――ダイ・アナザー・デイでそれまでの風習が否定された扶桑ウィッチ達は1946年にクーデターを起こすが、理由が理由であったので、鎮圧された後に中堅層が中央から排除される結果を招いた。育成が完了し、本来なら次代を担う世代とされた15歳~17歳までの層が中央から排除された結果、その空白は外国出身と自衛隊、旧日本軍出身の義勇兵と引退者の復帰者の通称である『Rウィッチ』で埋められたが、急場しのぎでしかないことは現場ではよく認識されていた。特に、海軍航空隊組織の事実上の解体とされる空軍の設立は海軍航空の形骸化を起こした。海軍航空の主力と位置づけられていた陸上航空戦力が空軍の管轄になったからだ。空母航空団の再編が最も難儀であった。育成途上の兵が空軍に移管されたばかりか、艦上機のジェット戦闘機への刷新も重なり、余計に形骸化してしまった――
――この問題は空軍の海軍出身部隊を当面の間は載っけて対処するとされ、海軍は単独での洋上作戦遂行能力を失った。これは統合任務部隊の編成に抵抗がない21世紀以降の軍隊なら当たり前だが、第二次世界大戦相当の時間軸では抵抗の強いものである。そのため、余計に海軍航空隊は形骸化し、『予算計上と防諜の目的で組織の形だけ存在している』様相を呈した。64Fは海軍出身者も多いためと、統合戦闘航空団母体の部隊であるため、扶桑連合艦隊に唯一、抵抗なく受け入れられた。そのため、海軍航空隊出身の他部隊の立つ瀬は無く、それもサボタージュの大規模化を招いていた。だが、事態はそれどころではなくなり、他国部隊も巻き込んだ大規模サボタージュは急速に終息を迎えた。その時を以て、ウィッチのそれまでの意味での『栄華』は終わりを迎えたとされる――
――ダイ・アナザー・デイも敵味方共に攻勢に入ると、サボタージュしていた部隊は敵の攻勢の前に粉砕されるケースが増大し、64Fは陸海でますます大忙しとなった。その兼ね合いで、ついにキュアホイップにも戦闘の許可が出た。主に他のプリキュアのサポートだが、鬱憤が溜まってたらしく、珍しく大暴れであった――
「ホイップ、珍しく暴れてるわね」
「ここんところはずっと厨房ばっかだったし、溜まってるんでしょうね」
「でも、私たちがメインじゃないんでしょ、マカロン」
「ええ。メインは……」
「そうさ。ここはあたしらがメインさっ!」
ガイちゃんである。それと、チームは違うが、ゲッちゃんドラゴンが参戦した。ガイちゃんが『同郷のダチを呼んでくる』と言ったが、第一陣は彼女であった。
「ガイちゃんが来いというから、野球の試合かと思いましたわ…。ですが、折角の機会なので、一暴れとさせていただきますわ!」
ゲッターマシンガンの二丁拳銃をいきなり披露し、お嬢様キャラ(家ではゲーマーであるが…)の割にやることが派手である。
『ダブルトマホォォオクブゥメラァン!!』
トマホークブーメランもおまけで行い、敵兵を薙ぎ倒しまくる。ゲッター線の使者であるため、敵に情け無用である。
『ザウゥゥゥルガイザー!!』
乱戦でロボットガールズは真価を発揮する。素の格闘能力も並のプリキュアより上であるため、ホイップにメインを張れる力がないのを見事にカバーしている。
『ミラクルドリルランス!!』
ミラクルドリルランスでガイちゃんは突進し、M4中戦車を五両まとめて、Gウイングの推進力とドリルの回転力で貫く。
「お前たちは側面を突け!正面はあたしとゲッちゃんでぶち破る!!」
「了解だ!」
「マカロン、なんかキャラが」
「仕方ない、転生先の都合だよ。昔の口調は使えるが、今は仕事中だし、日本のマスコミ連中の目もある。私は大佐だし、転生先ではもうアラサー女子だしな」
キュアマカロン/琴爪ゆかりは転生先が北郷章香であった都合、戸籍年齢はこの時に26歳前後で『アラサー』であった。現役時代の振る舞いと口調は未だにできるが、立場と年齢の都合で鳴りを潜めるをえないと愚痴る。
