カールスラント国家が霧散してしまった影響により、本来、カールスラント軍が得るはずのライセンス料は支払われず、むしろ、兵器の違約金の要求で、国家が財政破綻する有様であった。特に、液冷エンジンの問題(当時の交渉担当者は『マリーンが手に入る状況で、なんで、DB601なんて代物を選んだ?』と揶揄され、ショックで自殺を図ったという)、Me262の問題はゲーリング最大の失敗と、後世に断定されるほどであった。カールスラントの関係者は『当時は最高機密だったのだ!同盟国でもないのに……』と言い訳したが、同様の状況で実機を提供したナチス・ドイツに比してのケチ臭さが明るみになり、在扶カールスラント人は迫害の危機にさらされた。結局、皇帝直々の詫び状と、Me262の次期生産型の先行提供とライセンス付与などで収集を図ったが、自由リベリオンのF-86との比較試験で完敗し、破談。その一方で、陸戦兵器は好評を得たが、ドイツの意向でタダ同然の値段で売り払われたため、カールスラントは財政破綻と、疎開先の荒廃で滅亡の一歩手前に追い込まれていた。NATOはドイツの高慢不遜な振る舞いを糾弾し、日本連邦に当初より安い値段だが、採算の取れる範囲のライセンス料の支払いを改めて要請し、日本連邦も応じた。その稼ぎ頭は戦車と自動小銃、対戦車兵器であり、カールスラントは陸戦兵器のパテント料で再建作業の端緒につく事になった。
NATO軍政はかなりの長期に及ぶことが想定されたため、カールスラントの代役をこなせる『軍事大国』が連合軍の維持のためにも必要となった。その白羽の矢を立てられたのが、日本連邦である。日本連邦は基本的に海洋国家であるが、連合軍の要請で『外征をこなせる質の陸軍』も必要となってしまうという『災難』に見舞われ、当面の間は『センチュリオン』のライセンス生産で凌ぐこととされたが、日本連邦向けの改設計などに手間取ったため、カールスラント製兵器を好む将兵の要望により、ダイ・アナザー・デイ開始前に遺棄された『パンターG型』が緊急購入され、扶桑の戦車師団で大々的に運用された。日本側は『7.5cm KwK42』(パンターの主砲)は早晩に旧式化するから』との理由で、その動きに不快感を示したが、師団の元来の装備車両が『九七式中戦車(旧砲塔)』と『九五式軽戦車』と、時代的に『ブリキのおもちゃ』扱いの旧型であり、それよりは遥かにマシ(パーシングに辛うじて対抗できる性能である)であった事から、事後承認された。結局、パンターG型は日本連邦の手で真価を発揮する事になるが、その次期生産型とされた『パンターF型』は(小型砲塔が砲の換装などの長期運用に不都合と指摘された事から)計画が中止され、結局は試作段階で中断されていた『パンターⅡ』がその代替とされ、センチュリオンの配備までの繋ぎのため、扶桑軍で使用されたという。
そんなわけで、大量に遺棄されたカールスラント製兵器は扶桑軍の精鋭部隊が再利用した。以前は自動小銃を好んでいなかった扶桑軍だが、M動乱などで散々に恥をかいた後であったので、派遣されていた部隊の小銃は(狙撃手を除き)自動小銃になっている。その一つに、史実でのG3小銃の試作タイプにあたるものがあった。本来、G3はナチ時代に試作品が作られていたという経緯があるので、それが『StG45』として組み立られていたわけだが、それを改良したものがG3なわけだが、自動小銃の生産計画が根本から崩れた扶桑陸軍がこの後に採用する。日本の防衛省は自衛隊の余剰品の提供で済ませようとしていたが、扶桑陸軍は大日本帝国陸軍の最終時に匹敵するか、それ以上の人数を抱えており、とても間に合うはずがなかった。自衛隊は陸自で14万あまり。扶桑陸軍の一個方面軍以下の人数である。結局、M1ガーランドのコピーである『四式自動小銃』の計画を潰した詫びとして、試作品が扶桑に入っていた『G3』を緊急で採用し、南洋の自動工場で緊急生産させたのである。