ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

104 / 787
三百二十二話の始まりで触れた事の詳細になります。


第三百八十六話「ダイ・アナザー・デイ前の状況 9」

――ダイ・アナザー・デイは日本側の都合で『攻勢作戦』を『防衛作戦』に切り替えさせた影響でロマーニャ軍が壊滅し、ヒスパニアはフランコ将軍の失脚後に王制に回帰させるつもりだったが、軍が霧散してしまい、それどころではなかった。連合軍は比較的有力な二カ国が力を失った結果、日本連邦の突出が際立った。日本は軍を押さえつけようとしたが、カールスラントの不手際で国際問題が起こったことで、それに対処せねばならないなどの問題が発生した。また、兵器の整理を強行したら、重要作戦が始まったなどの大チョンボ。結局は戦線の支えを『いくつかの世界が厚意で派遣した』超兵器に頼らざるを得なかったという事実は扶桑にショックを与えた――

 

 

 

 

――戦局は少数のジェット機でどうにかなるものではないため、在来式の中で比較的に高性能な機体を選抜して量産することで、場しのぎをしようとしたが、結局、零式や一式戦を史実後期型相当にグレードアップする羽目に陥るなど、グダグダであった。二式戦の三型の量産が頓挫したのも、この頃である。エンジンをリベリオンのR-2800に換装し、高性能を発揮したものの、日本側が『リベリオンとの連絡が断たれた以上、量産不能』と判定した。自由リベリオンに扶桑へエンジンを供給する余裕がないのも理由であった。これにより、四式戦闘機が脚光を浴びたものの、実際の性格が史実と違いすぎたために、長島飛行機は理不尽な叱責を受けた。長島飛行機は反論しつつ、すぐに再設計に取り掛かったが、大がかりな再設計が必要になり、量産の機数を決める会議で『史実より速度性能はマシだが、大がかりな量産の必要は薄い』とされ、史実の半数以下の数しか生産されなかった。ジェット機が既に次期主力の座を約束されていた事、似通った性能特性の紫電改が海軍の主力機に収まっていたためであった。史実の鍾馗と似通った数で落ち着いたのは、同機の代替機種にされたからだった――

 

 

 

 

 

 

――1945年――

 

ダイ・アナザー・デイに続々と参戦する他世界からの有志。その仲介役を担っていたのがドラえもんと青年のび太で、少年のび太は前半の頃に参戦していたが、途中で青年のび太にバトンタッチする。これは子供の自分の都合もあるが、ダーティーな仕事もする事が増えるからである。

 

「さて、そろそろだ。ついたかな」

 

ドラえもんはフェイトや南光太郎の調査で黒江が転移した場所を特定に成功。城戸沙織/アテナの意向を確認した上で、彼女をかの世界へ送り出したのだが。

 

「参ったぜ。この姿のままで帰還の報告か」

 

「お、帰ったようだね」

 

「参ったぜ。まぁ、元の顔は顔バレしてるから使わせてもらうが…声もそのままか」

 

「おかえり」

 

「うっす、ただいま。なりは変わったが、俺だ」

 

「君もずいぶん変なことになったね」

 

「この姿の元の持ち主に会わん事には、戻れるかもわからん(結局はそのまま使うことになるが…。)からな。ギャバンさんたちには?」

 

この時はまだ正式には、調と会っていないらしい黒江。

 

「銀河連邦警察に出動を要請したよ。母艦のオーバーホールが終わり次第、バード星から出動するって。それと、はーちゃんの戦友達が転生と転移って形で現れたよ」

 

「マジかよ!」

 

「今、赤松中尉(当時。後に大尉へ昇進)が皆を集めてる。はーちゃんは連れてくる手筈」

 

「分かった。身体検査はできなさそうだな。まっつぁんのとこに顔だしてくらぁ」

 

「わかった」

 

