扶桑軍の航空開発能力はクーデターの事後処理を期に、ズタズタになっていた。その関係上、史実で実績を上げた兵器しか開発が許されない風潮が生まれてしまった。その一方で、扶桑軍は主力機の統一による(対策を立てられた際の)弊害を恐れており、それがドラケンやF-20の採用に繋がった。特に、F-20やドラケンは扶桑軍の将兵に(機体が比較的に小型であるので)バカ受けであったが、実績がないF-20は批判の的であった。だが、扶桑のトップエースらが一様に、性能を褒め称えた事から、妥協的に、『エースパイロット専用の機体』という名目で生産がなされる。戦闘機が加速度的に現用機の水準に達していくのに恐怖を覚えた日本側だが、それまでは魔女装備に割かれていた開発リソースが一斉に、通常兵器に回されただけであったりする。魔導理論が根本的に発展しないかぎり、現状以上の燃費改善や戦闘能力向上は見込めないからである。周辺技術も発展しなければ、相応の魔女用装備は作れない。それが事実であった。
プリキュアは本来、『普通の女の子の夢の具象化』であったが、代を経る事に『ハイスペックな女の子がさらにハイスペックになる』こともザラとなった。それが問題になったのは、皮肉にも、実在の確認後であった。だが、のぞみのように(世界線によるが)成人後にハイスペックになるケースも確認されている。のぞみの存在が明らかになった2010年代の日本は(よりによって政府や官僚が)無知を晒すことになり、大衆から顰蹙を買う事になる。また、アニメと似て非なる存在だと強調する必要もあり、扶桑軍の軍務に服する姿を見せなければならなかった。のぞみも必要上、銃器を持つ事になり、SIGで落ち着いた。これは弾の在庫が確保しやすいものであったからだ。
「のび太、例のモノの近代化は?」
「今回には間に合わないってさ。急がせているんだけどね」
「先輩、何を急がせているんですか?」
「あるスーパー戦隊の遺産の復活だ。軍隊系の戦隊だったが、最も変わっていた戦隊の遺したものだ。鳥人戦隊ジェットマン。お前の年代じゃ知らんと思う」
「ぼくでギリギリだしね」
鳥人戦隊ジェットマン。活動期間は90年代前半期。メンバーの一人が戦いから数年後に(ひったくりに刺されて)悲劇的な死を遂げたことでも知られている。メンバーは一人以外は民間人であり、戦いが終わった直後に解散したとの記録が残されている。
「スーパー戦隊は解散後にメカニックが放置されることも多くてね。ぼくの孫の時代、確認できるだけのメカニックをオーストラリアの秘密倉庫に入れて、100年ほど管理していたんだ。表向きは財団の管理物の倉庫としてね」
のび太の孫の時代に回収・集積され、ヒーローユニオン(ダイ・アナザー・デイ当時はその前身である)の意向で近代化を急がれていた遺産ら。だが、思ったよりも各部の劣化が進展しており、ダイ・アナザー・デイへの投入は見送られた。また、スーパー戦隊のパワーは結晶化可能なことが判明し、それを一種のアイテム化したものが『レンジャーキー』であると思われる。
「統合戦争でメカゴジラ等は失われるそうでね。よく残ってたよ。元々は宇宙怪獣などへの備えだったのに、欧州人が破壊したとかいう。その流れで、23世紀の地球人はガミラスや白色彗星帝国のせいで、殲滅戦に躊躇が無くなってるからね。近隣の異星人が何かすれば、おそらく、星団の一個は軽く消してくるだろう。遥か未来のゲッターエンペラーがその極地だし」
「ゲッターエンペラー?」
「究極のゲッターロボだよ。時間も空間も超えて、物事に干渉できる。地球人をそうさせたのは、異星人たちだ。コロニーを金魚鉢扱いしてたって話だ」
「いるんですか、宇宙に」
「似た種類の魚はいるんだろうな。で、静香みたいに、地球を忘れ去ることは許さない考えもあるからな。それとの兼ね合いで、地球連邦の首都を月に移すのも一苦労だったそうだ。結局、スペースノイドも白色彗星の暴虐非道にビビって、コロニーじゃなくて、移民惑星への移民を進めた。連中も現金なもんだ」
