ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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ダイ・アナザー・デイの補完です。


第四百三十四話「ダイ・アナザー・デイの戦い 21」

――結局、戦艦加賀と土佐は土佐の機関不調、戦艦、空母の双方での陳腐化もあり、最終的には上陸支援艦艇としての改装を受け、戦艦籍からは外れることになり、ダイ・アナザー・デイでも出動することはなかった。戦艦として第一線級と見做されたのは、戦艦大和とその系譜のみ。その大和にしろ、改装が必要であったので、技術進歩の急激さの表れであった――

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイの最中、プリキュア達の内、乗り物に乗れる者はF-14の扶桑仕様(試作型)で空戦を行った。当時、リベリオンが実用化していたF9Fの遠い末裔(元がグラマン製なので)にあたるが、リベリオンは魔女達の反対を押し切って実用化されたのに対し、日本連邦はテストであるものの、実戦に迅速に投入した。数はごく少数であるが、当時に投入されていた既存のジェット艦上機に比して、圧倒的に高性能。史実の戦後第一世代がリベリオン空母の甲板に並び始めた時期に、戦後第四世代以降の高性能戦闘機が現れるのだから、性能差は『一年戦争のザクで、小型化されて以降のジム系に立ち向かう』ようなものである――

 

 

「これが、ライノの計器を積んだトム猫ねぇ。ファンがいたから、かもね。米軍が聞いたら、笑うよ」

 

F-14の扶桑仕様は史実のF-14より数段優れたアビオニクスを積んでおり、機体そのものも改良されている。(64F仕様では、パルスレーダーに機銃を換装)構成材も23世紀水準の素材になっているため、耐弾性も高い。エンジンも史実より格段に強力なもの(64FではVF用の熱核反応タービンを使用)になっているので、旋回半径も史実の同機より小さく収まっている。言わば、史実の最終型以上の改良を施されたものを採用するわけだ。

 

「でもさ、ミューズ。敵はパンジーか、パンサーがせいぜいなのに、そこにトム猫をぶち当てるのはオーバーじゃ?」

 

「クーガーがいるのも考えてのことだって。敵も後退翼の利点は気づいてるはずだし、カールスラントは政情不安が表面化しなけりゃ、試作機を作り続けてた。リベリオンは量産化さえできれば、一日で四桁を用意しかねない。だから、それを更にボコせる機体が用意されたんだ。つまり、安全牌さ。戦後の日本は特にそうしたがる。戦中のアメリカが二世代先の機体まで用意してた事の教訓だから。最も、ジェット機の時代だと、そういうスピードの開発はできなくなるんだけどね」

 

史実の戦後期の航空機は開発に平均で7、8年、配備に更に10年以上かかる。資金力のあった冷戦期の西側陣営の国で、ある。ベトナム戦争前はポンポン作っていた米軍でさえ、ベトナム戦争後の時期は第四世代機を作り、それを数十年は使い倒している。それを鑑みると、機体の進化は一定のレベルに到達させさえすれば『鈍化』するので、そのレベルに到達させれば、数十年はコピー不可能であるという結論が出ている。

 

「日本は鹵獲に神経過敏なのさ。アメリカは自動空戦フラップを発見しても、コピーはしてないし、こっちに対抗できる別の新型を用意するだけなのにね」

 

「どうして、連中は喚くの?」

 

「自分たちがそれで負けたからさ。全部の分野で遅れを取った上で」

 

キュアミューズは日本の持つトラウマに触れる。

 

「ボク達は敵を圧倒しないといけない身の上なんだよ、ドリーム。日本にとっては『無敵の超ヒロイン』なんだから。だから、君が負けて捕虜になった時、えらい騒ぎだった。いくら南斗最強の拳相手とはいえ、超プリキュア化した状態で『手も足も出なかった』ってのはね。」

 

「先輩達みたいな強さはないし、かと言って、仮面ライダーやスーパー戦隊みたいな超パワーはないしなぁ」

 

「素体の子の家に伝わる拳法を極めてみたら?その子が継承者なら、記憶がはっきりすれば使えるだろうから」

 

「そうするかなぁ……」

 

草薙流古武術。魔女世界では『中島家が陽を、別の家が陰を継承してきた』武術である。当代では錦が継承者だが、彼女は形式張った継承の儀式を嫌っていたので、正式な継承をせぬままで入隊していたので、書類上は継承者ではない。のぞみは結果的に、後にその儀式を代行したため、草薙流古武術の継承者としての顔を持つようになり、同武術をプリキュアの姿で正式に駆使するようになる。

 

「さて、そろそろ下に味方の戦艦が見えるよ」

 

「あ、本当だ」

 

