ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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ダイ・アナザー・デイの戦いシリーズです。


第三百九十二話「ダイ・アナザー・デイの戦い その19」

――連合艦隊は結局、ワークホースと位置づけていた紀伊型戦艦の陳腐化に遭遇。軍事上の必要性から、大和型戦艦の量産をせざるを得なくなった。超大和もその過程で生まれた。ダイ・アナザー・デイでは、敵が大戦艦「ヒンデンブルク」、「プロイセン」を投入したため、急遽、当時に完成していた超大和型の殆どを回航し、対処した。ヒンデンブルク級戦艦の威容は500m級で、それに対抗できる戦艦は限られている。また、別世界(ナチが勝利した世界の産物)で造られたため、内部構造は史実での仏艦の長所が取り入れられており、一言で言うなら、頑強である。それは他の欧州艦では対処不能なため、大和型戦艦ファミリーの多くが駆り出された。『艦隊決戦用に設計された戦艦』だからだ。これに日本側は困惑した。他国の戦艦は良くて、38cm砲。40cm砲すら滅多にない有様。カールスラントのビスマルク級は遠距離砲戦には向かない設計であり、ロマーニャのリットリオ級は『実際のスペックはあまり良くない』。ブリタニアは『古い戦艦が多く、モンタナは愚か、アイオワ級にも太刀打ちできなさそう』。他国が『大和型戦艦とモンタナ級が規格外なだけだ!』という事の理由がようやく理解できた日本だが、ヒンデンブルクとプロイセンという巨艦が出現したことに震撼。超大和の整備を公認する。空母戦闘群という概念が生まれる以前の時代、日本型空母は艦上機搭載数が少ないことがネックであることを知っているからだ――

 

 

 

 

――1945年。第三次イベリア半島沖海戦と呼ばれる戦いが幕を開けようとしていた。敵の旗艦は、扶桑海軍の前に立ち塞がってきた『ヒンデンブルク』。同艦は51~56cm砲のいずれかを装備し、戦艦信濃をノックアウト寸前に追いやるなどの華々しい経歴を誇っており、バダンがM動乱で戦略目的を達成する原動力となった。史実の独艦を米艦が護衛するという構図は皮肉そのもの。ブリタニアは極度の損害を恐れ、ライオン級戦艦の二隻を参加させた以外は戦力を供出せず、そもそも、カールスラント、ガリア、ロマーニャは戦力外通告であるため、扶桑がほぼ単独で艦隊決戦に臨む羽目に陥った。とはいえ、制空権は既に握っており、連合艦隊の懸念は解消されている。戦艦戦力は質で拮抗できても、数が足りないため、事前に航空戦力での攻撃を予定したが、日本の無知な政治家が『極度の損害が出るから』と中止させてしまったため、結局は『アイアンボトムサウンド』を覚悟での消耗戦となった。不幸中の幸いか、地球連邦軍の厚意で、MS・VF隊による『事前の空襲』が行われた――

 

 

 

「敵機、来ます!」

 

「なんとしても撃退しろ!!」

 

空襲の目標は護衛の駆逐艦と、航空戦力の運搬を行う空母。ZプラスA2型なども参加した大規模なもので、フレッチャー級やアレン・M・サムナー級駆逐艦、クリーブランド級軽巡洋艦が必死に弾幕を張るが、175mm砲にも耐えられるガンダリウム合金を装甲に持つZ系MS、エネルギー転換装甲を持つVFには効果は『薄く』、陣形の外側に展開していた護衛艦隊は蹂躙された。

 

「我々の役目は連合艦隊の露払いだ。護衛艦隊を散らせ!!」

 

各部隊の隊長が指示を飛ばす。第二次世界大戦型の艦艇相手なので、ウェーブライダーやファイター形態の反復攻撃で事足りるのである。武器の破壊力も『同等以上の相手を想定している』ため、ビームやミサイルの一発で容易く炎上するのだ。戦艦部隊は護衛艦隊を切り捨てるかのような動きを見せ、そこも冷酷な様を見せた。

 

「敵は護衛艦隊を切り捨てるのでしょうか」

 

「巡洋艦や駆逐艦は月単位で造れるからな、人員さえ拾えれば、いくらでも換えが効く。宇宙怪獣みたいな感覚になるな」

 

