ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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ダイ・アナザー・デイ補完編です。


第四百三十二話「ダイ・アナザー・デイの戦い その20」

――ダイ・アナザー・デイの失敗は『防衛』に作戦を切り替えさせたがため、各国軍に壊滅的損害を与えた事であった。ロマーニャ陸軍は機甲部隊が無力化、海軍は主力部隊が半壊、空軍は精鋭部隊含め、70%以上が戦闘不能に陥った。怪異と衝突が起これば、ロマーニャは瞬く間に制圧される。その恐怖心から、日本連邦に埋め合わせを迫った。日本はその他にも、ヒスパニアからも軍の壊滅についての文句が舞い込み、パニックに陥った。結局、その報が味方になり、扶桑に大規模な軍備の保持の大義名分を与え、日本も折れた。その兼ね合いで、空母機動部隊であった508統合戦闘航空団も活動が凍結された。翔鶴がジェット機用の空母に改装され、その影響で、全世界でウィッチの空母運用が縮小された影響であった。ダイ・アナザー・デイの海戦で世界規模の空母機動部隊の小規模ぶりが問題視され、扶桑がその負担の大半を負った一方で、空母機動部隊の『質』が重要視されたためだ――

 

 

 

 

 

――雲龍型航空母艦は結局、多くが『使用された鋼材の質の不安定さ』を理由に、大半が空母以外の用途に転用された。公式に『空母』として戦えたのは、鋼材の質が良いと判定された初期の六隻のみ。他は輸送艦、ヘリ空母、病院船、工作艦、指揮専用艦へ改造されていく生涯を辿った。二隻で『エセックス級一隻と同等』という戦力評価もあり、空母として『二線級』と見做される屈辱を味わった。実際、レシプロ時代のエセックス級は80機を超える艦載機を搭載できる『大型空母』とされており、そんなものが30隻も量産されるのだから、雲龍型空母が陳腐な代物と判定されるのは無理もないことだった。空母が維持も高額な『高級な兵器』に変貌するにつれ、保有への意欲も失う国が続出していくが、扶桑は制空権の確保のために、空母を持ち続けざるを得なくなった。費用節約のため、旧来型軽空母を処分するものの、新型正規空母で『大は小を兼ねる』。米国のように、『空母も兼任できる強襲揚陸艦』の多数運用で補えるわけではないので、空母の大型化は扶桑においては『財政的理由での節約』で始まったのである――

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイの空母戦は日米英の三カ国の空母が殴り合う場であった。リベリオン軍の空母に性能で勝るのは、地球連邦からの供与のプロメテウス級空母のみ。後は有象無象も同然の基礎性能の差が横たわっていた。とはいえ、艦載機の性能と統制システムで勝っており、そこが漬け込む隙であった――

 

 

――ある日、圭子からの指令で、キュアドリーム、キュアハート、キュアラブリー、キュアミューズの四人はプロメテウス級空母の艦上にいた。搭乗機は(日本側には知らせていない)試作の『F-14戦闘機の単座型』が宛てがわれていた。極初期の運用テストだが、それを実戦でさせるあたり、部隊長の武子の実戦本位の思考がわかる――

 

 

 

「先輩達、空母戦に加われったって……、この場で乗り物に乗れるのは、この四人だけかぁ」

 

「あたしは戦車も動かせるけど、まさか、空母の艦載機に乗るとはね。のぞみちゃんは?」

 

「この体の元の持ち主の記憶のおかげ。だけど、レシプロ機なんだよねぇ」

 

「それがいきなりトム?」

 

「そそ」

 

「戦艦部隊の露払いだけど、揺動を兼ねてるそうな?」

 

「まぁ、敵の主力はスーパーロボットが引き受けてるから、リベリオン軍の艦載機を蹴散らせばいいのは楽だけどね」

 

「トム猫を使うからには、一人辺りで50機は落とさないと。機銃はパルスレーザーに変えてあるからいいけど、ミサイルはあまり使わないでくれって」

 

「隊長(武子)の指示?」

 

