ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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四十九話の続きです。


第五十一話「戦いの中の日常とパニックへの備え3」

――歴代プリキュア達はその性質上、歴代の仮面ライダー達に比して、一段劣る戦力であるのは否めない。そのため、極限まで鍛えあげた格闘家や強化人間には押されがちであり、スーパー化しても、追い詰められる事がデフォルトであるのは屈辱であり、特訓を積むプリキュアが続出した。一方、2020年でダイ・アナザー・デイのニュースよりも、疫病関連のニュースが大きく取り上げられるようになり、ススキヶ原でも外出自粛ムードが生まれたが、食料品調達のために外出する主婦層は多かった。これは人間の三大性質上の仕方がないことであった。機体のデータ取りと整備の関係で、この日は生身で過ごしていた明堂院いつきは買い物に出かけるつもりだったが、野比家にはマスクの備蓄が無かったのである――

 

「なんだって、マスクの備蓄がないって?」

 

「うん。別のところに隠居してるのび太くんのご両親に渡した分が最後だったみたいで…」

 

「しょうがない。変身して買い物に行くよ。変身してれば、疫病とは無縁だしね」

 

「ごめん~。わたしはリコがいないと変身できないし…」

 

「たぶん、僕たちがあの子達(妖精達)無しで変身できるようになったのは、転生の特典だろうね。プリキュア・オープン・マイハート!!」

 

いつきは久しぶりにキュアサンシャインへ変身する。彼女たち『ハートキャッチプリキュア』は変身に妖精の協力が必須だったが、転生後は単独変身が可能となっている。

 

「陽の光浴びる一輪の花、キュアサンシャイン!!」

 

久しぶりに決め口上も決めるが、用途が買い物なのは、2020年の世界の情勢の都合なので、ある意味では仕方がないことである。

 

「それじゃ行ってくるよ。留守番頼むわよ、みらい」

 

「うん。今度、リコに言って、予め変身しておこうかなぁ…」

 

「時空管理局に言って、臨時でデバイスを作ってもらってるから、それまで待ってて。リコも忙しいし」

 

「なんか悪いなぁ」

 

「仕方ないって」

 

サンシャインははやてからの言付けをみらいへ伝えると、かつて、野比玉子が使っていて、現在はのび太の妻であるしずかが修繕しつつ使用している買い物かごを手に、買い物に出かけていく。当時は世界が疫病で危機的状況なので、買い物に行くだけでも念の為に変身していく必要があるため、ある意味では凄く面倒であった。

 

「うーん。わたしも参戦したいけど、留守番だし…。あー!どうなってるのー!いちかちゃーん!早く定時連絡プリーズ!」

 

「みらい、おちつくモフー!」

 

「落ち着けないよー!」

 

と、留守番の悲哀全開の朝日奈みらいと諌めるモフルン。と、そこへキュアホイップからの連絡が入った。

 

「あれ、いちかちゃん。変身したの?」

 

『うん。やっと許可が出てね。長かった~!」

 

「あれ、いちかちゃん達の力は戦闘向けじゃ」

 

『人手不足ってんで、ゆかりさんがOKしてくれたんだ。厨房にこもっててもカンが鈍るし。みらいちゃんは参戦しないの?』

 

「リコの関係で今の所は無理なんだ。暇だし、ゲームでもして暇潰すよ」

 

『あたしも久しぶりにガチンコしたら、ハラハラドキドキだよ~。アメリカ軍、多すぎ~!もぐらたたきゲームみたいだよぉ』

 

「だって、アメリカだし。わたし、これからガンダム戦記でもやって暇潰すよ」

 

「実機があるのに?」

 

「それはそれで。この間、中古ゲームショップで見つけて。古いゲームだけど、粗製乱造気味の昨今のより作り込みされてるんだよね」

 

『あれ、みらいちゃん、ロボットアニメマニアじゃないよね?』

 

「未来世界で実物が動いてるし、識別訓練にもいいだろうって太鼓判押されてる。ジオニックフロントも渡されたよ」

 

『何、そのコアなセレクト…』

 

微妙に引くキュアホイップだが、実際に戦場ではMSとの共同戦闘が多くなるため、のび太の時代のゲームで予習が推奨されている。転生先の都合で機動兵器の操縦に適性があるプリキュアもいるが、それはごく少数であるので、識別訓練などで、のび太の時代のゲームは活用されている。

 

「わたしに言われても。ホイップは美味○んぼとかクッ○ングパパとかのほうがいいかなー?」

 