そんなやり取りが交わされつつ、連邦軍部隊による空襲は痛烈に行われた。落伍した機は一機もなく、逆に艦隊側は船体構造の脆い駆逐艦が8割方沈むという、散々たる有様を晒す。

 

「戦艦はどうします?」

 

「対空火器を潰す程度に損害は与えよう。戦艦は相応に頑強だ。連合艦隊には手柄が必要だから、そこそこにしておけ」

 

彼等はこうした相談をしあい、敵艦隊との決戦に先立っての露払いを行った。巡洋艦以下の損耗を気にせず、進軍する敵艦隊の姿は白色彗星帝国のバルゼー艦隊に重なって見える。戦艦だけでも、大概の欧州海軍の水上打撃艦隊を捻り潰せる威容である敵艦隊は護衛艦隊の殆どを失いつつも、ひるまない。連合艦隊はヒンデンブルクとプロイセンを撃退するため、あらゆる手段を講じていく。そのための決戦兵器が『戦艦富士』であり、『播磨型戦艦』なのだ。その艦容が大和型戦艦のそれの純然たる強化型であることは、史実枢軸国同士の『戦艦の頂上決戦』を意味する。ビスマルクの系譜に煮え湯を飲ませられた大和の系譜の復讐戦はまもなくであった。

 

 

 

 

 

――この時点で、カールスラント軍の存在感は殆ど無くなっていた。必要最低限の連絡員以外の撤兵が公表され、各国の民衆の顰蹙を買ってしまい、前金を払っていたラーテを各国軍に納入しないなどの不誠実な対応が仇となり、連合国軍内の地位を一挙に喪失するに至った。故に、名誉回復にと、ビスマルク級戦艦の海戦への参加を打診したが、既に『40cm砲以上の艦砲』を有することが第一線級戦艦の最低条件になっていた事、元々、バルト海での近距離砲戦を前提に設計されている同級は速度性能以外の項目で時代遅れとされ、『足手まとい』と突きつけられ、参加は見送られた。ビスマルク級は元々、基礎設計が第一次世界大戦型である『バイエルン級』の流用で生まれたため、大和型戦艦と同世代の設計の戦艦が主流になりつつあった時期には『時代遅れ』になっていたのだ。(ヒンデンブルクとプロイセンは造船工学の先進国の一つであった仏の方式での設計である)既に独の艦娘は実艦の艦長であった『リンデマン艦長』とビスマルクの軋轢(彼は『ビスマルクのような力強い軍艦を「彼女」(船は女性形代名詞で表される風習がある)と呼ぶのは相応しくないので、「彼」と呼ぶように!!と乗組員に求めていた』ため、『女性の姿』を取る艦娘という存在は、彼にとって忌むべきものに等しかった。とはいえ、古来からの船乗りの伝説通りであることから、彼はショックのあまりに、自宅で泣くしかなかったという)を発端に、日本連邦へ『亡命』してしまう事態となった。さらに、残されたカールスラント海軍の水上艦艇の多くは性能不足の旧式艦という烙印を押され、母港の肥やしとならざるを得なかったことも、後々の内乱の一端となる。

 

 

こうして、カールスラント海軍の外征海軍への返り咲きの唯一のチャンスは潰えたわけだ。以後の時代のカールスラント軍再建計画では、陸・空軍に重点が置かれていくため、海軍は外征海軍への再成長の機会を奪われたと言える。だが、地政学的な観点から『一定の海軍力の保有』は認められ、それを大義名分に、『再建』が進められていく。手慰みに、M動乱でバダンから鹵獲され、カールスラントの軍港に繋留されていたH級戦艦の保有と修理が連合国軍に認められるのは、内乱が一段落する頃。カールスラント純正の戦艦ではないが、『純然たるドイツ戦艦』を新規に入手できたのは幸運そのもの。その保有はカールスラントの人心を落ち着かせるためという名目で進められ、実行戦力というよりも『象徴的な役目』を求められて就役する。それは史実の英戦艦『ヴァンガード』の運命であり、運命の皮肉と言えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――こちらは調。ダイ・アナザー・デイが事実上の初陣であったが、呼ばれた時間軸では、既に聖闘士になっていたのと、感応で得た能力を試していたこともあり、ロボットガールズ相当の戦力となっていた。この頃に公の場で名字の表記を(心機一転の意図もあり)『月読』から『月詠』に変更していることもあり、同じなのは『容姿とシンフォギアの形状のみ』とされるほどであった。初陣であるため、この頃はロボットガールズの『ガイちゃん』が姉貴分のポジションにあった。黒江たちが綱渡り作戦に参加する最中では、彼女とジークさん(鋼鉄ジーク)がお目付け役を任せられていた。これはマリアと大人切歌、クリスが遊撃的に各地の敵の陸軍を撃退する役目を担うようになっていた事も関係している――