「純粋な性能を見たいんだってさ。隊長は石橋を叩いて渡るタイプって聞いてるけど、ミサイルを節約しろってのは…縛りプレイだよ」

 

ぼやくキュアドリーム。軍人かつ魔女の体を素体に転生したからと、長機になれと言われた上に、ミサイルを節約しろという縛りプレイに等しい指示は、さすがのキュアドリームも愚痴りたくなったらしい。

 

「ミサイルは高いんだよ、ドリーム。一発で家一件が飛ぶっていうし。マイクロミサイルの開発まで、ミサイルは多くて、七、八発くらいの携行が限度。大っぴらにできないテストだから、偽装も必要だからね」

 

「確かに史実だと、自衛隊は使ってないけど」

 

「トムは要撃戦闘機に近いからね、設計思想が。だから、汎用性の付与に米軍も消極的だった。アビオニクスはデジタル式に変えてあるけど、ミサイルをアメリカみたいに使ったら、日本の財務省が泡吹くよ」

 

「めんどいなぁ」

 

キュアミューズの言うことは当たっている。扶桑の負担とは言え、ミサイルの大盤振る舞いを財務省は承服しないだろう。武子は対多数との戦闘が当たり前の戦場では、実体弾式の機銃では耐えられないと踏み、製造直前にほぼ同規格の口径ながら、レーザー兵器である『パルスレーザー』に変更させた。この換装で機銃についての使用回数の制限は事実上ないことになるため、それが多数との戦闘ではメリットになる。

 

 

「ま、パルスレーザーなら、視界に入る敵を撃ちまくれるし、この時代の兵器なら、どんな機体でも粉砕できる。陽電子機関砲は間に合わなかったって言ってたから、次善の策らしいよ」

 

「陽電子機関砲ぉ?あれ、サラミスやマゼランくらいの古い船は粉砕するんだよ?」

 

「B公対策だって」

 

「大げさだよぉ」

 

武子はB-29やB-36などの爆撃機に脅威を感じており、黒江にも『単座の艦上戦闘機に積む武器じゃなくね?』とツッコまれるような兵器を積ませようとしたとミューズは漏らす。

 

「ま、斜銃積むよりはマシかなぁ」

 

「あれはあれで効果はあったけどね」

 

ダイ・アナザー・デイが激しくなった頃、プリキュア達は海軍の制空戦に加わることがままあった。その内、転生先で乗り物の技能を持っていた者たちは特に重宝された。膨大な物量を誇ったリベリオン海軍は64Fが一回で500機を落とそうと、その四日後には『損害の倍の数を一日で補充できる』ほどの予備機を控えさせており、制空権の維持には、64Fの力が必要であった。連合軍の当初の構想では、ヴェネツィアとロマーニャの両軍の海軍力を主力にして、扶桑とブリタニアの空母機動部隊で対抗するプランだったが、ヴェネツィアが国際連合を裏切り、ロマーニャはタラント空襲であっさりと無力化。ブリタニアは戦力をあまり供出できないという三重苦。さらに、カールスラントはドイツの意向で一方的に撤兵。扶桑陸・海・空軍は文字通りに『死闘』をリベリオン軍相手に繰り広げる。しかしながら、空軍と空母機動部隊のパイロットは『練度不足』を理由に、義勇兵で八割方が賄われていたため、扶桑生え抜きのパイロットの間で不満が蓄積していた。だが、実際問題として、複葉機から単葉機に変わる速度が史実より遅かった世界のパイロットに、時速600キロ後半~700キロ台の最高速度で乱舞する『最終世代のレシプロ戦闘機』を使いこなせるわけがないという先入観も作用した。旧・日本陸海軍の出身者を再訓練した方が費用対効果が高いとされた理由はそんな先入観からである。これがクーデターを促してしまうわけだ。

 

「それで、どうするの?」

 

「仕事はしないとならない。響はナイトメアフレームで出たほうが自由に戦えるけど、あたしはまだ、人型兵器を動かせないからねぇ。先輩達はホイホイ乗ってるけど」

 