『セレクト古いよ。せめて孤独のグ○メとかさー…』

 

みらいが引き合いに出した漫画はみらいが詳しくないジャンルから必死にひねり出したタイトルだが、みらいといちかの世代から見ると、どう贔屓目に見ても『一昔前』の漫画であった。平成初期までに流行った古いタイトルしか思い浮かばなかったみらいはホイップに呆れられてしまうが、みらいは『魔法つかい』+絵本好きなため、意外に疎いジャンルは多い。

 

「ホイップ、意外に詳しいね…」

 

『お客さんと話すことあるから、流行は追ってないとねー…』

 

キュアホイップは変身している姿でも、その気になれば菓子店のコスチュームで通せるため、変身していてもパティシエとしての仕事をこなせる。歴代プリキュアでもそうない特徴であるが、先輩後輩から何かとその面で嫉妬されやすいとぼやいているのも事実だ。

 

「そう言えば、スネ夫さんが今度、コンツェルンのカーディーラーの展示会場のカフェを担当してくれないかって話してたよ」

 

『みんなに話しとくよ。あのさ、そろそろ本題にはいっていいかな?』

 

「う、うん」

 

ホイップは咳払いし、本題に入る。本題は以下の通り。現在、プリキュアはオールスターズが盛んな時代を戦った世代とそうでない世代との温度差が問題になってきたと話す。いちか達の代からは直近の三世代でどうにかなる程度の出来事が増えたため、オールスターズが全員集まることは減ってしまった。みらいはその事実がのぞみの闇と関連していることを知っているため、複雑な表情だ。

 

「あー…。それ、たぶん、のぞみちゃんのことだよ。あの子、出身世界で色々揉めたみたいでさ」

 

「りんさんから聞いたよ。はなちゃんの事だよね。あの子、響(シャーリー)さんに睨まれてるけど、あの子は笑顔で誤魔化すこと多いっていうからなー」

 

野乃はなとのぞみが出身世界で揉めた事は既に伝わっていた。シャーリー(北条響)が『いけすかねぇガキ』と口にしたからだ。シャーリーは野乃はなが自分の感情を笑顔で誤魔化すことに反感を抱いており、紅月カレンとしての思考もあって、『いけすかねぇ』と考えていた。『笑顔を自分の感情を誤魔化すための仮面としても用いていた』点に反感を抱いているのは、紅月カレンとして生きてた頃、ブリタニアで立身する事で日本の開放を狙っていた枢木スザクが内に抱えていた矛盾を思い出させたからだ。

 

『のび太さんから伝言だけど、響さんは『全部を嫌ってるわけじゃないよ。いけすかねぇだけだ、いくら過去の経験があったからって、感情を笑顔で誤魔化すなんて…。はなはそれが最善の生き方と考えてたからな。だけど、仮面を被る事でわからなくなる事もあるっつーに』って言ったんだって。のび太さんに『人間、悲しみを悟られたくないこともあるさ。僕なんて、親父に何度も『意気地がない』と言われたもんだ。だから、彼女の選択を頭ごなしに否定するのは良くないよ。悪人でもないかぎりは『わかりあえる』からね』って言われて、『君の気持ちも分かるよ。紅月カレンとして、お兄さんを失って、友達が自分に秘密を抱えたまま死んでいった事への怒り。だけど、残された者たちは前を向くしかない。僕にとってのおばあちゃんのようにね』って釘を刺したって』

 

「のび太くんらしいなぁ」

 

『それで、のび太さんがリルル、バギー、フー子って例を引き合いに出して、響さんを黙らせたんだって』

 

「のび太くんが知ってる三つの『永遠の別れ』だね」

 

『うん。僕は、何かとの別れがどんなに辛いものか分かる。のぞみちゃんはたぶん、失いたくなかったんだよ。自分が何より大事にしてきた仲間や誇り、自分が信じてきた輝きである『思い出』を。だから、後輩とトラブっちゃったんだよって一言でトドメ。響さんもそれで何も言えなくなったって』

 

「響ちゃん、最近は口が悪いからなー。のび太くん、ああ見えて、核心突いてるから、割に穏やかだけど、場の空気を変えられるんだよなー。凄いスキル」

 

みらいはのび太の説教の本気度を感じ取り、唸る。のび太が知る三大『別れ際』。それを引き合いに出して、間接的に野乃はなを擁護し、シャーリーを諌めたのだ。

 

「それでのび太さん、のぞみさんの尊敬を得たんだって」

 