 

「怪人もいるなんて。敵は隠れて、色々とやってるみたいですね」

 

「食人鬼(グール)や人造の吸血鬼の軍隊よりは与し易い。兵たちが怯えないからな」

 

「ヴァチカンの非合法戦闘組織が動きそうなものですけど」

 

「奴らは未だに『レコンキスタ』を夢見てるというからな。地球連邦の時代にだぞ?バカげている」

 

普段は中二病なジークさんだが、シリアスにふるまえる。(後にわかるが、ウマ娘『エアシャカール』に酷似しているため、後々にちょっとした話題となる)中二病な前口上を省いて、真面目・シリアスにに武器の名前を叫ぶのは、一応は空気を読んでいるためだ。

 

『吹っ飛べ!!スピンストォォォム!!』

 

ジークさんがスピンストームという磁流波エネルギーを螺旋状に放つ必殺光線を放つ。力のモチーフ元の鋼鉄ジークはゲッター1と同じ位置にその武器の発射口があるので、腹部からの発射である。

 

『こいつもおまけだ!ザゥゥルガイザー!!』

 

怪人軍団へ二人が合わせ技を放つ。調もそれに合わせ……。

 

『私も!!ダブルサンダーブレーク!!』

 

サンダーブレークをダブルで放ち、怪人軍団(いずれも理性のない、使い捨ての個体)を痛撃する。この時点では、ロボットガールズは(現役時と大差ない能力値であった)プリキュア達よりも上位の戦力の扱いであり、調に乱戦での戦い方を教える役目を担っていた。

 

『ギガントミサイル!!』

 

調の膝の上にミサイルが生成され、それを撃ち出す。サイボーグ009の『004』の膝内蔵のミサイルを連想させるような発射の仕方である。この時点で、スーパーロボットの戦闘法をかなり取り入れているのがわかる。

 

『ゲッタートマホゥゥク!!』

 

真ゲッターロボと同型のハルバードタイプのトマホークを手に持ち、それを怪人軍団へ振るう。躊躇なく首を跳ね飛ばし、胴体真っ二つも当たり前の情け容赦なき戦法だ。

 

「ベルカにいた頃を思い出しますよ。魔獣を退治する仕事もしましたから」

 

「古代ベルカという奴か。どうなんだ?」

 

「多分、漂流してきたドイツ人が源流じゃないかなぁ。ドイツ風の文化を持って、言語もドイツ語主体だったから」

 

古代ベルカはドイツ人が作った国家だろうという予測を、当事者であった身として立てる調。対するミッドチルダはアングロサクソン系の人種が祖であると推測でき、地球から派生した文明だろうと思われる。

 

「多分、地球から派生した文化って気づかなかったんじゃないかな。ミッドチルダ主体の新暦は60年かそこら。旧暦の体制の資料も散逸してるって、なのはさんから聞きましたから、多分、元々のミッドチルダ人は転移してきた地球人と同化していったんじゃないかな。ベルカもたぶん……」

 

ミッドチルダとベルカの起源も、一定の予測ができているようだった。

 

「ふっ!」

 

「どりゃあ!」

 

三人のトマホーク、マッハドリル、ミラクルドリルが怪人軍団を蹴散らすが、敵はもぐらたたきの要領で魔方陣から召喚されてくるため、体力を消耗してしまう。

 

「キリがない上、後から後から湧いて出てくるよ~!」

 

「武器のエネルギーと体力が持つか…!」

 

と、ジークさんがぼやく。そこに天の助け、宇宙刑事ギャバンが電子聖獣ドルに乗って、颯爽登場したのだ。

 

