バダンの技術力はどの程度か?戦闘機人であったスバル・ナカジマを殆ど作り変え、地球の技術による改造人間にするほどであった。本来の肉体の生命反応が消えかけていた故の緊急策であったが、自己修復機能を持ち、外見上の加齢が起きなくなったものの、体の機械部品の数月ごとの大規模メンテナンスの必要は無くなった。機械部品を容易に新式に交換可能になったためだ。ライダーのような変身は起こさないが、能力については仮面ライダー級になっている。これは姉のギンガについても同じであった(ギンガは声帯がひどく損傷していたため、手近にあったキュアフェリーチェのサンプリング音声を基にしての修理が行われた)。この作り変えはミッドチルダの保有技術のレベルを超えていた。戦闘機人を一般的な改造人間に仕立て直す(戦闘機人は器となる肉体の加齢による能力の衰えが懸念されていた)など、考えられないからだ。
また、巷の風説に振り回され、扶桑皇国軍は事実上、部署の有名無実化が促進された。特に航空隊は人員の暴走などから、当初の軍備計画がご破算になり、史実で戦果を残したか、期待された兵器のみが生き延びることになった。紫電改が制空戦闘機として運用され、艦上機にさえされるという事態は本来は想定外であったが、小型空母の撤廃(大型空母への規格統一)、カタパルト技術の刷新などで『問題視』されなくなったために、つつがなく実行された。また、増産予定のなかった『雷電』が(高速時の操縦性悪化の改善がなされて)増産されたのは、横須賀航空隊の頭ごなしの決定であったが、紫電改の高高度型や烈風までの繋ぎとして奮戦。一定の戦果を残す。それが気に入らなかったのである。本来、迎撃戦闘機の本命は双発戦闘機の『天雷』であったが、天雷は史実とは違う要因で正式採用を見送られ、本来は『エンテ型の試験機』扱いであった震電に期待がかかり、あまつさえ、ジェットエンジン搭載も提案される優遇ぶりは、横須賀航空隊の古参の反発を招いた。それが横須賀航空隊の破滅を招くのである。彼らが絶句するのは、B-29の性能が(1945年当時としては)とんでもなく高性能であったからで、富嶽が勝っているのは、一部性能のみという始末。結局、富嶽は改修が重ねられ、一部は給油機(1947年以降)、電子戦機、空中指揮管制機などに転用されていく。航空雷撃そのものが衰退していったからで、結局、技術発展で、当初の目論見が崩れ去った扶桑軍航空隊に代わりの定見など存在せず、以後、Y委員会の決定がそのまま通るようになる。また、史実での秋水や橘花などに割かれるはずのリソースはF-86Fなどの次世代機の生産に回されたため、紫電改と烈風のラインは1946年前後までの稼働が決まっていた。魔女の世界の基準では、充分に高性能機に分類されるからだった。
ダイ・アナザー・デイ時点で、扶桑陸海軍航空隊は日本による介入で、多くの参謀を免職という形で奪われ、航空閥の首魁とされた高級将校も大半が左遷させられたため、Y委員会の委員となった黒江たちに対抗するための政治力は残っていなかった。また、B-29に対抗できる局地戦闘機は雷電、紫電改、震電など、史実で確実性の見込まれた機種の数種類のみであり、接触前に最も期待されていた閃電は『双支持架推進式形態』という『史実で成功しない』形態であったために、機体の試作自体はなされたが、制式採用は中止となってしまう。そして、震電も『P-51Hへの劣速』を理由に、レシプロ戦闘機としての投入は見送られた。
「くそっ!震電の量産見送りだと!?」
「あー。たぶんそれは、マスタングの最終型より遅いからって理由だろうが、本音はジェットエンジンのテストに使いたいんだろ。エンテ型のレシプロが投入された戦はないからな。それよりも、国産のジェット機の素体に使いたいんだろ。重爆の迎撃は少数のジェット機で事足りると思ったんだろうが……」
