ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前話の続きです。


第三十五話「ダイ・アナザー・デイの戦いその4」

――軍人(将校)となった歴代のプリキュア達。転生で自然とその立場になった者もいるため、日本側がとやかく言えるものではないが、日本連邦憲章に則り、彼女たちは自衛官としても遇されるため、のび太の世界の日本でも無職ではないことになる。また、ペリーヌはプリキュアと英霊とウィッチの二足のわらじ状態であるため、必要に応じてメイン人格を切り替えており、キュアフォーチュンが宇宙刑事ギャバンと会っていた日はモードレッドの人格がメインになって行動していた――

 

 

 

「さて、と……。久しぶりにメインになったし、俺も一暴れといくか」

 

モードレッドは黒江に剣技の実力差を見せつけられた後は特訓を重ねており、通常の相手であれば、流れ作業の要領で倒せる。だが、生前は通常の方法で生まれず、アルトリアと渡り合える剣技の才覚に頼っていたモードレッドは才能の伸びしろの壁を自然と築いていた。だが、神の闘士たる聖闘士になる事でその壁を超えた黒江には剣技で軽くあしらわれるという英霊としては最大限の屈辱を味わった。そのため、自分を負かせた黒江には敬語で接している。(言葉づかいは菅野や若本と同レベルだが)

 

「参ったぜ。鎧は格闘バカにゃ効果が薄い(ティターンズの幹部は気の流れだけで相手を感知可能である)から、兜はかぶらないで戦うしかない、か」

 

モードレッドはクラレントでの剣技に自身があるが、人智を超えた探知手段を持つ敵には自身の鎧の隠蔽効果が望めない事を悟り、純粋に防具として運用した。元々、フェンシングなどで鍛えていたペリーヌの肉体はモードレッドの要求によく応え、モードレッドに生前よりもしなやかに動ける速さを与えた。

 

「元・円卓の騎士が一人、モードレッド!俺が怖けりゃ、逃げてもいいぜー!」

 

転生後は肩書に『元』とつけるようになった。自分の生きた時代からは遠い未来である事を自覚しているからだ。ジャンヌが『自分は死人』であるとしていたのを、ルナマリアの立場を受け継いでからは『二度目の人生を楽しむ』と切り替えたのとは対照的に、当初から第二の人生を謳歌しており、オートバイを乗り回している。(もっとも、モードレッド個人としては、生前の騎乗スキルとは裏腹に、かなり雑な運転である。だが、ペリーヌなどへの『配慮』か、最近は意外とまともな運転になっている)ちなみに奥義としていた『我が麗しき父への叛逆』は『邪剣』であるが故に真なる聖剣を持つ者には通じないという弱点がある。黒江の『エクスカリバー・サンダーボルト』は愚か、調の『エクスカリバー・フランベルク』にもあえなく敗れ去っており、『嘘だろ…!?俺は英霊だぞ!?その俺の宝具が……!?』と、柄でもない放心状態に陥った事もある。しかも、二回も親の持っていた宝具の名を継承する技で破られたため、『テメーら!ずりぃーぞぉぉぉ!!』と涙目になっていたりする。モードレッドは英霊ではあるが、『叛逆で名を残した』ため、どうにも格落ち感があるのは否めない。そこも意外に気にしているのか、戦功に対しては敏感であったりする。

 

(チックショウ!!あいつら、『母上』の宝具を自分なりの形に昇華させてやがる!!あいつらはなんだってんだよ!!)

 

モードレッドは自分すら歯牙にもかけない強さを持つ聖闘士へ嫉妬を隠さない。些か大人げないが、『円卓の騎士より強い存在がこの世にいたなんて』という衝撃はかなりのものであったらしい。元々、こじらせ気味な『彼女』にとって、その事は屈辱でしかなかった。

 

「うおぉぉっ!!」

 

 

「……フン。モードレッド、叛逆の騎士か。だが、この俺の敵ではない」

 

ティターンズの督戦要員の士官はなんと、南斗孤鷲拳の伝承者であった。勢いのままに突貫してくるモードレッドへ、飛び蹴りと同時のすれ違いざまの一瞬に相手の四肢を切り裂く奥義『南斗獄屠拳』を放った。気力で鋼の如く強化された肉体で以て放たれるこの奥義はモードレッドの鎧を切り裂き、肉体にもダメージを与えてみせる。