「それで、得物が日本刀の二刀流なの?」
「そうだ。転生先の親父が講道館と武徳会のお偉方も兼任する軍人でな。バリバリの英才教育を施された。所謂、サラブレッドだ。私自身も師範だし、妹も陸軍のエースだ。その都合、プリキュア化したのは、親父にあまり快く思われてなくてな」
マカロンは元来、猫のように自由気ままな振る舞いが売りのプリキュアであるが、転生先が講道館と武徳会の理事を歴任する軍人(武門)の家柄であるため、第二次大戦世代ウィッチの最年長である。若き日に赤松を従卒にしていたため、赤松が敬語を使う唯一の存在でもある。プリキュアとしての先輩であるキュアフォーチュンへ立場故に背負った苦労に愚痴をこぼしまくる。
「やたら愚痴るわね」
「そりゃそうさ。本当は昔みたいなバカをしたいが、親父と妹の手前、そうもいかん。それが辛いんだよ」
「なんか……苦労してるわね。あなた」
「まぁ、海軍のお偉方に比べりゃマシだよ」
フォーチュンに愚痴るマカロン。それはその通りだった。扶桑海軍は空母の種別表を史実通りに書き換えざるを得なくなったからだ。それは蒼龍と飛龍の規模が史実の翔鶴型航空母艦の規模であった事が日本側に伝わり、温存した扶桑海軍に矢のようなクレームが舞い込んだからだ。(もっとも、それは飛龍型を史実の中型空母と先入観を持っていた日本側の落ち度であったが)
「軍令部も艦政本部も日本に合わせて、あれこれの書類の書き換えで面倒な事になった上、統合参謀本部への移行準備。たぶん、上が一番愚痴りたいんだろうな」
「書類ぃ?」
「ああ。大変だぞ?コンピュータの影も形もない時代に公文書の書き換えは難儀だからな」
「お役所にとっては紙のほうが楽だと言うけれど?」
「それもそうか」
――この頃、統合戦闘航空団及び、ウィッチ母艦の指定も外され、史実の規模と性能の記録から、『ヘリ空母』にしか使えないとされ、ジェット機空母としての近代化の対象から漏れていた蒼龍と飛龍は退役が予定され、本土に係留されたままだったが、『史実翔鶴型航空母艦の艦容である』と判明したことから『改飛龍型』として、翔鶴型航空母艦と同等の改装の対象になった。日本が『大鳳の量産をキャンセルさせ、軽空母を民間に払い下げた』ため、扶桑海軍空母は結果的に『天城型航空母艦』、『改飛龍型航空母艦』、『翔鶴型航空母艦』と『雲龍型航空母艦』にまとめられたが、大型空母も近代化で搭載機数がグンと減ったため、『プロメテウス級』を取得して補った。扶桑海軍は日本側の勘違いは正したが、大鳳の二番艦から五番艦はキャンセルされてしまった上、商船改装空母も飛鷹型以外は払い下げされてしまったため、軍部はそれらのために建艦計画に混乱が生まれ、用意された資材とウィッチ発進促進装置の行き場に窮した。大鳳の事実上の後継となる国産空母は後年に『瑞龍型』という80000トン級空母として結実するが、プロメテウス級が『洋上空母の集大成』としての究極的な諸元を誇ったため、技術維持のための研究はされど、建艦自体にはあまり熱が入らず、建艦計画の具体化は『天城』が老朽化した1950年代始めのことと遅かった。それまでの間、扶桑海軍艦政本部は供与されたプロメテウス級を扱うことで近代空母のイロハを吸収する事に全力を注ぐ。究極の戦艦を設計できた彼らも空母の戦後の発展は完全に予測不能だったからで、プロメテウス級というジェット空母の見本を得た事は僥倖だったと言える――