『待たせたな。大西洋沖に現れた怪異に対処していたので、戻るのに手間取った』

 

「ギャバンさんっ!」

 

『君たちは下がっていろ。ドルレーザー!!』

 

電子聖獣ドル。宇宙刑事ギャバンの保有する超メカである。ギラン円盤の下部にあるメカニックが分離し、変形する事で戦闘態勢を取る。一定の自律行動も可能な龍型のスーパーロボットである。その『彼』の咆哮が響きわたり、ドルレーザーが両目から放たれ、怪人軍団を空爆する。飛行怪人も現れるが、それは口からの『ドルファイヤー』で焼かれていく。ドルが空域を半周し終える頃には、地上の怪人軍団は壊滅寸前の状態になっていた。

 

『あれが魔方陣だ!あれを攻撃すれば、怪人共の供給は止まるぞ!』

 

『なら、試しにやってみたかった技で!』

 

調はここで、温存していた体力を使う形でストナーサンシャインの初使用に踏み切る。ギャバン達の援護を受けつつ、空高く跳び上がり、ストナーサンシャインの態勢に入る。キュアフェリーチェ(花海ことは)の特訓に付き合っていた都合上、彼女もその領域に到達しており、威力も劣らない。

 

「ストナーサンシャインか!」

 

「あれはエネルギーと体力の消耗が難しいよ、気合い入れな!!」

 

「うんっ!!」

 

ストナーサンシャインは使用に際し、『一定以上の意思と感情をこめる』必要がある。ゲッターロボで撃つ時にも『感情をこめなければ、本来の威力は出ない』ため、完全に使いこなすには、かなりの鍛錬が必要である。飛行怪人ごと屠る必要もあるため、エネルギーチャージは比較的に長時間行われた。

 

『ストナァァァァァァ・サァァァァンシャァァァァイン!!』

 

シャウトは若き頃の流竜馬を思わせるもので、ストナーサンシャインを放つ一瞬、ギアが一時的にエクスドライブ状態になる。集束していくゲッターエネルギーがギアのリミッターを外させていることがわかる。そして、魔方陣と飛行怪人達は諸共に消滅していく。

 

 

「ふう。うまくやれて良かった。はーちゃんの特訓に付き合ってて、その見よう見まねでやったから」

 

「お前も無茶するな」

 

呆れ半分のジークさん。

 

「史実だと、切ちゃんと『二人で一人前』みたいな扱いだったから。それから脱却しようってムキになってた時期があって。私一人じゃ、一人前になれてないのって思っちゃって」

 

「君の年頃には、よくあることさ。俺も君くらいの頃は、ツッパっていたこともあるからな」

 

ギャバンは、調がある時に抱いた、その感情を『若さの特権』とする。人間、誰しも若い頃は『何かに反抗したがる』(ギャバンもなんだかんだで、銀河連邦警察で出世した故の地位のしがらみに囚われつつあるため)と言い、ある程度の歳になると、どうしても、しがらみが生まれてしまうからだろうか。少しだけ、自分の歳を意識したようだ。

 

「さて、残った連中は俺に任せろ」

 

ギャバンはそういうと、お馴染みのレーザーブレードを取り出し、必殺技を繰り出す。

 

『ギャバン・ダイナミック!!』

 

普段は一対一の相手を一刀両断する技だが、この時は斬撃のエネルギーを発射する形で放たれる。仮面ライダー、スーパー戦隊と並び評された実力は健在だ。

 

「師匠たちは今ごろ、綱渡り作戦か」

 

「地上空母は強敵というが、まるで漫画だな」

 

「あんたがそれいう~?」

 

ギャバンはドルギランにバイクや戦車などを格納しているため、それをガイちゃんにツッコまれる。ギャバンは苦笑交じりの声でこう返す。

 

「俺のドルギランは宇宙戦艦だからなぁ。地上空母はどういう仕組みなんだ?」

 

「ティターンズの記録を漁ったけど、どうも、マスドライバーの建設後に不要になった『クローラー・トランスポーター』をベースにして造ったらしいぜ。排熱の都合なんだが、手間を省くためか、アングルドデッキ構造になってないそうだ」

 

 

