ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第三百六十九話「ダイ・アナザー・デイの戦い 14」

――連合軍は一気に足並みが乱れた。カールスラントが撤兵した上、ロマーニャにはまともな機甲師団が存在していない。日本連邦も機甲兵器は不足していた。そのため、スーパーロボットによる殲滅が採択された。そうでなければ、均衡が保てないからだ。鹵獲兵器の活用も推進されたため、敵味方全体でM4シャーマンが主流を占めていたが、徐々にその次の世代の戦車に入れ替わりつつあった。扶桑陸軍機甲本部は面子丸潰れになったが、戦車の発達の方向を掴めたため、結果としては良かったのは確かである。問題は銃後が非協力的になったために、兵員補充に支障を来していることで、そこもヒーロー達への依存の理由である――

 

 

 

 

 

――この頃の扶桑は、海軍で顕著に人事的混乱が生じた。軍令承行令が廃止され、兵学校卒の正規将校の権威が損なわれ、現場で『特務士官』が神様のように扱われる事が固定化されたからだ。正規将校の立場は結局、新法令で真っ先に記される事で体面を保ったものの、現場では肩身の狭い思いをする羽目に陥った。一応、他兵科の下級士官が『戦闘指揮能力欠如』を理由に、国際部隊で下士官扱いされる事が無くなったというメリットがあった。ミーナが叩かれたのも、史実で『軍医少尉を戦闘部隊の曹長と扱った』ことが日本軍義勇兵に問題視されたからである。この問題は結局、カールスラント参謀本部が日本連邦の統合参謀本部に深く謝罪したり、カールスラントの技術ライセンスの無償提供などで手打ちになったが、カールスラント軍への白眼視に繋がってしまい、カールスラント軍は長く、辛酸を嘗めていく。連合軍内に『日本連邦を怒らすな』という格言が生まれたのも、この時期である――

 

 

 

 

――1944年頃、義勇兵の第一陣の乗る紫電改の初期の編隊が訓練中の戦艦大和に誤射された際、当時の艦長『松田千秋』大佐(史実と違い、交代ペースが遅かった)が怒り心頭の義勇兵に海軍精神注入棒で殴打され、病院送りにされた(事件を起こしてしまった機銃捜査員らは責任を取り、泊地で自死したという)事件の発生で、緊急で敵味方識別装置の普及と艦の全装備の近代化が図られたため、扶桑軍の主力は一年後には、近代化改修で大幅な省力化と自動化に成功。ウィッチの海戦での役割の変化も経て、戦艦の10隻台の保有/維持と予備乗組員の確保も成る。旧式戦艦が1948年までに退役、もしくは予備役になった理由はその目的も含まれていた――

 

 

 

 

 

 

――この格言は日本連邦の結成と前後して、連合軍の主要ポストを占めていた数カ国の将軍たちが相次いで失脚し、日本連邦と自由リベリオンの提督と将軍がその座を『奪った』事に始まり、統合戦闘航空団の運用凍結と64Fの台頭で巷に広まった。64Fの陣容が『世代を超えたオールスター陣容』となり、その幹部たちが実質的に以後の戦乱の中心を担っていった事で、1947年頃には連合軍全体の認識となっていた。

 

 

 

 

――ある日――

 

覚醒していったプリキュア達だが、現役期のような無双っぷりは発揮できず、逆に自分達が毎度のようにボコボコにされる事で強い危機感を持つようになっていた。その流れ上、力を求める様になる者も生じた。

 

「せんぱ~い!!なんで、ジープなんですかぁ!?」

 

「ウルトラセブンがウルトラマンレオにした有名な特訓だ。向かってこい!!」

 

「そんな無茶なーーー!?」

 

ノリノリで、キュアドリームへジープを突っ込ませる圭子。ドリームは往年のウルトラマンレオのように、追い立てられる。(プリキュアは基本フォームで『アフリカゾウの最大個体の踏みつけに耐えられる』くらいの耐久力を持つが、常識の範疇であったため、それ以上の攻撃力を持つ南斗聖拳の攻撃力に耐えきれずに『変身姿で怪我を負う』事も増えていた。この頃のキュアドリームは現役時代とさほど変化はない能力であったため、圭子がアクセル全開で吹かすジープに本当に轢かれそうになっており、生きた心地がしなかった。

 

「ぴえーーーん!!ジープに突っ込まれるのを避けるなんてー!!」

 