 

 

 

「ば、馬鹿な……。不貞隠しの兜を……鎧ごと一撃で破壊しやがった!?」

 

「魔術的防御など、南斗聖拳の前にはなんら意味をなさん!!」

 

「なにィ!?」

 

モードレッドは兵士たちを薙ぎ倒していった。だが、並大抵の攻撃では傷すらつかない彼女の鎧も、相手が世紀末系拳法の使い手となると話は別であり、鎧を気力で以て、物理的に破壊してくるため、たまったものではなかった。

 

「フハハ……脆い、脆いぞ、円卓の騎士よ!」

 

英霊をすら容易く追い込む南斗聖拳。その最上位の六聖拳。モードレッドを以てしても、格闘戦は些かの不利は否めず、反撃もままならない。

 

「貴様の息吹が俺にお前の存在を教える、魔術の力など子供騙しに過ぎぬ!」

 

「んだっ…ぐあっ!!?こ、このオレが反応すらできねぇだと……!?」

 

モードレッドは南斗聖拳にまるで歯が立たず、無残に身を斬り裂かれる。

 

「く、くそぉ……!」

 

剣を杖代わりにし、どうにか立ち上がる。だが、身動きがとれない。そこに『とどめの一撃』とばかりに放たれた手刀は一人の男によって防がれる。

 

「貴様は……流竜馬!」

 

「ハッ。動けねぇアマを嬲って、ストレス発散か?南斗聖拳も堕ちたもんだぜ」

 

「牙を剥く獣を躾けただけだ、この程度で潰れかけるとは思わなかったがな」

 

竜馬は私服と思しきボロボロの野戦コートと赤いマフラー姿で現れた。20代に入り、10代の頃より筋肉隆々とした体躯へ成長し、声色も凄みを増している。それから実家の道場の道着姿に早変わりする。竜馬の新たな特技である。

 

「さあて、俺の相手をしてもらおうか?」

 

「いいだろう。貴様の父親仕込みの殺人空手とやらを見せてもらおうか」

 

流竜馬と亡くなったその妹は両親が歳を取ってから生まれた子供であった。竜馬の亡くなった父は殺人も辞さない実戦空手を是とした故に空手界から追放された『空手バカ』であった。それでいて、食い扶持として学園の教諭をするなどの奇天烈な人物であった。無理な生活が祟って他界し、後を追うように母親も世を去っている。それに伴い、父親の道場を継ぎ、しばらくは隠棲生活を営んでいたが、戦乱の世が彼を戦場へ引き戻したわけだ。なお、竜馬はゲッターに選ばれし者のためか、『素手で哺乳類より頑強とされる爬虫人類を殴り殺せる』というトンデモなパワーを誇り、総じて上位のガンダムファイターと同等の身体能力を持つ。二人の動きはモードレッドが必死に目をこらさなければ、『動きを認識できない』ほどの早さであり、『極限まで鍛え上げた体は嘘をつかない』事の証明となった。

 

「嘘だろ、俺の目で見えないだと…!?」

 

モードレッドは二人の動きを負えなくなる。竜馬も本気を出せば、ドモン・カッシュと対等以上に戦えるため、南斗聖拳の上位の伝承者との間に実力的な遜色はなかった。そこも彼の人外度を増している。ちなみに、この時点で歴代の近接戦闘プリキュアをも有に凌ぐポテンシャルを発揮しており、竜馬は歴代随一の武闘派であったキュアラブリーを確実に上回ると言える。

 

「キエエエエ!!」

 

「うおりゃあああっ!」

 

竜馬と南斗聖拳伝承者の蹴りがぶつかり合い、衝撃波を散らす。人外と言える者たちの激突に、モードレッドは自らの微力を痛感し、思わず叫んだ。

 

「チックショォォォ!!」

 