ドラえもんは普通に、この調子だった。お互いに変な事が多いからだ。黒江はこの時から、調の容姿で過ごすことが多くなる。元の顔は『顔バレ』していたので、防諜と欺瞞も兼ねて、そのままの姿で過ごす事になるのだ。

 

 

 

 

――それからしばらくした後――

 

「ほう。娘っ子らが『プリキュア』とは。面白いものよ」

 

「大先輩、上はこのことを?」

 

智子がそれを質問する。赤松はそれを肯定した。はーちゃんの存在は既に連合軍上層部も知っていたのだ。

 

「儂はそれでやってきたのだ。お偉方は既に知っとるよ。ボウズ、『物資』の運び込みはどうか」

 

「手配は済んだ。今、荷降ろし中」

 

「ご苦労。加藤の娘っ子が近いうちに『大佐』として、新しい部隊の指揮官に収まる。それまでに、501統合戦闘航空団の残務処理を済ますように。それと、プリキュアになった娘っ子共を呼び出せ。人格が変容する者もいる以上、一応は『意思確認』はせねばならん。お嬢は出撃して、運動してこい。肩慣らしにはなるだろう」

 

「待ってました!!」

 

赤松の呼び出しで集められたプリキュアは『変身後』の姿での集合を命じられた。64F結成前の時点では501在籍中の者からの覚醒が多かった。この時点で、ペリーヌはまだ覚醒に至っていなかった。だが、シャーリー、竹井、錦、芳佳の四名は既に覚醒済みであり、錦に至っては肉体の素の外見までもが別人と言えるほどに変容していた。

 

 

「お前らの現役時代のチーム名は?」

 

赤松の質問に一同は答えた。錦(のぞみ)、竹井(海藤みなみ)、シャーリー(北条響)は現役時代の変身アイテムが出現したが、条件的に『何故、出現したのか?』という謎が残る者もいた。

 

「スイートプリキュアだよ」

 

「Go!プリンセスプリキュアです」

 

「プリキュア5です」

 

「スマイルプリキュアです」

 

「うーむ。見事にバラバラだな」

 

「のび太に裏を取ってもらったけど、間違いないよ、まっつぁん」

 

「ご苦労」

 

「おい、黒江さん。あんた、プリキュアでもねえのに、外見がなんで、そんなに変わってんだ!?」

 

「異世界に飛ばされて、今しがたに帰ってきたばっかなんだ、無茶いうな。身体検査も済んでねぇんだよ、『俺』」

 

「お、俺!?」

 

驚くキュアメロディ。黒江はシンフォギア世界に飛ばされる前は『私』が一人称だったが、帰還後は『俺』に変わっていた。猫をかぶる必要が無くなったせいか、全体的に『バンカラ』な口調になっている。

 

「転生前の能力と自我が復活するというのは稀にあるが、今の自我と混じり合うのは見るが、前世の自我が肉体を完全に乗っ散るとはな。……驚いたぞ、中島。いや、キュアドリームと呼ぶべきか」

 

「大先輩、随分と落ち着いておられますね…?」

 

「儂やボウズ、お嬢、黒田にも秘密があるのでな。一つは『転生者』であること。もう一つは……」

 

赤松と黒江ははそこで聖衣を纏うところを見せる。赤松は孔雀座の聖衣なので、白銀聖衣。黒江は山羊座なので、黄金聖衣だ。

 

「オリンポス十二神の内、知恵と戦いの女神『アテナ』に仕えし闘士であるというという点だ」

 

「大先輩たちが……聖闘士…!?」

 

驚きを隠せないキュアドリームだが。

 

「お久しぶりですね、それを纏われるのは」

 

「事変以来じゃから、もう七年になるか。お前は知っとるな?」

 

「ええ。その場にいましたから」

 

事変で聖衣を見ていた関係で、事の全てを既に知るキュアマーメイド。

 

「これで隠し事は無しじゃい。儂らは光速戦闘に慣れとるが、お前らはどうじゃ?」

 