「のび太さんは大事な何かと何度も別れてるからね。凄い説得力あるよ」

 

『それで、久しぶりに感傷に浸っちゃったけど、僕の言いたいことはわかるね、シャーリーさん?ってダメ押ししたって』

 

「う、うん。凄い圧力だよぉ」

 

みらいはシャーリーに若干の同情を寄せた。これが黒江なら、ライトニングボルトが飛ぶからだ。

 

『響さん、戦闘中で良かったなぁ。だって、これが普通の時なら、黒江さんにライトニングボルトかまされるし…』

 

「まだいいよ。鳳翼天翔なんかされたら、地獄だし……」

 

みらいは黒江の持つ闘技の数々の威力を知るため、鳳翼天翔をそう形容する。また、智子が最近、獅子座継承の内定が出た一輝の見様見真似だが、『業火断罪・業火旋風』という炎の旋風で相手の自由を奪いながら体を焼き、巻き起こる業火が脳と小宇宙を侵食し焼く技を会得したと述べているため、危うくシャーリーはその実験材料にされかけたとホイップから伝えられ、乾いた笑いを出す。ナインセンシズに到達している者の技の破壊力は歴代プリキュアの全てを上回る。それをみらいは知っているのだ。

 

『あの世界はなんか……言葉で言い表せないよ』

 

「わたし達の知る領域の三段は上の感覚の力だからね…。シックスセンスなんて、子供の遊びのレベルだよ」

 

プリキュアの用いる通常の攻撃はシックスセンスの領域に留まるため、セブンセンシズ以上に目覚めている者には無力である。ただし、常人より遥かにセブンセンシズに到達しやすいため、英霊属性持ちのキュアミューズは特訓を短期間行い、セブンセンシズに到達している。

 

『ミューズは簡単に第七感に届いたけど、それを考えると、普通の人よりは目覚めやすいのかな?』

 

「仮にもあたし達だって、プリキュアだよ?それがあの人達に負けないほど鍛えれば、セブンセンシズくらいは」

 

「のぞみちゃんはいったいどうやって、あの領域に……?」

 

『え?』

 

「この間、この戦いの次の戦いで起こる出来事を確かめたら、のぞみちゃんがマジンガーZEROを取り込んでたんだ……」

 

『なんですとおぉー!?』

 

「なんかこう、シャイニングドリームが翼で魂になったZEROを包みこむと、あの人達と同じ黄金のオーラを…」

 

それはのぞみがナインセンシズに到達した最大の理由。神の領域にまで進化済みのマジンガーZEROを懐柔し、同化した事で瞬時にナインセンシズに到達したのである。黒江が勢いで言った事を実践した結果、ナインセンシズを我が物にしたのだ。

 

「前に、ZEROは神の領域にまで進化したと聞いた事ある。もしかして、それと同化する事で壁を…?」

 

『まさかそんな……!?』

 

「フェリーチェはマザーラパパの後継になる因果を切り離された後、光子力の光とゲッター線という意思の力を代わりに取り込むことで、今のハチャメチャな強さになった。それと同じ事が起こったんだよ!」

 

フェリーチェはゲッター線という意志力と光子力の光を取り込み、Z神の神託を受け入れた事でナインセンシズと空中元素固定能力を手に入れた。のぞみは今の段階では空中元素固定能力はあるが、セブンセンシズに片足をつっこんでいるだけである。それがZEROとの同化で完全なものに昇華したら…?

 

「オリンポス十二神、いや、ガイアやウラノス級の神々の気まぐれもあるかもしれないけど、わたし達にもそれは起こり得る!」

 

『ガイア?ウラノス?』

 

「オリンポス十二神より古い神だよ。大地と天空を司る、ね。何かの本で読んだことがあるよ」

 

オリンポス十二神より上位とされる神々だが、権能はゼウスに簒奪されているのがウラノスである。黒江曰く『隠居のじいさん』らしい。

 

「そのレベルの神様がなにかの気まぐれで、わたし達に干渉したら?そうでないと、あの映像の説明がつかない。いくらシャイニングドリームでも、普通のヒトの魂が神の領域に進化した魂と同化して、自我を保てると思う?」

 

『……まず、ないよね』

 

「それが起こった。大神の誰かが力を貸したのか、フェリーチェの代わりを誰かにさせたかったのか。それはわかんないけど……あれは奇跡だよ」

 