結局、スペースコロニーが第二次ネオ・ジオン戦争の頃から増えることはなく、逆に減少傾向となる。異星人はコロニーを行政地域と見なさないからで、デスラーも(必要以上の虐殺をした事は詫びたが)破壊したコロニーなどの損害補償は(ガミラスが国家としてガタガタになったことを理由に)しなかった事により、コロニーは旧来のシリンダー型が廃れ、旧国家と民族コミュニティ維持用に設計された新世代式が主流になる。
「コロニーもシリンダータイプが廃れ始めて、重力制御を盛り込んだ新型タイプに切り替わってきてるしね。移民船団を思いっきり送ってるけど、波動エンジンは民生用に量産できないからね」
タキオン波動エンジンの難点は『エンジンに宇宙でしか産出されないレアメタルが必要である』故に、民生用の生産はほぼ不可能であることであった。地球連邦は多種多様な動力を開発したが、波動エンジンをエネルギー発生量で上回るものは(23世紀時点では)どこの文明もなかった。また、古代アケーリアスの伝説の力だとも判明しつつあり、23世紀時点の地球人は『恒星間文明への脱皮の途上』にあると言えた。
「縮退炉は?」
「宇宙怪獣を引き寄せる疑惑が出て、使用に強い規制がかけられたそうだ。それで、波動エンジンに宇宙船の動力が移った。まぁ、縮退炉の始動に使う『アイス・セカンド』って物質の精錬が難しくなったのも理由だろうな。バカなジオン残党のテロで」
縮退炉はガンバスター系などの動力に使われたが、当時のワープ理論ではウラシマ効果の抑制ができなかった。さらに、その時代の製造の縮退炉には『宇宙怪獣を引き寄せる波長の何かを発する』疑惑が浮上。その当時に製造途中の第二世代式を最後に、縮退炉の製造はストップ。以後は『保守用の技術資料は残されたが、新規製造能力は殆ど放棄した』状態になり、より高い出力を(安定して)引き出せる波動エンジンの台頭、アイスセカンドの精錬施設へのジオン残党の略奪と破壊で、縮退炉の技術維持が困難に陥ったことも理由に入る。こうして、地球人はタキオン粒子エネルギー(波動エネルギー)文明への進歩の道に入っていくのである。
「で、波動エンジンの普及期に入ってるが、波動エンジン自体が高価だから、マゼランやサラミスの時代みたいな大量生産は困難。だから、白色彗星帝国の艦艇の残骸から資材を取ったりしてるんだそうだ」
白色彗星帝国戦の際に、艦隊に就役していた主力戦艦は36隻あまりであったという。そのうちの26隻余りが戦没。そこから作り直しているが、その数に回復しきっていない点に、ガミラス帝国との戦争で負わされた工業能力への傷が深いことがわかる。その再建途上の艦隊の過半数はここからさらに数年で、オトナプリキュア世界での決戦に投入される事になる。
「ないものねだりしても始まらん。のび太、グレンダイザーやコン・バトラーVの出動は?」
「コンバトラーは超電磁エンジンの調子が悪くなって、オーバーホールだそうだよ。ボルテスチームに代わりを頼んだそうな」
「反地球からは?」
「闘将ダイモスや鋼鉄ジークを送り込んだって連絡がきた」
「っし、その二つが来てくれるだけでも御の字だ」
「あの、先輩。反地球って……」
「ドラえもんの世界には、昔のSFで言われていた通りのラグランジュポイントに、もう一つの地球があるんだ。太陽の裏側に。その地球は場所の関係か、帯磁性のガス雲が薄く覆うようになっちまって、磁力へのシールドを持たないコンピュータはいかれるそうだ。その関係で、人型ロボットの研究は遅れてたんだ。そっちの地球連邦軍はそれで、人型ロボットの価値を軽視していてな。それで、ダグラムのパテントを売り払っちまったのさ。こっちの地球に」
ガイア(反地球)は現在の位置に定着する過程で、アースよりも強い磁力を浴びる羽目に陥った上、未知のガス星雲が覆うようになるという電子機器文明に強い悪影響を及ぼす環境に成り果てた。アースと多少異なる経緯で発展したが、MSが存在せず、代わりにコンバットアーマーが存在する。だが、ダグラムのパテントを野比財団に安価で売り払ってしまうなど、失策が多い。
「普通の地球は恒星間宇宙船の行き交う時代だから、その手の対策もバッチリだけど、あそこは恒星間航行の端緒についたところだったらしくて、こっちの連邦との同盟も反対する連中がいたけど、波動砲を見せたら、従ったって」
「そりゃねぇ」
