陣。その中からオンモラキが姿を現した。

 「ケー! イキナリアクマヅカイガアライマスターダゼ。マア、マカセロヨ」

 アチュリが影の腕で殴りかかり、それをかわした先にオンモラキのブレスが襲いかかるが、そのブレスもセエレは簡単に回避する。

 「ほう、使役された悪魔か……不憫だな。私が君たちを開放してあげよう」

 「そういうのをありがためいわくっていうんだよ、おにいちゃん」

 再び振るわれるアチェリの攻撃。だが、それはセエレの剣で簡単に防がれ、弾かれる。

 「ふっ」

 素早く振るわれるセエレの剣擊。袈裟に斬りかかったかと思えば返す刀で逆袈裟に斬りかかる。

 一撃目を何とかかわしたアチェリだったが、返す二擊目は反応しきれず胸元をバッサリと切り裂かれてしまう。

 「アチェリちゃん!」

 「……ちょっといたいけど、だいじょうぶだよ」

 見るからに大丈夫そうな顔はしていない。切られた所を押さえて……それでも懸命に戦おうと前に足を進める。

 「!」

 それを見て、すずかの体は動いていた。

 動いたすずかに反応して勢いよく剣が振り下ろされるが、それを強引に両手で受け止める。

 腕が多少は切られたが、致命傷にはほど遠い。

 「ぬぅ」

 「はぁっ!」

 そのまま剣を跳ね上げ、力一杯男を蹴り飛ばす。技術やスピードなど関係無い、ただの力に任せた一撃。セエレはバランスを失った所に蹴り飛ばされ、数メートルほど吹き飛ばされてしまう。

 「そこね!」

 そこを狙ってアリサが突っ込み、勢い良く殴りかかるがそれは上体の動きだけで回避されてしまう。

 「貴様らぁっ!」

 逆上したセエレが力任せに剣を振るうと、その範囲にいたアリサを捉え、壁まで叩きつける。

 「アリサちゃん!」

 慌ててすずかが近寄ろうとするが、セエレが鬼のような形相で立ちふさがり、再び剣を構える。

 踏み込んでしまった為、回避行動は間に合わない。すずかが観念して目を思いっきり瞑った時。

 「ぬぁっ!?」

 突然現れた氷の柱によってセエレは動きを封じられていた。

 「君たち、大丈夫かい?」

 「ヒーホー! グットタイミングなんだホー」

 其処にいたのは奇妙な取り合わせだった。

 メガネをかけた青年……おそらく、アリサ達よりかは上だろうか。少し華奢な感じだがれっきとした男性であろう。

 もう一人は、例えるならしゃべる雪だるまだろうか? そんなしゃべる雪だるまは陽気にステップを踏みながらこっちに近づいて来ていた。

 「あ、ありがとうございます」

 「いや、まだヤツは生きてる……ヤツは風が弱点のはずだ。風の特技は何か使えないか?」

 メガネの男性は礼を言うすずかを手で制すると、そう問いかけながらセエレを見やる。

 氷が溶け、そろそろ動き出してしまうだろう。

 「それなら、わたしがつかえるよ」

 青年の問いかけに答えたのはアチェリだった。氷が溶け、動き出すセエレを見てアチェリは無言ですずかを見やる。

 すずかは大きく息を吸い、そしてキッとセエレを見やる。

 「アチェリちゃん、お願い!」

 「うん……『ザンマ』」

 突き出したアチェリの腕から衝撃を伴う風の魔法が吹き荒れる。

 その一撃は確かにセエレを捉え、その表情が苦悶に歪む。

 「まさか! 私がこんな所で!」

 風が過ぎ去った時、其処にはセエレの姿は跡形もなく消し飛んでいた。

 

 

 

 「助けてくれてありがとう。えっと……」

 「……高城 圭介。君たちは?」

 「あ……月村すずかです」

 「私はアリサ。アリサ・バニングス」

 「そうか……ともあれ良かった、助けることができて」

 圭介と名乗った青年がCOMPを閉じ、雪だるまの姿が消えるとアリサ達も習って同じように仲魔を元に戻す。

 「……それにしても……」

 暗い闇に覆われた街を見回し、圭介は二人の少女に向き直る。

 「この様子じゃ復旧するまで電車も車もダメだろうね……君たちはどうするだい?」

 確かに……電気がなければ駅は機能しないだろうし、車もこれじゃあマトモに走れないだろう。現に事故でもあったのか道路は渋滞で車で溢れている。

 「……どうやら公園が臨時避難場所になっているみたいだけど……一緒に行くかい?」

 圭介の提案に顔を突き合わす二人。

 それに……と、圭介は続け。

 「道すがら、ボクで分かる事ならそのCOMPの機能を教えられると思う」

 その圭介の提案を聞き、アリサ達は避難場所に移動する事にした。

 だが、停電は一向に復旧せず、結局そのまま一晩公園で過ごす事になってしまったのだが。

  

 

  

 

 




初回プレイ時、ケイスケ焼きませんでした!
攻略見ないと大体最初は焼かれるって聞いてたんで、上手く進めれたようです。

何やら初日からアグレッシブになってるケイスケですね。確か初日はもっと暗かった気が……。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。