発艦し、5分ほど飛んでいると、先行している戦艦部隊の勇姿が見える。巡洋艦以下が笹舟に見える巨艦が三笠型(当時に世界最大最強の戦艦)の富士、その護衛の播磨型と改大和型が航行している。連合艦隊が夢にまで見た光景だが、大和型をフルスペックで量産化する羽目になったのは、艦政本部としては不本意であった(本来、大和型は46cm砲の実験艦としての意図があったため)。ウォーロックの一件で『怪異のコア制御』が頓挫した結果、異世界の超兵器、あるいはその力を持つ者頼りになったことは海軍としては、かなり苦い思いであった。だが、結果として、異世界の技術で大和型のネガ潰しができ、さらなる強化型を建造できたため、多少の不満よりも、実を取ったと言える。

 

「八八艦隊型が消えて、大和の血統がこんなに増えるなんて」

 

「大和型が日本戦艦の完成形だしね。で、史実の結果を見て、防御をもっと厚くするしかないから、史実の大きさに収まんなくなった。富士はコスト度外視の五十万トン級の具現化だよ」

 

三笠型と次型の『敷島型』は運用コストを度外視した『移動要塞』に位置づけられる。航空機の時代なので、やたらと砲塔を保つ設計ではなく、播磨型をそのままサイズアップした代物で落ち着いた。武装は地球連邦がテストも兼ねて、新式の武装を積みまくったため、その全容は機密扱い。主砲が56cm砲ということだけは公表されている。

 

「架空戦記みたいな兵器を敵が持ち出すんだし、こっちも用意する。普通のサイズの戦艦じゃ、いくらあっても、そんな化け物には勝てないからね」

 

「でも、56cmなんて必要?」

 

「怪異が近いうちに、46cm砲に耐えるようになるって予測が出たからさ。それと、ナチのヒンデンブルク号は53cm砲ってわかったからさ。それへの対抗もある。扶桑は、M動乱で戦艦部隊の慢心が徹底的に叩かれたから、実用上の限界点に到達しとけば良いって考えさ」

 

「実用上の限界?」

 

「艦砲ってはね、船が横転しないで、耐えられる限度を計算して積まれてたんだ。戦艦の時代は。ビームの時代はいざ知らず、実弾の時代は重要なファクターだった。で、実弾の砲は『いざという時に人間の手で運べる限度』が積める限界になる。56cm砲の砲弾は弾体だけで、三tトラック一台分より重いから、砲弾を運ぶには、筋肉モリモリのマッチョマンが何人も必要な計算なんだ。だから、自動化がされたり、未来技術で軽量化がされた。それでも、56cmが船に載せられる限界の大きさなんだって。超電磁砲は検討されたんだけど、PS装甲が発見されたから、保守性の観点からボツったんだって」

 

扶桑皇国は超電磁砲よりも、ショックカノンやその次世代技術『パルサーカノン』に傾倒し、超電磁砲の主兵装としての採用を取りやめた。これは電力喪失時に使用不能に陥る事を恐れてのものだった。ショックカノンやパルサーカノン砲塔は『実体弾射撃』が可能であり、従来の砲弾の製造ラインの流用が効くという利点が評価されたのだ。だが、超電磁砲は『個人単位の能力』としては活用・活躍したという(ベクトル操作ができる能力者が『一方通行』の後には出現しないため。ただし、23世紀には素で弾いたり、食らっても平然とする者がいるため、必殺技にはなり得ない)。

 

「そうか、フェイズシフトだっけ?」

 

「そう。実体弾に無敵の装甲って謳い文句のあれ。あれの存在がネックになったらしいよ。それに、素でたいていの攻撃を弾く装甲がいくつもあるからね」

 

キュアミューズの言う通り、未来世界では、いくつもの超合金が実用化されている。ノイズの攻撃すらも無効化する特性を多くが備えており、超合金ニューZαクラスになれば、神の攻撃でも耐えるなど、破壊はまず不可能である。

 

「超合金Zとか?」

 

「聖衣のオリハルコンも神聖衣になれば、神の攻撃に耐えられるよ。たいていは黄金の強度でどうにかなるけど。シンフォギアは『その世界で断片的に残されてる先史時代の技術で聖衣の機能を再現しようとした』か、近いものを作ろうとした結果の産物かもね」

 

