仮面ライダージオウ STRIKE WORLD   作:いちごDF

3 / 9
お待たせしました!


王国の英雄

「アーサー王!万歳!」

 

アーサー王。彼女は悪の手から国を守った英雄。

復興した国で今、アーサー王を称える祭典が行われていた。

国の民は皆アーサー王に尊敬の目を向けている。彼女もまたそのような目線を向けられ悪い気はしない。これが自分が守った物だとわかるからだ。

ここにいる人々の誰もが思っていただろう。このような平和は未来永劫続くと。

だが、そんな未来は来ることは無かった。

 

「アーサー。君の力、歴史を利用させてもらうね」

 

ここは町外れの住宅街。住人たちはアーサー王を人目見るために出かけている。そんな人気のない場所に黒いコートに深く黒いハットを被った人物がポツンと一人立っていた。

深く被っているため顔は見えず、服装によるためなのか体型もあまりはっきり分からず、性別は判断できない。

その者の手にはブランクウォッチ。これは固有の能力や機能を持たない空のウォッチ。

このウォッチには2つの使い道があり、1つはジオウやゲイツが行っていた『過去の平成ライダー達に渡し、あるタイミングでライドウォッチ化したものを受け取る』ということ。

そしてもう1つがタイムジャッカーが行っていた『平成ライダーの力を強引に奪い取り本来ライダーになる未来がない、変身資格がない人物に力を奪ったウォッチ、『アナザーウォッチ』を導入する』ということ。

 

今回、この人物がやろうとしていることは後者の方である。

すなわち、アーサー王の力を奪い取るつもりだ。

 

「さて、私もアーサーのいる場所へ移動するとしよ〜と」

 

黒いハットの人物は姿が一瞬で消え、アーサー王の祭典があっている場所へワープした。

ワープしたあと右手を前に突き出す。すると世界の時が一瞬にして停止した。

停止した世界を一人で歩く。そしてアーサー王の間近までたどり着く。

そして左手にブランクウォッチを持ち、停止しているアーサー王の胸にブランクウォッチをかざし、上部のボタンを押す。

 

「っ!?」

 

力を吸い取られる感覚を感じたのだろう。ほんの一瞬だけ、アーサー王が動くが再び停止した。

力を完全にブランクウォッチに吸い終わると、ブランクウォッチは変化し始めた。

 

『アーサー...」

 

アーサー王の力と歴史を奪ったウォッチ、『アナザーアーサーウォッチ』が誕生してしまった。

アナザーアーサーウォッチの側面には、アーサー王の面影はあるが歯は剥き出しになり、目はまるで鋭く尖ったラピスラズリの様な形になっているアナザーストライクがうつっている。

 

「これで4つのアナザーウォッチが生まれた。残すのはあと()()だけど...4つあるし先にこいつを使った方が楽かも」

 

黒ハットの人物は4つのアナザーウォッチを起動させるため、とある場所へワープした。

 


青と黄色の紋章の先へ空を飛ぶことでたどり着いたジオウとゲイツは、紋章の先にあった世界の陸地に降り立つ。

フォーゼアーマーを解除し、ノーマル状態のジオウに戻る。

 

「これは...酷い状態だね」

 

「まるで俺がいた2068年のようだ」

 

二人が降りた地は荒れ果てた荒野。砂埃が常時起きており、変身を解かない方が身のためだ。

何か無いか荒野を見渡す。現在の状態で見える範囲ではなにもなかった。

より遠くが見えるようにするには!とジオウはオーズライドウォッチを起動させ、ジクウドライバーに装填する。

 

『アーマータイム!』『タカ!トラ!バッタ!オーズ!』

 

オーズアーマーの顔『オーズヘッドギアM』にある『タカインジケーションアイ』には最大で8km先の人物の識別ができ、遠目が利く姿となっている。

その状態で再び周りを見渡すと、離れた場所にテントのようなものが建っているのを目視したジオウ。

それをゲイツに伝え、そこに向かうことになる。

空を飛んでその場所に向かおうするが飛行状態があまりに不安定なため、空を飛ぶのは諦めた。

どうやら原因は、砂埃がゲイツリバイブ疾風が飛行する際に使用する装備、リバイブストリーマーに入り込んでくるからのようだ。

 

フォーゼアーマーも砂埃が影響して安定して飛べないため、ライドウォッチホルダーからバイクライドウォッチを取り出し、アクティブプッシュを押し、ライドストライカーに変形させる。

