ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

124 / 787
前回の続きです。


第三百八十六話「ダイ・アナザー・デイでの戦いその17」

―扶桑は日本の夢を為し得たIFの具現化のような存在であるが、逆に扶桑の想定外のことを日本が想定していたケースが有る。超大和型戦艦の事だ。扶桑は地球連邦軍に『ナチス・ドイツ海軍の超戦艦と戦える船』の建造を依頼し、地球連邦軍がその計画策定の過程で発見したのが『海底軍艦』である。軍艦はそれまでより革新的なものが生まれれば、それ以後は同じようなモノが普及していく運命にある。戦艦ドレッドノート(弩級戦艦)、戦艦オライオン(超弩級戦艦)が歴史上の例である――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大和型戦艦が公にされた世界では、扶桑自身が思うよりも示威効果があった。大和型戦艦の大まかなスペックは主砲塔の大きさや船体の幅から推測できるため、扶桑海軍は公言しなくとも、海軍関係者のど肝を抜いた。紀伊型戦艦の整備完了から間もないため、扶桑内部では『46cm砲と塔型艦橋の実験艦』兼移動司令部といった認識だったが、他国は量産するのではという疑心暗鬼に駆られ、対抗できそうな戦艦を作ろうとした。怪異への対抗には戦艦の火力が必須であったからだが、大和型戦艦の量産を各国は想定していたのである。

 

 

 

――かくして、初の大規模外征であるM動乱でナチス・ドイツの秘密兵器『超大和型戦艦』の存在に怯えた扶桑は、超大和型戦艦の建造を世論の後押しで決意。大和型戦艦の近代化と増産を遂行しつつ、超大和型戦艦の保有を進めた。その最終段階が『轟天』と『廻天』にあたる。大和型戦艦が基本ベースなのに、扶桑では疑問が出ていたが、日本側を説得しやすかったのも事実である。史実の溜飲を下げられるからだが、扶桑は大和型戦艦を更に洗練した艦の構想を練っていたのも事実だが、大和型戦艦の完成度は群を抜いていたため、結局は大和型戦艦が日本戦艦の完成形とされ、以後の扶桑の戦艦は大和型戦艦を基本にし、重武装・重防御を持つ『重戦艦』が基本となる。(これは日本が防衛を優先させたせいでもある)その具現化の第一陣が三笠型と播磨型であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――地球連邦軍とドラえもんが整備した地下工廠で建造された、それら戦艦群は予算上は『扶桑、伊勢、長門までの世代の戦艦の代替』として計上されている。播磨型は『比較的に運用しやすいサイズ』であるため、紀伊型戦艦が担えなくなった『軍馬』的な運用がなされる事になり、ダイ・アナザー・デイが初陣となった。大和型戦艦の拡大強化型という体裁を保つ同艦級は1945年の時点では、最も強力な艦級の一つであったため、連合海軍は怪異戦で戦艦の建造が思うように進まなかったのを、悔いることになった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――その播磨型の最初の晴れ舞台となったのが『第二次イベリア半島沖海戦』で、本格的な海戦となった。日本へ中継されていたので、これを『ショー』と揶揄する声はあったが、ともかくも、古典的海戦を目にする格好の機会であったのは確かだ――

 

「これが古典的な海戦なんですね、ドリーム」

 

「あたしの素体になった子の記憶を見る限りはね。じいさまが持ってた本や映画は見た事あるけど、あたし自身は軍隊とは無縁だったねぇ」

 

調は第二次イベリア半島沖海戦が実質的に初陣となった。聖闘士に叙任済みの状態で呼ばれたため、気合でエクスドライブ(通常バージョン)を発動可能であるので、その状態で航空戦力の掃討に参加していた。

 

「私のギアは本当は単体だと、大してパワーないんですよ。相方の子との連携が前提でしたから。小宇宙でリミッターを外してるから、無茶だって言われましたよ」

 