「それでも、トムキャットを使える時点で贅沢ってもんだよ?普通はプロペラなんだし」

 

「単座型なんて、先輩達はよく造らせたよ。本当は複座なんだよ、これ」

 

ダイ・アナザー・デイ時点で用意されたそれは、将来的な扶桑での採用を見越しての先行生産機であり、アビオニクスは21世紀の現用機水準としたものである。無論、日本には(この段階では)極秘である。F-14の現役時代を見ているプリキュアは世代的に、90年代前半期の生まれであるキュアドリームと、転生を重ねた影響でそれを知るキュアミューズだけ。地味に負担は大きいが、1940年代の時点では『宇宙からやってきた魔物』と言うべき高性能機の扱いとなる『F-14』。後に、自衛隊の資料に『F-14J、もしくはF-14H』と記される通り、扶桑仕様のF-14はダイ・アナザー・デイにも参戦していたのである。

 

 

「乗り物の操縦もいいけど、生身でMSも壊せる『先輩たち』みたいな力は(この時点では)ないからなぁ。先輩たち、転生を繰り返して、聖闘士になったり、ロボットガールズに近しくなって、パワーなら、あたし達がカスみたいに見えるくらいに差がある。マッハどころか、光の速さだもんなぁ……」

 

キュアドリームは(後々に待ち受ける運命は知る由もない)黒江達が聖闘士やロボットガールズ同等の存在に変質し、既に通常の『魔女』どころか、並大抵のプリキュアも霞み、戦闘用の改造人間である仮面ライダー達にも引けをとらないポテンシャルに到達していることに劣等感を感じたようだ。

 

「無理もないって。こっちは転生したこと自体が奇跡、それも、みんながバラバラの世界に転生してたんだよ?また集まれたこと自体を感謝すべきだって。それに、こっちだって、パワーアップの余地はあるよ」

 

 

キュアハートが励ます。第二期(スマイル~プリンセスプリキュアまでを指す場合がある)プリキュアの中心戦士で最強の実力を持つ彼女も『自分たちに伸びしろはある』と考えているようだ。

 

「伸びしろかぁ……」

 

「みゆきちゃん(キュアハッピー)は、魔女として最高の力を持つのに、キュアハッピーになれるように戻ったんだよ。チートだって言われてる。ま、あたしはあたしで、帰ったら、黒森峰の戦車道部の次期部長だけどさ、プリキュアとしては五指に入ると思ってるよ」

 

キュアハートは歴代屈指の実力者であるが、それと対照的に『戦車道世界』での自分は『名門高校の新しい時代を作る』という使命を背負わされた生え抜き(中等部からの進学組)の非西住流の期待の星(ただし、まほやしほを師と仰いだ都合上、基本ドクトリンは黒森峰の伝統通りのものだが……)である。

 

「戦略はロゼッタとダイヤモンドに丸投げだもんね、ハートは」

 

「あたしは考えるよりも、体が先に動くタイプなんだって、ラブリー」

 

と、返すハート。

 

「はーちゃんがのび太君の義理の妹になってるなんて、思ってもみなかった。おまけに、ココも生まれ変わってて、サムライトルーパーぁ?わけわかんないよーーー!!」

 

「まぁまぁ、落ち着きなって。ボクがこの場にいて良かったじゃん」

 

「ミューズ、昔はこんなちっこかったのに、なんで、あたしより大きくなってんのさー!」

 

「そりゃ、今は調辺アコから変身してるわけじゃないし。これでも、フランスの英霊だよ?本当なら、ガリアに敬ってもらいたいくらいさ」

 

「でも確か……仏と英のハーフじゃなかった?」

 

「イングランド王の資格は持ってなかったよ。まぁ、最後は死んだけどね、シャルルマーニュ十二騎士の一人なんだからさっ★」

 

