読んで下さる方がいらっしゃるか分かりませんが、これから何とか定期的に挙げて行きたいと思います。
「はぁー疲れたわー」
ぼふっと擬音がしそうな勢いで服装を乱してベッドに体を投げ出す。
せやかて、流石に今日は疲れたんやし、しゃーないと思うんや。
ほんまやったら、今日はお休みで久々に地球に帰ろうとも思ってたんやし。
「……でも、助けることができて良かったね」
そう言って、15にしてはけしからん物をぶら下げている金髪の幼馴染が声をかけて来る。
ウチ、いつも思うんや。これって絶対に神様のイタズラやって。
「そうだね、天井抜いた時はちょっと驚かせちゃったけど」
同じく、男性陣が見たら生唾モンのあられない姿で声をかけてくるもう一人の大事なお幼馴染。
いつからか、2人ともトレードマークだったツインテールをしなくなってから、お父さんとしてはちょっと悲しい気持ちや。
以前に「なあ、何でツインテール止めたんや? あ、別にエビの味がする怪獣とはちゃうで?」と、聞いたところ。「「だ、だってもう子供じゃないし……(!)」」って真面目な答えが帰ってきおった。
うん、ボケはスルーかい。
「でも、本来ならすずかちゃんやアリサちゃんと買い物の予定だったんだけど……流石に今日は無理かな」
「……そうだね……一応メールは送っておいたけど……返事が無いから忙しいのかな?」
「まったくやな。まるで、ウチらが地球にいけへんように事件が起きたとしか考えられへんわ」
そう言って、思わずウチらの中で笑みが溢れる。
せやけど、その時は気がつかへんかった。
コレが、本当にウチらを地球にいかせん為の上層部の企みやって事が。
二日目
「はあ……まさか野宿になるとはなぁ……」
「うー……シャワー浴びたい……」
アリサちゃんの声で目が覚めたけど、最初の感想は汗で気持ち悪いだった。
あれから駅が機能していなかったのもあり、結局公園で野宿する事になって……。
「……2人とも、大丈夫?」
声に振り返ると、其処には飲み物と食事、タオルを持った圭介さんがいた。
昨晩は「女性だけで寝るのは危ないかも知れないけど……傍で寝るわけにもいかないし、近くにはいるから何かあったら声をかけて」と、少し離れた所で見張りをしてくれていたみたいだった。
「あ、圭介さんありがとうございます」
「すいません……」
「本当はもっと買えれば良かったんだけど、あの停電だったからたいして残ってなくって……飲み物も冷えてないけど……」
「いえいえ、助かりますよ」
早くも圭介さんに慣れたのか、笑顔で話してるアリサちゃんは凄いなーと思う。
昨日は道すがら圭介さんにCOMPの機能について色々な話を聞いた。
まず、COMPから呼び出せる悪魔の事、そして悪魔と戦える力を持てるハーモナイザー機能、それと、悪魔の能力を使えるようになる、スキルクラック。
私達は驚きながらも、同時にそれを受け入れていた。圭介さんは驚いていたけど、それはきっとなのはちゃん達のおかげかも知れない。
なのはちゃん達が使う『魔法』。この存在があったからこそ、こんな超常的な話でも受け入れられるのかも知れない。
それに、私も……。
「ところで圭介さん」
「……何だい?」
考えにふけっていた所にアリサちゃんが真面目な顔で圭介さんに向き直っていた。
「私達の頭の上の数字……見えていますよね、これってなんですか?」
「……」
「圭介さんの数字は『1』でも、昨日は『2』だった。これが一日経って減ってると仮定したら……これは0になった日に何かが起こると仮定できるのですが」
そこでアリサちゃんは一度口を止めた。圭介さんの反応を伺っているのだろう。圭介さんは口を閉ざしたままだ。
「これだけの機能について知っていたのに、この数字にだけは圭介さんは触れなかった。それは、この数字が良くない意味だって知ってるからじゃないんですか?」
「……鋭いね、キミ」
「父の影響かも知れません。父が商売人なモノで」
商売人ってレベルじゃない気がするけど……此処は口に出さないでおく。
「頭の上の数字は……これは寿命らしいんだ……つまり、ボクも君たちも、後数日の命ってわけさ……」
「……え……」
後、数日の命? 私達が?