「まぁ、先輩たちは『小宇宙を身につけて、セブンセンシズ以上に到達できれば、人の限界を超えたことになるから、シンフォギアのリミッターは意味がなくなる』って言ってるよ。あたしも、小宇宙が開花した途端、生前の最強形態に到達しちゃったからなぁ」

 

『お前ら、こっち手伝え!特式は武器の燃費がわりーんだよ!』

 

レシプロ戦闘機の大群にたかられる紅蓮特式。紅蓮系の機体は片腕が事実上は輻射波動機構を放つための機能に特化していることもあり、飛び回るレシプロ戦闘機の相手は苦手である。また、特式は元々は確認できるかぎりの実戦が一回っきりのために武装が少なく、輻射波動は燃費が従来機よりも悪い(補給を受けての戦闘が前提になっているため)。

 

「今、やりますから。せーのっ、ブレストバーン!!」

 

調は黒江から能力も受け継いだため、この時点で『スーパーロボットの技を生身で放てる』。ブレストバーンはブレストファイヤーより広域放射向けであるので、意外に対多数で効果を見せた。

 

「んじゃ、こっちも!プリキュア・ドリームアタァァック!!」

 

ドリームはこの時が、『パワーアップを重ねた状態で最初期の必殺技を使った』初のケースであった。この頃は従来の能力が純粋にパワーアップしたのであるので、ドリームアタックを使用した。錦の記憶がまだ完全に彼女に馴染んでいないため、後々のように『草薙流古武術』と剣術はまだ完全には使えない。空中元素固定能力も完全ではないので、この時は『名刀電光丸(DXバージョン)』を又借りしている。

 

「よっし!散らしたよ、メロディ!」

 

『うっし、あとは散らした奴らを各個撃破、その後にあたしは補給に戻るぞ』

 

「分かった。でもさ、戦艦の戦いって、のんびりしてるんだね」

 

『宇宙戦艦の時代じゃないからな。観測挟んでの照準補正と装填も入るから、お互いに60秒近くの間がある。第二次大戦は戦艦の最後の時代だったが、イージス艦みたいな自動装填はなかった』

 

「でも、40cmくらいの口径の砲弾って、かなり重いんじゃ?」

 

「戦艦の砲塔の給弾室から弾頭は運ばれてくるけど、弾頭を装填するのは人力だからね。扶桑は未来技術で自動化したけど、それでも最終チェックはするから、50秒はかかると思う」

 

扶桑はこの頃、宇宙戦艦の自動装填装置を導入し始めたが、初めての導入なため、万が一に備え、二度目の海戦では安全確認を厳重にしていたため、発射速度は従来よりも多少遅くなっていた。とはいえ、従来より命中率が飛躍的に上がったためと、砲弾の威力が更に強力なため、多少の速度減少は気にされなかった。

 

 

『見ろ、敵の船が派手に爆発を起こしたぞ!』

 

それはこの時の海戦に参加していた『アイオワ級戦艦』の一隻。播磨の放った51cm徹甲弾が大角度でアイオワ級戦艦の第一砲塔を貫き、大爆発を起こしたのである。アイオワ級戦艦は辛うじて耐えたが、砲塔ごと艦首を吹き飛ばされ、第二砲塔も余波でスクラップ同然の状態に陥っているのが確認できる。

 

『流石に、超大和型。アイオワ級は敵じゃないってか』

 

播磨は戦闘力を半分以下に減じた同艦から、大和の真のライバル格とされる『モンタナ級』へ狙いを移す。モンタナは主砲口径以外で大和と同程度の能力を誇っており、紀伊型戦艦以前の扶桑戦艦に『オールドタイプは失せろ』と言わんばかりの烙印を押した存在。ラッキーヒットであったのは否めないが、紀伊を一瞬で引き裂き、地獄に送り込んだ事の『トラウマ』が同級を更に超え、撃ち倒すことへの扶桑海軍の執念を呼んだ。だが、モンタナは『ウィッチ世界単体で最高級のダメージコントロール技術を持つ国』が贅を尽くして(造船官は戦艦設計の最後の機会と判断し、贅を尽くした設計にした)作り上げた船。その戦闘力は電探兵装が当代屈指の能力を持つこともあり、総合的に世界第二位の地位は保っている。巡洋戦艦の性格が色濃いアイオワ級戦艦と違い、純粋に艦隊決戦用であったため、各艦はツーランク以上の砲を誇る扶桑海軍相手でも勇戦を見せた。アイオワより砲塔も頑強な作りであったので、アイオワと対照的に、超大和型戦艦とも戦えたわけだ。

