ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回はダイ・アナザー・デイ補足編の続きです。

※時間軸はダイ・アナザー・デイ本格化のちょっと前になります


第三百八十五話「ダイ・アナザー・デイでの戦いその16」

――カールスラントの軍事マーケットの市場価値は一気に暴落した。航空分野では、ダイ・アナザー・デイでMe262の市場価値が暴落し、F-86が花形になった結果、エンジンの耐久性に問題があるMe262は一過性の流行に終わった。21世紀以降の技術水準の冶金技術と小改良で再燃焼装置を持つようになったF-86はダイ・アナザー・デイ後半に投入され、そのまま1947年まで主力を務めた。これは連合軍の整備兵の手に負える限界レベルがF-86の水準だったためで、レシプロ機もダイ・アナザー・デイを通し、現役だった。

なお、代表格である紫電改は小改良を重ね、最終的には史実の三二型(エンジン改良+艦載機運用がデフォルトで可能)相当にまでパワーアップしたが、疾風は史実の武装強化型である乙型がかろうじて配備されたが、史実での不評が原因で、殆ど前線で使用はされなかった――

 

 

(ただし、四式戦闘機の操縦系は史実と違い、『軽く』調整されていたので、慣れれば良好な性能バランスを見せたという。これは怪異の攻撃に対応する際の応答性が重視されたためである)

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイでは、政治的都合でカールスラントが撤兵し、兵器も廃棄処分したため、現地に置き去りにした多くの兵器は扶桑軍と、現地に残留したカールスラント部隊で使用された。特に重宝されたのが機甲装備。M動乱で性能が実証されていた事もあり、扶桑軍はこぞって入手していった。太平洋戦争の開戦後、国防省が悩むことになる『雑多な機甲装備』は『国産の旧式装備が回収された事で、現場があちらこちらからかき集めた事が原因である。カールスラント、ブリタニア、リベリオン、21世紀日本。これらの国々の装備がダイ・アナザー・デイ後半には雑多に入り混じっていた――

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイでは、そんな都合もあり、積極的に兵器の鹵獲が試みられた。特に機甲装備は好まれ、鹵獲されたM26が連合軍側の手で『M46』へ改造され、戦線に投入されるほどで、連合軍の機甲装備不足がよくわかる。戦車駆逐車は史実のメタ情報と人的資源の不足で投入が避けられ、代わりに、重戦車が積極的に投入された。連合軍は基本的に防衛戦のほうが多かったからだ。また、リベリオンは意図的にM26などを積極的に投入しつつ、M4中戦車を『群れ』といえるレベルで投入していたため、それを一撃で撃破できる重戦車が求められた。扶桑軍のある将校は、この時の機甲戦を『恐竜のどつきあい』と評したという。あまりに、自軍の既製戦車との差があったからだ――

 

 

 

 

――西住まほは『顕現』してすぐに、ダイ・アナザー・デイの最前線の戦車隊指揮官として参戦。乗り込んだのは、カールスラント軍がテストの名目で運びこんでいた『レーヴェ』重戦車である。史実より幾分か軽量な設計であったが、それでも、105ミリ砲と相応の重装甲を備えているため、かなりの重量級であった――

 

 

――1945年――

 

 

「撃てぇ!!」

 

そのレーヴェ重戦車の105ミリ砲が戦場で火を吹く。現地改修で砲塔旋回速度などに改善が加えられたため、この時点では『最強の戦車』の一つである。

 

「よし、よくやった。次の目標を探すぞ」

 

「ハッ」

 

ハッチから上半身を出し、敵の撃破を確認するまほ。ミーナの肉体は使っているが、服装を黒森峰女学園のタンクジャケットを使い、髪型も変え、口調も生前の凛としたものにしているので、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケと同一の肉体を動かしているようには見えない。西住まほという扶桑名、階級章も扶桑軍の大尉のものを身につけているため、日本連邦軍の大尉であると見なされている。自らの指揮での実戦はこの時が初めてであった。