この決定は日本側が説き伏せて決めたものだが、震電の原型通りの領収は叶わず、震電のIF進化というべき機体群が代わりに採用され、日本側にもサンプルが提供される。単純に『エンジンの換装』ではすまなかったからだ。四発機の連山も雷撃用途が廃され、爆弾投下に使われるのみになるなど、航空雷撃は急速に時代遅れの存在と見なされていった。だが、現場では『戦艦に有効打を与えうる』として、行われ続け、数年後の太平洋戦争の時代まで生き続け、弾薬庫に航空魚雷の在庫のあるかぎりは攻撃オプションに適応される事になった。短時間に軍事的イノベーションを起こしまくったことにより、戦艦への攻撃オプションが却って狭まる。これは古来からの戦艦という存在が二次大戦の終焉と共に絶えてしまった故で、戦後のミサイルは戦艦のバイタルパートの装甲の突破など想定していない。そのことも、扶桑海軍の戦艦が生き永らえた理由である。
「連邦海軍は一年戦争で使った洋上戦艦を売却する用意もあるそうだ。ミサイル攻撃は怪異に効かねぇことを想定しての提案だそうだ」
「連邦海軍に残っていたのか?」
「宇宙軍に歴史的役目を奪われた後は、沿岸警備隊代わりに存続しているからな。一年戦争から更新されていない武器が多いそうだ」
この申し出は(戦艦への過剰な予算投下を危惧した日本の防衛省の横槍で)阻止されたが、その戦艦の砲塔(61cm砲)の設計図と製造設備の提供で協定が結ばれ、後の『新・大和型』の主砲として使われる事になる。結局、モンタナ級の次の艦級が51cm砲を積むことは確実視されていたこと、核砲弾を作る事が懸念されたなどの要因により、61cm砲という『常軌を逸した』大口径砲を持つ戦艦が生まれていくこととなった。
「一年戦争の直前、従来のミサイル攻撃前提の艦艇が役に立たなくなる事が懸念されて、戦争の勃発直後に、連邦宇宙軍のミサイルフリゲート艦が全滅したことで、急ピッチで建造された、急ごしらえの代物だ。基本設計はモンタナ級のそれを流用したそうでな」
その艦艇はユトランド級戦艦と呼ばれるもので、一年戦争からデラーズ紛争の時期までの連邦海軍が運用していた洋上戦艦。扶桑への売却の話があったが、自国の造船業を扶桑の造船業に噛ませたかった日本側が猛反対し、阻止されたのである。だが、紀伊型戦艦以前の旧式を置き換える戦艦はどうしても必要であったため、結局は基本設計と砲塔の製造設備などの提供の協定が(日本側を説得した上で)結ばれ、一部の設計が新・大和型に取り入れられる。
「連邦海軍がその戦艦の売却を打診してきたが、日本は阻止するだろうな」
「なぜだ」
「自分とこに旨味がねぇからだ。日本は外国に技術を売ろうとしても、第三国は安い方を選ぶ事が続いていて、扶桑に売りつけたいんだよ。ところが、二次大戦を負けた日本には、戦艦の砲塔や装甲板を作る技術は一ミリも残っちゃいない。それで、焦ってんのさ。戦艦の砲身もロストテクノロジーだしな」
圭子は(扶桑海軍は乗り気の)その計画を坂本に教えた。日本としては(戦艦の砲塔と装甲板の技術を取り戻せれば)自分たちも扶桑向けに戦艦を製造したい(結果的に、それ自体は地球連邦の時代に叶うが)思惑があったため、扶桑の独自性の強かった計画を潰す。だが、結局は『モンタナ級の次の戦艦に勝つため』に、その戦艦の売りであった『61cm砲』を取り入れる事に合意する事になる。そこまで行けば、如何にチタン合金やガンダリウムγ製のMSであろうと、問答無用で粉砕できるからである。(一説によれば、砲撃用MSのザメルはその戦艦を撃ち抜くために設計されたとも)
「まったく……」
「まぁ、すべてがうまくいくとは限らんよ。日本も旨味はほしいのさ。アタシらが得たようなことをな。ミーナは懲らしめるつもりだったのは本当だが、失脚は予想以上だった」
「それを今更言うか?」
「日本側が事を大きくしたんだよ」
と、坂本に言い訳する圭子だが、この後ののぞみの一件では、それ以上に、事を大きくする事になり、坂本に苦言を呈されたという。とはいえ、そうでもなければ、のぞみへの侮辱と、天皇の勅を破った事のツケを払わせるのは不可能であったのも事実であった。日本側もミーナを懲戒免職へと追い込むつもりであったが、カールスラントとの(それ以上の)外交問題を避けるために(それまでの功績に免ずる形で)解任と降格で妥協したのである。とはいえ、統合戦闘航空団の枠組みの凍結はシビリアンコントロールを武器に実行させたため、64Fの『復活』はその代替策であった。