ティターンズは元々、大型陸戦艇のノウハウがあるが、手間を省くためか、20世紀から使われてきたが、マスドライバー建設後に宇宙船運搬に不要になった『クローラー・トランスポーター』を改造する形で地上空母を構想し、転移後に試作した事が判明した。これは融合炉で大出力と一定の速度が確保できる事、構成材に23世紀水準のチタン合金を用いることで軽量化できたことによる。足回りは保守的な無限軌道式だが、比較的に保守点検が楽だからだろう。アングルドデッキ構造も移動の際にかさばるからか、排熱の関係か、取られていない。つまり、強行着艦にテクニックを要する事がわかる。

 

「それじゃ、殴り込みは大変だぞ。着艦スペースを確保しないといかん」

 

「そういうことだね。あたしらはその囮ってわけ。プリキュア達を引き連れて、殴り込みにいったけど、青ちょろいガキ共の引率みたいになったからなぁ」

 

ガイちゃんたちからみれば、転生、ないしは転移間もないプリキュア達は青二才らしい。海で連合艦隊が決戦を挑もうとし、空と陸で囮部隊があちらこちらで動いている。

 

「敵は北斗琉拳や元斗皇拳、南斗五聖拳の大半の使い手を抑えてる上、幹部達はその継承者だって話だからなぁ」

 

「北斗琉拳?」

 

「北斗神拳と同時期に生まれた北斗系の拳法らしい。ティターンズは中国に大規模な拠点があったから、そこで探したんだろうね」

 

 

ティターンズ残党の幹部層が異常な(下手なプリキュアを返り討ちにできる)強さを持つ理由は、ジャミトフ・ハイマン(創設者)がバスク・オムとその一派の粛清を考え、自らの子飼いとして、それらの拳法の伝承者を入隊させ、幹部の地位を与えていたからであった。これは当時、既に公の場に現れていた『シャッフル同盟』を倒すためと思われる。(ただし、そのメンバーの代替わりの前なので、先代のメンバーを想定していたらしいが)

 

「しかし、なぜ、そこまでして集めたんだ?」

 

「ティターンズはシャッフル同盟を倒すための作戦を練ってたらしく、対等に戦えそうな拳法の使い手を求めたらしいんす。中堅層にも、華山や泰山系の拳法の使い手がいるし」

 

「かなり傾倒してるな」

 

「ガンダムファイターは人外な人達ですからね。普通の軍人じゃ、どんな大人数でも手もなくひねられるからじゃないですか?」

 

一同はそのような推測に達したが、実際には、ジャミトフ・ハイマンは何らかの手段でミッドチルダなどの存在を知っており、それを力でねじ伏せる目的も視野に入れていた。実際、ミッドチルダの格闘技のレベルはそれなりだが、暗殺拳が生まれるほどには先鋭化していない。そこに容易に金属すら切り裂け、肉体を破壊できる拳法の使い手を送り込めば、容易に蹂躙できるという予測のもとで立てられた施策である。実際、ミッドチルダ/古代ベルカは『サイボーグ』の技術的課題を解決しきれず、人間を『あらかじめ機械を受け入れる素体として生み出す』ことで解決を図ろうとした。しかし、地球圏では第二次世界大戦からの研究で既に『拒絶反応とメンテナンスの課題』を解決しており、そこもミッドチルダが戦争で劣勢に陥った理由の一つだ。

 

「まぁ、下手な英霊の宝具も跳ね返せたりするからなぁ。サイコフレームの共振が『スターライトブレイカー』を防ぎ切ったりするし」

 

「ジオン残党はもう数がいないと聞いているが?」

 

「のはずですが、ソ連邦みたいに、畑から生えてきますからね」

 

調でさえ、ジオン残党は離散集合を繰り返すからか、ウンザリしているらしく、『畑から生える』という婉曲的な表現で表現する。

 

「昔のソ連の兵隊じゃあるまいし……」

 

ギャバンはそう返すものの、ジオン残党には、その表現が当てはまる。ジークさんも、ガイちゃんもジオン残党の離散集合ぶりにはウンザリなようで、調に同意し、頷くのだった。

 

 

 

 

 

