ダイ・アナザー・デイで燻り出された『魔女至上主義』。しかし、それも、未来世界の中国を発祥とする暗殺拳の前に粉砕されていった。プリキュアの最強形態すら圧倒するほどのポテンシャルである以上、格闘の心得もない魔女たちが立ち向かえる道理はなかった。プリキュアでも基礎戦闘力が高めの者が次々と一敗地に塗れていた現状は(日本に苦境を理解させるために)敢えて公表された。その男たちを倒せる手段と目された『北斗神拳』は実在が定かではなく、北斗琉拳については確実であるが、その派生が確認できないのは、未来世界の中国の文献が文化大革命関連の混乱と破壊で失われ、情報の伝承者もいなくなったからでは?と予測されている。間に統合戦争と一年戦争も挟んでいるので、文献などは容易に失われる。デジタルデータもM粒子で膨大な量が失われたため、ドラえもんの登場はまさに救世主であった。
魔女の世界はメタ情報が流れたため、カールスラントが破滅を引き起こしたため、その代わりを日本連邦に求めた。日本は左派がヒステリックに喚き散らしたが、NATOとアメリカ合衆国も『責任を取れ』と圧力をかけたため、結局、同世界線の超大国にならざるを得なかった。左派は『華族身分の解体と財産の没収(邸宅での暮らしを維持できる金額の年金を与えるのを補償とする)、過剰な軍備を売却、人員はリストラ。自衛隊の一部門に再編した後、必要最低限の士官と下士官を自衛官として再雇用する』ことを目標としていたため、逆に扶桑の軍事力が世界に必要とされる事に困惑した。結局、扶桑軍はこの政治の混乱の影響で、航空兵器の開発能力を大きく損なう事になってしまう。結局、自主開発の意欲が縮小し、自由リベリオンの開発した兵器のライセンス生産が主流になる点、メタ情報での『戦後日本の旅客機開発は成功しない』事の判明で、航空技術者が他分野へ流失したからである。その代わりに、自由民主主義の技術工場と化する自由リベリオンは責任重大であったため、軍人の発言力が(皮肉にも)大きい国家として存在していく。彼らの存在により、新規の軍事技術の開発に消極的になったからだが、自由リベリオンとしても困るのも事実。結局、相互で軍事力を補完し合うことを約束する条約が結ばれ、その中で『放出されたカールスラント製機甲兵器の使用の承認』も定められた。
この事項は『旧日本軍式の機甲兵器は大半がブリキ同然の代物であり、最もマシなものでも、M4シャーマン程度の能力しかない』ことから、政治的意味合いで定められた。特に、扶桑軍は外地部隊に新式を与える一方で、本土は旧式でお茶を濁していたからで、チトやチリさえも瞬く間に旧式化する流れに困惑したため、政治が『技術育成のために、外国産兵器の使用を拡大する』と決定した。前線でのカールスラント製兵器の運用に大義名分を与えるためであった。ダイ・アナザー・デイでは、プリキュアたちも護身目的で銃火器を持つのは、普通の光景であったが、開示されたのは、しばらく後のことであった。
「そいや、お前もだが、南部14年式は評議会のお達しで回収が決まったから、現用のSIGに変えとけ。それなら文句は言われん」
「え~!?なんでなんでぇ~!?」
「日本側が『日本軍と同型の陸戦用の武器はなるべく、歴史資料として回収する』って条項を通しちまったんだ。軍刀以外は現用品に変えてれば、文句言われん」
64Fの個人武器も急速に現用品に置き換えられており、個人用の拳銃も、汎用品はベレッタか、ガバメントか、SIGであった。
「九四式があれ過ぎたのも大きいんだよ。南部弾は威力が小さいからって、製造中止に追い込まれた。いきなり流通を中止すると、パニックが起こるんで、しばらくは弾薬庫の備蓄の放出でどうにかするそうだが」
それは8x22mm南部弾を使う一〇〇式機関短銃の弾薬確保のためで、南部弾はその用途で生きながらえた。一般人の銃保有に強い規制を設けるつもりであったことも、南部弾の製造中止の理由であったが、予想以上に混乱が広がったため、弾薬庫の在庫放出等でしばらくは流通させることで対応した。だが、後に日本の獣害が手に負えないレベルになったことで、『許可制に移行させた上での現状維持』へ方向転換するのである。日本側の猟師らの高齢化が鮮明になったからで、実にしょうもない顛末であった。
「武器は戦後の型式が望ましいと言っても、戦後の型式の銃だけじゃ、総力戦で必要な量は確保できんからな。だが、プロパガンダの都合で『粗末なガラクタを使わせてる』って言いがかりをつけられないようにしたいんだと」