 

(転生して初めての仕事が、実際の戦車戦とはな。どこでどうなるかわからんものだ。しかも『他人の体』を使うとは……)

 

生前の肉体と異なり、航空兵として鍛えられた体であるので、勝手が違うところが多いのには難儀しているが、赤子になるかと思ったら『既に、10代後半まで成長していた人物に宿るという珍妙な事態。

 

(この体の元の持ち主……『ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ』という将校……直前にやらかしていたらしいが……危険手当は出るが、基本給の返納は堪える。手柄を立てて、一刻も早く、失点を返上しなくてはな)

 

ミーナが直前にやらかした事は、第三者であるまほから見ても、『明らかな失点』(人事書類の不確認、兵科以外の科の士官への差別疑惑)であるものである。

 

(もし、私が宿らなければ、この『ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ』は精神鑑定で除隊になっていたかもしれんな。そうならなかったのはいいのか、悪いのか。それは後世が判断するだろう)

 

まほは自分が宿らなければ、ミーナは精神鑑定され、除隊と同時に精神病院行きにされただろうという予測を立てていた。これは、後年に発見されたロンメルが上申を差し止めていた『精神科医の診断書』で裏づけがされていたが、まほも(ミーナも)知る由はない。

 

 

 

ちなみに、ロンメル曰く『人格が変わろうが、勤務に支障がなければ良い』という言い分だが、転生は『通常と明らかに異なる現象』なため、1945年当時の常識では測れない何かがあると判断。診断書を自らの判断で闇に葬った。それから数十年後にひょんなことから発見され、半世紀後にロンメルの伝記が執筆される際に、苦悩のエピソードとして加えられたという。

 

 

 

 

 

―まほから無電で戦闘に入る旨の報告を受けたエルヴィン・ロンメル。(ウィッチ世界では)彼は慎重になった側面が生まれていた。貴族と皇帝の地位が存続しており、中産階級(ロンメルは教養市民出身であり、ユンカーや古くからの貴族が多いカールスラント軍では不利な出自である)出身の彼は必然的に下積み業務をやらされた時期が長い。また、怪異相手には補給が重要なため、史実よりは補給線の重要性を理解していた―

 

「日本の義勇兵は、血の気が多い連中ばかりで困るよ」

 

「しかたねーよ。連中は肉体と気が若くなってるだけで、人生経験はあるんだ。従えるには、率先垂範しかねぇ。ウチの空母搭乗員の六割方は連中だからな。この世界のどこに、1000時間超えの飛行時間のパイロットがいるってんだ?防衛省も無理難題をいう」

 

ロンメルは日本の義勇兵の手綱を握るのに苦労しているようで、疲れが顔に出ている。

 

「しかし、大尉も災難なことだ。宮藤君の扱いで彼等に猛抗議を食らうとは」

 

「彼等は特務士官上がりが多くて、正規将校に差別されてた経験があるからな。あいつもまずいことをしようとしたもんだ」

 

圭子もそこはハッキリと言うが、芳佳(軍医中尉)を飛行任務の際に『兵科曹長の扱いで遇する』という事が義勇兵(特務士官上がりの耳に入ったがために、彼等に殴り込まれそうになった。圭子が諌めて、その場は帰したが、ミーナ(変貌前)は『扶桑海軍の軍規に則ってるはず』と困惑していた。これは史実で悪名高い、『軍令承行令』の事だが、坂本も『解釈違いだ!!あれは海軍内で戦時指揮権の兵科間の継承序列を定めているだけだ!』と叱った。坂本自身、『下士官兵から叩き上げの特務大尉が兵学校出の少尉に服従せねばならない』という承行令の誤った解釈がまかり通る事には強く怒っていたので、ミーナを叱ったわけだ。

 