キュアミューズは現役時代と違い、英霊・アストルフォ(身長は164cmで、生きた時代を考えれば、長身に入るだろうか?)がロボットガールズの『Vちゃん』(コン・バトラーV)を素体に転生した際に、調辺アコとしての記憶と能力も取り戻す形で覚醒と変身を遂げたため、自我意識はアストルフォのそれだが、現在の肉体は完全に『女性』(生前は女装男子)である。いわば、『アストルフォがプリキュアとロボットガールズの力も使えるようになった』状態である。とはいえ、『プリキュアの姿でなければ、理性を恒常的に保てない』というデメリットも生じている。とはいえ、英霊としての『神秘性の強いモノ以外の乗り物はなんでも乗りこなせる』技能は健在であるので、戦闘機に乗ることも苦ではない。

 

「こいつは史実だと、巴戦向けじゃないんだけど、エンジンは別物にしてるそうだ。熱核反応タービンにね。極秘事項だけど、扶桑に採用させるために工作したらしい」

 

「いいの?」

 

「制式採用型は史実の末期型に積まれてたエンジンの改良型になることが決まってる。最も、どんなに急がせても、1949年以降にずれ込むそうだけど」

 

日本側はF-15系統の扶桑での採用を見込んでおり、既に教官派遣の予定を立てていた。(最も、海軍の事は殆ど考えていなかったが)そのため、F/A-18系統(比較的に安価)を一本槍で採用するだろうという思い込みをしていた。だが、実際には『制空戦闘機』として、F-14を採用するのである。それを日本側が知ったのは、太平洋戦争もたけなわの1949年度。この時に『事前に連合軍で取り決められた』事を政治家が勝手に覆した事に連合軍の将校達が不信を抱いたため、日本防衛省は事態の把握が後手後手に回り、みすみす商機を逃す事態が頻発するのだ。日本がカールスラントを政治的に徹底して追い詰めたため、カールスラントは進退窮まり、とうとう無政府状態に陥るのである。(カールスラントにしてみれば、『正式な同盟国でないのに、なんで莫大な賠償金を払わなくてはならないのか?』という不満があった。しかし、国際司法裁判所に訴えられて、自国のイメージに傷がつき、外貨獲得の手段であった『兵器輸出』に支障が生ずるのは御免だったのだ。しかし、ドイツ主導の軍縮施策もあり、結局、カールスラントは兵器輸出が潰され、育成済みの人員の供出しか、外貨獲得の手段が無くなるのだ)

 

「カールスラントが研究し始めてたものの完成形を出すから、あの子の妹がヒスったそうでね。仕方ないから、21世紀に留学させたそうな」

 

「エーリカの妹?あの子、お硬い『技術屋』だから、融通がきかないんだよねぇ」

 

ウルスラ・ハルトマンは軍出身のテクノクラートである。だが、ヘルマン・ゲーリング元帥のけちくさい謀略のために、日本連邦に自国の技術立国というブランドが叩き潰された事が相当に堪えたのか、八つ当たりを起こしたので、智子とエーリカの手で強引に日本行きにされた。

 

「智子先輩がのび太くんの時代に送り込んだらしいけど、果たしてどうなるか」

 

「技術官僚ってのは、こういう突発的な事態だと弱いんだよ。特に、日本は史実の敗戦の記憶で、技術チートを容認してるから、あの子には受け入れられないんだろうよ」

 

カールスラントの地位が没落し始めたこの頃、日本連邦が続々と戦後登場の技術を投入し、少しでも質的優位を持とうと奮闘している様は各国の技術官僚から批判を浴びていた。だが、『1940年代時点の世界最大最強の国家相手に、戦闘で勝利を得るには、技術チートもやむなし』という結論に達したのは、史実での敗戦の記憶が由来なので、なんとも言えなくなる国が続出した。実際、M4中戦車だけで、万単位が投入されており、日本連邦の超兵器がいくら活躍しても、終わりが見えないのである。

 

「でも、敵は戦車を万単位で持ち込んでるっていうよ?」

 

「多分、三万から四万は用意してるよ。史実のクルスク戦車戦が裸足で逃げ出す数さ」

 