「それじゃ、アタシらとサシでやり合うほうが良かったか?」

 

「先輩は人間ゲッターロボじゃないですかー!!勝てませんよーー!」

 

「アホ!!ロボットガールズと言え、ロボットガールズと!!あたし以外にもいるんだぞ、そういうの!」

 

「えーーー!?」

 

「そりゃ、艦娘がいるんだ。スーパーロボットにいても不思議じゃねぇだろ?」

 

「それに、はーちゃんはその領域だぞ」

 

「……は?」

 

「ストナーサンシャインとシャインスパークをモノにした。カワイイ姿のままだが、やることは真ゲッター1とさほど変わらない『戦鬼』になった。まぁ、経緯が経緯だけに、敵にほとんど情け容赦しなくなったって事だ。目つきも、戦闘時は『ドワォ』になるからな」

 

「ど、ドワォ……」

 

ゲッター線を受け入れたキュアフェリーチェ/花海ことはは『今度こそ守る』事を自らに課し、20年近くの歳月を鍛錬に費やした。その結果、ゲッター線との親和性が一文字號や橘翔に遜色ないレベルに到達。プリキュアであることからか、生身でゲッターロボの力を行使できるようになっており、一通りの武器は召喚でき、大技も行使できる。これは『ゲッター線が力を貸すに値すると認めた者』に与えた恩恵のようなものだが、ドリームもその領域に到達することになる。

 

「あたしとフェリーチェはほぼ同時に得た。ただ、その時には、あたしは『事変からやり直してた』から、ほとんど無双だった。江藤隊長には睨まれたけどな」

 

圭子は『やり直した』後には、黒江の悪友兼第一戦隊、後、初代64F一番の荒くれ者として名を轟かせている。江藤から『問題児』と見なされたものの、扶桑軍の流行の仕掛け人になるなどの実務以外の功績も立てていた。一時は広報部のルポライターの業務を勤めていた(史実の帳尻合わせ)が、1942年頃に『アフリカ』の設立に携わったのを機会に、現役復帰。それ以後は『血まみれの処刑人』との渾名を頂く撃墜王として名が通っていた。そのため、黒江より若いウィッチへの知名度は高かったのだが…。

 

「で、アフリカで鳴らしたんだぞ?ミーナは知らんかったがな。ネコかぶってなきゃ、銃を突きつけたくなったぜ。うちの部下を馬鹿にされたからな」

 

結局、ミーナは無知を晒し、赤っ恥をかいた事が数回はあったことになる。自分の無知と非礼を詫びる羽目になる事が続いたのは、圭子がロンメル元帥と懇意であった事で、問題がすぐに彼の知るところになり、飛んでくるからである。そこでロンメルは『ミーナは戦時任官で、座学がほとんど省略されていた世代の軍人』という事実を知ることになった。ミーナとしては『隊を上層部から守る』という使命感と義務感からの牽制の行動のつもりだったが、流石に『外交問題に発展しつつある』と通達された時は顔面蒼白になった。司令部からの監視役と早合点していた三人が『扶桑の七人の英雄』の筆頭格と知った後は『教官をやらせる』つもりだったが、実際は現役バリバリのまま。ここに至って、保身を図ったわけだ。

 

「先輩、ダーティハリーみたいにマグナム持ってそうな感じですよね?」

 

「マグナムは確かに持てるが、加減が効かねぇんだ。のび太やゴルゴでもなきゃ、脳みそぶち抜いたほうが早いぞ。現役のままだからって、ミーナは『扶桑が悪い』ように取り繕うとしたからな」

 

「どうして、そんな事」

 

「自分の評判に傷がついて、引退後に歌手になれなくなることを恐れたんだろう。それに、坂本に惚れてるなんて、幼馴染に顔向けできねぇだろ」

 

「いますよね、そういうの」

 

「それも、ウィッチにありがちだよ」

 

ミーナは1945年には『退役が見え始めていた』ので、退役後の身の振り方を考え始めていた。だが、ここにきての不祥事は予想外だった。それも外交問題に直結するもの。『らしくない』保身は『転職を考えての選択』だったのだ。だが、それは軍人としての自らのキャリアに傷を残す事になり、進路は望み通りにならず、軍人としての定年まで『将校』であり続ける(自らの人格の変容もあって)事になる。

 