これに歴代の自衛隊制式の小銃を製造してきたメーカーが不満を顕にしたが、日本側が採用寸前の計画を強引に潰してしまったせいで、転換生産もままならない現地企業の窮状から、工廠が生産をするしかなかった事から、社長を黒江が説得する事態になった。流石に九九式小銃などで、機関銃大国のアメリカ相当の国家と市街戦をすることは『日本陸軍の愚行の繰り返し』でしかないからだ。命中精度に執着することで著名であった武子も流石に、『相手が相手だもの……』と自動小銃の配備を容認している。ひとえに若き日の手持ち武器の連射性不足による苦労によるものであった。
ダイ・アナザー・デイは、扶桑陸軍に近代戦を嫌というほど思い知らせる戦場であった。ティターンズはリベリオン合衆国に『バズーカ』を開発させ、それを活用。それを遠距離から潰すため、日本連邦は対物ライフルを使用する……などのいたちごっこでもあった。また、対人戦では、現役時代の必殺技が効果を発揮しないことが多いプリキュア達も、自衛目的で銃器を携行することが多かった。素体が職業軍人であった、のぞみとシャーリーはその最たる例。のぞみ(キュアドリーム)は『M1カービン』を好んだ。錦としての勤務中に触れていたからで、反動が少ないことから、身体が現役時代のそれになった後でも、錦であった頃と同様の感覚で扱えたからだ。だが、不都合もあるので、黒江は『M1は扱いやすいが、フルサイズの小銃と同じ扱いをするな』と教えており、フルサイズの小銃の反動に慣れさせようと、訓練させていた。仕方がないが、M1カービンに慣れてしまうと、今後に現れる制式小銃に馴染めなくなる可能性があるからである。
「M4カービンを使ったら、今度はミリオタが文句言うからな。20式5.56mm小銃をもたせりゃいいんだろうか?まだ制式前だけど」
黒江はドラえもんのおかげで、装備の構成にはこだわっておらず、のび太が30歳間近の頃には使用されていない『20式5.56mm小銃』を取り寄せることも口にする。地球連邦軍の時代、実体弾の再評価が進んだことで、設計などがデジタルデータ以外でも残っていた時代の小銃の使用が再開されていた。20式5.56mm小銃もその一つであった。また、自衛隊制式のものは日本政府が(批判を恐れて)表沙汰にしないように要請してきたため、ダイ・アナザー・デイ当時には、まだ使用されていない『20式5.56mm小銃』を使ってしまおうと考えた。扶桑陸軍は九九式小銃への更新も遅れていたのに、自動小銃の時代を迎えてしまったことに狼狽えていたが、日本がここから情け容赦ない中堅層の粛清人事を実行してしまうため、結局は扶桑軍全体の急速な装備の近代化に追いつけない将官層を21世紀の自衛官が補助せねばならなくなる。さらに、M粒子の大規模利用で、21世紀で持て囃されていた『ドローン兵器』は封じられており、使用ができない状況であった。また、23世紀では、無人兵器は化学兵器等と同様の『非人道的兵器』の烙印を押されている都合上、無人兵器を大々的に使えない。結局、21世紀に予測された未来像は否定されたわけだ。
「どうだ?」
「Zガンダムは予備機あるんですね」
「元々、系列機の装備試験用に増産されていたからな。耐弾性が低いのが問題だったが、ガンダリウム合金の世代交代で解消された」
ガンダリウムεは元々、アナハイム・エレクトロニクス社が核パルス推進用に製造を試みていた合金である。技術進歩、類似のガンダニュウムからのスピンオフにより、従来型より圧倒的な強度(極初期の超合金ニューZと同等)を獲得。軽装甲と揶揄されがちのZ系でも、従来の数倍の耐弾性能となった。ただし、製造の高コスト傾向が強まったため、γ合金時代のような大量生産には向かないという欠点もあるが、ガンダムタイプ用の高級素材とすることで解決した。小型MSの問題は『融合炉が爆発すると、(過度の小型化の弊害で)核爆発になる可能性が大きい』ことであり、廃れた理由でもあるため、結局は18m級のMSが復興しつつある。また、規格の再変更は問題であるので、16m級も模索されている。