「だとしても、凍結はやりすぎじゃないのか」
「ド・ゴールの内通が疑われててな。ノーブルウィッチーズの存在は、革命後のガリア共和国の存在と矛盾する。そこを突いた格好になる。『ガリア復興には、人心を落ち着かせるためのカリスマ性が必要だ』というのは方便だろうってことで、全書類から削除された。集めていた人員は参謀本部預かりにする案だったが、一部は再教育を受けさせんと、使い物にならねぇことが発覚したんで、結局は黒田とその他の一部の連中しか残せなかった。その黒田も、実家が荒れそうだから、次の戦争には従軍できなさそうになさそうでな……」
「どうする。あいつは黒江の腹心だぞ」
「プリキュアに覚醒したガキを育てて、黒田の後継ぎにしたいと、武子は言ってるぜ。だけど、そいつは教師になりたがってるから、そうなるかどうか」
この頃から、のぞみは黒田の後継としてのポジションが期待されていたことがわかるが、のぞみ本人は(乗っ取った肉体の元の意識への贖罪で)軍にいるだけだと述べており、ダイ・アナザー・デイ時点では、軍人で居続ける気はなかった。だが、のび太の予測通りに事は進み、教師になる芽を政治のせいで潰されてしまうのである。ひとえに『アニメに無関心な、思想の強い文部科学省の官僚』が騒動を引き起こしたが、最終的には日扶間の外交問題にまで大きくなり、扶桑の予備役制度はガタガタに追い込まれる。
「どうせ、有事が勃発すれば、召集されるのにな」
「日本の文部科学省を警戒しとくべきだな。軍人あがりは嫌われる。更に言えば、あいつは陸軍にいた。戦後の日本人は、日本陸軍も航空隊を持ってた事は殆ど忘れちまってるからな。海軍ならまだいいが、陸軍の将校だとなぁ……何か起きなきゃいいが……。」
「私がお上に仲介して、勅を出させようか?」
「それがいいな。いくらなんでも、無下にはせんだろう」
坂本と圭子はこうして、のぞみの願いを叶えようと、転職のお膳立てを始めるわけだが、圭子の懸念は最悪の形で的中してしまう。日本政府はそれを引き起こした文部科学省、それを煽った厚生労働省などに『責任を取らせ』、のぞみへの損害補償として、佐官への昇進と危険手当の倍額支給などを『呑ませた』。また、プリキュア変身者である事の判明により、『プリキュア姿で勤務する』のを約束させる事になる。この規則は文部科学省などからの要請であり、プリキュアの姿は記憶されていても、誰が変身するのかまでは知られていないからで、日本の文部科学省はまさに針の筵となるのだ。結局、功ある軍人の希望を一部の人々の危惧だけで潰してしまった事案になってしまったため、日本は結局『そのようなことは存在しなかった』と扱うことを扶桑に強要させるしかなかった。そのため、のぞみは転職を(国家レベルの駆け引きで)潰される形になる。
事件から後年、日本政府の記録で、その時点の文部科学大臣が事務次官に『なんてことをしてくれたんだ!!』とヒステリックに怒鳴り散らしたことが明らかとなる。さらに事務次官が下に怒鳴り、その官僚は部下を怒鳴り散らす……という堂々巡りのような展開があったという。また、フェリーチェの『大震災』での尽力を革新政権が隠蔽工作を行った痕跡が見つかり、大炎上となった。プリキュアたちが変身姿で勤務するという規則は、こうした混乱に巻き込まれた省庁の懇願で生まれたと言える。
こちらはのび太たち。
「でも、どうして、変身姿で過ごすようにさせたの?」
「うちのおふくろが、大学生になるのに……って心配したんだよ。あの子は基本的に、ローティーンの見た目だからね。普通の時は。中高の時はまだいいけど……って理屈でね。しょうがないから、プリキュアの姿なら、精神的にも、ミドルティーンからハイティーン相当の精神年齢に成長するから、はーちゃんを説得したよ。それで、おふくろも納得したんだ。君も学生じゃないから、普段の姿はあまり晒さないほうがいいと思うよ。扶桑軍の軍服は旧日本軍とほぼ同一だから、炎上しそうだし。君は陸軍に籍があるから、余計にね」
