――黒江はシンフォギア世界の流れを変えたことへ責任を感じている。黒江も軍隊流のブートキャンプ様式教育を響に課すことの許可を求め、赤松に許可されたという点では『当事者』でもあるため、シンフォギア装者を鍛えることをなのはの行いの禊も兼ねて行っている。また、聖闘士になった後の時間軸の切歌を呼び寄せる事でアフターフォローを行っている。自分らの選択が結果的に悪手になった事を皆に自ら侘びてもいる。これはカチコチの軍人思考をしていない表れである。切歌の精神不安定の具合が自分の予想以上に悪化していたこと、響の強要が切羽詰まっていることを察した事で不満はあれど、了承したのである――
「ところで、先輩。あの子の強要をなんで断る事をしなかったんです?先輩なら、キッパリ断れたんじゃ?」
「いくら巻き込まれたとは言え、好きに動いたことの責任はどの道、生まれるからな。それに……あのまま、マリア達に加担してれば、調はテロリスト一味に見られるからな。それを考えると、俺としては座視はできなくてな。切歌を混乱させた責任は俺にあるからな。愚痴はこぼしてきたが、そのことの誹りは甘んじて受けるつもりだよ。」
「軍隊教育は大衆から理解されませんからね。軍隊じゃ、どこ行ってもブートキャンプはつきものなんだけどなぁ」
「坂本が若い連中に人望ないのは、フォローを他人に丸投げするからだ。」
「先輩、これからはその姿で?」
「今、武子にも言っといた。しばらくはエリカ・フォンティーヌの姿で通す。真宮寺さくらは俺の演れるタイプじゃないしな」
黒江は移動中の機内で防諜などを理由に、容姿を再び変更。今度は『サクラ大戦3』のメインヒロインであるエリカ・フォンティーヌの姿を取るようになった。ティターンズのマークが厳しくなったので、マークを外すための処置だ。ご丁寧に修道服とマシンガンも再現済みである。
「先輩、やっはりⅤはしてないんですね」
「Ⅴのヒロインはアメリカ娘だろ?シャーリーと属性被るだろ」
「そこぉ!?」
「ま、この声帯だから、バスターコレダーとイナズマキックはやるつもりだがな」
「うーん」
「お前だって、サーフボードやれるから、お相子だ」
「違うような…」
「俺は十字教の信者じゃないが、この格好は偽装に使うよ。せっかく再現したんだし」
「真宮寺さくらじゃないのは残念ですよ」
「あれは智子が好きそうだし、アイツがやるよ」
黒江は修道服姿のまま、新駐屯地での職務を始める。坂本がワーカーホリックな事に引きつつも、シンフォギア組を精神的にフォローすべく、別の時間軸の切歌とマリアの妹のセレナの転生たるキュアマジカル/十六夜リコを送り込み、フォローに動いてもらっている。黒江自身も訓練の教官になるつもりであり、軍人としての禊は自分自身での訓練で行うというのが軍人なりの礼儀である。
「聖闘士になった後の切歌とリコがこちらの真意を伝えてるが、俺たちは動き一つで、たちまちに誤解されるからな。自分は調とは違うとあの時、キッパリと言うべきだったのか。それはわからん。俺に責任があるのは確かだし、あいつの精神を崩壊させたら、自害されそうだったしなぁ」
「それは言えるデス」
「帰ったか」
「ふう。昔の自分の尻を拭くのは変な感じデス」
大人切歌が聖衣姿でやってきた。外見上は18~21歳の間。聖衣を着用した姿で過去の自分のフォローをしたのである。
「実のところ、とりあえずの代案も無かったし、響のワガママに付き合うフリで好きホーダイしたら、ちょっとネジが歪んじまったみたいでな。で、なのはにブートキャンプ的にやれとジェスチャーしたんだが、死体蹴りをやらかしやがってな。しかも悪ノリして。すまんが、やりすぎたよ」
「あの子の言ってる事はどう考えても破綻してるけど、本人が『これが正しい』って思い込んじゃったのが不幸の始まりだろうなぁ」