「MS自体の存在意義が疑義を呈されたから、ガンダムタイプでそれを証明しようというヤツだ。ザンスカールに支社が協力したという理由で、サナリィが斜陽になったんで、完全な民間企業のアナハイム・エレクトロニクス社が息を吹き返した情勢だしな。ガンダムタイプのパテントも殆どがアナハイム・エレクトロニクスのものだ。そのほうが、連邦政府も都合がいいそうだ」
結局、アナハイム・エレクトロニクスの軍需部門はサナリィがザンスカール帝国への加担の責を問われ、斜陽を迎えたことで息を吹き返し、過去のガンダムタイプの功績と近代化での活躍で、グリプス戦役当時に近い繁栄を取り戻した。ビスト財団こそ消えたが、野比財団がその後釜に収まったことで事なきを得たからだ。半官半民故の弱点がザンスカール帝国との戦争の戦後処理で顕になり、結局、技術者も、一度は見限ったアナハイム・エレクトロニクス社に保身目的で出戻るなどの醜態を見せており、サナリィはMS開発での主導的立場を喪失しつつあった。その最後のあがきがV3ガンダムと言えたが、サナリィがMS開発事業を凍結する(ジョブ・ジョンの退任による。ただし、美青年の年齢のうちに重役になっていたという違いがある)決定を下し、同プロジェクトはアナハイム・エレクトロニクス社に回収され、同社で開発が続行される。元々、V2ガンダム自体がアナハイム・エレクトロニクス社で製造されたからで、サナリィの隆盛はマーサ・ビスト・カーバインの横暴が原因で起こり、ビスト財団の終焉はサナリィの全盛期の終焉でもあった。この混乱を収めるため、野比財団はアナハイム・エレクトロニクス社を手中に収めたのである。
「それで、Zが象徴に?」
「元々、地球至上主義者の圧政からスペースノイドを解放しようとした派閥が作った機体だから、ある意味、初代より政治的に都合がいいそうだ。それで、グリプス戦役の後に、リ・ガズィやその系列機のテスト代わりに増産されていたそうでな。それをのび太が回してくれた。操縦系は改良してあるそうで、智子と武子にも回される予定だったが、Z系はじゃじゃ馬だって聞いていたんで、武子は別の機体を所望してな。余っちまった。戦闘機の技能ないと、あれは動かせんからな。素体が戦闘機乗りだったんだ。お前を乗せてみろと、武子が言っとる」
「た、隊長が!?ち、ちょっとぉ!?経験があるったって、時代相応のレシプロだし、それがいきなり全天周囲モニターとリニアシートは……」
「ドラえもんから説明は受けたんだろ?今は文句いえん状況だ。それに、普及型のジム系に乗せちゃな、番組の『主役』だったから、軍にクレームが来そうだとの御達しだよ」
「し、しょんなーー!!」
と、この頃から訓練を積まされていき、数年後のデザリアム戦役までには、ロンド・ベルに恥じない水準のMS乗りに成長する事になる。メタ的にも『ジム系には乗せられない』との武子の御達しもあり、ガンダムタイプに乗せられる事になり、デザリアム戦役までの間に訓練をたっぷり積ませられるわけだ。
「はーちゃんはバリバリに乗ってるぞ。みらいには、目覚めたら伝えるつもりだ」
「何に乗せてんです」
「フルアーマーガンダムマークⅢ。グリプス戦役の前後にあったプランを完成させたものだ。八機ほどあったうちの一体を受領したんで、試しに乗せた」
「いいんですか、魔法つかいがバリバリの機械兵器なんて乗って」
「それ言ったら、俺達も魔女だろうが。それに、あの子は元・神様だ。歳食わねぇから、大学の時が大変だって言ったろ?みらいが聞いたら、おりゃ、喧嘩売られるかもな」
「みらいちゃん、中学の卒業も一人ぼっちだったって、昔に聞いた記憶があるんですよ。間違いなしに喧嘩売られますって。たぶん、ルビースタイルで来ますよ」