二人はそれぞれ変形させたそれに乗り発進する。

 

走ること数分。目的地近くに到着した二人は、変身を解除した。

ライダーの姿のままだと敵か何かと間違えられてしまう可能性を考慮したからだ。

 

「道中と比べここは砂埃が起きていないようだな」

 

ゲイツの言う通り、ここより少し離れると砂埃が起きているが、テントが建っている周辺は不思議と発生していなかった。

 

「そうだね。おっ良かった人も居た!どうしてこうなったのか何か知ってるかも」

 

アナザーストライクか影響しているのはわかっているが、そのアナザーストライクがどんな姿なのか、どんな能力を持っているのかはわかっていない。

ソウゴがテントから出てきた老人に話しかけると、老人はソウゴ達を見て少し驚いた表情をした。

 

「あなた達は先ほどまでいた旅人のお連れさんですかな?」

 

「旅人?いや俺たちはそんな人は知らないけど...ゲイツは?」

 

「一緒に行動している時点でお前が知らなければ俺も知るわけがなかろう」

 

「そうでしたか。先程まで旅の方と雰囲気があまりに似ていたもので...」

 

「雰囲気?」

 

旅人が自分たちと雰囲気が似ていた。もしかしたら自分たちと同じように外から来た人物ではないかと疑うソウゴ。

ソウゴが次の質問をしようとすると横入りするようにゲイツが老人にそのことについて聞いた。

 

「どんなやつだったか、ですか。身長が高い男ということしかわかりません。あっそういえば奇妙なものを持っていました」

 

「奇妙なものってどんな形だ?」

 

「確か四角い箱だったような。私が老人な故、記憶力が乏しいのは許してくだされ」

 

「ほかにこういうものは持っていなかったか?」

 

ゲイツがライドウォッチを老人に見せる。

だが、老人は見たことないと答えた。

ほかにその旅人について知っている人物はいないか老人に聞くが、その旅人を見たものは自分だけと言った。

それを不思議に思ったソウゴとゲイツだったが、外には今ここにいる3人を除けば誰もいないこと、そしてテントが1つしかないことを見て納得した。

 

「ねえおじいさん。その旅人はどこにいったの?」

 

先程までいたと言うなら近くにいるはず。そう考えたソウゴだが、老人は不可解なことを言った。

 

「それがいつのまにかいなくなっていたのです」

 

「いつの間にかって...」

 

この老人の発言で自分たちより早く来ていた人物は、少なからず能力か何かを持っている、もしかしたらナザーストライクに何かしら関係している可能性が高いとわかった。

 

ソウゴは老人にお礼を言うとゲイツと一緒にテントから老人か見えない距離まて離れようとした時、空から光が降ってきた。

なんとか老人と一緒に避けたつもりだったが、老人の方は背中に火傷のような傷を負ってしまった。

急いで老人をテントの中に入れようとするが、空から降りてくる人型の何かによってできなかった。

 

人型の何かの全身を見ると、歯ひ剥き出しになっており、金髪で目は尖ったラピスラズリのように青く尖っている。

そして、鎧を纏っており、どこかの騎士のような姿をしているが騎士の勇姿さは感じられず、不気味で歪んだ姿形をしている。

まるでアナザーライダーのようだ。

 

「やつがアナザーストライクと見て間違いないようだな」

 

「そうだね。もしかしてこんな荒野になって人がいないのもこいつがやったのかな」

 

「そうみて間違い無いだろう。現に今この老人を殺そうとしていたしな」

 

ソウゴはアナザーストライクに話しかけるが、何も返事は返ってこない。意識がないのかと一瞬考えたが、溢れ出る殺意から話し合いはする気はない、又はできないと判断した二人。

 

ソウゴはジオウllライドウォッチを、ゲイツはゲイツライドウォッチとウィザードライドウォッチを起動させ、ジクウドライバーに装填する。

 

「「変身!」」

 

『ライダータイム!」「仮面ライダー!ライダー!ジオウ、ジオウ、ジオウll!』

 

『アーマータイム!』『プリーズ!ウィザード!』

 