 

「アイオワ級って、なんで脆いんだっけ」

 

『あ?あれは額面上はサウスダコタ級と変わらんらしーんだが、鉄板の質が粗悪らしいぜ。史実なら問題にならなかったが、撃ち合いが普通に起こる状況だとな』

 

アイオワ級の問題は『使用された鉄板の質が悪い』というもので、同型艦の難点であり続け、ウィッチ世界での同艦級の低評価のもとになった。額面上の防御力を発揮しなかったからだ。日本では速力で高評価される同艦だが、撃ち合いでの脆さが露呈した。

 

「援護する?」

 

『紅蓮でも、戦艦の対空砲火を抜くのは難儀するぜ。特に、この時代のうちの国の対空砲火は槍衾だしな』

 

キュアメロディもさすがに、紅蓮特式を以ても『戦艦の対空砲火の嵐に突っ込む』には躊躇する。しかし、後々に、戦闘機のコスモタイガーで似たようなことをやることになるのだ。

 

『ん!?』

 

紅蓮特式は雲の中から現れた『ハンブラビ』の海ヘビ(連邦のヒートロッド系武装)に捕縛され、電撃攻撃を受ける。調がエクスカリバー(手刀)でそれを断ち切るが、かなりの高電流が流されたため、飛翔滑走翼改の機能に不具合が発生する。

 

『ゴッドサンダー!!』

 

ハンブラビは駆けつけた『ゴッド・マジンガー』(グレートマジンガーの純粋な発展型に位置する最新鋭機。外見上はマジンカイザーと酷似するが、Zのエンブレムが喉元にある、パイルダーに当たる戦闘機の形状の違いがある)に粉砕される。

 

『大丈夫か?』

 

『今の海ヘビで、翼に不具合が出ちまった。ナイトメアはああいう攻撃は想定されてないからなぁ』

 

『あとは俺とゴッドが引き受ける。シャーリーちゃんは補給と修理に戻りな。友達の面倒は任せろ』

 

『すまねぇ。サイズがちっさいからなぁ』

 

とはいえ、紅蓮特式はナイトメアフレームの中では有数に大柄な機体である。海ヘビの攻撃力が電子装備の耐久性を超えていたからでもある。

 

『でも、そのマジンガー……新型か?』

 

『ああ。教授や父さんたちが、予てから造ってた『真っ当な形での究極の魔神』さ。マジンカイザーのある意味での従兄弟さ』

 

ゴッド・マジンガーはグレートマジンガーの後継型に位置する。マジンカイザーが『ゲッター線の力で進化した』イレギュラーなら、こちらは真っ当に技術発展でなし得た成果である。グレートマジンガーを強力化した一つの成果だが、Zの生まれ変わりである(フレームを改良し、反陽子エンジンを主機に変更したが、ゲッター炉心と光子力エンジンを積む)ので、必然的に甲児専用機になった。

 

『んじゃ、頼んます』

 

『がってん!MSの相手は俺に任せろ。君たちは俺から離れるなよ』

 

「はいっ」

 

この時は『マジンガーに守られる側』であったキュアドリームだが、後に、自らがその力を奮う側に回るのである。その縁の始まりと言えた。

 

『ゴッドブレード!!』

 

ゴッド・マジンガーは反陽子エネルギーと光子力を組み合わせ、実体化させる形式の剣を持つ。これはZ神の持つ『ゼウスブレード』と『カイザーブレード』、『ショルダースライサー』の三者の折衷である。

 

『ガンダリウム合金くらいで、超合金ゴッドZの武器が防げっかよ!!』

 