「どんなスタイルできても、俺は叩き伏せるだけだがな。伊達に黄金じゃねぇし」
と、黒江はことはのことで、みらいに喧嘩を売られるのは覚悟していた。だが、勝てる自信を覗かせるあたり、黄金聖闘士としての自負が窺える。みらいは現役時代の最終決戦の完了からの四年ほどを一人ぼっちで過ごしたため、自分が立ち会えなかったイベント等のことになると、喧嘩っ早くなる。それはコンプレックスの表れでもあるが、同時に、キュアミラクルの力では、黄金聖闘士には太刀打ちできないことも示している。
「それに、あいつは光の速さを知らん。だが、俺は光速のさらに先の領域に入ってる。たぶん、あいつの現役時代のラスボスより速く動ける。シャア・アズナブルじゃないが、『当たらなければ、どうということはない』だ。それと、昔から『蝶のように舞い、鉢のように刺す』というだろ?」
「先輩、なんで知ってるんですか?」
「別の時代で過ごすように言われて、もう長いのよ、俺。だから、お前の現役時代より先の時代の事も知ってるぞ。そうでなきゃ、スマホを使えるかよ」
「反則ですよ、反則!!あたし、その頃には、30近くになってたのに」
「お前、今なら、絶頂期の姿で使えることになるぞ。お前の生年は逆算するに、1993年。のび太より五歳は下。お前が大学に入った後に、スマホの普及期に入ったことになるだろ?それに、プリキュアの力が手元にある状態だ。お前の時代と違って、大人のプリキュアも許されるご時世になる。おまけに、『そうなってる』以上は歳もそれ以上は食わんってことだ。本来は代替わりを想定してたシステムなんだろうが、人々は『お前らが蘇る』ことを求めてる。だから、そうなったんだ」
プリキュアは本来、変身者の代替わりも想定していたシステムであったが、人々の願いはそうではなかったため、のぞみらは転生を遂げたのだと、黒江は推測している。
「そう言われると、複雑ですよ」
「ポジティブに考えろ。肉体的に絶頂期の姿に戻れた上、現役時代にはなかったもの(スマホなどのIT機器など)を、絶頂期の姿で扱えるんだぞ?俺だって、10代後半の状態だから、無理が効くんだ。完全に大人になってから、新しいこと覚えるのは苦労しただろ?」
「そりゃそうですけど」
「漫画に、外見が若いババアキャラなんて、いくらでもいるだろうに」
「そこまで馴染んでるんですか?!」
「源田の親父の指令だったんでな。途中で公にしたが。のび太が小5か、小6の頃から自衛隊にいるからな。任官は、のび太が中学3年の頃だが。だから、お前らの先の世代まで対応できる」
「なんですか、それぇ~!!」
「2010年代後半からのパリピ語なんて、お前らが聞いたら、絶対にパニクるぞ」
「そ、そいや、前世の教育実習で……」
「それを考えりゃ、この時代の連中はわかりやすい。時代の違いはそれだけ大きいぞ」
と、妙な点で一致を見た二人。
「滋養強壮のドリンク。例によって、ドラえもんの出したものだけど、効くよ」
「お、サンキュー」
「ドラえもんの道具って、どれだけ便利なの?つか、この姿で滋養強壮ドリンクを飲むなんて、昔は考えなかったんだけどなぁ」
「精神的には大人の状態だから、精神的な疲れはあるさ。それに、現役時代と違って、君等は本気で戦争に関わってんだ。精神的な疲労は意外に大きい。だから、飯はきちんと食わないとね。食料品はドラえもんやジャイアンがいくらでも用意してくれるから、心配しないでいい」
市販のものと同じ容量の滋養強壮ドリンクをかっこむ一同。上空を見上げると、義勇兵部隊の紫電改が、逃げ惑うF6Fを追っかけ回している。
「紫電改だ」
「この世界のリベリオンの兵隊はF3F……つまりは複葉機だが……に乗ってた連中だ。それがいきなり、段違いのスピードと単葉のF6Fに乗せられても、性能は引き出せん。だが、こっちがかき集めた義勇兵は太平洋戦争をくぐり抜けた生き残りだ。腕が違うよ」