「多分な。俺があしらってる内に、色々と不満やフラストレーション溜め込んだのは事実だし、未来もそこは言ってる。あいつらの拭き忘れ作ったのは俺も原因だし、手伝う事有ったら、声掛けてくれ、切歌」
「わかってるデス。私も若気の至りで反発してたとこはありますから」
大人切歌は修行を終え、白銀聖闘士級の実力を備えている。その身に剣を宿しているなど、山羊座の派生星座に叙任されたのが分かる。黄金聖闘士級の調には及ばないが、並び立つに相応しいだけの力は得た。
「昔の自分に驚かれたデスよ。あなたが纏ったそれと似たアーマーを纏ってるから」
「お前も修行に三、四年はかけたからな。必死になって…」
「はいデス。聖衣の装着権を決める仕合に勝った時は感無量でしたし、数年はほんと、血反吐吐くくらいにキツかったデスよ」
切歌は少なくとも、三、四年の歳月を聖域で費やし、血反吐を吐く思いで白銀聖闘士の資格を得た。そのため、子供時代の彼女自身と面構えからして違うのである。
「昔の自分に言い聞かせるのがこんなに大変だとは…。セレナ、いえ、リコが助け船を出してくれなかったら危なかったデス」
「気持ちを理解するのに手っ取り早いのは、相手と同じ土俵に立つのさ。俺がチートしてあしらってたのが不満なら、同じ土俵に立つ。それから考えるべきだ。俺達は図らずしも、仮面ライダー達と同じ立場になる事で、仮面ライダーに課せられた宿命を理解できたからな」
歴代の昭和ライダーに課せられた『不死身の肉体で未来永劫、戦う宿命』の本当の意味合いを黒江は自分が死を乗り越える事で理解できた。同じ立場に立つことはある意味で重要なことだ。
「リコはなんていった?」
「友情は距離で薄まるものじゃないんです。求めるのではなく互いを照らし合う事が友情の本質なんですよ、暁さんって。ズシンと来ますよ」
「あいつは二度死んだ事になるからな」
「リコちゃんは二度死んだ事になるんですよね、不思議だけど」
「セレナとして一回、リコとして一回な。仮面ライダー四号に心臓をくり抜かれる時に、セレナとしての記憶が戻ったそうだ」
「今はのび太と一緒のはずデス。マリアと翼さんに驚かれて、説明に四苦八苦デス。あなたと同じ次元に立ったって…」
「ご苦労さん。俺はあいつらを踏み台にしてたつもりはないし、請われれば、人間を超えるくらいにまで鍛えてやる。軍隊の下士官と幹部は自主性が尊ばれるからな」
自主性もある程度求められるのが軍隊での一定の立場の人間であるため、『請われれば、鍛え上げてやる』というスタンスだったが、軍隊の流儀は民間人には理解され難い。黒江もそこを悩んでいる。無理に軍隊式を押し付けたとの批判もあるが、正式な協力関係にはまだないとは言え、共闘する以上、ある程度は軍の将校の教導スタンスを理解して欲しいのが日本連邦/地球連邦の意向だ。
「ま、民間人に軍隊のやり方は理解されないのはお約束だ。兵は自主性は捨てさせられる教育だが、下士官以上は自主性が尊ばれる。軍隊の形式を一方的に押し付けていると言われても仕方がねぇが、軍に無知な連中はこれを職業病と言うだろうな」
黒江は自分が教える立場にいるし、教えられる立場でもあるので、軍隊の教育の仕方が強引、職業病とのそしりを受ける事を理解している。なのはの育成がそうであったからだ。
「うまい飯を戦う組織で食うには、訓練だよ。あとは勉強。なのははメンタルの勉強の密度が低かったからな。これは俺と智子の落ち度だよ」
なのはは警察と軍隊の要素が混在する組織で高級幹部カリキュラムを受けたため、中途半端な教育であった。黒江達がそれに気づかず、響の教育を教唆したのは『失敗』である。自分たちでアフターフォローとアフターケアをする事になったのは落ち度だと、アムロも述べている。黒江たちもけして万能ではない。失敗は犯すものだ。それがたとえ、オリンポス十二神であろうとも。