扶桑軍人たちは日本での勤務で苦労が多いことが語られるが、陸軍航空隊の軍人らは(無知な日本人に)『陸軍が航空隊を持ってるわけがない!!』と殴られるのも日常茶飯時。空軍が設立されたのは、彼らへの救済措置の側面もあった。海洋国家の航空隊でありながら、洋上飛行能力を組織立って持たなかったことが理不尽に叩かれるなどしたからで、この後は要員教育の長期化、パイロットの一律的な士官化が図られるため、下士官のパイロットは扶桑から消えていくことになる。これは多くの規範が戦後の日本に合わせられていったからで、大和民族が古来持ち合わせていた集団主義が薄れていく過渡期へ突入したと言える。
「それって偏見じゃないの?」
「戦後の時代に、日本陸軍はバカだ、アホだの思われてんだよ。だから、将校でも、世間知らずって見なされてんの。だから、馬鹿にされるのは覚悟しときな」
のび太の忠告は21世紀の時点でも、まだ生きているところがあり、のぞみはまさにその被害を受けたことになる。専門家はいざしらず、一般人の認識は未だに旧軍人(職業軍人)=悪の風説が生きており、航空兵科なのに、歩兵科と勘違いされていたことも発覚する。そのため、厚生労働省(旧軍の記録は厚生労働省の所管となっている)と文部科学省は大慌てとなる(陸軍に空軍といっても差し支えない規模の航空隊があったことなど、知らない者も多いので)のである。
「いやいや、ネットもある時代にそんな……」
「意外に固定観念は生き続けるもんさ。僕自身、高校と大学、就職で苦労したしね」
のび太自身がそうであったように、人々の固定観念は生き続ける。のぞみは転職をそれに阻まれることになり、軍服姿も物議を醸してしまったため、『プリキュア変身者は変身後の姿で勤務せよ』という流れとなる。
「ところで、先輩、ペリーヌ……いや、トワちゃんはどうなります?」
「話したが、扶桑で身柄を引き受ける。ペリーヌも今後は本国に居づらくなるだろうから、表向きは『戦傷で療養する』体裁で移住するそうだ。ガリアに、まともな医療体制が残ってないのは事実だしな」
ガリアにまともな医療体制が残っていないのは、目に見えて明らかである。それを利用する形で、ペリーヌは扶桑に移住する。孤児院を開ける状況でもないし、友人のルーデルに頼もうにも、彼女を軍が手放さないのは目に見えていたからで、ド・ゴールへの失望も理由であった。
「ガリアは今後、ドゴーリズムで先鋭化していくだろうから、戦前に戻すだけで満足するペリーヌは厄介者でしかないからな」
ペリーヌは市民の娯楽を気にしない(娯楽は後で、いくらでもすればいいという考えから)元の身分的意味での負の面がある。いくら親類縁者が全滅したといっても、戦時下では、ごくありふれた話であるからだ。
「それに、親類縁者全滅ったって、日本では、あまり同情はされんだろう。どこでも、それはザラにあったからな」
ペリーヌも、自分の先祖の身分がなまじ高かったため、それくらいでは同情されないことは自覚しており、また、太平洋戦争の時期には自分は戦える年齢を過ぎることを自覚していた故の選択であった。救国の英雄でありながら、その立場を(若さゆえに)うまく活かせずに終わるのも、なんとも言えない結末であった。ペリーヌ・クロステルマンが政治の世界で真価を発揮するのは、ここから後のこと。
「それに、太平洋戦争には、ペリーヌ・クロステルマンとしては参加できんだろう。歳が20を超えちまう。芳佳は問題ないが、ペリーヌは無理だ。サーニャは退役するって言ってるしなぁ」
太平洋戦争はこの数年後に開戦の見込みであった事から、芳佳以外は殆どが『あがり』を迎えている計算になる事から、通常戦力の増強が急がれた。それは魔女のクーデターで半分頓挫したも同然の有様で、1948年を迎えていく。
「先輩はこの後はどうするんです?」