ガイアはちょうど、宇宙戦艦ヤマトを作り、その後の世代へ移行しようとしていたところであったため、そのさらに次の世代へ移り始めたアースとは艦隊戦力に格差が生じていた。ブラックボックスが多く、ヤマトに搭載されたモノに比べて『劣化コピー』であると思われる波動コアで稼働するガイアの主力艦は『似て非なる原理で稼働する』アースの波動エンジン艦に対して性能差があり、ヤマトくらいしか『対抗しうる戦力を持たない』。艦載機の性能も(内輪揉めを続けてきた故に)アースのほうが高い傾向があり、事実上は服従のような形で、地球連邦政府(アース)に組み入れられた。
「両方の協定で、僕らのほうをアース、向こうをガイアと呼ぶことにしたんだ。その関係だよ」
ドラえもんのいる地球のほうが恒星間航行の普及期に入っている関係で、軍事力でも有利にあったため、ガイアの地球政府はアースの地球連邦の配下になる形となった。旧東ドイツが西ドイツに取り込まれたような形であった。また、ダグラムは本来、次期主力を見込んでの開発であったが、ガイアの参謀総長が反人型ロボット派であり、アースにパテントを売っぱらってしまったため、有用性を認識したアースの地球連邦軍のほうで使用される事になったのである。
「うちの財団がそこから得た兵器のライセンス生産の管理を任されてるから、生産のプロトタイプを僕がテストしなけりゃいけなくてね。それでね」
コンバットアーマーはMSと違い、セキュリティは厳格だが、有視界式のコックピットなど、技術的にはXネブラに縛られている。その関係で、アースでの戦闘環境に適合するか。稼働テストが必要となったのである。
「今は、僕も色々と忙しくなっちゃってね。ジャイアンのスーパーの食料品納入の仲介もしないとならないしね。表向きは扶桑の財閥系企業への納入だけど」
ダイ・アナザー・デイでのび太は財団の総帥として、意外な手腕を発揮していた。官僚として『そこそこ優秀であった』との記録が残されているが、のび太は仲介などで力を発揮した。実家が(立場がどうであれ)室町時代以前から存続しているのが確かな『旧家』という強み、野比家代々の『人の良さ』による社会的信用……。それらによる仲介の確かさは、扶桑には大いに助けとなっている。ダイ・アナザー・デイは『官よりも民のほうが助けになった』と、扶桑がしばらく、日本側に優位に立つための材料となるのである。
「キュアハートは転生先の都合で、戦車に乗せたが、お前は機動兵器乗りになってもらう」
「え、ち、ちょっとぉ!?」
「何、慣れれば、簡単だって」
「何に乗せる気ですかぁ!?」
と、黒江に肩を叩かれ、のび太もそこそこ薄気味悪い笑いを見せる。
「何もさ。リーネちゃんと一緒にサーフボードに乗れってわけじゃないよ」
「芳佳が聞いたら、羨ましがることを」
「君、サーニャちゃんの面倒を見たことあるだろ?心配ないじゃんか」
「エイラに喧嘩売られて、返り討ちにしたけどね。で、何に?」
「後で、機体リストを渡す。アナハイム・エレクトロニクスも送ってきてんだ、試作段階や秘密にしてたガンダムタイプをけっこう」
この時の経験と『遥かな前世』の記憶の複合により、MSの操縦技術が身についたのぞみは、その後、いくつかのガンダムタイプを乗り継ぐ事になる。
「先輩、付き合ってくれますよね」
「言い出しっぺだしな。調整させてる。ゼータ系だよ。VFに慣れてるから、俺」
可変MSはMS自体の能力に外宇宙時代では疑義が呈されてしまったため、生き残りのために『戦闘機を兼ねられる機体』が求められたからである。エースパイロットに配するので、比較的少数で済むだろうという、政府の思惑もあった。ヤマト以来、地球連邦軍は『最強の人員は集中運用に限る』という結論へ至り、彼らの提言を受けた源田実は、64Fの人員を当代最強、もしくは『アニメや本で実績が判明済みの』人員で固めた。結局、それから漏れた軍人は多いが、1947年以降、扶桑から世界に通用する人材は出ないことが分かっており、結局は黄金世代を呼び戻すしかなかった。そこに『大抵の世界では、1945年に旧来の軍事組織が解体され、1954年に再建が始まる』歴史が半ば固定されている日本系の国家の悲劇があった。