「そうなんですか」
「そう、だから……」
「じゃあ、それを増やす為に頑張りましょうか」
「……え?」
衝撃的な事実。それを受け止めた上で尚アリサちゃんは前を向く。
「だって、このままじゃ死んじゃうって事でしょ? 恐らくは悪魔にでも殺されちゃうのかな。そんなの絶対にゴメンじゃない。だったら立ち向かわないと」
「き、君は自分の言ってる意味が分かってるのかい?」
「それはもちろんですよ。でも、私達の親友が昔実践したんです。どんな難題でも諦めなければ解決できるって」
あ……うん、そうだったね。
「……ええ、私達の大事な親友達はそうやってどんな困難にも立ち向かって行きました」
「だから、こんなノストラダムスもビックリな予言に踊らされてたまるかってもんですよ」
「君たち……」
「だから、圭介さんも悩まないで下さい」
「え……」
意外そうにアリサちゃんを見る圭介さん。うん、それは私もだったんだけど。
「何があったかなんて私は聞きませんし、聞く権利もありません。だけど、色々悩んでいるのくらい見れば解ります。もっと自分を信じて下さい。少なくとも私たちは圭介さんに助けられました。圭介さんの行動で、私たちは救われたんですよ」
「あ……」
「だから、自分の考えに自信を持って下さい」
アリサちゃんは言い切ったように口を閉じ、じっと圭介さんを見つめる。
やがて、肩の力を抜いた圭介さんは初めて微笑んで。
「……すまないね、ありがとう」
其処には今までの何処か弱々しく見えた圭介さんの影は見えなかった。
「さーて、色々解決した所で家に帰りますかー」
「うーん……だけど、携帯も通じないみたい」
昨日の晩から何ども試しているが、携帯は常に圏外を表示していた。
「おかしいわよね、普通停電しても基地局何かには予備電源とかあるはずなんだけど」
「……まあ、とりあえず駅に向かおうか」
「そうですね。さーて、せっかくだから行き道がてらに『フレイムアイズ』で何ができるか確認しないと」
「ふれいむあいず?」
アリサちゃんがいきなり良く分からない事を言い出すから、思わず変な声で聞き返しちゃった。でも、フレイムアイズって何?
「ああ、なのはのレイジングハートやフェイトのバルディッシュみたいに、どうせなら私も名前をつけてみようかなーと思って。ほら、このCOMPのカラー赤だし」
ちょっと照れた感じでアリサちゃんが答えながら手にしたCOMPも見せてくれる。確かに真っ赤なカラーリングは名前も、アリサちゃんの性格にもピッタリかも知れない。
「それなら……私のは『スノーホワイト』かな。よろしくね」
私は手にした真っ白なCOMPを見て、そう呟く。
この時、圭介さんが少し可哀想なモノを見るような目をしていた気がしたけど、あえて見ない事にしました。
「あーただ今山手線沿線にて毒ガスが発生した為、沿線を封鎖しています。安全が確認出来るまで暫くお待ち下さい」
駅に行って最初に見えたのは物凄い人だかりと、ぐるりと周囲を囲む自衛隊のバリケードだった。
何でも今の自衛隊の人の放送だと、毒ガスが出たって話だけど……。
「妙ね」
どうしようかと悩んでいたら、急にアリサちゃんが独り言のように呟いた。一度深く考えるように視線を落とし、そして言葉を続ける。
「急に毒ガスが発生した割には手際と準備が良すぎない? まるで、この閉鎖が決定事項だったかのような感じだわ」
「え、それって……」
「そうだね……ボクも同じ事を思ってた。多分、この封鎖は毒ガス何かが理由じゃない」
毒ガスが理由じゃない。それってつまり……。
「悪魔でしょうね。このタイミングからして、政府はすでに悪魔が発生する事を知っていた……? いや、流石に考えすぎかな?」
「いや、あながち的外れでも無いかも知れないよ。可能性はあると思う」
アリサちゃんの推理に圭介さんが付け足す。
「……とにかく、此処にいても通れそうにないね……他を探そう。何処か封鎖されていない場所があるかも知れない」
圭介さんの言葉に頷き私達はこの場を去る。
この時は思いもしなかった。昨日の事何かが大した事の無い。
これからが本当のサバイバルになるなんて事を。
ピピッ。
let's enjoy survival!
アリサ>実は理知的
すずか>内向的
はやて>ボケ
こんな構図になりました。
うわーアリサすげーとか思いながら書いておりました。
今回はセリフパートが多すぎた為色々反省が。
もっと上手くできればいいのですが……。
此処まで読んで頂きありがとうございます。
よろしければ感想等お待ちしております。