――航空ウィッチの軍事的価値は急速に低下した。陸戦ウィッチが戦術の工夫でどうにかM26重戦車などに対抗できたのに対し、航空ウィッチは当時の技術の限界もあり、機動力以外に見るべきものが無くなった(B-29などの重爆や米軍機の弾幕を潜り抜けられるほど、ユニット本体に耐久力がない)ため、運用の必要性に疑義が呈されたためだ。これは1945年当時の航空ストライカーはユニットの防弾装備を現地でデッドウェイト扱いして取り外していた(防御をシールドに依存している)ものが大半だったためで、対人戦ではミサイルの破片でユニットが致命傷を負うことも珍しくなく、中堅がサボタージュの大義名分にした『ウィッチ同士の空戦が実際は殆ど起きていない』事も航空ウィッチ部隊の存在意義の希薄化を結果的に招いた。Gウィッチはその強さで他のウィッチからは異端視されているが、逆に『あらゆる敵と戦える』という点がティターンズ、バダンなどと戦闘状態の連合軍には救世主のような存在であった。自主的に戦闘機やMSなどの機動兵器戦闘も覚え、しかも地球連邦軍の第一線部隊と比べても高水準の戦闘が可能という万能性は冷戦後の時代、ウィッチ志願の敷居を引き上げてしまったと批判的に論じられる事が増える。軍事的にこれ以上なく有用だが、『彼女達のようになんでも屋でなければ、軍で生きていけないのでは?』とする認識が根付いたからだが、40年代前半に生まれた『ウィッチとしての軍歴は花嫁修業になる』とする呑気な認識が吹き飛んだのも事実であるため、軍部は『量よりも質を選んだ』と言える――
――ロボットガールズやプリキュアも広義の『Gウィッチ』とされた。これは1940年代の一般の扶桑人に『ウィッチ以外の強力な存在は理解できないだろう』とする軍部の認識によるもので、軍部の『ウィッチ出身だが、それ以外の力を得たか、そもそもウィッチ以外の力を持つ者の待遇を便宜上、当てはめた』という処置が窺えた。また、当時は日本から軍人への職業差別意識が流入し、職業軍人に故郷を追われるケースが生じたため、基地の隊舎が急速に整備されだした時代でもある。基地の近くに軍人街が形成されだすのは、軍人の社会的地位が低下し、軍人以外に社会的ステイタスを満たす手段が生まれる時代の哀愁が生み出した光景と言えた。人々の中にあった職業軍人への差別意識が表面化した結果、ウィッチの行き場としてMATが選ばれるのは当然の摂理であった。軍部におけるウィッチの雇用を守る兼ね合いで、軍部は反対論が根強い『Gウィッチの特権』を公認化したのである。転生者は通常部隊では、却って実力を出せないからだ――
『ゲッタービームランチャー!!』
ゲッちゃんはマシンガンに続き、ビームランチャーを召喚。景気よくぶっ放つ。
「私は支援攻撃に移りますから、ガイちゃんは」
「へへーん、そのつもりだもんね!デスパーサイトぉ!」
ガイちゃんはデスパーサイトを手刀の形で放ち、群がる兵士をぶっ飛ばし、吶喊していく。同じような傾向のロボットガールズの『Zちゃん』(この時点では生まれたてなので、身体チェック中)がほとんど考えなしに突っ込むのに対し、ガイちゃんは一応は考えるため、集団戦ではガイちゃんのほうが向いている。また、技の破壊力は(スーパーロボットの力を持つため、当然だが)歴代プリキュアを軽く上回るのも特徴である。
「うわぁ……すっご~い…」
キュアホイップは呆気にとられる。破壊力が自分の先輩達を軽く上回るからだ。
「あの子達は我々を超える力を持つからな」
「なにせ、スーパーロボットの力を使うもの。基礎ポテンシャルが違うわ」
キュアフォーチュンもそう認めるように、ロボットガールズは基本的にプリキュアの通常フォームより強力な力を奮える。力関係はかなり複雑だが、ISの平均戦闘力を基準にしての目安としては、プリキュアは通常フォームで既にISを上回り、平均的なシンフォギア装者と互角程度、最強フォームでシンフォギアの限定解除フォームを上回るとされる。ISは地球連邦軍製というイレギュラーな個体を除くと、基本的に『在来兵器よりは強いが、それ以外の相手には不利であるので、強めのパワードスーツの粋を出ない』とされるので、ロボットガールズは単体では最上位に近い強さを持つと言える。
「あ、ミューズはそうね…掛け持ちだって言ってるわよ、ホイップ」
「なんですとー!?ど、どういう事、フォーチュン!!?」
「私に聞かないでよ」