シンフォギアは聖衣よりも上位機能に制限が多いが、それはその世界での人類は『先史文明を築いた宇宙人が猿の群体を改造し、滅んだ先史文明人の後釜にとりあえず添えた』という経緯故、他の世界の人類より進化のハードルが高めであるからだ。異世界行きや転生の記憶の覚醒などで『存在が変質した』者に関しては別だが、エリスの一件で『シンフォギアは聖衣に近しい存在だが、真なる神に対抗するには力不足である』という問題が浮上した。仕方がないが、シンフォギアは五感を強化はせど、根本的な感覚を強化するわけでない。聖衣は小宇宙の増幅器の機能を備えているため、第七感や第八感(阿頼耶識)を引き出す絶好のものである。その差が横たわるが故に、エリスとの戦いで装者達が蚊帳の外な有様となったのだ

 

 

「近しいって?」

 

「歌の力で機能を強化するってのは、23世紀のサウンドエナジーの研究と共通してるんだ。だけど、素体に使ったものの破片にまつわる伝説の都合で、ある程度は能力に縛りが生じる。ガングニールはグングニルの英語読みだし、聖闘士の力なら、本物を砕いたこともあるんだ。いくら位の低い『邪神』とはいえ、エリスはその世界土着の神じゃない。だから、ガングニールに混ざったロンギヌス的な力は発揮されなかったんだ」

 

ガングニールはシンフォギア世界では『ロンギヌスの槍』と同一の存在であったらしく、その二つの神槍を複合した力を発揮できるが、『別の世界で生まれた神』相手では(たいていの場合、北欧神話の神槍とロンギヌスは別のモノである)グングニルとしての効果しか発揮できない。グングニルは『相手を貫くものの、必殺の槍というわけではない』ので、エリスには拳を見舞う事はできたが、ゲイ・ボルグの直撃の因果に逆らう程度の抵抗しか叶わなかった。そう考察する。

 

「あの子にはショックだったかもね」

 

「アテナに噛みついたっていうからねぇ。神でも、どうにもならない事はあるんだってのはわかってるとは思うんだけど、わからなくはないよ。それより、Gカイザーを怖がってたようだね」

 

「え、なんで?味方じゃん」

 

「異世界の産物とはいえ、現代科学の延長線上の存在が異端技術をねじ伏せられるってのは、シンフォギアの存在意義に関わるからね。早合点だけど、居場所を奪われるって怯えたんだろう。21世紀の兵器がカスみたいなパワーだし。まぁ、ゼロはそれも超えてるんだけど」

 

マジンガーの力関係はZEROの存在で、インフレが極まっている。ゲッターは最終進化がゲッターエンペラーと定まっている分、まだマシに見える。Gカイザーがその後に改装を重ねるのは、ZEROと敵対するには、ZEROの未知の動力を組み込んだ機体が必要という結論づけられたからだ。

 

「インフレしすぎ」

 

「自己進化できるのが、高位のマジンガーの証だからね。ZEROと戦えるレベルだと、神を倒せるから、例え話だけど、ヒーリングアニマルが地球人類を消そうと動いたら、カイザーとエンペラーだけで滅ぼせると思うよ。たとえ地球や宇宙の意思だろうと、人類はそれを超えていく力があるから」

 

23世紀世界の地球人類は既に、『宇宙全体の白血球』のような存在である宇宙怪獣をもねじ伏せている。ゲッターエンペラーに至っては、宇宙全体の反ゲッター線の意思すら打ち倒す力を持つのだから、23世紀の時点で、ヒーリングアニマルでは『どうにもできない』ほどの存在に進化しつつあるのだ。彼らは地球という生命の意思の代弁者だが、地球人類は宇宙を創造した神々の意思で生まれた『兵器』である。

 

「人類はぶっちゃけ、追い詰められたら、相手を根絶やしにしてでも、生き残ろうとするスイッチが入る種族なのさ。現に、ガミラス帝国はそれで惨めに崩壊して、地球と手を携える選択を最終的に選んだ生き残りがガルマン・ガミラス帝国になったけど、宇宙戦艦ヤマト一隻に複数の銀河にまたがる帝国がきりきり舞いさせられて、たった一年で崩壊したんだ。そりゃ、地球が狙われるよ」

 

宇宙戦艦ヤマトはガミラス帝国をたった一隻で崩壊に追いやった。そして、そのヤマトの自己犠牲精神に心を打たれた『テレサ』がズォーダー大帝を道づれに自縛を敢行した。銀河をまたがる帝国が二個も『ヤマトという宇宙戦艦のせいで崩壊した』事は地球を戦乱期に誘ったが、『追い詰められた人類はたとえ自らを犠牲にしてでも、敵を倒そうとする』という事実を内外に示した。それに触れる事で、ヒーリングアニマルは少なくとも、未来世界の地球人類のことは手を出せないだろうという推論を示すミューズ。

 