「あの~、こっちはせいぜい、マッハなんですけどぉ~……」

 

「同じく」

 

「私もですぅ~…」

 

しょげる三人。プリキュアとしての記憶は目覚めたが、高位の聖闘士がこなすような『光速での戦闘』の経験はないからだ。

 

「やぁ、やってるね」

 

「のび太!お前……あたしたちのこの姿見て、何も疑問に思わねぇのか…?」

 

「いやぁ、プリキュアならさ…。すっかり慣れちゃってるんだ。僕」

 

「どういう事だよ」

 

「ほら、子供の僕が『僕が十二、三歳になると、パパが『漂流者』の子を養子を迎えることになる』っていってたろ?」

 

「お、おう……」

 

「後でわかったけどさ、その子、君らの後輩だったんだよ」

 

「なにぃーーーー!?」

 

「嘘……、誰、誰なの!?」

 

狼狽するキュアドリーム。それと対照的にキュアマーメイドとキュアハッピーは落ち着いている。

 

「落ち着きなって。連れてきたから。……いいよ」

 

「わかりました」

 

「そ、その声は!?」

 

青年のび太に促され、姿を見せたのは。

 

「お久しぶりです、皆さん」

 

『ふ、フェリーチェ!?』

 

魔法つかいプリキュアの『キュアフェリーチェ』その人であった。赤松に会釈するその姿は往時そのままである。

 

「え、え、えぇーーーー!?ふ、フェリーチェが……の、の、のび太君の……義理の妹ぉ!?」

 

とんでもない状況に、言葉を失うキュアドリーム。

 

「おい、これはどういうこった!?なんで、フェリーチェがここにいんだ!?」

 

声を荒げ、半ばパニックのキュアメロディ。

 

「ずいぶんこみいった事情なんだよ、シャーリーさん。それと、夢原のぞみちゃん」

 

「なんで、私の前世での名前を…」

 

「この子に聞いたんだよ。それに、キュアハッピーとキュアマーメイドには話してある」

 

「お前ら……」

 

「仕方なくてね、響。私とみゆきも確証が欲しかったの」

 

キュアメロディは現役時代と違い、『血気盛ん』な気質になっている故か、現役時代よりガサツになったと言わざるを得なかった。隠し事をされたことへ強烈な不満を見せたが、のび太に軽くスルーされる。

 

「それで……」

 

「おい、スルーすんな…!?」

 

キュアメロディはのび太に掴みかかろうとするも……。

 

「メロディ~?」

 

と、フェリーチェに止められる。その手に現れたのは……。

 

「お、おい。なんだよ、その真ゲッタートマホークは!?どこから出しやがった!?つか、笑顔でドス黒いオーラ出すんじゃねぇ~!?こえーよぉ!?」

 

「不満はわかりますけど、これから事情を説明しますから」

 

「ぎょわ~~!!それは説明するスタイルじゃね~~!?」

 

キュアメロディはこの時から、『コメディリリーフ』的なポジションが確定した。キュアフェリーチェが真ゲッタートマホーク(ハルバート型)を一瞬でメロディの喉元に突きつけたことで、一瞬のうちに冷や汗タラタラになり、情けなく命乞い(?)をしたからである。

 

「だーーー!こ、こういうコメディ的なポジションはあたしの役柄じゃねーーー!ま、ま、マジ勘弁してくださ……」

 

「ふむ。だいぶ、『モノ』になりおったか」

 

「あなた方に鍛えてもらったおかげですよ」

 

と、赤松はフェリーチェの身のこなしを冷静に評価する。

 

「え、フェリーチェは大先輩たちが……」

 

「うむ。のび太も言うように、かなりこみいった事情があるのでな」

 

「あたしはピーチと一緒に切り込みで慣らしたんだぞ……それが反応もできねぇって……!?」

 

「鍛えたんですよ。二〇年ほどの時間をかけて。今日は顔見せにきただけですけど、今度の作戦に参加要請をされました」

 