黒江も護身用の銃は現用品が多いが、多種多様である。
「先輩、銃なんて、いいんですか?」
「聖衣は本来、個人裁量権の小さい防具だからな。かといって、切歌(子供)が睨んでるから、こいつの機能をフル活用するわけにもいかんしな」
切歌(子供)の癇癪は、マリアとクリスでも抑えられないほどのものであったこと、聖衣は黄金聖闘士といえど、そう簡単に着用できるものではないこと、調に調査を色々とさせている事から、シンフォギアを純粋に防具として使っている(調のプリキュアとしての覚醒は太平洋戦争でのこと)。切歌は真実を知らされ、自分が(死刑判決が出るまでして)取り戻そうと躍起になっていたモノは『存在しなかった』こと、調本人は黒江と入れ替わりに異世界へ飛ばされていた事の判明により、報われぬ顛末を迎えた。『アタシのしたことはなんだったのデスか?』と述べ、調との絆が(自らの行いの因果応報で)薄れてしまった事に絶望していた。響は黒江に『切歌を壊した』責任を取らせようとしたが、切歌が勝手に自縄自縛に陥っただけであり、マリアも流石に同情を憚っている。なにせ、魂ごと殺した一般人の人数は千では効かなかったからで、黒江の救出に現れた『乙女座のシャカ』もその制裁として、『六道輪廻』を使っている。また、シャカの力は凄まじく、切歌を守ろうとした響(イグナイト展開)を抵抗させずに叩きのめすという(目を閉じたままかつ、微動だにせず)圧倒的な力を披露している。
「とはいえ、響が止めに入ってなきゃ、切歌は天舞宝輪で地獄送りになってた。あれは俺も止められん。彼はそれだけの力を持つ」
黒江も止められないと明言した、乙女座のシャカの業。未来過去を通しても、最強の乙女座であり、慈悲心がないので、人間の位に収まっていたと評されるほどの存在。
「乙女座のシャカですか」
「彼が味方で良かったよ。おかげで、翼の親父さんは無事だ」
A世界での風鳴翼の父『風鳴八紘』は史実より早い段階で翼の祖父である訃堂が殺そうとしたが、城戸沙織の命を受け、黒江の救出に訪れた乙女座のシャカが介入し、その異能で訃堂を天舞宝輪で廃人にしたために、命拾いしている。その時に切歌にも(オリンポスの意向により)制裁を加え、響はイグナイトモジュールで抵抗を試みたが、シャカの前では無意味であった。黒江をして『自分より強い聖闘士』という説明を告げられると、クリスもマリアも、シャカの切歌と響への制裁を座視することを選んでいる。
「だが、響は切歌に同情するあまりに、シャカを非難して、ぶん殴ろうとした。が、第六感にも到達していない子供が、第八感も超えたような男に挑むなんぞ、チワワがTレックスに喧嘩を売るようなもんだ。ゾイドでいえば、そんじょそこらの雑魚がゴジュラスに挑むようなもんだ」
「先輩、ゾイド知ってるんすね」
「のび太がガキの頃、コ◯コロで漫画やっててな。それで作ってやったことあるんだ」
「先輩のことだから、ジャ◯プとかだと思いましたよ」
「ジャ◯プはワン◯ースが始まるあたりから、こ◯亀の終わる頃まで読んでたよ。『進撃~』は月マ◯だっけ?」
「だと思います。意外ですね」
「この世界じゃ、のら◯ろの頃だろ?だから、お前らの生きた時代が羨ましくてな。潜入する関係で、複数の時代の有名どころは読破したし、歌劇団も見に行ったよ」
黒江はそのあたりは手抜かりないようにと、有名どころの漫画は時代を問わずに読破していたり、のび太が子どもの頃は、一緒にアニメを見ていた。その努力の甲斐もあり、正規ルートで自衛隊に入隊をした。
「りんちゃんの兄弟の関係で、あたしもけっこう見たんだけど、あまり、アニメの設定とかは覚えてないなぁ」
「普通はそういうもんだ。のび太たちの子どもの時は動画配信もない、ネットショッピングもないから、俺が時々、のび太とドラえもんとはーちゃんをビデオ屋に連れて行ってやってたよ。お前も経験あんんだろ?小さい頃に」
「ええ。一人っ子だったから、ビデオの比率はよくて、三本くらいでしたけど。これわかるの、ラブちゃんと響(北条響)くらいが分水嶺ですよ」
「DVDが普及し始めたのが、プレイス◯ーション2が出て数年してからだしな。俺とのび太も、半分は再生機代わりにしてたよ、あれ」
「あ~~!!先輩、ビデオと言えば、ワカメにしたことあります?」
「ああ、のび太が数回くらいしてなぁ。ギャン泣きで……」
「いや、あれはトラウマになるって」
と、ビデオ時代を知るのは、プリキュアは桃園ラブ(キュアピーチ)あたりが分水嶺であることが語られる。
