インフィニット・ストラトス<SCARLET BRAVE>   作:蒼天布武

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前回にも少し出ましたが原作の登場したあの人が登場です。


第五話〜詮索2〜

 硝煙とともに扉から現れたのはウサギの耳をつけた、独特の格好をした女性だった。

「伏せろ、みんな!」

 エレアがそう叫んだ途端、後ろに隠していたハンドガンを構え、侵入者に向けて発砲した。

「おい!大丈夫なのかよ!」

「安心して、麻酔弾だから死にはしないわ!」

 

 だが彼女を狙った弾丸ははずれ、そこには誰もいなかった。

「もう、なんで狙ってくるの〜?」

 尋常ではない動きでエレアの放つ銃弾をかわし翻弄する。

「くそっ!」

 弾が切れ弾薬庫を取り替えようとした瞬間、ウサミミの女はエレアの後ろをつき抱きしめた。

「無駄だよ、そんな攻撃じゃ♪わかってるくせに。」

 エレアは対抗するも彼女は離れることなくしがみ続ける。力の差を見せつけられ諦めたかの様にエレアは抗うのをやめた。

「もう何なのよあなた・・・。」

 

「あ、はじめての人がいるのに紹介が遅れちゃったね♪私は篠ノ之束、よろしくね〜☆」

 その時まるで化物を見る様な目でヒメノが言った。

 

「嘘っ!篠ノ之束ってあのIS開発の第一人者で基礎理論を考察した、あの篠ノ之博士・・・」

 ケイとノエルは驚き、エレアはさらに呆れる。

 

「こっ、この人がISを作った人?」

「嘘だろ・・・こんないい加減な格好した女が・・・。」

「失礼だなぁ、格好くらい。センスなんて人それぞれじゃん。」

 そう言って束はケイに歩み寄ってきた。

 

「へぇ、あなたもISに乗れるんだ!一夏くん以外に男で乗れる人がいるなんて!」

「どこでそれを知ったのよ?」

 正気に戻ったエレアが束にいう。

「いやぁ、なんか頭の中の電波がピピピと反応して、そこをたどったらフランス軍基地に着いちゃったんだよ〜。」

 もはや一般人には通用しない理屈で言われて、周りは漠然としている。

 

「もう隠すことはできないか・・・。」

 そう言ってエレアは今回の騒動を洗いざらい話すことにした。

 

「へぇ、この紅鉄(あかがね)ってISは知らないなぁ。」

 もはや知らないことの方が少ない束ですら知らないとなると、手が付けられない。

「とりあえず、一度こっち(デュノア社)で預からせてもらってもいいかしら?未知のISとなるとなおさら分析してみたい・・・じゃなくて、分析してみないと危ないじゃない?」

 若干本音みたいなのが聞こえたが、あえて誰も突っ込まなかった。

 

「ちょっと待ってください!紅鉄(あかがね)を預けるって、もし次もあのシュバルツ・リーゼっていうのが襲ってきたらどうするんですか!」

 ノエルが焦る様に言った。たしかにいつあの戦艦が襲撃してくるなんてことはわからない。しかもこちらの手元に紅鉄(あかがね)がある以上、また襲撃されることは確実といえるだろう。

 どうしようかと悩むエレアにふと何かを思ったようにノエルがおもむろに言った。

 

「あの!別のISを貸してもらうことってできないでしょうか。」

 その言葉にエレアはおどろきながらも考えた。たしかにデュノア社には多くのISが常に待機している。だがたとえ天下のデュノア社であろうが、ISのコアは貴重なもので数は限られているため、エレアの独断で決めるのは難しい。

 

「そういえば、さっきまでの話だけど、俺たちは何の条件も無しにデュノア社に洗いざらい話したんだ!それなりの交換条件があってもいいんじゃないのか?警察でもないのに俺たちを拘束までして。」

 ノエルをかばう様にケイも意見をいう。

 

「侮っていたわ。まさかこの話を交換条件にされるなんて。」

 エレアとしては強硬手段に移り口封じや権力でねじ伏せるといった行動もできなくもなかったが、ここを友好的に進めていきたいという考えもあった。そもそも子供相手にそんなことをして世にばれたらこっちの株もだだ下がりである。

 

「ノエルちゃんだっけ?私この子気に入っちゃったかも〜♪」

 すると突然、束はノエルを後ろから抱きしめた。

「きゃあっ!?」

 

「そう言うことならこの篠ノ之博士にお任せあれ!私がノエルちゃんにISのコアをプレゼントしちゃいま〜す☆」

 その言葉を聞いた全員が驚いた。ISのコアなんてどこの国や企業も喉から手が出るほど欲しがる代物をさっき知り合ったばかりの女の子に上げるなど言語道断である。

 

「なんでそんなに驚くの?これはノエルちゃんとの友達の証だよぉ。しかも、そっち(デュノア社)だって貴重なコアを手放すのは嫌でしょ?」

 たしかにこっちは色んな情報を手に入れて、尚かつ交換条件を持ちかけられているのだから、むしろうれしい限りだ。

「あと、勝手に入ってきてエレアちゃんを怒らせちゃったし、これで仲直りじゃだめ?」

 エレアは呆れながらうなずいた。

 

「わかりました。まぁあなたには色々後ろ盾してもらっていますし、ここで信頼関係を失うわけにはいきませんからね。」

 その言葉を聞いて束は心底うれしそうな笑みをした。

「機体はこっちでなんとかするわ。まだ第二世代までしか実装できないけど、スペックは期待してもいいわよ。」

 いろんなことが起こって一時はどうなるかと思ったが、なんとか理想的な形に事が運んでくれたお陰で話は終着した。

 

「とりあえず、ノエルさんの機体が完成次第、紅鉄の調査をさせてもらうわ。それでいいわね。」

 紅鉄の交渉も終え、一時帰宅という形で三人は解放された。行く宛のないヒメノはとりあえずノエルの家に泊まる事になる。監視役としてケイとノエルがいるから大丈夫だろうとエレアも承諾した。

 

 

「あれはどこからどう見ても男でしたわ!」

 

 薄暗いホテルの一室で仮面をつけた男と、襲撃の時にいた少女アリシアとヒルダが険悪な表情で話している。

「見間違いじゃありませんかお姉さま?確かに紅鉄(あかがね)に乗っていたのはヒメノではないことは私でもわかりましたが、男というのはいくらなんでも。」

「私は声も聞いたんですわよ!やっぱりあれは織斑一夏本人ですわ!」

 織斑一夏といえば、女性のみが扱えるISを男で乗ったと言われた人物である。今は日本のIS専門の学校にいるためフランスにわざわざ来るとは思えない。

 

「アリシア、そいつを織斑一夏と決めつけるのはまだ早い。まずは直接この目でみるまでは。」

 仮面の男はそういうと、席を立ち窓から外を眺める。

「そうですわね、ヒメノの捜索もありますし、もう一度あの場所に行ってみない事には何も掴めませんわね。」

 これで要件は済んだかのようにアリシアは後ろを向いて外に出ようとする。

「もうこの位でいいでしょ“ヘルシャー”。さあ、行きますわよヒルダ。」

 アリシアとヒルダはそのまま部屋を出ていき、そこにはヘルシャーという男だけが残る。

 

「ISを乗る男か・・・。」

 静まり返った部屋で仮面の男はつぶやいた。

 




束さんの登場です。
まだ未定ですが他のキャラも出したいですね。

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