「顔見せだと?」

 

「ええ。私はまだ、修行の途中なので。ですが、あなた方の当座の支援は、キュアハートに頼んであります」

 

「キュアハートだって…!?マナ……、相田マナもいるのか!?」

 

「彼女は、フェイトさんが調査している(当時)地球系の新世界に転生していたのです。我々がその世界を把握し、彼女がプリキュアに戻ったことの調査を終えたのは、先日の事です。今はもろ他の手続き中ですので、武子さんの護衛という形で着任するでしょう」

 

「お、おい。一律で軍人にしたのか?」

 

「それしか、私たちの戦闘行為の合法性を確保する方法がないのです。私も日本連邦と地球連邦の双方の軍籍を既に取得しています」

 

「なに!?」

 

「うん。元から士官だった君等は、今回のことで、一階級昇進が直に内示されるはずだよ。新しい部隊で幹部になるから」

 

「なんでだ?」

 

「部隊が大規模化するけど、君等は十字砲火に突っ込んでもらうことになるからね。プリキュアなら、仮面ライダーたち並の活躍が見込めるからでもあるけど」

 

「ずいぶん無理難題を……」

 

苦笑交じりのキュアマーメイド。

 

「君等は元々、そんじょそこらのウィッチよりは一騎当千を期待されてたんだ。今更だよ?」

 

「ハハハ……でも、あんたらのほうがよっぽどできそうだと思うぜ?」

 

「現役時代の頃に、ブラックホールにブルってたというけど、マジだったな」

 

「お、おい!それ、だ、誰から聞いた!?」

 

「え、お前の戦友の南野奏と黒川エレンから……。片方は通信越しだけど」

 

「なぁあああああーーーー!?」

 

「さっきから驚き役だぞ、シャーリー?」

 

「あんたが、そうさせたんでしょーが!!」

 

顔を真赤にするキュアメロディと、ニヤける黒江。顔を真赤にした彼女がやたらめったにパンチを繰り出すが、黒江はこともなげに受け止める。

 

「な!?」

 

「いったろ、黄金聖闘士だって。そんな盲撃ちのパンチくらいは屁でもない」

 

「変身した状態のパンチだぞ!?本当になんともねぇのか!?」

 

「そんじゃ、食らってみっか?聖闘士の攻撃を」

 

キュアメロディを光の軌跡が滅多打ちにする。ライトニングプラズマである。加減しているが、速度は光速である。反応すらできずに、その場に倒れ伏す。

 

「嘘だろ……!?この姿で『見えない』なんて……」

 

ライトニングプラズマに滅多打ちにされ、立ち上がれないキュアメロディ。

 

「これが黄金聖闘士だ。最も、今のお前らでは、白銀相当の攻撃も対応できんだろう。だから、これからはみっちり鍛えてやる。俺たちがな」

 

「うーん。そこまでする必要あるのかなぁ」

 

困った顔のキュアドリーム。それにのび太が答える。

 

「君等はプリキュアだからね?ティターンズの強化人間相手に、無様を晒すわけにはいかない。ただでさえ、君等を軍や自衛隊で雇い入れるのは『近頃』(2021年)は妙に文句がきまくるからね?相応の成果が必要なんだよ」

 

この時ののび太の言う通り、プリキュア達は後の追加メンバーも含めて、最前線で一騎当千を期待されることになる他、軍(自衛隊)で雇い入れることに『市民運動』方面からクレームが入りまくる『2020年代の情勢』とも戦わざるを得なかった。その関係で『成果が強く求められる』のは仕方なかった。広告塔としても最大限に活用されるのは言うまでもないが、『事変世代の著名ウィッチを広告塔に再起用する』事への現場の強い反発への妥協的な回答であった。事実上のリーダーであった上、日本でも人気がある都合で、キュアドリームは広告にドシドシ起用されていく。『プリキュア三羽烏の筆頭』、『プリキュアチームの中心戦士』として。芳佳、静夏、ひかり、菅野、調とともに『扶桑軍ウィッチの新世代の象徴』的に祭り上げられていくのだ。