ゴッドブレードが小気味良く、ティターンズの虎の子の可変MS『アッシマー』、『ハンブラビ』を細切れに叩き斬る。

 

「これが……マジンガーの力……」

 

その光景に圧倒されるキュアドリームと調。最も、剣術が苦手であると公言する甲児だが、歴戦の経験で、一定程度の技能は身についている。そして。

 

『ほーらよっと!ゴッドスパーク!!』

 

剣からそのまま高電流を発射し、サンダーブレークのように奮う。グレートの発展型なので、サンダーブレーク系の武装も複数が備えられているのが分かる。神の武器である雷を奮うのはある種の象徴性を持つ。『神にも悪魔にもなれる』マジンガーZだが、Z神の姿を模しただけでは『強力なマシン』の粋を出ない。雷を奮うことこそが『神の権能の象徴』なのだ。

グレートマジンガーはそれを意図して設計され、その真っ当な形(技術発展)での完成形がゴッド・マジンガー。魔神の神という名を与えられ、マジンガーの名を持ちながら、純粋な光子力駆動ではない。これは弓教授が予てから『光子力よりも強大な力で、破壊神(ZERO)から地球を守れ』と願い、因果律兵器を阻害する『反因果律兵器』を積み、その上で光子力をメイン動力から外したためだ。そのため、ゴッドは原案が兜十蔵と剣造、実機製造は弓弦之助教授ということになる。

 

(あたしにはあそこまでの力は……。先輩たちは聖闘士だし、あたしの立場ないじゃんーーー!!)

 

言いようのない危機感に襲われるキュアドリームだが、幸いにも、錦の肉体が馴染んだ事で『草薙流古武術』の技能が身につくため、『黒江たちよりはペースが遅いが、パワーアップは確実に重ねていく』のだ。

 

 

 

調の飛躍的な戦闘力の上昇が映像付きで示される事で、切歌(子供。この頃にはボイコットし始めている)、クリス、マリアなどのシンフォギア装者は衝撃を受ける。また、ギミックにも変化があり、ツインテールに丸鋸を搭載する事が無くなった代わりに、何種類かの剣を召喚できるようになっている(空中元素固定能力を武器の精製の補助に使用している)など、剣士としての要素が多くなっている。黒江と同じく、腕に聖剣を宿したため、その霊格を実体化させて奮うため、映像を見たマリアは茫然自失、翼は驚愕の渦に叩き込まれたのは言うまでもない。

 

「風王鉄槌(ストライク・エア)!!」

 

腕にエクスカリバーを持ち、鞘の役目を担う風を解放し、飛び道具として放つ。その後に黄金の剣が出現するのは言うまでもないが、オリジナルの使い手であるアルトリア・ペンドラゴンと違い、魔力属性故のアレンジが加えられており、炎の竜巻が巻き起こる。この映像を見たマリアと翼は……。

 

 

 

「あれは……まさか、あの子もッ!?」

 

「馬鹿な、聖剣……だとッ!?」

 

かつて、黒江がシンフォギア世界で奮った『約束された勝利の剣』。シンフォギア世界では、色々と聖遺物の概念が違うため、それが伝説の『エクスカリバー』であるという事は公的には認められなかったが、『根本から全てが異なる世界における、聖なる武器』とは認識されている。最も、古代ベルカ時代に彼女が用い、遺跡から回収された『アームドデバイス』の名は『エクスキャリバー』なので、その点を考えれば、不思議なめぐり合わせであった。なお、アルトリア・ペンドラゴンも(派生存在含めて)エクスカリバーをバーゲンセールのごとく持つので、聖剣のバーゲンセールと言わんばかりの状況に、キングス・ユニオンの上層部は困惑したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――1945年のウィッチ世界は、欧州主体の世界秩序が史実のメタ情報で崩壊し始めた時期に当たる。史実のメタ情報で、ブリタニア連邦は求心力が減少。自由リベリオンは(史実アメリカ合衆国の行いもあり)慎重に立ち回る必要が生じた。また、ドイツ連邦がカールスラント軍部や皇室親衛隊を激しく追及した結果、国内の治安が悪化する事態に陥り、数年以内に内乱となる。特に、皇室親衛隊は史実の武装親衛隊と同質と見なされた事から、過剰に武装組織としての無力化が進められたが、却って、国内の秩序を揺るがせてしまう。結果、扶桑軍が巨大な軍備の維持を義務付けられてしまうわけだ。日本も扶桑への軍縮の試みがダイ・アナザー・デイの苦戦と、スーパーヒーローや異世界の人々に過剰に頼る結果に終わることは不本意であったが、軍隊の数が多いことに恐怖を抱いており、結局は軍縮の試みを続け、太平洋戦線での扶桑軍の実働戦力の形骸化を引き起こす。64Fはこうした試みから軍隊の目を逸らさせるために、戦間期は利用されていった――