そのため、スーパーロボットの力が必要とされたわけである。既に機械獣や戦闘獣の姿も確認されており、それを更に粉砕できる彼等が各地で活躍している。それが日本連邦の力を示す絶好の宣伝となった。特に、幾何学的な飛行を行える真ゲッターロボやゴッド・マジンガーは絶望的なまでの科学技術の差を見せつけるのにちょうど良かった。

 

「だから、こっちも技術チートしないと、追っつかないわけ。こっちの全部の他の国を合わせたって、万単位の戦車はないし」

 

「僕たちみたいな一騎当千の連中が集まっても、敵は僕たちより基礎能力で上な超人を集めてた。だから、いずれは僕たちも、聖闘士と同等の領域に達しないといけないよ」

 

「基礎能力がいくら強化されたところで、第六感以上の感覚を身に着けてないと、聖闘士やそれに匹敵しうる連中の攻撃は対処できない。だから、異能という異能をあらかた抑える必要があるってことだよね、ミューズ」

 

「そーゆー事。カンがいいね、ハート」

 

キュアミューズのいう通り、プリキュア達はダイ・アナザー・デイもたけなわな時期に、南斗鳳凰拳に為す術がなかった事から、特訓の必要性を感じていた。当時のプリキュア達の実力は『現役時に毛が生えた程度』であり、超人達の実力に追いついていないという現実問題がのしかかっていた。

 

「いくつかはピックアップしてるそうだよ。セブンセンシズに到達してないと、この先は生き残れないし、南斗相手にボコボコじゃ、それ以上の拳法が来たら、手もなくひねられる。元々、僕たちは正規の格闘技の経験はないんだから」

 

プリキュア達は身体能力が全ての面で飛躍するため、ゴリ押しでどうにかなった面は否めない。だが、その飛躍分を上回る敵が現れれば、為す術がないことが示された。これは元々が『格闘技の素人であった』者が大半(道場の後継ぎ候補であったキュアサンシャインは異端である)であるからだ。

 

「いつきちゃんは別だけどね。そういえば、ゆりさんは?」

 

「あれは長年の経験でなし得たものさ。僕は英霊としても、武功で名を残したタイプじゃないからなぁ」

 

ロボットガールズとしては『豊富な技』を持つものの、超電磁スピンやグランダッシャーなどの大技でなければ、決定力に欠けるキュアミューズ。英霊としては『冒険で名を成した』タイプなので、武芸に秀でるわけでもない。そのため、意外に冷静に自己評価できている。

 

「だから、特訓は全員が対象になるよ。年単位の時間をかけてね」

 

「年単位、かぁ」

 

「今の僕たちには、時間なんて有り余るくらいにあるからね。数年くらい、なんて事はないさ。それに女子の憧れな以上、バトル漫画の拳法にボコボコにされて捕まったなんて、沽券に関わるよ」

 

「うぅ。効くからやめてぇ~…」

 

しょげかえるキュアドリーム。捕虜になり、仮面ライダーとのび太らに救助はされたものの、『ゲロる』(情報を漏らす)一歩手前まで拷問された事が知れ渡ってしまい、上層部に苦言を呈された(嫌味を参謀たちに言われまくった)ため、名誉挽回を望んでいる。

 

「まぁ、君、この戦いが終わったら、予備士官に退いて、教職に転職する予定なんだろ?点数稼ぎゃ、参謀本部も文句言わないよ」

 

「だよね~」

 