 

「君たちはその姿で勤務できるように、上層部には話を通してあるよ」

 

「お、おい。この姿で勤務させる気かよ?」

 

「そんな事言ったら、宇宙刑事ギャバンとかはコンバットスーツ姿で活動してるがね。お前らは顔バレしてるし、存在の性質上、プロパガンダに使われるのは覚悟しろ」

 

「ま、まぁ、それはそーだけどよ」

 

「紅月カレン時代に比べりゃ、楽だろ。あれはゲリラだったし」

 

「なんでそれま……お、お前かー!?」

 

のび太が情報源なので、顔を真赤にするキュアメロディ。恥ずかしさが怒りと混じっているので、顔から湯気がギャグ漫画の如く出ている。

 

「まぁまぁ。そんな事言ったら、あたしだって、サーフボードのロボに乗ってた記憶もあるしさ」

 

「ちくしょー!あたしゃ、コメディリリーフじゃねーぞ!」

 

と、キュアドリームに宥められるも、コメディリリーフ感ありありのキュアメロディ。

 

「まー、あたしは何人かの人物が合体したような感じだし」

 

「おい、ハッピー。お前にしちゃ、ずいぶんと知的な発言だな」

 

「聞いての通りだよ。もう、前世の旦那と連絡取ったしさ。宮菱の航空技師でね」

 

「それで、えーと、震電だっけ?頼んだのか」

 

「頼んでみたけど、あれは無理。空技廠が猛反対したんだそうな」

 

「あれ?前の記憶だと……」

 

「坂本さんがその時は押し切ったけど、今回は『試験未了』と突っ撥ねられたんだそうな。だけど、零式はあたしの魔力は受け止められないし、紫電改も頻繁にメンテが必要になる。だから、量産が頓挫した烈風ストライカーを改造して回すってことになったんだ」

 

「烈風?ストライカーになってたのか?」

 

「紫電改より開発が先だったけど、誉エンジンが鋳造の段階で型崩れ起こしてた個体で、艦上ストライカーとしては不採用になってたんだ」

 

烈風の史実の開発の経緯がストライカーで起こったようで、結局はマ43エンジンへの換装で真価を発揮したものの、紫電改のリソースを回してまでの量産の価値は薄いと判断されたが、紫電系列を嫌う古参ウィッチが量産を要望した。折衷案として、『エース専用機としてチューンナップしての少数生産とする』事が採用され、芳佳用はフルチューンした個体の一つになる。

 

「たぶん、ストライカーを実機に落とし込むスタイルの最後になるね。オヤジの遺した設計図をもとに造ってたけど、実機のほうが先に量産されたから。紫電改より大元が古いからって、横転性能が問題視されてるけどね」

 

「まー、烈風は零式のモデルチェンジにすぎねぇしな」

 

烈風は宮藤博士が1930年代末に構想していたものを、彼の腹心であった曽根技師が1943年頃に具現化させたが、基礎設計が古かった上、宮藤博士に依存していた宮菱がその後釜となる技師の育成を怠った事の証明となってしまい、紫電改にお株を奪われてしまう。現場でも『零式の出来の悪い子供』という認識であった。とはいえ、零式が老朽化してきた事、重戦的な設計思想の紫電改を嫌う古参ウィッチは多かったため、零式の正統な後継を謳った烈風は政治的な妥協で、ストライカーも生産される運びになった。(ただし、格闘戦を完璧にこなせるウィッチでなければ、その格闘性能は『宝の持ち腐れ』にすぎない。当時、烈風を更に超える格闘性能を見込まれた『F8Fベアキャット』や『シーフューリー』も生産間近であった事も、低評価に繋がった。前者は比較的に短時間でジェットストライカーに交代。後者は傑作機との評価を得る)