 

 

 

 

 

元々、64Fは史実の第343海軍航空隊のように『新人と選抜したベテランを混在させ、ボトムアップを図る』意図での編成復活が陸軍で検討されていたが、空軍設立時に(史実の評判とウィッチ世界での343空の温存のため)に意図して精鋭部隊化が進められることになった。日本側としては『戦前のテスト部隊のベテランは客観的にモノを見れないから、前線で使い倒したほうが費用対効果に優れる』と考えており、それらの監視を兼ねて『プロパガンダ』用に仕立て上げるつもりだった。だが、連合軍の主要国が(同位国の圧力もあって)『統合戦闘航空団』の枠組みを廃したため、その要員の行き場として利用される事になったために『デルタフォースのウィッチ世界版にする』という風に変容したが、人員の引き抜きは予定通りに行われたため、テスト部隊の中堅層の叛心を煽ってしまうのだ。

 

 

これは『1945年という時代』故に、古参の空中勤務者を保全し、なおかつ前線を支えさせるためであった。これは史実の著名な空中勤務者がウィッチとして尽くが存在しており、多くが成人とともに、退役してゆく時代であったためだが、一般常識では『20歳』は若輩者であるため、その齟齬がクーデターを起こし、結果的にウィッチ閥の衰退を招く。また、数年以内に太平洋戦線が起こるため、少しでも『古参の空中勤務者を確保したい』という日本側と、『世代交代が当然である』と考える扶桑軍ウィッチの中堅層との認識の齟齬が原因であったが、中堅層は集団戦を前提に育成されている世代であるため、ダイ・アナザー・デイでの個人技能が物を言う戦場では『いいところなし』。その世代に相当する下原定子も接近戦闘技能がないに等しい(下原は坂本の教え子だが、竹井の方に懐いていたため、夜間戦闘が特別なものではなくなった戦場では『坂本と同種の転生者』というアドバンテージで成長した)ため、相対的に目立たない存在になっていた(ただし、護衛役としては優秀)。

 

「定子は何している?」

 

「ドラえもんの護衛につかせた。夜間戦闘が当たり前になったから、奴の能力にはメリットが少なくなったし、かと言って、のび太みたいに『夜間でも、250ヤード先にある直径3cmの標的を撃ち抜ける』腕があるわけでもないからな」

 

空母に乗艦していた黒江と坂本。坂本は教え子の下原が再び部下になったので、使ってやりたいようだが、技術の近代化で、夜間戦闘が特別なものでも無くなり、ティターンズの強化人間の狙撃兵は平均で『夜間でも100ヤード先にある直径3cmの標的を撃ち抜ける』技能を持っているために、『遠距離視と夜間視の複合魔法視力』を持つが、取り立てて、狙撃の腕が優秀でない下原は肩身が狭い。

 

「修練の成果だろうが、異能を努力が凌駕するとはな」

 

「のび太が眼鏡を外すのは、進歩した視力矯正術が現れる30代頃だから、あいつの才能と大人になってからの修練がすごいってことだ」

 

「下原に何をもたせた?」

 

「ライフルはストックが無くなってたから、ドラえもんが空気砲(冒険の際に使用していたモデル)を渡した。今日は南洋で地下工廠の視察だからな」

 