困り顔のフォーチュンだが、ミューズは英霊/ロボットガールズ/プリキュアを掛け持ちしているが、アストルフォの姿では理性が蒸発するので、最近はもっぱら、キュアミューズの姿でアストルフォとしても行動している。理性を保つためで、のび太曰く『あざとすぎ』とのこと。
「ボクは仏の英霊だけど、色々アレだし、プリキュアの姿でいたほうが何かと都合がいいからだよ、ホイップ」
「あ、噂をすれば」
「十二騎士一のアホと言われて、ン百年だか千年近いんだよ?それに理性が無くなるのは事実だし、プリキュアの姿でいたほうが都合がいいのさ」
そういいつつも、彼女の得物は剣を兼ねられる『ツインランサー』であり、セイバー属性持ちであるのを反映しているセレクトだ。
「そいや、アヤカは天空剣も造れるんだよなー。あれ、ボクがほしいんだけどなー」
「なにそれ」
「ボルテスファイブの必殺剣」
黒江はシンフォギア世界で天空剣を一回だけ使用している。それを聞いていたらしい。
「あの子は好き勝手してるなー」
「アヤカは自由人だから、マカロン」
ミューズも黒江のフリーダムぶりに苦笑いだが、結果的に黒江の働きでシンフォギア世界のイベントをいくつか潰したのも事実ではある。もっとも、それでSONGの存在意義が半ば希薄化したため、風鳴弦十郎が黒江の誘いに乗ったのだが。
「しかし、あの子はフリーダムになったな。転生前はカタブツで通ってたんだが」
「未来世界で色々変わったから。それに、今の振る舞いのほーが素だって言ってたよ」
「本当か?敏子が胃潰瘍になるはずだ」
「いーじゃん。君だって、家族にどう説明するのさ」
「それは言わんでくれ…」
マカロンはそれを言われ、図星のようだ。もっとも、後に現れるキュアトゥインクルがボルテスファイブの力を宿すロボットガールズに転生していたため、プリキュアとロボットガールズ兼任も意外にいるのである。
「でも、なんてプリキュアの力と別の力が両立できるんだろう?」
「分からんな。それに、私達の力は変身者と紐付けされてるわけでもない。昔、ラブ達が現役の頃、タルト(フレッシュプリキュアの妖精)が精神が入れ替わった状態で変身した事があると聞いたから、極論だが、変身する勇気があれば、誰でも歴代のプリキュアに変身できるということだ」
マカロンは戦いつつも、プリキュアの変身アイテムを起動さえできれば、誰でも変身は可能という自由性を秘める事を口にした。精神が入れ替わった者でも変身は可能である実例はあるので、それを聞いていた黒江と智子はそこを突く形でプリキュア体験を実戦でする事になる。
「それ、しようと思ってすることでも…」
「智子くんはやりたがってるぞ」
「なぬーーー!?」
「あー…。真面目そうな顔して、意外に少女趣味だもんなー。トモコ」
キュアミューズはこれである。智子が少女趣味である事は周知の事実であり、意外にファンシーな夢を持つ。智子は箱入り娘だったらしく、年の割に少女趣味を保っているのは有名だ。プリキュア体験をしてみたいと言ったのは智子のほうであるが、一見して真面目そうな雰囲気からか、昔を知る者以外は信じなかったという。(のぞみと芳佳、シャーリーも最初は信じなかったという)
「あなた達、何話してるのよ」
「世知辛い事情さー、フォーチュン」
「まったく、変に不真面目な割に強いから、困るのよね」
苦労人ポジションが最近はピタリなキュアフォーチュン。ため息をつきつつも、プリキュア達は敵軍団の側面を攻撃する。ロボットガールズの二人は正面に風穴を開ける。
『真龍!!ハイドロブレイザァァッ!!』
『ゲッタァァァビィィム!!』
技を使い、機甲兵器を蹴散らす二人。敵は物量こそあれど、徴兵された兵士が大半。おまけに指揮官には対人戦のノウハウが乏しく、まともな運動戦にならない場合が多く、連合軍にとっての脅威は物量のみと認識されている。そのため、プリキュアの技開発も『多数の敵を突破する』方向にシフトし、ロボットガールズも対多数戦を意識した戦闘を行っている。