 

「シーフューリーが理想だけど、あれをもらうと、技術屋連中が不貞腐れるからね。だから、紫電改や烈風を改良するし、ヤケクソ気味に3000馬力を積んだのが開発中だっていうしね」

 

「シーフューリーって、テンペストのあれだろ?改良型の」

 

「ああ。空冷エンジン機だけど、イギリス最後にして、最強のレシプロ艦戦さ。イギリスの独自開発の艦戦が世界一流だった唯一のケースでもある。次の陣風がレシプロの最後だから、空母機動部隊が優先だって言うけど、君たちのところに回されると思う」

 

「テストは大事だからな」

 

 

陣風ストライカーだが、本当に空母機動部隊への供給が優先された事、陣風よりも高性能な装備を有しているからということで、数機のみの配備となった。配備実績は必要であるからだ。

 

「ところで、前から聞きたい事があったんだけどよ。しずかはなんで、ジオンとかに過激なんだ?」

 

「カミさんは子供の頃から、環境保護に熱心だったんだ。天上人とのすったもんだや、アニマル惑星の時に、ニムゲが核戦争で文明を崩壊させていたのを知ってるからね。ジオンは地上の文明を崩壊させるのも厭わないじゃない?それでさ」

 

アニマル惑星。かつて、のび太達が冒険に赴いた惑星で、動物達による文明が栄えていた星である。しかし、その文明の大元はその隣に存在した星に存在する『ニムゲ』が育ててきたものであった。

 

では、ニムゲとは何か?アニマル惑星の住民が『月』と呼んでいた星に住む『地球人型宇宙人』の種族である。彼らは地球で言う10世紀ごろ、自らの起こした環境汚染による自然災害、二つの陣営による核戦争でほぼ滅亡した。だが、植民惑星や地下シェルターなどに逃げ延びていたごく一部は生き延び、1000年もの暗黒期を過ごしていたが、地球の20世紀末に文明再建の目処が立ったという。しずかはジオン系諸勢力が起こした『地球の環境破壊』に強く憤っており、のび太曰く『公安仕込みの尋問で、相手を潰しかねない』という。

 

「だから、かみさんにはさ。戦いには、あまりタッチさせないようにしてる。ただの尋問がものすごい拷問になりそうだからね。何せ、かみさんは公安だから」

 

「……マジかよ」

 

「まぁ、かみさん、成績優秀で、数カ国語に堪能だから、てっきり国際課に配属されるかと思ったんだけど、僕の妻で、自衛隊の高官である綾香さんと親しい間柄だからっんで、公安に引き抜かれた。表向きは子供が生まれて、寿退職ってことにしてあるけど、実際には現役の公安警察官さ」

 

「なんでだ?」

 

「僕の裏稼業の尻尾を掴みたいんだろうさ。公安警察は、綾香さんのカミングアウトの時に煮え湯を飲ませられたからね」

 

しずかは数カ国語に堪能(高校時までキャビンアテンダント志望だった名残り)であるので、国際課に配属されるだろうと思っていたが、公安警察に引き抜かれ、自分の夫の動向を探れと言われたのである。のび太はこれを逆に利用し、しずかに適当な報告をさせつつ、裏稼業を遂行していた。つまり、公安警察はまんまと、のび太夫婦に出し抜かれていたのである。

 

「ああ、先輩がカミングアウトしたから、公安警察が先輩に関する捜査資料の一切を破棄させられたっていう」

 

「異世界の日本軍の将校が国の命令で潜り込んでいたから、政治家もかなり問題にしたけど、国の命令だし、指折りのエースパイロットを送り込んだんだからってことで、そのままになった。国際問題は起こしたくないのが、戦後日本だしね」

 