「あれはなんで起こるんです?」
「前に出木杉くんに聞いたら、機械部品とテープの双方の劣化で起こるんだそうだ。あれを取り出すのに、テープ切るしかなくて、こっそり返したことあるんだよ。まぁ、DVDも盤面の傷はついちまうから、のび太なんて、数年ごとに、お気に入りの映画やアニメのディスクは買い替えてる」
「ビデオの時代と違って、再生機から取り出す時に傷がついちゃうの事があるのは、めんどいんだよね。だから、配信サービスの時代が来てからは、配信サービスで見た後に、気に入った作品を買ったりするのが流れになったな。近頃(2010年代後半期)は映画一本見るのにも、数千円だしね」
ディスクメデイアに(子どもの頃からのぶきっちょさから)苦戦していたのび太。これはCDも同じことである。のぞみ(キュアドリーム)も現役時代、カセットテープに皆の声を吹き込んでいた事があるが、時間経過でテープが劣化してしまい、大学の時までには処分せざるを得なかった経験があるため、どこか懐かしそうだが、同時に寂しそうでもあった。
「だからお前、DVDが安くなったり、中古販売店が栄えてきた頃、すごく嬉しそうだったもんな」
「高校までは、おふくろにこづかいは数千円までってされてたし、携帯も買うのを面倒くさがられたからね。家庭連絡網があるとかいって。で、高校はそうじゃないから、大慌てされてね」
「俺が買ってやったよ。のび太のおふくろさんは相当に渋ったけど、こいつが高校に入る頃には、プライバシーの配慮で、家庭連絡網なんて消えてたしな」
玉子は家庭連絡網の存在を理由に、2005年頃までは息子に携帯電話を買い与えなかったが、公衆電話やポケベルの時代が終わってしまったことから、2006年頃(のび太が18歳の頃)に許可した。世の中が自分のOL時代から変わったことを実感したからである。
「2006年頃から、公衆電話が急激に減りましたからね。あたしが小六あたりの頃だよなぁ……」
「のび太が18歳の頃だが、その頃には、おふくろさんが若い頃(バブル期)とは、若者の考えが根本的に変わってたんだよ」
のび太の母・玉子は青年期がバブル期の頃であり、その時代の感覚が抜けきれていないのと、受験戦争華やかりき時代の感覚で息子の時代の受験を考えていたので、高校の後半を勉強漬けにさせた。のび太は一浪したものの、志望校に合格。大学以降は放任主義に転換した。玉子は『そこそこいい大学に入れば……』であったが、のび太は義務教育期間での成績が最底辺であったことは響き渡っており、企業への就職が困難であることは自分で分かっていた。そのために、環境省に入省したのである。
「親父とおふくろはバブル世代だしね。その時代の感覚が抜けきってなかったんだ。おかげで、中高の後半は勉強漬けにされたよ。浪人した時は気まずくてねぇ」
のび太は一浪で大学に入ったが、のび助の縁故で同じ会社に入るような時代では無くなっていた。これはのび太の両親の頃には当たり前にあったが、21世紀では廃れている。大学で放任主義であったのは、『そこまで行けば……』と考えていたからであったが、両親は(バブル期の感覚で物事を考えていたため)一般企業への就職を望んでいたが、のび太は(自身の名はある意味、知れ渡っていたので)公務員の道を選んだ。そして、財団をこの時の功績で設立し、しばらくはガランドの部下であった者に運営の委託をするのである。
「財団は今の戦いの功績でできるんだろう?」
「うん。ジャイアンのスーパーや、骨川コンツェルンと扶桑軍を繋げたり、スーパーヒーローを集めた功績でね。スーパーヒーローはドラえもんとドラえもんズ無しには集められなかったよ」
のび太は扶桑への尽力を称えられ、扶桑での叙爵に至る。日本は反対するが、扶桑では、それが非軍人への最高の名誉であった。結局、扶桑の栄典制度そのものの再設計は日本側が厄介がるため、結局は容認される。結局、扶桑の華族は一応は他国の貴族と同じ扱いがなされる事になる。
「スーパーヒーローも、ぼくが連絡できたのは、公的機関に属していたり、表向きの職業が公の職業な人たちだけどね」
スーパーヒーローたちは表向きの職業が別にあったりする。全員が職業軍人なのは、サンバルカン、ゴレンジャー、チェンジマンなどで、ギャバンたちは(一応は)宇宙規模の警察官である。
「そろそろ本題に入るよ。ぼくが大学を出る頃のことさ。その頃、はーちゃんは大学に一発合格でね。その準備中だったんだ」
「その頃、俺はブルーインパルスの最終年だった」
「あの大地震、先輩は当事者だったんですね」