と、楽観的に考えていたキュアドリームであったが、日本の文部科学省の一部官僚の横槍が入り、話を潰されてしまう。文部科学省の一部官僚は『軍人上がりの教諭』を激しく憎悪し、圧力を強引にかけて、話を潰した。だが、扶桑皇室のお墨付きがついていた話であった上、統合戦闘航空団のメンバーを務めるほどのエリート士官である『プリキュア戦士』が志望した進路を妨害してしまったという重大事件に発展し、巡りに巡って、扶桑の予備士官制度も根幹から揺るがしてしまうこととなり、結局、外交問題を避けるために『予備士官に身分を変える申請はしていない』という工作がなされ、彼女への箝口令を兼ねての『早期の佐官への昇進』で手打ちにされたものの、週刊のゴシップ紙に『スキャンダル』として報じられたため、文部科学省は火消しに追われ、ついにはのぞみへの大臣の謝罪(ひいては扶桑皇室への謝罪)に至るのだ。この事件の影響もあり、扶桑は太平洋戦争の際の『士官層の中堅層』の少なからずを『この事件で損害を被った者達』で賄うことになり、扶桑の国防省の新規雇用そのものに悪影響を及ぼすのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイ直後のこの事件は日本にとっては、単なる『文科省の不祥事』では片付けられないスキャンダルとなり、結局は扶桑の国防にも『多大な悪影響』を長期にわたって残す結果となった。日本にとっては、軍需の商機をみすみす、『更に優れた技術の兵器』に取られる屈辱を味わう結果となった事件となった。特に、M粒子で『21世紀型ドローン兵器』がガラクタとなってしまう事実は衝撃であり、M粒子対策が研究されるきっかけとなった。その技術は一年戦争後の『情報インフラの復旧』に役立てられたものの、日本は早期に『無人兵器の行く末』を示されてしまったことにより、有人兵器の開発を継続。それが結果として、統合戦争以降の戦乱に良い影響を与える。結果として、人型ロボットが兵器として使われることが『弾道弾の打ち合いで決着がつく』冷戦時代の戦争像を完全に過去の歴史とすることに貢献したわけである。ダイ・アナザー・デイは『古典的な国家総力戦』の縮図である一方、『一騎当千の人員に高性能の兵器を与えれば、凡百の雑兵など物ともしない』という前近代的な戦術思考への回帰現象の芽生えも生じたのである。21世紀型の兵器の多くは視界外の少数との交戦を前提に設計されたため、第二次世界大戦のような『有視界での多数との交戦』はそもそも想定外。更に、それらの開発時には既に絶えていた『砲熕型艦艇』との交戦の無力化は可能でも、『撃沈そのものはできない』(重装甲を誇った米戦艦は尚更だ)。戦艦の無力化は人々の思うように簡単ではなく、砲弾が一つでも当たれば、21世紀型艦艇は深刻な損害を被る。漫画のように『砲弾をミサイルで落とす』事は費用対効果に見合わない(砲弾はいくらでも撃たれるが、ミサイルは限りがある)ため、防衛省も(財務省からの嫌味を気にして)非推奨(アイオワ級戦艦などの新戦艦の砲弾の爆風は近代艦艇のレーダー機器のアンテナを破壊するのに充分な力を持つからだ)にするなど、自縄自縛な有様であった。そのため、扶桑の戦艦は『砲熕型艦艇との交戦』にうってつけとされ、ガンガン突っ込ませられたわけだ。――

 

 

 

 

 

 

 

――砲熕型艦艇が生き残った世界線である『ウィッチ世界』はミサイルがそれらを駆逐するには至らない。大型の怪異はミサイルに耐えるか、迎撃する思考も身につけるからで、故に古典的な設計の巡洋艦と戦艦が主要装備であり続けた。超甲巡も『戦艦としては中途半端』と酷評されても、従来型巡洋艦を一撃で屠ることも多くなってきた大型の怪異への攻撃に耐久性を持たせるための工夫であった。扶桑はミサイルを補助兵装と位置づけ、早期にエネルギー兵器を志向するが、扶桑の技術では夢物語であった(魔女の魔力も選択肢としてはあったが、宮藤芳佳などを例外に、エネルギーソースには貧弱すぎた)。そのため、地球連邦の兵器を購入して使用しつつ、超長期(立案者が亡くなった後も考慮して)の開発計画を立て、21世紀にそれを達成する。とはいえ、地球連邦がそうであるように、エネルギー兵器が実体弾を駆逐するわけではない。そうしたものがエネルギー防御特化の宇宙艦に効果を出す事例が、ガミラス帝国や白色彗星帝国との戦争で確認されているからだ。ダイ・アナザー・デイを戦う扶桑戦艦は史実の日本戦艦の真逆の『前衛』(要は弾除け)に配され、その火力で蹂躙する運用がなされた。それを可能とするには新型が必要であり、必然的に大和型の改良型の出番となった。浮き砲台名目で設計されたが、実際は対艦用途を主に設計された大和型だが、史実同様に難点があったため、改良型では船体サイズが拡大されている。CICのスペースを艦内に確保するためで、艦政本部としては不本意であるが、多少の被弾率の高低よりも、艦の内部容積の増加による総合防御力の向上が優先されたわけだ――