左派政党はスキャンダルにしたかったが、自衛隊の黎明期は旧軍将校と下士官の再就職先であったし、異世界の同位国とのもめ事は起こしたくないという与党や世論の意向で潰えた。公安警察はこの時に煮え湯を飲まされた形になったため、その意趣返しを目論んでいたのだが、のび太に既に意図を見抜かれていたのだ。

 

「日本は現場が優秀でも、上が駆け引きしたがって、ネタを握りつぶすのが常だからな。俺が送り込まれていたのを下手に潰して、扶桑と戦争したら、内戦扱いにされて、米軍が来ない可能性がある。だから、扶桑との衝突を避けた。史実の日本帝国より遥かに強大な軍事力を敵に回したら、日本のほうが占領されるからな」

 

正式な接触がない頃、21世紀の日本は扶桑を合法的な植民地と化することを目論んだが、扶桑の軍事力が(史実戦前日本の全盛期と比しても)遥かに強大であった事から、逆に占領される危険が大きいと悟り、共存共栄に舵を切った。ただし、革新政党は扶桑の軍事力の解体からの自衛隊の駐屯、軌道修正後も『自衛隊を扶桑軍より上位に置きたい』と宣ったため、革新政権時代に連邦は実現せず、保守政権の復権と共に実現した。

 

「で、いざ実現したら、したで役人共が現場を知らずに物申してくるからな。俺がいない間に、それが深刻になったそうだが」

 

「戦車が足りないってさ」

 

「兵たちに対戦車ミサイル持たせて、それで済む量を遥かに超えてるしな。カールスラントの置いてった奴を使えといえ」

 

「取り合いだって。まぁ、キュアハッピーのおかげで、いいのは確保できたよ」

 

「宮藤。お前、そんな目利きあったか?」

 

「前世の一つで、戦車に乗ってたもんで」

 

「もしかして、戦車道世界にいる『角谷杏』か?」

 

「分かりました?」

 

「お前、そうなると、キュアハッピーが本来持ってたバカって属性は」

 

「キャラ付けには使いますよ。そうでないと、らしくないですし。」

 

「そこまで変わってんだし、今更気にするのか?」

 

「あたしの代は人気あるんですよ?一応」

 

スマイルプリキュアは人気があると自負する、キュアハッピー(宮藤芳佳)。主人公属性が二重にあるようなものなので、ゲームで言うところの『強キャラ』感がある。

 

「帰ってきた記念パーティーとかやりたいところだけど、そうもいかないよ」

 

「始まるのか?」

 

「ああ。敵のほうが口火を切ったよ。数時間前、タラントが空襲されてね」

 

「タラントを空襲されたのか。ロマーニャ空軍はカカシかよ」

 

「まぁ、ロマーニャ空軍は一部の精鋭部隊以外の練度はお察しください的なものですから……」

 

キュアマーメイド(竹井醇子)もこの認識だが、実際、ロマーニャ空軍は訓練が行き渡っている精鋭は強いが、機材の年式が史実よりも古いこともあり、タラント空襲は防げなかった。一応、史実より工作精度が良かったため、新戦艦には大きな損害はなかったのだが、旧式戦艦は史実通りに大損害を被り、結局は『史実の損害よりは多少マシ』程度の損害は受けてしまい、ロマーニャ海軍の組織だった行動は制限されてしまった。それを皮切りに、膨大な物量の陸軍の攻勢で、次々とロマーニャ陸軍は撃破されていっているとも。

 

「陸軍も足止め以上の力はないからな。一番強い戦車でも『P40』だろ、あいつら」

 

「戦前にカールスラントからライセンス買ったけど、実際はできなかったみたいですからね。たぶん、M13/40とM14/41が今頃、M4に虐殺されてますよ」

 

「あー……あれは良くて、チヘくらいのカタログスペックしかないからな。何日持つだろう」

 

「良くて、一週間ですかね」

 

「それまでに、隊の体裁を整えんとな…。お前らは実質的には初陣だ。気合い入れろよ」

 