「連合艦隊はどうなりますかね」
「勝てるさ。問題は緒戦で護衛を削られないか。それに尽きる。艦娘にも側面援護を連絡したが、大和に匹敵する装甲の戦艦が多いから、艦娘の大和と武蔵は試作の51cm連装砲に艤装を強化させてある。長門と陸奥にも、41cmの長砲身と重量弾を与えた。今頃は死闘を演じてるはずだ。潜水艦は海自に排除させてあるし、上空の制空権は取った。ただ、弾の数が足りん。一回では追い出せんだろう。それに、ブリタニアの連中に手柄を立てさせんといかん。これだから、今や伝統しか能のないロイヤルネイビーってのは……」
ブリタニア海軍はこの頃には、既に足手まとい扱いだが、ポスト・ヤマトタイプ(大和の後の世代)が主戦力を担っている時代なので、プレ・ヤマト世代が大半のブリタニア海軍主力は戦力外に等しいのだ。ましてや、設計思想的に、植民地支配の権威としての数を必要としたブリタニアは、海軍本来の任務たる艦隊決戦は二の次と考えていた。ライオン級の艦長のように、奇策で対抗する者もいるが、故に、強力な新鋭戦艦への代替わりを望んでいたのである。
「かといって、イタリアのリットリオ級はだめだしな。散布界も大きいし、精度も高くない。何よりも訓練不足だ。だから、門番にされたんだ」
連合海軍の形骸化は、この戦艦戦力の格差の大きさも理由であった。53cm砲だと推測される、ナチ残党がティターンズに貸与した『ヒンデンブルク級戦艦』はおそらく、一撃でリットリオ級の最厚部である350mm装甲を軽くぶち抜く事が予測された上、リットリオ級は『主砲弾薬庫と副砲弾薬庫を離すスペースが足らなかったために、新兵器の餌食になった』史実を持つ。その史実が出撃の足枷になったのである。
「それに、日本は人的被害を嫌うからな。戦艦が沈んだら、3000人が死ぬって喚いてな。んなに乗るかっーの。俺達の新鋭はオートメーション化が宇宙戦艦ヤマトレベルに進んでるのに」
結局、日本の避戦的思考が連合軍を形骸化させた一因である。また、扶桑が(必要以上の)重装甲と重火力を新鋭艦に与えたのは、呉軍港での醜態で、散々に世間から後ろ指をさされ、政治家からも間抜け扱いを受けた反動である。
「まったく、機会があったら、日本の閣僚と官僚連中を播磨や富士に乗せるしかないな」
扶桑の新鋭艦はいずれも、史実の超大和型戦艦よりも巨大である。これは『ギリギリの寸法で作るから、被害を受けたら、いきなり沈む』と中傷された事への反発である。日本側は『オレたちが悪かった。確かにそういったが、だからって、技術の理論上の限界までデカくするヤツがあるか!』というしかなかった。旧来の煙突はミサイル発射器に変わっているなど、大和型の『集合煙突』であった故の(機関の変更で内部スペースが余ったため)利点もあった。
「それと、武子が怒ってたからな。本来、声をかけてた人員が呼べないって。だから、お前の後輩を入れるしかなかった。本国の教官クラスに声をかけてたが、日本の横槍で潰された。だから、それを補えるのがな。最近のガキ共ははっきりいって、今回の戦の役に立てん。人と戦う覚悟も度胸もないからな。お前らはそれよりよほど厄介な相手を倒してきた。それで、俺らが推薦した。まぁ、身辺警護と、扶桑で暮らすための手続きのためでもあるが、手柄があれば、扶桑の士族も納得する」
「うちの国は面倒ですね」
「大日本帝国よりはよっぽど寛容だがね。ただし、華族がお飾りじゃないから、日本も扱いに困ってる。かといって、戦後がそうだったように、華族の身分を奪った途端に、断絶した名家も多いからな。だから、特権は段階的に廃するが、霞年金って形で、華族の体裁を保てる程度の暮らしは保証することにした。お上も史実の華族の戦後の没落に関してのメタ情報に動揺してな。それがそのまま可決された」
扶桑華族は(欧州で貴族社会が多く生き残った世界線故に)辛うじて存続した。特に、史実のハインリーケのように、貴族であることを誇りとする欧州貴族が多かった事から、舐められないように、とする考えが強かった。日本政府も『将来的な廃止は提言したが、内政干渉になるので、判断は扶桑に委ねるのが最善である』と答弁している。また、士族に強い魔女が出てきている伝統から、旧諸侯系の華族が史実より幅を利かせている風潮がある(黒江たちも士族の出である)。また、森蘭丸の奮戦を由来に、士族の『立身出世』の風潮も未だ強い。