 

 

 

 

 

 

――日本連邦の作り出した『海の怪物』は恐るべき威力で敵艦隊を蹂躙した。ヴェネツィア海軍の主力をいとも簡単に蹴散らしていった――

 

「ヴェネツィアの三下共など、我らの目指す敵ではない。一気呵成に蹴散らせ!」

 

 

ヴェネツィア海軍の主力部隊に真正面から突撃し、そのまま返り討ちにする連合艦隊の第一戦隊。全長500m級の超巨大な旗艦が通常サイズの敵艦を砲撃で撃沈する。56cm砲は通常なら『列車砲』であるべき大きさの口径の砲なので、それに耐えられる装甲板など、ヴェネツィア公国には存在しない。ましてや、23世紀最高の炸薬が詰め込まれた砲弾の破壊力に耐えられるものなどはウィッチ世界の兵器には存在しないのだ。

 

「敵五番艦、轟沈!!」

 

「今のは、どの戦艦かね」

 

「直前の映像解析によれば、恐らくは旧式の『フランチェスコ・カラッチョロ級』のどれかでしょう」

 

「舐められたものだ。その僚艦を航行不能に止めよ。イタリアが資料代わりに欲しがっているからな」

 

「ハッ」

 

ヴェネツィア海軍は史実のイタリア海軍より有力な艦艇が揃っていたが、大和型よりも更に強大な新型戦艦を有する連合艦隊の前では有象無象も同然に扱われる有様であった。フランチェスコ・カラッチョロ級は史実では未成の戦艦であり、1920年代の計画時点では世界有数の実力を持っていた。だが、1940年代の戦場には出てくるべき船ではなかった。連合艦隊からは完全に三下扱いされ、二基の砲塔の射撃だけで事足りると判断され、まともに相手をしないことが鮮明に示された。

 

「命中!……艦首をふっ飛ばした模様」

 

「速力はどうか?」

 

「落ちます。キールが歪んだか、衝撃で各部にダメージが入ったか……」

 

観測用のモニターに写る敵艦は艦首が吹き飛んだ無惨な姿を晒し、煙突から吐き出す煙の勢いも陰りが生じている。

 

「よし、榴弾で燃やせ。炸薬量は加減しろ。空母部隊への狼煙にしてやろう」

 

この時期の連合艦隊司令長官であった小沢治三郎は、ダイ・アナザー・デイが『連合艦隊司令長官として前線で指揮を取った』最後の戦役となった。小沢は(史実では)敗戦処理の役目を負わされたり、空母機動部隊の指揮を実質的にしくじったことで『理論倒れの男』という悪評もあるが、『ちゃんと訓練された兵力があれば、それなりに戦果を挙げられた提督』という評価がダイ・アナザー・デイで固まった。史実通りに『最後の連合艦隊司令長官』となる予定であったが、連合艦隊の体制が扶桑国民の嘆願で存続するため、山口多聞がその後を継ぐことになる。彼はヴェネツィアの戦艦の火災で起こる煙を狼煙代わりにする方法で、空母機動部隊の行動を後押しした。M粒子による無線通信の妨害を逆手に取った『原始的な合図』だった。

 

 

 

 

 