「そりゃ、向こうの世界は人間が自分の手で自分を裁こうなんて人たちが内輪にもいて、そういう論調をシャア・アズナブルは利用して、アクシズを落とそうとしたんでしょ?」

 

「それ以前に、コロニー落としであの世界の地球は痛めつけられてんだ。それをコスモリバースでどうにかしたけど、傷跡は残った。内輪で争いまくって、それで異星人や宇宙怪獣ともドンパチしてきた世界だ。ヒーリングアニマルも手を出せないと思うよ?あの世界は『機械仕掛けの神』を生み出してしまうまでに文明が進歩してる。おまけに、異能も数多くあるんだ。それで大神をも殺す。あの子達じゃ、一週間持たないだろうね」

 

マジンカイザーや真ゲッターロボなどがある上、聖闘士や北斗神拳も存在している上、サイコフレームがあるので、ヒーリングアニマルが粛清に動いたとしても、サイコフレームの力で浄化を無効化され、オリンポス十二神の意思で彼らが『神々への叛徒』とレッテルを張られ、逆に粛清されるのがオチである。

 

「オリンポス十二神はなんで、あたしたちを集めてるの?」

 

「神々の争いの尖兵でしょ?オリンポス十二神って言っても、人間に好意的なのと、そうでない派閥の抗争が神話時代から続いてるんだ。僕らはゼウスの尖兵なのさ。ポセイドンはちょっかいを出すだけだから、主敵はハーデスだ。そんなのとドンパチするんだから、ヒーリングアニマルくらいは『なんてことはない存在』さ」

 

ヒーリングアニマルは地球意思の代弁者だが、それも『一惑星の癇癪』と見なし、あくまで『地球人類を兵器として育成する』という神々の都合と意思が優先される事を示唆したミューズ。

 

「一惑星の都合よりも、神々を含めた全ての存在のために戦える存在を庇護するのが優先されるよ。どこかの世界では、地球が地球人類の発祥の地という価値以外の全てを失ったそうだ。人の手で滅ぼしてるんだから、地球という星は人類の意志次第で、活かすも殺すも自由ってところだね」

 

それはどこかの世界で『地球統一政府』と呼ばれた、根本で腐敗しきった星間国家の惨めな末路だが、23世紀世界のスペースノイドが地球から人を追い出すためと称して行った行為は『却って環境を損なう』だけのことであり、コスモリバースシステムによる環境の再生ですらも受け入れないという頑迷さにより、次第に支持を失いつつあるジオン。

 

「だから、反ゼウス派が戦争を裏で煽ってたのかもしれないから、一気に叩いて、平穏な時代を作ろうってやつ。たかだか、このさき何十年かの平和だとしてもね。神話時代から、争いは続いてるんだ。なんだかんだで、ね。例の『完全平和主義』も戦うことそのものや、その理念は否定してないしね」

 

 

 

異星人との戦乱は地球人類の意思だけでは止められないことが明らかになったため、完全平和主義は支持を失った。理想は結構だが、現実を見なければ、地球規模の国家の運営は不可能であるという現実が理想を打ち砕いた(失業軍人の再雇用問題が財政負担になったのも大きい)

 

「あれって、どうなの?」

 

「理想は大いに結構だけど、あまりに理想を振りかざしすぎたから、現実路線に切り替える際に過激な支持者達が暴徒化したんだ。でも、当時の大統領は立派なもんで、現実路線を選んで、軍を当座の対策と称して存続させて、自分は事後に辞任するけど、国民投票で軍の存続が決まった時には、文句一つ言わないで、潔く檜舞台から去っていった。あれぞ、政治家の理想だよ」

 

キュアミューズは白色彗星帝国戦の際のゴタゴタについても説明する。完全平和と言っても、警察力の保持については禁じていないし、いざという時には『戦う』事は否定はしていないというのが、リリーナ・ドーリアン(ピースクラフト)の言である。

 

「だから、地球連邦はまともな相手なら、ちゃんと取り合ってくれるよ。ネオ・ジオンの穏健派を門前払いはしていないから」

 

ネオ・ジオンは『条約破り』も常態化していたため、ミネバ・ラオ・ザビはその遵守に必死になっていた。だが、強硬派がジオングの名を持つサイコマシンを二種も用意していたのを知らなかったという失態により、連邦の要求の多くを呑まざるを得なくなるのである。

 

「つい最近まで、軍閥の抗争(グリプス戦役)あったってのに?」

 

「少なくとも、条約破りを平気でするジオン系の連中よりはまともな集団だよ」

 