それは英霊でありながら、現世の人間達にまともに相手にされず、一蹴された自分への怒りと悔しさの入り混じる複雑な慟哭であった。同時に、モードレッドと共存する『紅城トワ』も似たような感情を抱いていた。キュアスカーレットになっていても同じような結果になっていたのは、誰の目にも明らかだからで、そこも北斗神拳の前にやられ役とされがちな南斗聖拳の基礎ポテンシャルの高さの証明であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本連邦の猛抗議に、フランスは困惑する羽目になったが、流石にラ級戦艦のことは把握していなかった。自由フランス海軍ではなく、ヴィシー政権が建造しようとしていたからだろう。公式には計画艦であるはずのガスコーニュが完成されていたことはフランス自身も困惑した。だが、日本連邦からすれば切実な問題である。ラ級として完成されていれば、21世紀の戦闘機の空対空ミサイル程度ではびくともしない装甲を持つからだ。ラ級は完成当時でも『原爆で表面をやっと破壊できる程度』の強度を持つが、宇宙戦艦化されていれば、それ以上の堅牢さになっているだろうと容易に想像できるからだ。(基本的に宇宙戦艦化されたラ級はヤマト型宇宙戦艦と同等の防御力を持つ)ラ級戦艦は基本的に当初の動力である『重力炉』の製造技術がオーバーテクノロジーであった事から、大国であろうとも二隻から三隻の計画で精一杯であった。フランスの発掘された資料によれば、ガスコーニュは本命(アルザス級)のラ級のプロトタイプとしての改装である事が記されていた。これは英国のケースと似通っている――

 

 

 

 

 

 

――ラ級戦艦は宇宙戦艦となることでその真価を始めて発揮したと言える。撃沈したモンタナを回収したところ、本命のラ級のリバティの存在が公式に確認されている。ラ級は戦艦の軍事的ネガをほぼ潰したと言えるものだが、核兵器に傾倒した主要国によって闇に葬られた。だが、皮肉な事にウィッチ世界で用いられることでその再評価がなされた。その先頭に立ったのが、米軍空母部隊が葬ったとされたはずの大和型戦艦をベースにした艦というのはなんともいえない歴史の皮肉であった――

 

 

 

 

――ラ號は神宮寺大佐率いる『轟天振武隊』の手で戦後の時代に完成にこぎつけ、それ以後は極秘に副長の一人『影山中佐』が戦後に興した財閥『影山コンツェルン』の手で管理され、宇宙戦艦ヤマトの時代に大和の残骸が宇宙戦艦にされる際に、僚艦であるまほろばとともに宇宙戦艦化され、地球連邦軍の手で改装を繰り返された。そして、計画のみがあった『姉妹艦』が極秘に扶桑で建造されていた。日本海軍の計画で予定された名は『豊葦原』。またの名を轟天との名を与えられ、確実に建造は進む。――

 

 

 

 

――戦艦『富士』CIC――

 

「そうか、やはり轟天は間に合わんか」

 

「突貫工事をさせておりますが、機密保持の観点と、武装の調整が間に合わないと、地下工廠より正式に」

 

「相分かった。地球連邦軍から宇宙戦艦を借用させておいて正解だったようだ」

 

「敵戦艦は相当な数でしょうからな」

 

小沢治三郎は報告を受ける。ラ號の準同型艦として建造を行う轟天はやはり『間に合わない』と。次善の策として、地球連邦軍が政治的都合で持て余していたアンドロメダ級を借用したあたり、小沢の戦上手が分かる。

 

「敵戦艦はいくつだ?」

 

「10隻は確実に。それと、改良型がいくつか確認されております」

 

「46cm砲に改装したな。井上(井上成美)が見たら落ち込むだろうが、これが現実だ。わざわざ用意させた甲斐があったよ」

 

井上成美の読みは大いに外れ、元気に大艦巨砲主義は栄えている。もっとも、核兵器でも怪異が再生する可能性が示唆されたこと、環境への悪影響が判明し、巨額をかけて核兵器を整備する魅力が薄れた事も大いに関係しているが、ミサイル兵器は怪異へ有効打にならない事も巨砲の維持理由であった。また、リベリオンが季節ごとに戦艦を造れるという『当時最高の工業力』を誇っていた関係上、抑止力としての巨大戦艦は必要であった。

 

「長官はなぜ、大和型戦艦のような重戦艦を?」

 

「仕方あるまい、敵の新鋭戦艦の前に紀伊型戦艦は無力だった。それが衆目にわかりやすく示された以上、国民は何がなんでも建艦運動を起こす。信濃と甲斐を戦艦のままで造ったのは、それへのパフォーマンスの意味合いも大きいよ。そして、スペックがバレている以上、敵はそれ以上のものを造る。必然的な選択だよ。未来世界でアンドロメダが現れたら、敵はそれ以上のものを出して、アンドロメダが滅ぼされたように」