みらいは歴代有数の頭脳明晰なピンクであるため、話のスケールに置いてけぼり感が出てきているキュアホイップを尻目に、オリンポス十二神やその上位の神の思惑にまで踏み込む。後でのぞみ自身が総括するが、『神々の思惑は超えちゃってるけど、人の身ではそこまでは解らないよ』と漏らし、黒江も『多分に意志の強さが結果を引き寄せただけだったかもな』としている。後に隠居している大神『ウラノス』は『切っ掛けならバラ蒔いたが誰か芽吹かせられたら儲けものって感じにほっといたからのぅ』と大笑し、黒江に『食えねぇ隠居ジジイだぜ』とぼやかせたという。

 

「そこまで到達させたのって、やっぱり?」

 

『どういう事?』

 

「のぞみちゃんにはオフレコな話なんだけど、りんさん、次の戦いで記憶をなくすんだよ」

 

『えぇーーー!?大問題じゃない!』

 

「うん。調べてるんだけど、のぞみちゃんはそれで心がおかしくなるんだ。詳細は本人達はもちろん、親しい友達にも明かせない」

 

みらいはのび太達と協力し、のぞみの完全な闇落ちを防止するための手立てを考えている。黒江が調べた『暴走したキュアドリームがフォン・ブラウンを消し飛ばし、連座的にその他のプリキュアも堕ちてしまう』という一つの結果は黒江をして『ヤバすぎる』と慄かせた。それを避けるためにある程度の策は練る。それが黒江の考えだったが、のぞみはそれを超えた未来を切り開く。ウラノスも言うように、きっかけは与えた。それをつかみ取り、未来を切り拓くのはあくまで当事者の努力である。

 

「たぶん、のぞみちゃんは掴んだんだよ。何億分の一の確率しかない『神の予測すらも超えた答え』を」

 

『あの人が巡らした策を超えたって事?』

 

「うん。わたし達には、策と関係ない領域で物事をベター以上に持ち込める因果を引き寄せる力がある。だけど、それは一人一人の意思が必要。わたしが元の世界でみんなに会いたいと願ったら、奇跡が起こったように」

 

みらいはその出来事を大学一年生の頃に起こしている。それを経ているため、みらいの精神年齢は十九歳に達し、どことなく理知的な雰囲気を見せている。自分達の可能性をあくまで信じているのが、前世の経緯から、どこかで一歩を踏み出せなくなり、『弱気』になっているのぞみと対照的であった。

 

『みらいちゃんはのぞみちゃんの事をどう思ってるの?』

 

「私が知ってるあの子とはまた別の個体だから、まだ何ともね。根っこは同じだから、昔の真っ直ぐな瞳を取り戻して欲しい。それがわたしの願いだよ、ホイップ」

 

みらいもそこはあくまで見守ることを明言した。のぞみが真に立ち直るためには、可哀想だが、『りんの記憶喪失』は必要な出来事なのだ。ホイップ/いちかもそこはなんともいい難い表情だが、折り合いをつけたいようである。

 

『どうして、みらいちゃんはそこまで……』

 

「同じ時間を一時でも過ごした友達だから、だよ。本当なら、響ちゃん以前の子とわたしは同年代としての時間は過ごせない。世代が違うもの。だけど、プリキュアになった事で出会えた。何かを『共有』して、同じ目的で一緒に命を預け合う仲間がいる。そんな仲間、普通の生活じゃ得られないよ…、いちかちゃん」

 

『みらいちゃん……』

 

「マホウ界からも、リコやはーちゃんとも切り離されたわたしが最初に思った事はなんだと思う?孤独だよ」

 

ヘビーな話だが、みらいは理不尽なまでに、13歳当時の状況からは一変した生活を送らざるをえなかったため、プリキュアである事に執着せざるを得なかったのぞみの前世の生き様にもっとも理解があり、手を差し伸べた一人である。精神年齢ももっとも大人びている内の一人であるため、どことなく考えが青のプリキュア寄りになった側面を見せる。

 

「大人になっても、プリキュアを続けたいと願う事は間違いじゃないよ、いちかちゃん。わたしやのぞみちゃんには、その日々が何よりの輝きだったんだから」

 

「それでも“魔法”も“奇跡”もあなたの傍にあるよ」

 

「うわぁ、なのはちゃん!?驚かせないでよぉ!?」

 

「ごめんなさい、ついさっき来たんだけど、話に入れなくて」

 

『……あれ?なのはちゃん、それ…』

 

「デバイスだよ、いちかちゃん。ウチの技術班をこき使って用意させた既製品の改良版。並のものじゃイカれるしね」

 

「それを使えって?」

 