この時期、ミッドチルダも、サイコフレームの驚異の実力に慄いている。スターライトブレイカーの直撃を跳ね返すということは、艦艇の主砲でも破れないからだ。約束された勝利の剣の直撃すら無効化する以上、それを上回る力はミッドチルダには存在しない。故に、その危険性を危惧したミネバ・ラオ・ザビは封印を提案したが、統合戦争の際の『技術散逸と喪失』に強いトラウマがある地球連邦はそれを一笑に付した。結局、後のデザリアム戦役の後に『配下を統制できていない(ネオジオング、グラン・ジオングの製造、グレート・ジオングの構想)』ことを強く突かれた事もあり、『フルサイコフレーム機の増産の禁止と、サイコフレーム使用量の制限』に留まった。これはジオン共和国が解体するため、旧公国関係者との交渉に疑義を呈する政治家が多くなったためで、ジオン軍が『南極条約破り』をしすぎたせいで、信用が無くなったためでもある。ミネバ・ラオ・ザビ自身もバナージ・リンクスという少年と添い遂げるために、ザビ家の生き残りという立場を捨てる(同位体のメイファ・ギルフォードに丸投げする)ため、ジオン残党は哀れな『道化』だと言える。また、後から後から残党軍が生まれていくのは、外宇宙の脅威を軽視し、目先の利益を優先するビスト財団の差し金に近かった。しかし、そのビスト財団も落日を迎えていくため、ジオン残党はビスト財団の衰退と同期するように衰弱し始め、ついには本来は相容れぬはずの『ティターンズ残党』と合同する有様である…。

 

 

 

 

 

――この時期、既に純粋なジオン残党は数が減り、アクシズ時代以降の若者が主流派になっていたため、ザビ家の生き残りであるミネバ・ラオ・ザビの求心力は微々たるもの。シャアも第二次ネオ・ジオン戦争で本音を漏らしたことで、求心力に低下傾向が見られており、ジオン残党は『反体制テロリストの隠れ蓑』と化しつつある。過去に連邦を脱走したパイロットが残党軍に加わる例も多く見られたためだ。ただし、外宇宙進出時代になり、ジオンそのもののの求心力も衰えが始まっており、『次の蜂起』は最後の賭けと、部内でも見られている。ジオン残党軍も一枚岩ではないため、そこをタウ・リンにつけ込まれ、彼の無政府主義的な破滅思想に利用されてしまう。共和国の解体に反対する派閥は既にティターンズ残党を支援しており、それが却って、交渉の場でのミネバを苦境に追いやることになる――

 

 

 

 

 

 

 

 

――マジンカイザー、マジンエンペラーGなどの『ネオジオングを以ても、手も足も出なさそうな超マシン』が登場、ツインバスターライフルとほぼ同等の砲を持つ『ガンダムX』系統の開発が始まった事で、ジオン残党は抵抗を諦める者が現れ始めた。地球連邦軍のMSの性能レベルが上がりまくり、ビームシールド装備も当たり前になりつつあるためだ。とはいえ、ガンダリウム合金の技術革新により、通常シールドを持つ機体も変わらずに生産されている。ビームシールドはステルス性がないからだ。コズミック・イラ歴の世界は部分的に得られた情報を自分達の技術で解釈を試みたが、色々と無理が生ずる部分が多かった。そのため、コズミック・イラ歴世界から譲渡された機体は実験機扱いで運用される事が常態になりつつあった――

 

 

 

 

――ガイアガンダムとストライクルージュがそれであるが、ストライクルージュについては、外観をコピーした地球連邦軍製の機体である。アカツキの登場で返還され、ダイ・アナザー・デイの頃に改修がなされた。ガイアガンダムのほうが先に改修され、キュアサンシャインへ覚醒したステラ・ルーシェ(のち、明堂院いつきの姿と記憶を取り戻す)がテストを担当している。実戦では『キュアエース/円亜久里』(素体はアリサ・バニングス)のガンダムスローネドライがテストをされていた。操縦システムに改良を施されながらのテストであるが、『ガンダムをパワードスーツ感覚で運用できる』利点は地球連邦軍の上層部にも高く評価された。特にMS技術の向上によるフレーム強度の強化で、プリキュアの身体能力をダイレクトに反映でき、生身と同じ感覚で戦えるため、システムのアップデートは継続的に行われていた――