紫電改に乗っているのは、史実の太平洋戦争を生き延びた日本兵であること(高オクタン値の燃料と、段違いの工作精度で、紫電改の発揮するスペックが史実より高いのもあるが)、リベリオン合衆国の飛行兵が『前に乗っていた機体とレベルが違い過ぎて、性能を持て余している』ことが明確に語られる。
「下馬評と違って、こっちが制空権を取れてるのは、紫電改と烈風、五式を使えば、制空権が取れるからだ。マスタングとサンダーボルトはジェット機で対応させればいい」
レシプロの範囲では、マスタングとサンダーボルトはその速度性能で、他をほとんど寄せ付けない。扶桑は(震電の計画変更で)ジェット機の配備で対応するはずであったが、紫電改の陳腐化を日本側が心配したことから、モデルチェンジとして、陣風が登場することとなった。
「とはいえ、烈風も紫電改も、最高速度は時速670㎞あまり。マスタングの最終型は780㎞。それで、紫電改をモデルチェンジさせて、震電をジェット機に変えると言い出してな、日本の防衛省の役人が」
紫電改のモデルチェンジは、本来は別計画であった試作機の資産の多くを流用し、『陣風』として日の目を見たが、震電はレシプロ機としての投入は見送られた。陣風と同型の3000馬力エンジンを搭載すれば、時速790㎞前後を発揮できるという見積もりがなされていた(史実では740㎞前後であった)ので、レシプロでの最速記録は充分に発揮可能とされていたが、日本側は『ジェット機たる、P-80が直に出てくるだろう』ということで、ジェットエンジンへの換装を指令。そのゴタゴタで、横須賀航空隊の憤慨を招き、震電は(史実通りの姿で)日の目を見る機会を失う事になる。日本が何を求めていたのか?数年後の関係者へのヒアリングで『21世紀の自衛隊でも使える性能の飛行機』だったことが判明する。だが、震電をジェット機として最適化するには、機体の再設計が必須とされた。これはジェットエンジンを積む場合、機体にかかる応力などが変わるためで、早期の完成は不可能とされ、試作機は横須賀飛行場に眠ることになる。だが、そのことが悲劇を引き起こしてしまうのである。
「間に合わないでしょう?」
「紫電改は別計画の試作機の資産を流用することで、量産が間に合ったが、震電は無理だ。だから、数年後までに完成させるつもりらしいが、嫌な予感がするんだ。手を打っとく。横空には、坂本の元の同僚と部下がいたはずだからな」
「嫌な予感、ですか?」
「ああ。GHQも、占領の時に飛行機を焼いただろ?あれと同じ事をやりかねん。連中はプライドだけ高いからな。お前の時代に自動車工場になってるとこに、飛行場がある。日本は古い飛行場だから、民間の自動車工場に変えろというが、厚木をジェット機に対応させるにも、数年はかかるし、その自動車工場も2020年代で生産が終わる」
日本は横須賀航空隊の移転と、陸軍航空審査部との統合を(空軍の設立での一本化を目論んでいた)図っていたが、ダイ・アナザー・デイ後のクーデター事件で頓挫。結局、双方が天皇の意向で廃止され、64Fに新型機の評価任務までも委託されてしまう。これは開戦後に『過労になる』との意見が通り、『戦後に外殻の専門部署を新設する』ことで決着する。また、追浜飛行場についても、その行末が議論されるのである。また、そこにある各種試作機についても、ダイ・アナザー・デイ後に回収が予定されていた。
「どうしたもんかと、協議中だそうだ。あそこには、震電や橘花、閃電とかの試作機が置かれている。ユニットもだ。それを今の作戦の終わった後に回収する予定だそうだが……そううまくいくかどうか」
結局、血気に逸った魔導兵科将校ら主体のクーデターで試作機の回収はほとんど叶わずに終わる。辛うじて残骸が回収された閃電は、ドラえもんの厚意で復元され、飛行試験が行われるが、史実でも懸念された『水平尾翼がプロペラからの気流の影響で異常振動する』などの課題が改めて発覚。再採用は叶わなかった。また、ジェット化も検討されたものの、サーブ21Rと似たりよったりの性能になるとの試算により、これも計画が破棄されている。