「お前が来てくれなきゃ、元のミーナは錯乱して、坂本を撃ち殺しかねなかったからな。ものすごくヒステリックに喚いてたから、バルクホルンも我が目を疑っていたしな」

 

「彼女はどうしたというのだ?坂本少佐に当たり散らすなど」

 

「査問で自分を庇うどころか、お前らに有利になる発言をしたからだな。あたしの指示でやらせたが、あいつは無条件で味方だと思ってたらしいな」

 

「君もあくどいことを指示するものだな」

 

「そうでなきゃ、お上が皇帝に時差も考えずに抗議の電話をしかねなかったんだよ。大使館も焼き討ちされそうだったし。モンティのせいだぞ、全部」

 

「奴を責めてやるな、ケイ」

 

ロンメルは不満げな圭子を宥める。モントゴメリーは、いらん子中隊の記録を機密にさせたのを皮切りに、圭子のアフリカ戦線での直近の活躍も機密扱いに指定させるなど、混乱を招かないことにピリピリしていた。だが、ミーナの無知が想定外の事態を招いた。アフリカ戦線からの撤退などの混乱もあるが、ミーナほどの地位の者が扶桑の伝説を知らないわけがないという希望的観測も、現場の混乱を招いた。

 

「モンティは混乱を避けたかっただけだ。君らの存在はイレギュラー中のイレギュラー。通常のウィッチの中に生じた突然変異体のようなものだ。前世の記憶持ちなど…」

 

「っていうのは表向き。コレを理由にしてモンティの仕事を減らす訳だ、モンティは色々抱えこまされてるからな。奴には悪いが、それくらいしないと、アイツ日本の社畜レベルで働きかねんし」

 

「君らもあくどいな。パットンなど、10代の少女がごめんなさいと言ってるのに、鬼の首を取ったように責め立てるのかと抗議がきているぞ」

 

「悪役ってのは必要だからな。誰かがそれを演じないと、組織は回せない。パットンはそれらしい逸話に事欠かないだろ?マグナムを振りかざさせたのも、あたしの指示だ」

 

「君らは悪人だな、ある意味では」

 

「前世記憶持ちはまだまだ、これからも増えるだろうぜ?その為にも、モンティは手すきにしてやらねぇと、過労でおっ死にかねん。それに、どの仕事でも、どの業界でも、陰口を叩くやつはいる。競馬の馬だって、成績が悪くなりゃ、引退しろだとかの陰口は出るんだしよ」

 

「馬はそういうものだがね」

 

「競馬の馬だって、日本の歴史を紐解けば、G1に勝てても、最終的に桜肉にされたんじゃっていうのはいたし、サーカスに二束三文で売られた老馬がG1ホースだったケースもある。世界は残酷さ」

 

「君、競馬をやるのか?」

 

「実家が北海道で牧場してるからな。あたしの印税収入が入るから、兄貴たちや親父が競走馬買いたがってんだ。おふくろは反対だけど。その関係で詳しくなってな」

 

圭子と武子、智子は実家が北海道であり、曽祖父の代に屯田兵だった。その関係で競走馬を目にする機会はそこそこあったという。黒江は赤松の仕込みだが、こちらは自然と身についたもの。黒田は実家が軍馬育成を手掛けていたため、元から詳しい。

 

「黒田によ、競走馬を買わないかなんて誘われてんけど、どうかねぇ」

 

「軍馬はこれから縮小していくから、競走馬の需要のほうが重要になるだろう。数頭は買えばどうだ。皇帝陛下に言えば、ノイエカールスラントの繁殖牝馬を寄越すだろう」

 

これは冗談だったが、後日、黒田の仲介で圭子は本当に馬主となる。扶桑競馬にカールスラント系のラインを組み込んだ初の例として。戦争中の頃に第一世代の馬達がデビューを飾り、八大競走は無理だったが、後のGⅡ相当のレースを勝ち、及第点な滑り出しを見せたという。