「同性に惚れるのが、この界隈の危ないところだ。それで破滅したウィッチが昔にいたっていう記録があるってよ」

 

「気持ちは分からないわけじゃないですけどね。後輩にいたんですよ、そういう雰囲気の子達」

 

「キュアマカロンとキュアショコラか?」

 

「え!?知ってるんですか!?」

 

「海軍に北郷大佐がいるだろ?あの人がキュアマカロンだ」

 

「嘘ぉ!?」

 

「だから、お前たちのことは彼女から聞いた。そんなに会った事無いそうだな?」

 

「ジープで追っかけながら言います?それは本当ですよ。あの子たちと会ったのは数回だけかな?みらいちゃんたちの代の後は、オールスターズで戦うことは無くなっていったから……って、何慣れてきてんの、あたし!?」

 

そこで重大な事実に気づく。とはいえ、そうなってもらわないと、南斗聖拳とはまともに戦えないのだ。北斗神拳と元斗皇拳に劣ると言っても、上位の使い手であれば、それらの未熟な継承者を倒せる事もあるからだ。北斗神拳と元斗皇拳の継承が未来世界でなされているかは不明だというが、南斗聖拳はティターンズ側に多く存在する。しかも、ティターンズ残党の幹部級がよりによって『南斗六聖拳』の継承者であり、残党の首魁である『アレクセイ』は南斗鳳凰拳の継承者であった。

 

「まぁ、そうでないと、南斗聖拳とはやりあえんよ。三斗で最弱とされても、上位の者は北斗神拳の継承者を敗北させた事も歴史上にはあるそうだからな」

 

「まさか…。漫画で見たのを、自分で味わう羽目になるなんて」

 

「まぁ、南斗鳳凰拳は初見殺しだ。変身してなかったら、傷が残るところだったぞ」

 

「手刀でプリキュアのコスチュームを斬れるなんて、反則だぁ……」

 

「まぁ、上には上がいる。あたしでも、お前らのコスチュームをぶった切るのはできる。ウルトラマンレオみたいなことをさせてるのは、奴らの超速度の攻撃を見切れるようにするためだ。お前らの生きた時代からすれば、アナクロニズムだが、仮面ライダー達はそれで強くなったからな」

 

仮面ライダー達のうち、RX(BLACK)以前のライダーたちは自身のパワーアップ、再改造の他に『特訓』という手段で強くなってきた。昭和の時代の空気を知っていなければ、理解困難な特訓も多いことから、平成中期以降に生きるプリキュア、なのは達からは効果に疑問が持たれていた。だが、特訓で開眼し、敵をなぎ倒してきた昭和ライダー達の実例があるため、とりあえずはやってみることにし、肉体的強さについては着実にレベルアップを果たすものの、メンタル面は対処が後手後手に回りがちであったため、この後ののぞみにまつわる騒動に繋がるのである。

 

 

 