「ああ。基地の司令官が泣いてたぜ。F-2が水没したりしたし、街がいくつも消えたしな」
「はーちゃんは大学に入るくらいでね。ちょうど高校の卒業式を控えてたんだ。だけど、あの大地震でぶっ飛んだ。校舎と体育館に被害出たってことでね」
「それで、気晴らしに、東北の方まで飛んでいきなって行かせた後に、あの地震があったんだ。あれで、元の家のあたりに作られてた区営公園の工事が遅れたんだよね」
野比家はその頃には、駅近くの新しい高層マンションに移っていたので、さほどの被害はなかった。だが、街全体で言えば、区営公園の工事が遅延する、公民館(昭和末期の完成)の天井が崩落するなどの被害が出ている。ことはは地震の直後に、卒業式が中止になった気晴らしに出かけたのだが、奇妙な運命のめぐり合わせにより、被災地の救援に『プリキュア』として関わる事になり、しばしの間、現地に滞在した(大学の授業も遅れたため)。その時に『プリキュアの実在』と『魔法を使うプリキュア』として、ネットでちょっとした話題になったが、当時はそれどこではなかったので、地震のニュースに埋もれていった。それも、のぞみの一件での致命的なミスに繋がってしまった。とはいえ、黒江は当時の(自衛隊での)任地の都合で、しばらくは動けなかったので、ことははフェリーチェとして慰問や復興支援等に活躍した。これがプリキュアへの変身能力を持つ異能者の市民権獲得に寄与するわけである。
「確か、当時の地方新聞のスクラップ記事が……あった。これだよ」
「ノートにまとめてあるんだ。ずいぶん古風だね」
「親父から受け継いだのさ」
2011年としても、古風なまとめ方の記事であるが、当時はインターネットも揺籃期を抜け出すか否かの頃であり、2020年代ほどの注目度はなかった(SNSも、まだまだ発展途上の時代だった)ので、このニュースは震災の被害の報道に埋もれていった。のぞみの一件の際に、その一件が思い出されたが、既に『事が起こってしまった』後であり、後の祭りであった。だが、過去のスーパーヒーローらが大地震の際に、姿を現して、地震の復興支援と、かつての敵対組織の残党の掃討に尽力したというのは、当時の政府が革新政党系であった事から、隠蔽工作がなされた。このことは皮肉にも、のぞみの一件が大事になった際に顧みられる事になる。
「それで、詳しいことは秘密にしたんだね」
「『スイート』が最新の時代だったからね、その時は。でも、はーちゃんもまんざらじゃなかったらしくて、嬉しそうだったよ」
「でも、いいの?」
「ラブちゃんの時代から、バレても問題ない世代も出てきてるからね。後で、ラブリーとフォーチュンに聞いてみな。それと、マナちゃんは自分でバラしたし」
のぞみの時代までは『正体バレ』はタブーであったが、ラブの時代からは『作品のスタンスによる』場合も出てきている。ウルトラマンにも、正体バレが起こっても、地球を守り続けたケースもある。
「君の現役時代とは『変わった』のさ。それに、ぼくの世界はオバケのQ太郎やパーマンが過去にいて、スーパーヒーローもごまんといた世界線なんだ。それに、子どもの夢は壊せないだろ?もしかしたら、君が助けた子供が後の時代に後輩になってたってことも……」
「まさか」
「例えば、みらいちゃんは君の現役の時代には小学低学年。その当時に会ってたって不思議はないだろ?」
「……ガチで歳くった感じするなぁ。そう言われると」
その可能性を指摘され、キュアドリームは『時の流れ』を実感する。また、後輩の時代には、自分がどの程度、歳を重ねているのか。その計算は容易い。のぞみとラブはだいたい、1993年の生まれ。それ以降は定かではないが、『スマイル』以降が2000年代の生まれであり、2026年の『名探偵!』のキュアアンサーでは、ハピネスチャージの時代に生を受けている。のぞみは少なくとも、デリシャスパーティの頃には30代に突入する計算だ。
「デリシャスパーティの頃に、お前は三十路の計算だぞ」
「うわぁ~~!!そういうの無し!無しですよぉ~!タブーの領域!!」
「なぎさとほのかより若いんだから、まだいいだろ。二人は2025年くらいには、四捨五入で……」
「先輩、二人がいたら、絶対、マーブルスクリューされますよ……」
「そのくらいのエネルギーなら、クリスタルウォールで弾ける。それに、そういうの気にしても負けだぞ?」
と、軽く流す黒江。初代プリキュアの通常必殺技くらいは防ぎきれるくらいの実力を持つからで、そこは黄金聖闘士の面目躍如であった。