 

 

「各小隊は前進を!あのトーチカは私が潰しますわ!」

 

ガンダムスローネドライを駆るキュアエース。得物は固定武装のハンドガンではなく、鹵獲したM1ガーランド小銃である。等身大サイズだと、実体弾銃のほうが扱いやすいのと、そこらに落ちているため、入手しやすいのだ。『等身大サイズのガンダムが実銃を使う』光景はダイ・アナザー・デイ以後に当たり前になっていくが、戦場特有の事情も大きいのだ。

 

「そぉい!」

 

M1ガーランドは過渡的な設計の小銃と評価されているが、このように、等身大サイズに縮小させたガンダムの武器としても使用されるなど、戦場ではそれなりに好まれた。キュアエース曰く『三八式歩兵銃で米軍の十字砲火に正面から対抗するのは、極めて困難であるから、せめて半自動小銃はほしい』とのこと。これはビーム装備のエネルギー補給の手間が惜しいからで、固定武装よりも手持ちの兵器を好む気質であるのがわかる。(元々、サポート用の機体なので、固定装備が弱めなのも大きいが)

 

「行けっ!」

 

機体の固有武装である『ミサイルポッド』をここで撃つ。原典通りのGNミサイルではなく、普通の爆薬で代用しているが、充分な威力はある。トーチカは吹き飛び、歩兵部隊が突撃する。リベリオン側は士気の低い部隊も多いため、所にとっては無血で進撃できたが、激戦地は本当に激戦と、両極端な在り様となっていた。その為、64Fの人員はこの頃から、激戦地で酷使される日々であった。

 

「さて、この刀を試してみるとしましょう」

 

ビーム・サーベルではなく、鞘に入れて帯刀していた日本刀を抜き、それを携えて突撃する。サーベルはエネルギー兵器であるため、使用時間の配分を考えなくてはならない。その面倒を避けるため、自前で太刀を用意したのである。太刀といっても、エネルギー転換装甲と超合金の複合構造のもので、特注品である。銃座や兵士達の砲火をくぐり抜け、彼女は兵たちの先頭に立ち、突撃していくのだった。

 

 

 

1945年、夏。複数の世界の思惑が入り交じる中、ダイ・アナザー・デイも佳境が見え始めていた。その中心がウィッチではないことは『ウィッチの軍事的権威と地位の低下の始まり』と記録されるが、『ウィッチ至上主義じみた、部内の風潮に風穴を開けた戦い』とも記録される。この戦いで『ウィッチという存在そのものは戦局を左右しない』、『ウィッチでなくても、何かを極めれば、図らずも一騎当千の強者となる』、『ウィッチ以外の異能もたくさんある』ことが部内に知れ渡るが、混乱防止という事で機密指定を受けた事項も多く、『プリキュア』もウィッチ世界向けの広報で『新種のウィッチ』として包括的に報じられた。これはウィッチ世界の政治的な背景が絡んだものである。

 

 

――ウィッチ以外の異能が戦場に君臨することが知れ渡れば、ウィッチの力に疑義が生じ、不要と見なされれば、彼女らはいっぺんに社会的地位を奪われてしまうのではないか?――

 

その懸念が高官たちの間の共通認識であった。史実で行われた『魔女狩り』、生物の負の側面である『集団からのはみ出し者を潰そうとする』心理状況を重く見た彼等は、ロボットガールズ、魔導師、プリキュア、聖闘士、シンフォギア装者も包括的にウィッチと見なし、一括で報道するという水面下での取り決めを交わす。ウィッチ達の社会的地位を守りつつ、穏便にそれ以外の異能を受け入れさせるための妥協である。また、多くの転生/転移者は『複数の異能を組み合わせて戦っている』ため、そのことも取り決めが交わされる理由だった。しかしながら、既に(ウィッチの常識では)適齢期を過ぎたはずの黒江たちが第一線でバリバリ言わせている事は当時の中堅世代(45年に15~17歳前後の世代にあたる)から強い反感を持たれているのも事実であり、それを鑑み、ダイ・アナザー・デイでの報道でのウィッチ側の主役は、対外的には『三人の弟子筋にあたる』と公表された者たちであったという。

 

 

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