――その煙を視認した空母機動部隊は直ちに、艦載機の出撃を準備する。即応態勢にあったプリキュア達の機は真っ先に出撃命令が下る。アメリカ軍空母で用いられた『ハンドサイン』は地球連邦軍の時代でも用いられているので、甲板要員との簡単な意思疎通はそれで行なわれる。第二次世界大戦の当時には既に、あらかたのサインは存在していたため、キュアドリームは(錦の体に刻まれた記憶が拠り所だが)『本職』であるので、円滑なコミュニケーションを甲板要員と図れた――

 

(錦ちゃんが、エンタープライズで訓練した経験があって良かったぁ。生前の記憶だと、TVで『トップガン』をおとーさんにつきあって見たくらいしか、空母と縁がないし…)

 

 

のぞみは実のところ、生前は山あいの地域に住んでいた(成人後も)ため、海との縁は(現役時代に横浜で戦った)あまりなく、ミリタリー的なモノとの縁もなかった。だが、転生先で『職業軍人』であり、『空軍のパイロット』と、生前と異なる道を歩く状態になっている。『戦果を武器に予備士官になり、教職に転職する』事を考えていたのは、扶桑の教員にまつわる制度が『戦前日本のそれ』のものであったのと、扶桑では『軍人上がりの教師は一目置かれる』風潮があったからだ。だが、日本の文科省が連邦体制の開始で『改革』を焦り、1946年に戦後日本式へ変更させ、教員免許制も性急に導入させたので、師範学校在籍者や出身者、現職者への配慮を欠いていた。更に、日本側の一部官僚の暴走で『軍の出身者』が教育現場の多くから排除されたため、のぞみはその被害を被る羽目となる。(軍事教練も廃されたため、扶桑軍はそれらのために雇用を続けていた士官/将校の行き場に困ることとなった。太平洋戦争で『士官たるもの、前線で手柄を立てるべし』という風潮が強まり、後方での教育が軽んじられる傾向が表れる。このダイ・アナザー・デイの後に坂本が後方に退くのは、前世の失敗もあるが、戦中の人材育成は必要であると世間にわからす意図がある)

 

「教師に転職するためには、手柄を立てて、中島家の連中を黙らせて、軍部、いや、皇室のお墨付きがいるね。日本が教員の制度を変えるまでに、転職できればいいんだけど…」

 

と、出撃の間際ながら、希望していた転職への不安が拭えないキュアドリーム。その不安は最悪の状態で的中してしまい、結局は正規軍人として、その後も扶桑国家に奉職し続けることとなる。(プリキュア戦士であったことは転職の助けにならず、むしろ、面談した官僚に『子供騙しの商売』と見下されたのである。だが、その一言が官僚を破滅に追い込むことになる。)

 

 

 

 

 

――のぞみは『なぎさとほのか、ひかりの三人の活躍が過去のものとなった時代の『プリキュア戦士の一種の理想像』となっていたため、戦いから離れる事は立場上からも『許されなかった』のかもしれない。デザリアム戦役で明らかとなるが、のぞみは『プリキュア戦士になったから、自分に自信を持てた』という認識も持っており、自分は『戦士』であるという自覚もかなり強いことがわかる。この『歪で、とても危うい精神状態』は彼女の親友兼幼なじみのキュアルージュ/夏木りんの記憶喪失で、脆くも破綻を来たす。その時期に、その凶行の張本人たちへの憎悪からの蛮行に走りかける。だが、キュアフェリーチェ/花海ことはなどの後輩らの献身、野比コージの愛、デザリアム戦役での様々な経験で立ち直り、ついには『プリキュア戦士で最初に『現役時代の力の殻を破った戦士』の称号を得る。それらを総合し、後世(彼女の定年退官から数十年後の21世紀)のウィッチ世界で『戦士であり続けることを本人は(当初は)望んでいなかったが、前世からの戦士としての宿命がそれを(戦士を止める事を)阻んだ』という経緯が伝説として語られるようになり、後世の魔女達の教材にも載る『偉大な人物』として知られるようになり、扶桑の軍事史に『七勇士後の第一世代の撃墜王』として、同世代の最高の逸材とされた芳佳や菅野などと共に、『新世代の一番槍』として名を刻んだのだ――

 

 

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