「魔力測定に使うものなんだけど、みらいちゃんの魔法はウチの魔法と違うじゃん?それでね。セッティングはする必要はあるけど、仮のバリアジャケットは纏えるよ」

 

「モフー…。なのはのところは凄いモフ」

 

「あたしにゃ、そっちのほーが凄いよ、モフルン」

 

「おほん…。それじゃ……」

 

 

みらいは試しにデバイスをセッティングしてみる。そしてお馴染みの『キュアップ・ラパパ』をインプットし、バリアジャケットを自分の普段の通常形態のイメージと統一させる。

 

 

「ところで、なのはちゃん。あの『リリカルマジカル』って…」

 

「子供の頃に思いついたテキトーな呪文だよ。まさか、子持ちになっても言う羽目になるとは思ってもみなかったね…」

 

『…うん。気持ち分かるよぉ』

 

なのははこの時には実年齢は20代に突入し、ヴィヴィオも引き取った『母親』である。それなのに『やらかした』のが問題なのだ。

 

 

「最近はレイジングハートが気を使ってくれて言わなくてもセットアップ出来るようになったけど他のデバイスのテザリング設定では必要なんだよね。で、映画撮影用に子供に戻ったけど、ポカしてさ、しこたま絞られた。あたしの自業自得なんだけど、流石に堪えた。出世と縁遠くなったから、この姿をしばらく通すよ」

 

「ああ、なのはちゃん、見せしめみたいな事しちゃったからねー。あれじゃ私刑だって問題になるの当たり前だよ」

 

『映像見たけど、あの子に軍隊のブートキャンプ的な手法は合ってないって…』

 

キュアホイップにも断言される。なのはは肩を落としてしょげる。教導隊ではそれが当たり前であり、自分も入隊時にそれをされた経験があるからだ。

 

「綾香さんにも、人選ミスって言われたんだよー…。これでも教導官のエリートで通ってたのにな…」

 

「それが問題なんだって。そのエリート意識」

 

『同感…』

 

「ふ、二人共ぉー!?」

 

みらいも辛辣である。映像通信のキュアホイップも同意する。なのははエリート意識が少なからずあり、教導隊の教えに素直でありすぎた。それがなのはの失敗の本質なのだ。『模範的』すぎた事が史実のティアナとの一件の起こった理由だというのに、その失敗から何も学んでいないのか。黒江、アムロと言った上官のみならず、教諭経験があるのぞみにも『悪手』と断じられた、見せしめのような行為。そして、朝日奈みらい、キュアホイップ(宇佐美いちか)にも、エリート意識の有無を問題視される。なのはは結果として、立花響への教導を失敗した事で、プリキュア達からも冷ややかに見られ、自身の栄光に溢れしキャリアに影が差し、教導官としての評価も大きく下落したのだ。また、なのはに極秘ではやてが精神鑑定にかけた結果、シェルブリット覚醒前に当たる、その出来事の直後は『意識共有の感覚が無さ過ぎで、一種のサイコパスの一歩手前』という、はやても腰を抜かす結果を叩き出した。これは裏で大問題になった。黒江が少女期に基礎教育を担当した智子を問いただし、智子も『あの子にはほうれんそうを教え込んだはずよ!?』と腰を抜かし、その原因をはやてが調べる羽目になった。これが謹慎中の舞台裏だ。はやてが突き止めたのは『帰還後、管理局の実力部門の曖昧な位置づけの習慣に慣らされたため、ほうれんそうをすっぽり忘れた』というとんでもない事実で、はやてが『あのバカ!!』とヒステリックになりかけるほどのお粗末さであった。はやてはそれを重く見、なのはの行いを結果として政治利用し、管理局の改革の大鉈を振るう大義名分にしたのである。

 

「なのはちゃん……、あのさ。『ほう・れん・そう』習ってないの…?」

 

『う、うん……』

 

「あーーー!あたしは習ってないんじゃなくて……。うわ―――ん!管理局は報告義務は有っても魔導師同士は個々のやり方が違い過ぎて相談する気風が全く無いのー!!」

 

「いいわけしないほーがいいよー…」

 

『同じく…』

 

なのははみらいといちかにも凄く冷ややかに見られ、大いに引かれた。(俗に言うドン引きだ)大いに落ち込むなのはだが、自業自得であるため、モフルンもこれはフォローできず、部屋になのはの泣き声が虚しく響くだけだった…。

 

(これは流石にフォローできないモフ…)

 

と、独白するモフルンであった。

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