「南斗の連中がいると分かった以上、こっちも対策の必要がある。六聖拳クラスなら、ISのバリアだろうが、シンフォギアの防御フィールドだろうが、問答無用でぶち破ってくるからな。生身で対抗できるのは少ない。お前らは最強形態であろうと、容易にぶちのめされたが、それは格闘技を極めたプロと、喧嘩殺法のド素人との違いだ。お前の素体の錦も、家柄は古武術(草薙流古武術)の継承家だが、まともに訓練されていない。江藤参謀のツテで先方に問い合わせてみたが、確定した」
「素質はあるんですか」
「当代一らしい。姉はそのつもりはなくて、妹に素質はないそうでな。親父さんは継がせる気だった。お前、実家にいれば、継がせられたぞ」
「確かに」
と、この時は笑い飛ばしたが、肉体が持っていた素質が徐々に開花。実家の問題がこの後に解決されることもあり、草薙流古武術を正式に継承することになる。プリキュアとしての能力ではないが、強力な異能であることの判明により、デザリアム戦役以降、のぞみの力となっていく。
「これじゃ、実家(中島家)には帰れないしなぁ」
「前も言ったが、のび太んちに世話になれよ。のび太はマンションの大家みたいなもんだし、G機関の関係者しかいないから、俺達のいい隠れ家になってるしな」
「ああ、ガランド閣下が退役して運営を始めた……」
「ワンフロアまるごと貸し出せるし、管理費もないよ?それに、君の友だちも行き場ないのには変わりないよ」
「だよねぇ……」
この時は躊躇ったものの、結果的に、プリキュアスターズ全体で、野比家の世話になることになった。
「今のうちだ。ライスバーガー食っとけ」
「グルメテーブルかけで取り出した、できたてほやほやだよ」
「あ、ほんと……って、戦場でよく食べられますね?」
「食えるときに食っとけ。世の中にはな、パインステーキを一切れしか食えずに死んでいったパイロットもいるんだし」
「いるんですか?」
「初代マクロスにな」
と、初代マクロスに乗艦していたが、戦死直前の行動が有名なパイロットにちょっと触れる。嫌な伝わり方だが、彼の逸話は地球連邦軍のパイロットたちの間で『食える時は食っとけ』と引き合いに出されることとなった。
「芳佳がみたら、文句言いません?」
「別キャラの要素入ったから、文句は言わん。史実通りだったら、文句言うだろうがね」
ライスバーガーは便利な食べ物であるが、1945年の扶桑人からすれば『ごはんへの侮辱だ!』と宣う者も多いため、64Fでも(この時点では)転生・転移者にしか出されていない。だが、64Fは日本への出張が多くなるため、この後に自然と定着していく。また、洋食に慣れている者が幹部層の大半であったため、完全な和食は(調達の都合もあり)滅多に出なくなる。また、芳佳が史実で犯した納豆などは(保存と運搬の都合で)出なくなる。代わりに、パン食が多くなるが、空戦は突然に始まるので、必然のようなもの。しかし、下原定子がごはんを出したがったので、妥協的な選択が『ライスバーガー』なのだ。
「下原がごはんを出したがって、菅野も恋しがったが、下原は普通のどんぶりで出すから、スクランブルかかるまでに食い終えられないって苦情がきてな。それで、ライスバーガーを覚えさせる事にした」
「21世紀じゃ普通に冷凍食品で売ってるから、それを下原に食わせたら?」
「あいつ、妙にこだわっててなぁ」
と、下原は食事に妙なこだわりがあると語る黒江。また、素体の錦の入隊年度により、のぞみは下原を後輩扱いしていることも明らかとなる。
「あの子もこだわるなぁ」
「お前、前世の学生時代はパンを咥えながら、学校に向かってたクチだろ?」
「な、なんでそれ……」
「はーちゃんも時々、同じことしてたからな。中高の時に」
「みらいちゃんが聞いたら、ガチでぶん殴りに来ますよ?」
「大丈夫だ。あいつがどんなスタイルで来ようと、対処できるし」
みらいが聞いたら、本気で嫉妬しそうな光景を知ることに、のぞみは心配するが、山羊座の黄金聖闘士である黒江は至って、涼しい顔であった。そして、その懸念は別のことが理由だが、のぞみ自身がみらいとガチで『星を揺るがす規模の』大喧嘩へ発展していくことになるのだった。