 

「いや、種牡馬の良いの引っ張って来よう。後はアラブの原種に近い中東の牝馬使った方が変わったの産まれそうだし」

 

「皇帝陛下に話は通しておこう。中東に父の代からの付き合いの馬主がいてな。彼のつてで中東の牝馬は引っ張れる」

 

そこで、まほからの再度の報告が入る。

 

「ああ、私だ。正式な許可かね?思う存分に暴れたまえ。後の事は任せろ」

 

と、アバウトな命令を出し、お墨付きを与えた。ここで、彼女が乗り込んでいる『レーヴェ』重戦車について説明する。この重戦車は、史実では中止になった開発計画の産物だが、ウィッチ世界では『ラーテ』の護衛戦車という名目で開発が続けられていた。ラーテの開発計画の破棄に伴って『ティーガーⅡ後続の重戦車』という位置づけに変更され、完成された。ダイ・アナザー・デイ直前の政変で量産が危ぶまれていたが、妥協的に『実地試験の結果次第で、正式に生産する』という立場の戦車であった。

 

「分かりました。我が隊は敵の撃退行動に入ります」

 

「奴らに戦車戦を教育してやれ」

 

ロンメルはウィットに富む表現で攻撃を許可した。レーヴェの生産計画に関わるからでもある。

 

「お前さん、レーヴェを量産させたいのか」

 

「あれはカールスラント開発陣の意地だよ、ケイ。カールスラントの戦車王国としての、な」

 

 

これには理由がある。ドイツ連邦共和国(21世紀ドイツ)が重戦車を『時代遅れ』と嘲笑し、より世代の進んだ『主力戦車』に兵器生産を絞らせようとしていたため、レーヴェは宙ぶらりんな立場にあった。だが、現場には、旧式の重戦車であるティーガーⅠすらも行き渡っていなかったため、重戦車の生産中止に猛反対。官僚が却って困惑する事態になった。結局は双方の軍官僚らの妥協で、『実地試験を行って、それから生産の是非を問う』ということでお茶を濁したわけである。

 

 

現場は最高のエースたちに宛てがい、採用を勝ち取らせようとし、まほ以外には『ヴィットマン』、『バルクマン』、『シャーロット・リューダー』などの超優秀な戦車兵とそのクルーへ与えられている。その中で最も階級が高かったまほが臨時の指揮官にされたわけだ。

 

 

 

 

 

――この時の戦車戦には、カールスラント陸軍が作戦前に運び込んでおり、その後は運用世想定の部隊の引き揚げで放棄同然の状態であった20両あまりがの『レーヴェ』が投入された。元々、オラーシャ帝国が開発中の重戦車を仮想敵にして開発され始めたこともあり、当時としては破格の攻撃力と装甲が与えられていたが、機動力の不足、重量の過大さをを理由に、ドイツ側が採用に難色を示していた。つまり、ダイ・アナザー・デイの戦場は性能実証のいい機会と見なされたわけだ――

 

「大尉、敵のシャーマンです」

 

「……まさに雲霞の如くだな。軍曹、残弾は?」

 

「徹甲弾はあと30、榴弾は10、粘着榴弾が20であります」

 

「横合いから奇襲をかけ、アウトレンジで撃退する。伍長、奴らに見つからずに射程に入る位置に移動しろ。通信手、後続に伝達せよ」

 

「ハッ」

 

クルーも、全員がM動乱で経験を積んだベテランであるので、レーヴェの特性を理解していた。まほはアウトレンジが可能な位置に全車を配置。開けた場所に移動したので、105ミリ砲の射程を活かせると判断。全車の射程に敵戦車隊が入った瞬間に一斉射撃を指令した。

 

 

 

 