「だから、ガンダムを集めたんですか?」
「今や、前線でまともに戦う、魔女主体の飛行隊は俺等だけだ。機材の補給は本国の担当部署が渋ると来てる。その点、地球連邦軍の機材なら、制限がない。のび太の一声があればな」
「ぼくの子孫が地球連邦政府の重要な財源になってる財団を運営してるんだ。だから、その創設者たる、ぼくの一声には逆らえないのさ。子孫たちから嫌味言われることもあるけど」
創設者ののび太、財団の中興の祖たるセワシは財団の運営に関わる子孫らに『御大』、あるいは『御前』と(半分は煙たがって)呼ばれている。だが、結果的に財団の益になる行動なため、子孫らも従っている。
「異世界に迷惑をかけている以上、兵器の出し惜しみは罪だ。だから、連邦議会に圧力をかけたのさ。連邦議会は月に移ったけど」
のび太の言う通り、地球連邦の議会はフォン・ブラウン市に移っている。23世紀以降、地球連邦は改革派が勢いを増したが、軍政分野では保守派が意外に生き残っていた。野比財団は軍への圧力団体の顔も持っている。そこはビスト財団と同じだが、社会的信用度は(野比家が旧家であるのもあり)上である。
「君に合わせた調整をアストナージさんにしてもらう。それと、機体の部材は真田さんに改良してもらうから、心配はいらない」
「うぅ。やる気満々なんだね」
「ティターンズのMSをある程度減らさんと、陸戦で勝てないからね。ハイザックにしても、この時代の野砲じゃ傷もつかない。ザク・マシンガンを弾く事を念頭に設計されてるから、この時代の野砲や高射砲じゃ、表面に傷をつけるので精一杯だろう」
一年戦争序盤、連邦陸軍が非常に苦労したことが、『ザクⅡの正面装甲は61式の滑腔砲では抜けない』ことであった。その差を痛感していた連邦軍は装甲技術で差をつけようとした(ガンダリウムγで逆転されるが)。その試みの一つが『標準的なザク・マシンガンを弾ける強度』であった。それはハイザックであっても実現されている。その関係上、地球連邦軍のMSの投入目的は『ティターンズ残党の保有機の数を減らすこと』であった。
「だから、ビーム兵器が必要だが、そんじょそこらの量産機のヤツでは、細かい調整ができない。だから、ガンダムタイプの使う高級品が必要になったのさ」
これは連邦軍の練度低下が懸念されたため、精鋭による制圧が望まれたことも大きい。そのために、エゥーゴ出身者、民間軍事会社の人員の再招集も実行している。また、ティターンズは(元々の目的が)ジオン残党狩りの専任部隊であった名残りで、ジオン系寄りの外観を持つ機体が多いので、それと正反対の外観を持つ純正の連邦系MSが求められたという事情もあった。また、陸戦では外観もだが、耐弾性能とフレームの頑強さが一定程度求められたため、ジェガンとその派生型が現役で使用されている。すっかり型落ちだが、ティターンズの大概のMSよりは、機体性能が高く、そこそこの耐弾性能(実体弾基準であるが)を持つ点は、現場に未だに好評だからだ。
「それに、ここらへん(イベリア半島)の世界遺産を壊すわけにもいかん。例の事案以降、上も怖気づいてるんでな。場合によれば、陸戦でケリをつけるやもしれん。その覚悟はしとけ」
「は、はい」
と、黒江は作戦中であるのと、場を離れられない都合上、のぞみを戦闘面で鍛えることは後回しにせざるを得なかった。とはいえ、(ガチンコの戦闘をしていた世代のプリキュア故に)そもそものポテンシャルが高いので、大概の相手はできるので、(この時点では)さほど問題視されていなかった。別の時間軸に送って鍛えようにも、ドラえもんとのび太の動きが警戒されている以上は『使えない』。そのこともあってのことだった。