二人が変身したのを確認するとアナザーストライクは二人に襲いかかってきた。

ジオウllがサイキョーギレードで相手の剣による攻撃を防ぐ。サイキョーギレードで相手の剣を弾き、空いている腹あたりを素早く横薙ぎする。

剣と鎧が交わり、キーンと金属の音が周りに鳴り響く。どうやら生半可な攻撃では鎧の防御は突破できないようだ。

 

ジオウllとアナザーストライクはお互いに離れると、アナザーストライクに向かって等身大の火球が飛んでいった。

アナザーストライクは素早く、己の持つ剣でそれをさばく。

すると、それと同時にジオウllが両手で持ったジカンギレードと合体させたサイキョージカンギレードで、思いっきりアナザーストライクに向かって振り回した。

どうやら有効な攻撃だったようだ。

 

「おいジオウ、奴は防御力が高い。一気により大きい火力で押すぞ」

 

「俺もちょうど思っていたところだよ!」

 

『フィニッシュタイム!』『ウィザード!』

 

『ジオウサイキョー!』

 

ゲイツはジクウドライバーにセットしている2つのライドウォッチのボタンを押し、ドライバーを一回転させた。

それと同時にジオウllはジオウの顔を模したギレードキャリバーの表記を『ジオウサイキョー』に変化させ、刃の先を上に向けるとエネルギー体によって刃が巨大化する。それの側面には『ジオウサイキョー』と書かれている。

 

『ストライク!』『タイムバースト!』

 

アナザーストライクの頭上に5つの赤い魔法陣が浮かび上がり、そこから火球が降り注ぐ。

そしてジオウllがサイキョージカンギレードを横薙ぎにし、アナザーストライクは大きな爆発を起こした。

 

爆発によって舞った砂煙が空けると、アナザーストライクがいた場所には、大きさはジオウの腰の部分ぐらいで、緑色の球体が落ちていた。

 

「なんか大きいボールが落ちてるけど」

 

「罠かも知れん。様子を見るぞ」

 

様子を見ていると、球体は地面から少し浮き、淡い光を放ち出した。

そこから何かしら攻撃か何かされても対処できるように構えると、球体はこの場から姿を消した。

 

「消えた...!」

 

「一体なんだったんだあれは」

 

歪んだ騎士のアナザーストライクを倒した後に現れた謎の球体。あれは必ず今回の件に関わっているのは状況から見て想像に難しくない。だが、どこにいったのか見当もつかないうえ、老人の手当もしないといけないため、この場で考えることはやめた。

 


『フィニッシュタイム!』『ウィザード!』

 

『ジオウサイキョー!』

 

『ストライク!』『タイムバースト!』

 

二人の攻撃を受け、倒された騎士のアナザーストライク。

ジオウ達は気付いていなかったが、実はその時、何者かが時を止めていた。

 

「情報通りジオウの戦闘能力は飛び抜けている。アナザーアーサーでは相手にならなかったか〜」

 

そんな独り言を言っているのは、黒いコートに深く黒いハットを被った人物。アーサーから歴史を奪い取った張本人だ。

黒いコートに深く黒いハット...と何度もくどいので、勝手に「ブラックコート」と呼ばせてもらう。

 

「このままいくと残る三体も簡単に倒されてしまうと思うけど...ちょっと早めに行動しないといけなくなるけどまあ間に合うかな」

 

ブラックコートは爆発が止まっている場所まで歩く。そこには何かが倒れていた。

その何かにブラックコートが触れると光を放ちながら変形していき、緑色の球体が出来上がった。

 

「あと3人が倒される前にあれを終わらせなきゃ。じゃあねジオウとゲイツさん。時が止まってるから聞こえないと思うけど」

 

ブラックコートはその場から姿を消すと、再び時間が動き出した。


ジオウ達がアナザーアーサーの世界に向かう前にオーマジオウによって時が止められたジオウの世界である男が歩いていた。

 

「誰だか知らんが全くめんどうなことをしやがる...」

 

なぜ時が止まった世界で動けているか定かではないが、男は近くに建っている家の扉を開ける。

その扉の先は家の内部に繋がっておらず、そのかわりに荒野が広がっていた。

 

「あいつらの手助けをしてやるか」

 

男は荒野に足を踏み入れた。




アナザーアーサーを倒したジオウ達。ストライクワールドでは何かしら変化は起きたのでしょうか?
そしてブラックコート(仮)のやっていることは一体...?

次回もお楽しみに。
次回更新は12/11以降を予定しております(多少の前後はあります。ご了承ください)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。