 

大和型戦艦はこの時期には史実のスペックが公表されて久しく、それを目標に、より優れた戦艦を造ろうとする動きは当然だが、起きる。小沢治三郎はそれを見越し、超大和型戦艦の建造の委託を容認していた。アンドロメダ級の悲劇を引き合いに出すあたり、悲劇的最期を遂げたアンドロメダには思うところがあるようだ。

 

「アンドロメダの例を見てもわかるが、力に頼る者はさらなる力に滅ぼされる。井上はそれがわかっとらんのだ。奴は理論は上手いが、実際の戦を知らん。あれは学者だ。だから、奴には空軍の事務系の責任者になってもらう。海軍出身者を高官に添えれば、連中の不満はいずれ解消されるからな」

 

「なぜ、そう言い切れるのですか?」

 

「海軍航空は今後、空軍の空母乗艦の便宜上のために使われていくだろうが、独自の部隊が形式的に維持されるだけで儲けものだよ。日本は航空分野を空軍に丸投げさせるつもりだったからね。空母着艦技能は本来、空軍では持て余すだけだからな」

 

源田実などの海軍航空隊の重鎮達は大西瀧治郎を除いてだが、その多くが空軍の高官に任命されており、現場の幹部に陸軍系の人材が多いのと釣り合いを取っている。それにも関わらず、海軍ウィッチの中堅層は反発し、世代交代と、海軍の気風の護持を旗印に七勇士の系譜のウィッチの排除を狙う。だが、クーデターの準備は七勇士の威光により、早くも暗雲が立ち込めていた。ダイ・アナザー・デイでのサボタージュは全世界のウィッチが参加した大規模なものであったが、Gウィッチが血の滲むような努力で戦線を支えている事が衆目に示され、更に『通常戦闘機部隊なども昼夜問わずに戦っているのに、ウィッチ部隊はタダ飯ぐらいで遊んでいる』と責められ始めると、目立たない形で哨戒活動から再開する部隊が生じた。そして、久しぶりに戦闘行動に及んだが、通常戦闘機の凄まじい性能向上についていけずに壊滅する部隊も続出した。海戦が起ころうかという時期には、64F以外に戦闘で活動するウィッチ部隊はおらず、サボタージュをやめた航空隊の多くが哨戒目的でのみ活動を再開していた。だが、その目的でも、索敵範囲では早期警戒管制機の前には見劣りするのは否めず、おまけにP-47戦闘機がウィッチ・ハンティングに成果を挙げている(この時期の実弾防御が『ない』ストライカーでは、12.7ミリ弾が当たっただけで、深刻な破壊が起きる。ましてや、P-47の弾雨は油断すれば、若干のタイムラグが有るシールドの展開よりも早く、ストライカーの外板を貫く。当時は怪異を交戦相手の前提として、防弾板の撤去が横行していた時勢であった故にP-47は急降下からのウィッチ・ハンティングで猛威を奮った。交戦相手を鑑み、ストライカーの防弾装甲の意義を見直していた64Fのみがまともに戦えた)こともあって、ウィッチ部隊で第一線での戦闘任務をまともにこなしているのは、もはや第一航空艦隊と64Fのみであった。P-47は当時の戦闘機(ジェット除く)では最高レベルの総合性能を誇っていたため、哨戒任務にも『撃墜』の危険がつきまとうようになってしまい、64FのGウィッチのような三次元マニューバーも習得していない通常部隊の欧州での活動は衰弱の一途を辿った。そこも後世に記録される『ウィッチ兵科衰退』の理由である。

 

「あのP-47を抑え込まん事には大多数のウィッチ部隊は飛べん。兵科の招来の解体はお召星かもしれん」

 

「あのヤーボは……」

 

「うむ。高慢なウィッチ閥へ罰を与えるための神の使いかもしれんな」

 