――この時期、圭子が本来の技能を以て暴れだしたため、正式にミーナの指揮権は『錯乱』を理由に停止され、ルーデルが代行、赤松がその副官という体裁で、501統合戦闘航空団は活動していた。だが、64Fへの事実上の統合が決まったため、統合戦闘航空団としての活動はダイ・アナザー・デイの開始日が近づいた日で停止され、人員は整備兵の入れ替えが完了次第、同隊に編入の指令が下った。ただし、少なからずが司令部に引き抜かれたり、再訓練に回されたため、残留した者は統合戦闘航空団の主要メンバーであっても数は多くなく、各戦闘団(503以降)から数名づつという有様であった。ダイ・アナザー・デイ開始後も在籍しているウィッチの少なからずはプリキュアなり、聖闘士、魔導師(魔法少女含む)を兼任するようになり、純粋にウィッチとして戦うほうが『少ない』のが64Fの状況であった。また、当初は素体となった人物のストライカーを流用することが決まっていたが、使わないほうが自由に飛べるケースも散見されたため、ストライカーはプロパガンダ用での使用が主になった者も多い。また、純粋にストライカーで飛ぶ者が減った事もあり、ストライカーの専有スペースは予定より減らされ、未来兵器に置き換えられていった。(幹部級の殆どが自前の能力で飛べるようになっていたため、ストライカー用の格納庫を過剰に持つ必要性が薄れた上、分基地が与えられ、そちらにストライカーが配備されたため)――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――未来世界と21世紀からのメタ情報はウィッチ世界の各国に悪影響も及ぼした。カールスラントは史実ナチス武装親衛隊の構成員と東ドイツ関係者の『公職追放』計画が漏洩したことが引き金になり、政変と内乱が起こり、国家そのものが射陽の時代を迎えてしまう。オラーシャはウィッチ狩りを発端に、革命一歩手前まで行った結果、ウクライナが分離独立。以後、国境紛争地帯となる形で国力をじわじわと消耗していく。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ブリタニア連邦は1945年時点の王室の『円満な家庭のイメージ』がティターンズの策略で崩れ去ってしまったのと、史実のメタ情報でジョージ六世が憔悴してしまい、病への罹患を理由に退位。史実よりも早く、娘のエリザベス二世の治世が訪れた。ただし、ブリタニア本国の経済の疲弊はやはり進行しており、1945年の時点で『近い招来に覇者でいられなくなる』という予測がなされていた。自らが近代国家として育成してきた同盟国『扶桑皇国』に覇者としての地位を譲る形での『引退』がブリタニア連邦の首脳部の共通認識となった。軍事力も穏やかに削減する(近代化名目で)一方、兵器輸出に積極的となり、扶桑が『センチュリオン』、『コンカラー』、『チーフテン』戦車を相次いで採用したという『お墨付き』もブリタニアの軍需産業を活性化させる。ただし、空・海軍は維持費の拡大が足かせとなり、近代化名目での純減が議論される。結果、空母機動部隊の大規模保有は(ジェット空母の大型化と艦隊維持費の高騰もあり)諦められ、国民の自尊心を満たすために『戦艦』が使われる。そうしたブリタニアの財政重視の選択が扶桑を超大国へ押し上げる原動力となった。とはいえ、ガリアとカールスラント、ロマーニャの没落に伴う軍事的空白は埋めねばならぬので、一定程度の空母機動部隊の保有は許されたという――

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑も、ジュネーブ条約の邪魔になると見なされたウィッチの取り扱いで、日本と大揉めになった。日本も社会的混乱は御免であるため、妥協的に『1945年夏までに、一線任務についている15歳以上のウィッチは成人と見なす』ということで『触らぬ神に祟りなし』とした。ただし、その時点で訓練途上であった者は『一律で訓練生とする』ため、各部隊は訓練校からの引き抜きを慌ててしようとしたが、上手くいかなかった。そんな中でも、一線部隊に籍だけでも置いた『雁淵ひかりや服部静夏』は稀有な成功例であり、最後の『従来通りの雇用形態がなされた扶桑のウィッチ』の称号を頂くことになった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――史実と違い、ダイ・アナザー・デイ時点で、ひかりは旧502のメンバーとの接点はなく、菅野にとっても『雁淵孝美は同期の桜』であり、特に執着もなかった。そのため、人間関係は史実とかなり異なる点がある。黒田が黒江たちの腹心であったり、服部静夏が実直すぎて、芳佳をあまり好いていない(飄々とした態度を嫌っている)など。その関係上、アニメ通りの人間関係を期待すると『落胆される』事はままあった。のぞみは素体が『ウィッチとしては手練であるし、名家出身だが、対外的には無名だった』事例であるため、扶桑側が大慌てになった。そのため、のぞみは中島家の者たちに『うちの娘を乗っ取った』と見られ、裏で疎んじられる事を察していたため、連絡は入れるし、帰省はするものの、住まいは完全に野比家、もしくは南洋の地に買った分譲住宅で落ち着く。また、軍人としての功績は錦から引き継いだが、主にテストパイロットとしてのものであったため、上層部に経験不足を疑われるなど、散々であった。実際にはカールスラント滞在中に撤退戦を戦っており、ハルトマンらと出会っている(二人は錦のことは覚えておらず、バツの悪いことになったため、のぞみとして、改めて交友関係を築いた)。とはいえ、キュアドリームとしては、まさに獅子奮迅の活躍であったのは事実である。流石に南斗鳳凰拳には歯が立たなかったが、ケンシロウを一度は敗北させたほどの拳法なので、これは仕方がない――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本連邦全体の方針は『どうせ、戦略爆撃機が使われるから、技術チート上等』に落ち着き、陣風のターボプロップとしての実用化、F-86、ないしはそれ以降のジェット機の使用解禁』が通達された。そのため、64FがF-14を使用する事が手放しで喜ばれるという結果になった。折しも、扶桑で研三機が必死に速度記録に挑んでいた日の事である。研三機は結局、史実通りに時速700キロに到達していたが、より速い実用機が続々と出現してしまった事、レシプロの構造的限界が明らかになった事で『プロジェクトの存在意義』が薄れたために中止。これは陸軍機であった事が幸いし、1946年以降も現存。建造が完了していた予備機が提供され、日本のとある博物館で翼を休めることになった。とはいえ、扶桑独自、もしくはカールスラントの技術導入で開発中の試作機が一律で中止の沙汰が下ったことでの波紋は大きく、計画に携わっていた技術将校らの暴走を招いてしまう。彼らのする事の代償として、横須賀航空隊のテスト部門と飛行実験部の解体が行われ、属していたパイロット達の多くは太平洋戦争の前線に意図的に配置され、少なからずが戦陣に散る。そもそも、史実の陸軍航空審査部(飛行実験部の史実での後身)からして、トップクラスの人材たる空中勤務者・地上勤務者が多方面から選抜されてから、部員として配属されていたため、人手不足に陥った扶桑軍としては『活用しない』手はなかった。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――クーデター前の時点で『64Fに手柄が集中するのは、軍組織として健全ではない』との意見が航空参謀らから出されており、その第一案が『明野飛行学校の教諭達から、必要な人員だけ引き抜いて部隊化する』案だったが、これは勘違いと政治的横槍で頓挫。禍根を残した。第二案がクーデターの当事者への懲罰として使われた点に『飛行実験部』と『横須賀航空隊』の悲劇があった。また、扶桑の国民が戦略爆撃で暴徒化する事がダイ・アナザー・デイの時点で恐れられたため、そのための啓発活動が必要となるなど、扶桑はダイ・アナザー・デイの時点で『太平洋戦争を見越した施策』を取る必要に迫られ、なおかつ『戦争による五輪の開催放棄』は日本側が許さないという状況がクーデター軍の決起を逸らせたわけだ。とはいえ、ダイ・アナザー・デイでの部隊間連携の無さは統合参謀本部の設立当初から問題になっていた――