地球連邦軍とて、全員がまともではない。過去にはフォウ・ムラサメやロザミア・バダムなどの悲劇を生んだのは紛れもない事実だし、ニュータイプを異常に恐れ、EXAMシステムやHADESシステムを生み出したという前科も持つなど、清廉潔白の集団ではない。だが、地球連邦の中の良識派がロンド・ベルを残党狩り部隊から『有事即応部隊』に様変わりさせ、今や彼らが『地球連邦軍の良心』を宇宙戦艦ヤマトと共に担う存在として名を馳せているように。

 

「ティターンズだって、連邦の膿みたいな連中の集まりだけど、元はエリートに見られた連中の集団だ。だから、侮ると、痛い目を見るよ」

 

「身につまされるなぁ」

 

「同じく。第二期最強を自負してたんだけどなぁ」

 

キュアハートも会話を聞いていたようで、同意する。

 

「君、何気に自慢してないかい」

 

「いいじゃん、第二期で最強のピンクがあたしなのは事実だし」

 

「あたしだって、フォーエバーラブリーなら負けないしー!」

 

「あのねぇ…、君らねぇ~…」

 

呆れるキュアミューズ。とはいえ、この四人が束になろうと、南斗鳳凰拳の継承者である『彼』相手には手も足も出ないのは事実だ。彼がいなくとも、中位以上の南斗聖拳の使い手であれば、プリキュアの防御を貫くのは簡単なことである。

 

「この空中戦は勝てるだろうけど、問題は君らをどう鍛えるかだ。あとで相談してみるとするよ」

 

ミューズは立場上、今後の反攻作戦の予定を聞かされていた。そのため、現時点で、『戦闘向けのプリキュア』では戦闘能力の高い四人を重点的に鍛え、南斗聖拳と戦える水準に能力を引き上げるべく、思考を巡らしていた。アストルフォとしてではなく、キュアミューズの状態であれば(ミューズとしての生前の通りの)高い知性を発揮できるからだ。ただし、この時点で、キュアフェリーチェの参戦はあれど、元が攻撃的な格闘を苦手としていたため、不安があったからでもある。フェリーチェは受身での戦闘が主で、自分から攻撃をするのは苦手であったからだ。最も、20年近くの鍛錬でだいぶ改善はされたものの、まだ『思い切りが足りない』というのがミューズの評価である。

 

「どうする気?」

 

「時間はあまりない。ドラえもんから、何か時間と空間操作系の道具を借りとくよ」

 

と、ドラえもんの道具で時間をどうにかして確保しようとしているようだった。生前と背丈以外はほぼ同じ姿だが、声色は生前よりおちゃらけさが増しつつ、ボーイッシュさマシマシになっており、イメージがまるで違う。知的な側面もあれば、アストルフォ由来のおちゃらけた面もあるなど、掴みどころの難しい人物となっている。

 

「フェリーチェが来てるけど、あの子、相当に戦闘のしかたが変わってるよ」

 

「のび太君から聞いたけど、苛烈になったんでしょ?」

 

「簡単に言えばね。情け容赦しなくなったとも言える。みらいたちを倒されて、しばらくは一人ぼっちでのび太たちに保護されててね。精神的ショックが強すぎたのか、フェリーチェの状態で幼児性が出てる有様だったんだ。変身も解けなくて、ね。で、フェリーチェの状態で、のび太の布団に潜り込んでたのも、一度や二度じゃない。のび太、思春期に入る頃、死ぬほど困ってたよ。まぁ、フェリーチェもさ、顔から火が出る勢いで恥ずかしがってたけど。前、様子を見に行ったら……うん。気まずくなったよ」

 

「あー……なんとなくわかるよー、それ」

 

キュアダイヤモンド(菱川六花)とで、似た経験があるのか、ミューズに同意するハート。

 

「どういう流れで?」

 

「カクカクシカジカ……」

 

超然とした振る舞いのイメージの強いフェリーチェだが、仲間を失い、自分だけが生き残ってしまったことへの自責の念から、無意識に『誰かのぬくもり』を求め、自分でも意識がない状態で、のび太の布団に潜り込むことが幾度もあった。ミューズは覚醒後、自衛隊の業務で多忙な黒江に代わり、様子を見に行くことが何度かあった。

 

寝ているのび太に抱きついて、安心した寝顔のキュアフェリーチェ

 

……という凄まじい光景を見てしまい、やってきたドラえもんに『これ、めちゃヤバくない??』と漏らすほどの衝撃を受けた。やがて、彼女が花海ことはとしての姿を取れる様になり、野比家の養子に迎えられて『のび太の義妹』となる瞬間を見届けた一人であるなど、最年少であった生前と違う立ち位置にあった。彼女は間違いなく、転生で立ち位置の変わったプリキュアの一人であった。

 

 

 

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