「この世界で21世紀に近い暮らしをするには、軍歴が必要だ。俺が好き勝手できるのも、事変の英雄って泊があるからだしな」
「それは僕も似たようなもんさ。落ちこぼれって言われ続けて、都内に名が轟いてたぼくがまともに就職できたのは、スネ夫や出木杉君の親友だからってのも効いたのさ。親父のいた会社にコネで入るような時代じゃないしね、今は」
母親の玉子はのび太の子供時代、『せめて、パパと同じような人生になってほしい』と願っていたが、既にコネ入社を許すような時代ではなかったため、官僚となった。
「ママは心配してたけどね」
「まぁ、バブル以前の価値観を引きずってるからね、おふくろは」
一同の会話で、扶桑で『人並み以上の暮らし』をするには、軍歴が手っ取り早い社会的信用になる事を実感するキュアドリーム。戦後の自衛官が『戦争ごっこで金をもらう商売』、『穀潰しが最後にいくところの一つ』とまで、公の場で罵られていたのを記憶していたため、その落差に驚く。
「自衛官と偉い差ですね……」
「自衛官を見る目が変わったのは、お前がバブちゃんか、よちよち歩きの95年の大震災以降の話だよ。2011年が最大のきっかけだが」
自衛隊が世の中に必要とされたのは、大地震などの災害が度々発生するようになった時代の到来によるものであった。さらに不審船事件などの大事件も追い風となったが、太平洋戦争を経験した世代の減少もあるが、世界情勢の変化も大きかった。
「だが、のび太の世界線は平和なほうだ。学園都市が日本の周辺諸国に楔を打ち込んでくれたおかげで、のび太のひ孫の時代までは、仮初めだが、平和が続く」
「ただ、セワシくんが大人になってからは統合戦争で、それ以降は戦乱期だけどね」
学園都市の功罪はこれであった。学園都市の残滓が消え失せ、精神的抑止力が世代交代で失われた時、世界は(マクロスの落下などをきっかけに)統合戦争へ向かい、それ以降も内戦続きであった。それで生まれるのが『ガンダム』であった。
「俺も長いこと、自衛官として潜り込んでるが、見る目が変わったって実感があるのは、2011年以降だよ」
自衛官は社会的に迫害を受けやすい立場である。旧軍人と違い、退職後の恩給もないこと、定年が普通より早いことによる弊害も生ずるなど、少子高齢社会の弊害に苦しんでいる。そこは日本連邦化後もあまり変化はない。違うのは、扶桑の戦役に(必要上)従事した場合は扶桑から高額の手当が支給されることになったことで、その手当目当ての従軍も増えている。日本には規制論も強かったが、昔のような『恩給の支給』は世論の反発が大きいことが予測された事から、扶桑独自の施策という形で続いたほうが都合が良かった事から、容認論が主流になった。
「まぁ、お前はプリキュアだから、日本もそれなりに遇すると思う。しなかったら、内閣がひっくり返る。それくらいの人気はあると思う」
「なんか妙な感じです」
「お前は素体を乗っ取るような形で転生したから、元の家には帰れんと思う。家族が納得しても、親類は納得せんだろうしな。この時代じゃ、特にそうだ。農家や士族に多いんだよ、そういうの」
「どうしよう~……」
「お前の(魔女の世界での)姉貴は江藤参謀と同期だから、参謀に話してもらう。それで家族は納得するだろうが、親類連中は無理だろう」
「だから、僕のマンションに来なよってこと」
「わ、分かった……」
この会話が決定打になり、のぞみはこの戦いの後、しばしの間、野比家に下宿することになる。また、数年後、壮年のび太からの連絡で、養子である次男が『のぞみの想い人』の転生体であることが判明するが、会えるのはデザリアム戦役での事になる。また、日本は官僚の無知で、扶桑と外交問題が発生。結果的に、政治の取引で、のぞみの願い(教職への転職)を打ち砕く事になる。その損害補償を日本政府は野党中心の反対論を押し切ってでも、強力に推進する。実在する『プリキュア戦士』であるからで、現役時代の活躍の長さによる知名度が、彼女自身の生活の救いになった形であった。