 

 

 

 

 

 

――ある日の統合参謀本部では、『いるだけ』の部隊を解散させ、優良な人員を64Fに回す施策の是非が議論されていたが、軍団ぐるみでの『64Fへの妨害』は昭和天皇の激怒を招くと恐れられ、結局は書類上の責任者である山下大将の体面への配慮、いじめへの箝口を兼ねて、64に人員を回すことに決まった。ダイ・アナザー・デイでの64Fの交代要員の不在は日本側もバツの悪い思いであり、飛行実験部のテストパイロットの派遣を容認した。その予定人員には『来栖三郎』外交官の令嬢『来栖良子』少佐が派遣されるはずであったが、彼女は出発日の前日、同僚の梅川梅子の操縦する一式ストライカーの起こした墜落事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負って、軍病院へ後送。派遣の話は立ち消えになった。現場でその代替の人員とされたのが、キュアフェリーチェであり、キュアフォーチュンであった――

 

 

 

 

 

 

――とはいえ、通常のウィッチが単純に飛ぶだけでは、活躍し難い戦場に変貌してきていたのも事実であり、ティターンズの狙撃班は『夜間でも、100ヤード先にある直径3cmの標的を撃ち抜ける』という凄腕揃い。それを更に始末するのが、ゴルゴ13とのび太の主要な仕事でもある。また、プリキュア達も現役時代の力だけでは、敵への苦戦が多く、プリキュア姿で銃撃戦を遂行する事も多くなっていた―

 

 

 

「敵のトーチカを沈黙させます!」

 

ある日、キュアフェリーチェはゲッターマシンガンを用い、M4中戦車を埋没させて築かれた即席のトーチカを破壊する。M4中戦車は後続車両の就役により、こうした使用法も増えてきている。当時の扶桑軍の標準的な砲兵火力では対処不能であったため、プリキュア達は戦線の十字砲火の矢面に立たされた。

 

「転生して、やることが戦争とはね…。戦争映画の体験アトラクションでもやってるような感じで、現実感が…」

 

「そんな悠長に構えてると、怪我しますよ、ルージュ」

 

「分かってるって。技を撃つ暇ないから、こっちも銃を使うしかないってのは。三八式歩兵銃でも渡されるのかと思ったけど」

 