――105ミリ砲二〇門あまりの一斉射撃の閃光が走り、轟音が轟く。高初速の同砲弾はリベリオン本国軍の標準戦車『M4中戦車』の正面装甲を薄紙同然に貫き、M4を次々と炎上せしめる。しかも数百m越しに、である。敵軍は大いに狼狽え、隊列を乱す。最初に指揮官格とその次席の乗る車両が同時に撃破され、指揮系統がズタズタにされたからである――

 

「大尉、敵はパニック状態です。さっきから喚き散らす声が入ってきます」

 

「上々だな。敵が態勢を立て直す前に潰し切る。敵がヤーボを呼ぶ前にな」

 

「次弾装填、完了」

 

「敵を圧倒しろ!撃退すればいいが、弾を無駄使いするなよ!」

 

 

敵の戦車隊は実際には50両ほどであったが、このアウトレンジ戦法の理想形といえる攻撃に遭い、わずか10分あまりで指揮官含む多数を失い、反撃どころではなく、車両ごとに散り散りになっていく。この日、レーヴェのアウトレンジの記録として、最後尾の車両が2キロ先のM4を空き家ごと吹き飛ばした事が記録されたという。熟練者の職人技であるが、カールスラントの照準器の精度の良さも戦果に繋がった。

 

「敵部隊、しきりにヤーボ(戦闘爆撃機)に支援を叫んでいます」

 

「潮時だな。ただちに帰投する。全車、離脱せよ。遅れるな」

 

 

退き際も鮮やかであり、防衛戦での重戦車の価値の証明となった。戦闘爆撃機隊が駆けつける頃には、レーヴェ隊の姿はなかった。そこにあるのは、鉄の棺桶と化したM4の残骸と無人の村だけであった。戦闘爆撃機隊も、現れた烈風の飛行隊に捕捉され、編隊の四分の一を撃墜される結果に終わった。

 

 

――駐屯地――

 

「あっさり終わったな」

 

「開けたところでアウトレンジすりゃ、ドイツ戦車は強いからな。それに、制空権はこっちにある。いくら物量があれど、制空権のない戦場じゃ、額面通りの戦力にはならんよ。ティーガーは足が弱いが、レーヴェは足回りを強化してある。上手く使えば、敵を怯えさせられる」

 

戦闘報告にホッとしたロンメル。カールスラント軍として数えられないものの、自国産兵器の挙げた戦果としては、久しぶりの上物。このような結果が重なれば、採用の芽が出るからだろう。

 

「ドイツは納得するかね」

 

「あと数回は必要だな。一回っきりだと、エース乗員の職人技で片付けられるからな。それに、重戦車の需要は一過性のもんだと見なされてる節がある。まぁ、足が早くて、重戦車並の火力の戦車なんて、本当はあと五年は造れないんだがね」

 

「そうなのか」

 

「そうさ。対戦車ミサイルが流行ると、機動力重視になるが、複合装甲の登場でバランスが改善される。まぁ、豆知識程度に捉えておいてくれ。あいつにとって、これが実質的な初陣だ、労ろう」

 

「そうだな。医者にはあれこれ言って、上手く診断書を新しく書かせる。ミーナ君の元の人格への手向けだ」

 

ロンメルは手元にある診断書をシュレッダーにかけ、細かく裁断する。これは司令部へ提出するためのコピーであり、原本は別にあるが、それは機密文書を保管する倉庫の奥深くへしまわせるつもりらしい。(ミーナの元の人格は消えたわけではないが、表に出てくることはほとんど無くなっただろうという判断がなされた)この判断により、ミーナは『精神的ショックで多重人格を発症、療養に入る。療養後の再訓練で分裂人格の統合がなされた』という診断書で体裁が整い、その後も軍務を継続していった。

 

 

 

 

 