ドラえもんはこの時期、どこでもドアで南洋と欧州を往復する日々であった。下原は手空きであった事もあり、この時期はドラえもんの護衛についていた。

 

「空気砲だと?マシなのあるだろ」

 

「ジャンボガンと熱線銃じゃ、オーバーにすぎるだろ。それに地下だしな。一応、2.5mある鉄人兵団を行動不能にする威力はある」

 

坂本も『空気砲』の非力さに苦言を呈したが、暴漢対策グッスであるので、一定の効果は約束されているのが空気砲のメリットだ。元は『いじられっ子のしかえしグッズ』なので、通常出力では殺傷の危険は少ない。(ドラえもん達は冒険では『リミッター解除』で運用していたので、鉄人兵団相手でも通用した)

 

「あいつはかわいいのに目がないぞ」

 

「ああ、あれか。『お持ち帰りぃ~』とか言っちゃう質か」

 

「そうそう。そういう奴だ」

 

「やれやれ」と、そこは苦笑いの二人。その頃、ドラえもんと下原は。

 

 

 

 

 

 

――南洋島――

 

「すごい。南洋の地下をこんなに」

 

「地下に街と軍事区画を設けるってんで、苦労したよ。今は軍事区画しか稼働してないけどね」

 

「動力は?」

 

「払い下げのジェガン用の核融合炉。初期モデルのものだけど、一基で1,870kWは発電できるからね。発電には充分さ」

 

ドラえもんの発言から、都市発電に『旧式化したジェガンのジェネレータ』を流用したことが明確にされた。それが数基配置され、波動エンジンの始動をできるだけの電力を供給する。

 

「未来世界の地球は光子力や波動エンジンとかの動力を相次いで造ったけど、光子力はジャパニウムの鉱山が富士の裾野にしか確認されなくて、平和利用研究が政治的理由で頓挫。ゲッター線もエネルギー利用の研究が停止状態だから、主力は波動エンジンに落ち着くんだ」

 

 

波動エンジン。23世紀から数百年もの間、地球連邦最強の動力の一つとして君臨する。波動エンジンを凌ぐ高エネルギーを持つ動力は25世紀に『モノポール』エンジンとして実用化されるが、波動エンジンと違い、無限動力ではないため、それを補う機関の存在が必須となるのだ。光子力は富士山を切り開く必要がある事から、政治的理由で頓挫。ゲッターエネルギーも平和利用の研究はゲッタードラゴンの暴走で頓挫。その結果、地球連邦軍最強の機関は数百年もの間、第一世代波動エンジンが占める。モノポールと組み合わせた複合機関『波動モノポールエンジン』が25世紀に発明され、第二世代波動エンジンとされる。更に500年後、前世代の補助機関であった波動エンジン側の理論進歩で、波動エンジンの炉心を複合三連構造にしたものが『第三世代波動エンジン』として普及するのだ。

 

「波動エンジンの波動エネルギーって?」

 

「二つの種類の波動エンジンがあるけど、僕たちの使うほうはタキオン粒子がその源。僕の時代には実在が確認されてたんだけど、イスカンダルの技術情報で実用化された。23世紀の時点の第一世代型でも、天の川銀河一個分のエネルギーを叩き出せるよ」

 

「銀河一個分?」

 

「縮退炉もあるにはあるけど、扱いが難しくてね。結局は波動エンジンが宇宙船の主流になっていくよ」

 

「縮退炉は出力こそ高いが、扱いが難しい上、爆発すれば、そこにブラックホールを作ってしまうため、次第に使用用途は減っていき、波動エンジンが主流となるが、同時にゲッター戦艦が30世紀以降に現れ、一定の割合で存在するようになるそうだよ。」

 

「ゲッター戦艦?」

 

「ゲッターロボの発達した姿さ。遠い未来での話だよ」

 

ドラえもんは22世紀のロボット(基本)、未来世界の住民も基本的に23世紀の人間であるので、その更に700年後の時代はたしかに遠い未来だ。とはいえ、人の生活様式は21世紀、兵器体系は23世紀で完成されているため、それ以降はそれらを発達させる形のものである。