当時のウィッチ閥の高飛車な態度は比較的に理解がある小沢治三郎をして『高慢』と言わしめるものであり、本当にそういう風潮が生まれてしまった。その一方、血の献身を見せるGウィッチ達の権利はお墨付きが非公然であるが、出された。その情報をどこからか入手したウィッチ閥はクーデターを急ぐ。だが、日本の手で断罪された事で『物申す形の蜂起』に寛容な扶桑国民の萎縮が起こってしまう。その萎縮がウィッチの軍隊での地位の低下を引き起こし、Gウィッチが長らく、最前線で軍隊を支える事に繋がってしまう。上層部はGウィッチの運用を本来は『いざという時に戦える教官』であり、主戦力はあくまでも『現役世代の若者である』(その世代からもGウィッチは出たが)と想定していたが、それと正反対の『最前線の屋台骨』にせざるを得なくなった状況を生み出した世代へ軍部は総じて冷淡となっていく。ミーナはその発端となる事件を起こした責任を痛感し、501隊長の地位を実質はかなぐり捨てて、あくまでも『一士官』として黒江達に仕えていく。それは自分の黒江達への冷遇がウィッチ社会の根幹を揺るがすほどの大事に繋がったことへの『禊』であり、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの立場を継いだ西住まほの選択だった。――

 

 

 

 

――ちなみに、投入の準備中でありながら、性能の陳腐化を理由に、投入が政治的に差止められた兵器もかなりに登る。メッサーシュミットMe262がそれであろう。カールスラントはBf109の後継機種として、かなりの機数を準備していたが、日本連邦が後退翼と胴体内蔵式エンジン式の次世代機『F-86』を投入し、リベリオン側も『F-84F』と『P-80』を投入したことで機体性能が陳腐化。投入が差止められた。また、同時に用意されていたHe162ジェット戦闘機もその設計の問題点が指摘され、投入が差止めされた。この現場の混乱に、ドイツはユーロファイター・タイフーンの飛行隊の派遣とF-86の採用で対応したが、政治的理由で、ドイツ系戦中軍用機の系譜は完全に息の根を止められた。日本連邦はクーデターを受けて、発展性に『見込みのあった』震電のジェット化計画を継続させることで『ご機嫌取り』をしたが、ダイ・アナザー・デイでのドイツ領邦連邦の軍事開発の失策を反面教師にしての決定であったと言える。64Fは扶桑全土の部隊への教材として、F-86を保有しつつ、第一線機は必要上、それより世代の進んだ機材である事を公表することで日本向けのパフォーマンスを行っていると言えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本が戦争中の扶桑に五輪をさせるのは、『万一、2020年の大会が中止になった場合の代替目的』だった。2020年の世界では世界的に疫病が流行し、五輪の前途に暗雲が漂ってきていたが、疫病の流行で中止になった例が未だ嘗て無かったため、五輪委員会も困っていた。既に巨額を費やし、開催までの間がない大会を疫病で中止させた前例を作りたくなかったのも事実だ。日本は奇跡的に経済が上向きになり始めたため、それを打ち砕くような事態は何が何でも避けたかった。(五輪の存在意義にも関わるため、五輪委員会も窮していた)日本と五輪委員会は万が一に備え、ウィッチ世界の1948年に順延されていた東京五輪を自分達の五輪に組み込む事を決定。扶桑へ通告した。ウィッチ世界側は『戦争でそれどころではない』と反発した(扶桑のクーデターの一因)が、扶桑は本土も南洋も大戦の戦火には巻き込まれていないため、言い訳としては役に立たなかった。また、扶桑の昭和天皇へ説得がなされ、昭和天皇が引き受けた(戦争で用いるインフラの整備を五輪名目で用意できるため)ため、『1948年東京大会』は事実上は『2020年東京大会』の一部(正確には大会そのもののバックアップ)として組み込まれる事となった。ウィッチ中堅層はそれを理解できなかったため、クーデターという形で物申そうとしたが、日本の意向で関係者に極刑を含む厳罰が下されたことから、扶桑国民は萎縮を起こし、1946年からの数年間、新規志願ウィッチの数が致命的に減ってしまう。その政治的責任を取らされる形で、45年当時の中堅層の多くは太平洋戦争で最前線に送られ、多くが相応に戦死する事になる。政治的にウィッチ兵科を窮地に陥らせた責任を血で償うことでしか、彼女たちには贖罪の道が無かった。後世から『馬鹿者の世代』と誹られる事を覚悟してでも。ダイ・アナザー・デイでのサボタージュはその後のウィッチ史に重大な影響を及ぼしたが、扶桑においては兵科の運命そのものを決したと記録された。通常兵器の凄まじい発達と未来兵器の投入がウィッチ兵科の存在意義に疑義を投げかけたからだった。

 

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