――このように、山の多いイベリア半島向けではないと嘲笑されていた重戦車が(熟練した将兵の適切な運用もあって)連続で戦果を挙げていく様は21世紀世界の各国を驚愕せしめ、ドイツも『現地雇用に配慮し……』という文面で、パンターⅡとレーヴェの生産を認めた。戦後世代のレオパルトⅠ戦車が、大戦型の機動戦向きの特性ではないことは明らかであったからだ(レオパルトⅠはミサイルを回避するという設計思想で造られており、パンター戦車の主砲にも耐えられる保証はない)。

 

 

結局、ダイ・アナザー・デイの戦訓で、レオパルト2戦車を作れるようになるまでのつなぎは『戦中の重戦車の系譜にレオパルト1の特徴を併せ持たせる』方向性の車両が務めることになり、レオパルト1の史実通りの生産は見送られた形になったという。また、レオパルト1と同世代に当たる『74式戦車』がM26の横からの不意打ち、あるいはウィッチの攻撃で意外に損害を被っていた事も決定打となったのである。

 

 

 

 

 

――第二世代主力戦車は待ち伏せで効力を発揮するが、諸条件等が重なり、想定外の運動戦に引きずり込まれた結果、側面をM26パーシングに撃たれ、あえなく撃破される事例が続発した。防衛省背広組はこの戦闘報告に『我々の面子を潰す気か』と、現場を恫喝したものの、『10式戦車とて、横から90ミリ砲を撃たれた場合は壊れますが?』と返され、ぐうの音も出なかった。MSとて、戦車の攻撃で壊れる事はあるし、メカゴジラも既存兵器に無敵ではないので、それは当たり前である。(スーパーロボットも上位機以外は『負ける時は負ける』)そこが改めて認識された――

 

 

 

 

――そして、まほが戦果を挙げたその日。ダイ・アナザー・デイに旋風を巻き起こす機体の一機が欧州の空に舞い降りた。その名も――

 

『隼人の指示とはいえ、こいつの調整が間に合って良かったぜ。行くぜ!!』

 

流竜馬の駆るブラックゲッター。ダイ・アナザー・デイ当時は『ゲッタードラゴンの炉心溶融が起こった』未来世界での事故からしばらくが経っていた頃。彼は未来世界では既に、キュアフェリーチェ、キュアドリームと面識があったが、この時点ではキュアドリームは竜馬と面識がないので、二人が正式に会うのは、ここからしばらく経ってからである。この日から『バイオレンスアクションをやらかす、黒いゲッター1』が目撃され始め、敵に恐怖を与える。竜馬が64Fの前に姿を見せるのは、プリキュア達の覚醒が一段落し、黒江も帰還した後のことである。彼はブラックゲッターの片腕にトマホーク、もう片腕にはゲッターサイズの回転式拳銃を持たせ、ブラックゲッターの初陣にふさわしい大型怪異(怪異はゲッターエネルギーを苦手とする)へ吶喊。以前よりバイオレンスアクション味の増した戦法を使うのである。

 

『トマホォォク・ブゥゥメラン!!』

 

斧をぶん投げ、怪異の外殻を削り取る。ゲッターエネルギーを纏う刃は容易く怪異の外殻を切り裂き、エネルギーの効果で再生が阻害される。

 

『ゲッタードラグーン!!』

 

敷島博士の試作したゲッター用の回転式拳銃。ゲッター艦隊の『ゲッターノワール』のそれの祖になるものだが、それを乱射し、怪異のコアを露出させる。

 

『ゲッタァァァ・レザー!!』

 

腕のレザーでコアを切り裂き、ゲッター以上の大きさの怪異があっさりと消滅する。

 

『ゲッター1はビームの連射が効かねぇからな。そこは面倒だが、上手くやるしかねぇな』

 

ゲッター1は戦闘用に調整されている個体であろうと、ゲッタービームの連射はあまり効かない。炉心直結の構造上、炉心に負担がかかるからで、そこが後継機のゲッタードラゴンに劣るゲッター1の弱点である。竜馬はビームを最大出力では連射できないのを逆手に取り、ビームを上手く使う戦法を模索していくのだった。

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