 

「ドラえもんさんと、下原中尉ですね。ドラえもんさんの要望していたものが完成しました」

 

「海戦には間に合いそうだ」

 

と、微笑うドラえもん。軍事区画の格納庫に二人が足を運ぶと。

 

「これは……鉄人28号?」

 

「旧日本軍の松代大本営跡に秘匿されていた設計図をもとに、新造してもらったものさ。こいつは再現した個体だけど、その隣の二体を見てごらん」

 

「こ、これは!!」

 

下原は腰を抜かす。歴代の鉄人28号が一堂に会していたからだ。初代、『太陽の使者』、『FX』。

 

「これがのび太くんが進めていた鉄人計画の姿さ。これを欧州に持っていく。それと、ガランド閣下に連絡を入れてくれ。めぼしい精鋭を44JVに集めておいてくれ、と」

 

「なんでですか?」

 

「カールスラントは史実の東西ドイツの対立のメタ情報でメチャメチャにされてしまうからさ。東ドイツのシュタージって秘密警察、知ってるね?あの組織の非人道性がこれでもかと流されるから、多分、東カールスラント出身者は要職から外されるだろうし、軍からも排斥しようと圧力がかかる。21世紀のドイツは西ドイツの後身だからね」

 

「そんなの許されるんですか?」

 

「ナチと東はドイツの黒歴史だからね。多分、僕の予測が正しければ、数年以内に、カールスラントは内乱になる」

 

ドラえもんはシュタージという組織を知っていたが故に、それに史実で属していた数百万人は確実に職を失い、路頭に迷わされると明言した。ドイツは未然にナチとシュタージのような組織の誕生を防ぐためという大義名分を掲げ、カールスラントを引っ掻き回している。だが、それが却って、カールスラント帝国の政情不安を煽り、1947年に破局を迎える。それまでに、カールスラント空軍と陸軍の精鋭を根こそぎ集め、保護する。ドラえもんの進言はすぐに採用されるが、ジェットストライカーの実験部隊とされた44JVを政治的に利用されることを恐れたウルスラ・ハルトマンの反対で、人員配置の完了に悪影響が生じてしまう。しかし、ウルスラもカールスラント全体の優秀な人材の保護という目的を知ってからは賛成に転じることになった。45年に64Fへの協力という名目で、旧52JGの主要メンバーが集められた理由はそのためだった。

 

 

「分かりました、手配します」

 

「そうなれば、カールスラントはむこう50年は後遺症に苦しむ。その穴埋めが君の国になる。つまり、扶桑は日米が史実で担う役どころを演ずる羽目になるのさ」

 

「ドイツはどうしたいんでしょうね」

 

「自分達に都合のいい市場と労働力にしたかったんだろうね。それは日本の一部も同じだけど。日本と違って、ドイツは第一次世界大戦で皇室が倒れてる。その差が騒乱を招いた。ある意味では悲劇さ。最も、日本も扶桑の軍隊を解体して、思想的に問題がない将兵だけを自衛隊に組み込む案が内部で議論されてたっていうけどね」

 

ドイツはカールスラントを『魅力的で、都合のいい市場と労働力の宝庫』としか見なさず、現地の人々の足跡を無視し、『史実でこうだったから』というだけで、多くの人々を理不尽に弾圧した。その報いを受ける。日本はその行いを第三者として見る事で『扶桑との共存共栄』の路線を見出し、日本連邦を成功に導くのだ。

 

「地球連邦軍はなんで、扶桑を選んだんですか?」

 

「色々あるけど、地球連邦の前身の一つが日本連邦だからかもしれない。現に、連絡が回復した後は、統合戦争以降の戦災からの復興が進んだし」

 

ドラえもんは統合戦争の起こった大元の理由を知っているため、地球連邦政府が扶桑にウィッチ世界での活動拠点を置いた理由を察している。そして、のび太たちへ三大鉄人28号を届けるため、整備兵に調整を促すのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。