「敵はゲームみたいにどんどん増えますわ!」
「チィ、昔の横スクロールアクションだか、横スクロールシューティングかっての!こうなったら!リアル系の技だけど……、
ガイちゃんは痺れを切らしたか、『V-MAX』と呼ばれる『リアルロボットのリミッター解除系能力の始祖』の力を発動させた。それもただの『V-MAX』ではなく、その強化型『V-MAXIMUM』である。ガイちゃん・ザ・グレートの全身が青く発光し、閃光に包まれる。特殊なフィールド(強電磁界などを利用したもの)に包まれるからで、発動終了後は行動がしばらく不能になるが、元になったものは元が『生存のための緊急脱出システム』であるので仕方ないと言える。いわば、時間制限などの多くの制約以外はキュアドリームの『プリキュアシューティングスター』の上位互換とも言える属性の能力である。
「おああああっ!!」
「あれは!?」
「ほう。あれが噂のV-MAXIMUM。まさか、あの子が使えるとはな…」
「ま、マカロン、あれを知ってるのぉ!?」
驚愕のあまりに目を白黒させるキュアホイップ、その能力の存在を知っているらしく、微笑むキュアマカロン。現役時代と異なり、北郷としての冷静沈着な口調であるため、自由気ままなマカロン本来のキャラから考えれば違和感がすごいが、彼女の立場としては仕方ないことであった。
「まって、マカロン。あの子はスーパーロボットの付喪神でしょ!?リアルロボットの最たる能力をどうして、スーパーロボットのあの子が使えるのよ!?」
「細かいことはいい!とにかく、敵をどうにかする方が先決だ!!」
もっともなツッコミを入れるフォーチュンだが、マカロンはそれを『細かいことはいい!!』と流してしまう。付喪神である以上はなんでもありだろうと言うことだ。
――こうして、『蒼き流星』となったガイちゃんは戦場を貫く閃光となる。何故、ガイちゃんが『リアルロボットの最たる機体の切り札』を知っているのか?それをいつの間にか自身の能力としていたのか?新たな謎を提示したわけだ。後に、この『V-MAXIMUM』は『大決戦』でキュアドリームの姿を借りた黒江も使用し、同じく『蒼き流星』となって戦場を貫く事になるが、それは些か未来に属する出来事である。ただし、黒江とその親友であるガイちゃんがダイ・アナザー・デイの時期に会得していたことから、二人はそれぞれ、時間の合間を縫っての極限まで自分を追い込むほどの『鍛錬』で会得したという仮説が立てられ、後に本人たちも間接的に肯定する。『自分が持つ既存の能力に慢心するな』。これが二人が持つ共通認識であり、求道的ですらある振る舞いの理由であった。その求道的な精神はプリキュアたちにも伝播していき、64Fがウィッチ世界最強の部隊として地位を確立する一因となると同時に、大した鍛錬無しで常に射撃やあやとりで最高峰を維持してきたのび太への敬意の表れと言えた――
――プリキュアにおけるこの種の代表的な必殺技と言えた『プリキュアシューティングスター』はキュアドリームの現役中、何度か敵に無効化されたというが、このV-MAX系統の能力はまさに絶対的とも言える力を持つ。だが、その発動が終わると、しばらく動けなくなるという弱点を抱える『ハイリスクハイリターン』を地でいく能力である。黒江は成り代わる事になる戦いで使用し、その際に様々な誤解が生ずる事になるものの、プリキュアオールスターズ達の少なからずに『のぞみが望んだように、先輩後輩達にキュアドリームは歴代随一の強者である』とする認識を与えるのに一役買った。のぞみは前世で『みんなに自分の存在が忘れられる事が怖かった』と漏らしており、のぞみの『みんなに忘れられることは嫌だ』という願いを黒江は『プリキュアオールスターズの世界』で叶えた事になる。それはある意味での黒江なりの『後輩』へのたむけであった――