「先輩、いきなりですか?」

 

「お前だって、現役時代に、いきなり後輩の助けに入った事多々あるだろーが」

 

「うぅ。やりにくいなぁ」

 

「俺だって、他人の姿を借りてるんだから、お互い様だ。ドラえもん達の手配した援軍が来始めるまでの時間を稼ぐぞ。ん?ケイはどうした?」

 

「小僧なら、捕虜収容所から救出された『カールスラント空軍の中佐』への対応をしておる。ウチの預かりとなるだろうからな」

 

「そっか。智子は?」

 

「今は出てます。リミッター解除のフルパワーで戦ってますから、軍団の一つは全滅でしょうね」

 

キュアマーメイドが苦笑交じりに言う。リミッター解除で暴れた場合の智子は黄金聖闘士に相応しい戦闘力であり。高位のロボットガールズと同等の戦力を誇るので、当然と言えば当然だ。

 

「のび太、彼女らの手配は?」

 

「君のいう電話番号にかけたら、繋がった。直に第一陣が来るって」

 

黒江は転移前にロボットガールズと出会っており、彼女たちの電話番号をもらっていた。のび太がダメ元でかけたら、一発で繋がったという。ガイちゃんとジークさん、ゲッちゃんは第一陣として参戦し、地球連邦軍で佐官待遇で遇されることになる。

 

「そりゃ良かった。あとは武子の交渉が上手くいくか」

 

黒江が帰還した後のシンフォギア世界は『争乱の原因となるモノが断たれた』ため、一言で言えば平和になったが、小さな騒動は続いていた。武子は黒江が引き起こした騒動を謝罪し、協力を依頼。SONGがどうなるかは不明なところだが、『世界が装者を迫害しだす前に、シンフォギア装者を権力者達の手の及ばないところに置きたい』とする風鳴弦十郎の思惑も絡んだため、二つ返事で了承される。また、黒江と調が出会い、正式に師弟関係を結んだのは、この日からちょっと経ち、黒江の身体検査が一応は済み、彼女が日本軍出身者からも義勇兵を積るため、2000年代前半期に赴いた時となる。

 

 

 

 

――なお、調の正式なダイ・アナザー・デイへの参戦はイベリア半島へ主戦場が移行し始める頃になる。赤ズボン隊があっさりと後送されたため、その穴埋めで呼ばれたわけだ。黒江がタイムマシンを用いたため、変速的な形の出会いであるが、ともかくも関係を結んだ二人は師弟関係になる。そして、ことは(はーちゃん)の姉代わりを勤めている事はそれ以降に伝わる。むしろ、シンフォギア世界と情報交換をする内に、『調が元の世界で用意された立ち位置よりも、何故、自分の存在の証が微塵もない別の世界で暮らしていく事を選んだのか』、『調が別の世界で何年も暮らしているのなら、何故、肉体に加齢の形跡がないのか』という、至極当然な質問が飛び出した他、『切歌と距離を置きたいなら、他にやり方があったはずなのに』などの質問もぶつけられ、武子は新部隊へ着任早々に対応に窮する疑問をぶつけられたのである――

 

 

 

 

――調が『与えられたものでない居場所を求める』きっかけになった『古代ベルカでの日々』のことに武子は触れ、転移前からは心境が大きく変わったのだと教える。故に、結果的に生じた立ち位置に収まる事を固辞したのだと。立花響はマリア・カデンツァヴナ・イヴらに『黒江に演技をさせる事』をその場で咎められたが、『調ちゃんの帰る場所を守る』と主張して押し通した事、本人の帰還後に『売り言葉に買い言葉』で口論になったことが出奔に繋がったと、自分の『言葉のあや』を悔いていた。その償いのため、黒江への恩返しのために、ウィッチ世界行きを志願した。

他の装者もそれぞれの理由で『受けた恩は返す』という結論になり、シンフォギア装者らの派遣が決定したのだった。――

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。