「StG44で良かったじゃないですか。この時代の最高の性能の突撃銃なんですから。麻酔弾と通常弾の使い分けは気をつけてください」

 

「素人にそんな高度なこと言わないでよ。こっちは祭りの模擬銃だって、滅多に触ってなかったんだから……」

 

愚痴るキュアルージュだが、支給された小銃は『StG44』。カールスラント軍の置き土産の一つであり、この時代では最高峰のスペックを持つ突撃銃の先駆である。在庫整理のようなものだが、性能は本物である。

 

「まったく。状況が状況だからって、本当の戦争をやるなんて。うちの家族が知ったら、泡吹くわよ」

 

同銃を使い、敵兵を行動不能にしていく。扶桑の歩兵部隊の突撃の進路を切り開くのが任務であるため、必然的に敵を倒す必要がある。とはいえ、リベリオン兵たちを殺す必要はないため、急所を外して撃つか、麻酔弾で眠らせておくのが最適解である。プリキュア達用に配られた『麻酔弾』は敷島博士が製造したもので、『大人を数時間は確実に眠らせる』効果を持つ。彼女らが銃を用いた戦闘をする時に備え、のび太が依頼していたアイテムだ。

 

「まぁ、技を撃つ暇はないですからね。あ、味方の機甲部隊だ」

 

「日本軍にあんな立派な戦車あったっけ?」

 

二人を援護するかのように、敵の陣地に横合いから急襲をかけていく『扶桑陸軍の虎の子の機甲師団』。五式中戦車改が主力を占めることから、M動乱を経験済みの師団である事がわかる。

 

「この世界の日本軍の虎の子の戦車師団ですね。外地部隊では本来、ああいう大型戦車(諸外国の大戦後期型の中戦車ほどの車格だが)は嫌われ者なんですが、アメリカの戦車に対抗するために、一番マシなものを集めたって感じですね」

 

「一番マシ、ねぇ」

 

怪訝そうなキュアルージュ。日本軍の戦車というと、『ブリキのおもちゃのように』貧相で小型の車両(九五式軽戦車か?)のイメージが強いため、当時の諸外国の新鋭戦車に引けをとらない大きさの戦中日本型戦車に心当たりがないようだ。(しかしながら、九七式中戦車(チハ)の系統と別の設計で生まれた車両も本当に試作段階にこぎつけていたので、日本軍も努力は払ったといえる)

 

「まぁ、ミリオタか、あるいは自衛官でもないと、日本軍の秘密兵器扱いの戦車は知りませんからね。あれは日本軍の作れたモノで一番にマシな性能になる見込みだった『五式中戦車』の改良型ですね」

 

「五式ぃ?」

 

「試作作業は続けられていたので。資材がなくなりましたが」

 

「よくある『戦争末期の試作品』の完成した姿ってわけ?」

 

「ええ。ありていにいえば」

 

 

五式中戦車は砲塔バスケットと半自動装填装置の採用など、扶桑陸軍の戦車でもっとも先進的な機構を持っていた。さらに、車格が比較的に大柄であったので、砲の大口径化と足回りの強化に対応しえた。そこが扶桑陸軍の主力扱いに登りつめた理由である。

 

「今、一番に早く数が揃う日本戦車ですね。もうできていたもののマイナーチェンジなので、工場もありますし」

 

「数合わせってこと?」

 

「自衛隊型の戦車の製造に色々と手間がかかりそうという事で。そういう感じで生産されてるそうです」

 

「なんか、妙に世知辛いわね」

 

「戦争中でも、金はかかりますから。田舎の部隊だと、チハがまだ動いてるそうで…」

 

「……そこも妙に、日本らしいわねぇ」

 

二人は機甲師団に助太刀しつつ、援軍の扶桑陸軍機甲部隊の懐事情に同情してしまう。一番に兵器供給に恵まれている機甲部隊でさえ、M4中戦車と本質的に大差ない代物が一線装備。つまり、末端では1938年頃から、装備の更新が滞っている可能性が大。航空戦力に傾倒していた扶桑陸軍の見えない『弊害』が、二人を十字砲火に突っ込ませる要因である。麻酔弾と実弾の双方が装填された弾倉を携行しつつ、それぞれに支給された銃火器を手に、現役時代からはかけ離れている『戦場に身を置く』二人であった。

 

 

 

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