「自分たちの尻は自分で拭く。あいつをおかしくした一因は俺にあるからな。だが、俺も愚痴はこぼさないと、メンタル的意味でよろしくない。そこは理解してほしいぜ」
黒江も愚痴の一つは零したいようだ。だが、それもおいそれとやれないのも有名な軍人の辛いところだ。
「大衆からは情けなく見えるんでしょうね。散々にあしらっておきながら、後で愚痴って回るのは」
「俺だって、百合じみた事を強制的にやらされるとは思ってなかったからな。百合は智子の役と思ってたから、堪えたんだよ」
「智子先輩が聞いたら、怒りますよ?」
「ハルカとそーゆーことやってんだから、自覚あんだろうよ」
「先輩、そういう方面と縁遠いですからね」
「男の世界の中にいたからな。兄貴ばっかだし、家に帰ると」
自分の今の性格が『男性的』である自覚はあるが、生物学上は女性である黒江。そこも智子が百合じみたイベントと縁深い事とは対照的で、切歌の精神安定のためと割り切ったものの、精神的にかなり辛かった事を吐露する。エリカ・フォンティーヌの外見で言うので、かなりコミカルさを感じさせる。切歌はかなりバツが悪いのか、苦笑いを浮かべている。
「ま、俺に原因がある以上、我慢したよ。俺がキッパリと断らなかったのも不味ったと思ったが、最後に来たのが泣き落としじゃなく、頭に血が登った状態での強要だったからな。ああいう手合の迫り方は怖いんだよ。逆らうと、何をされるか、わからんからな。それに、頭に血が登った奴に何を言っても無駄なのは、俺のおふくろで経験してるからな。あの時は俺にも非があるのは事実だし、それに切歌、お前らの身柄の扱いが決まったのが伝わってなかったからな。必然の選択だ」
「その節はごめんなさいデス」
「何、いい経験だったよ」
「翼とマリアはアルトリアに鍛えさせる。あいつは元・ブリテン王だからな」
「ドイツ軍人がエクスカリバーって、どうなんデス……?」
「それは転生先の都合だよ。本人も苦笑してたがな」
アルトリア・ペンドラゴンは転生先が『ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン』だったので、カールスラント軍人かつ、カールスラント貴族の地位を図らずも得た。ハインリーケが影で『完璧主義者の王女気質で、指揮官・将校の器ではない』と評されていたので、アルトリア・ペンドラゴンの『謙虚で、凛とした佇まい』はハインリーケの周囲からの人物評を好転させていたりする。ハインリーケは『世間知らずで幼く、激し易い』とされ、裏では上層部に問題児扱いされていたので、この人格の変化は諸手を挙げて歓迎されていたりする。
「あいつの素体の奴はナイトウィッチだったんだが、今となってはその区分は意味がないがな」
「言えてる」
「ま、お前も単なる一テストウィッチからプリキュアにジョブチェンジしたようなもんだろ、のぞみ?」
「は、ハハ……」
のぞみは転生前の方が背が高かったので、現在の背丈は生前寄りのものだ。(錦は155cmほどだったが、のぞみとしての最終的な背丈は160cm台である)
「でも、あなた、姿をホイホイ変えられますね?」
「キューティーハニーと同じ原理だよ。空中元素を固定して、肉体を作り変えるんだ。お前んとこにいた時は世界の強制力で戻れなかったがな」
「あなたがハニーさんと知り合いだったなんて、驚きましたよ」
「正確にはハニーさんに宿った魂と、かな。その人、わたしの仲間のお姉さんなんだ」
キューティーハニーの電子頭脳には元々、如月ハニーとしての人格がインプットされていたが、秋元まどかの魂が宿ったために上書きされたために現在の奔放な性格になったのだ。
「あなたの?」
「昔に世話になった事があってね」
「そこもややこしいんだ、これが」
「ん、電話だ。あ、小沢のおっちゃん?どーしたの?何、敵の機動艦隊が?うん。わかった」
「どうしました?」
「敵艦隊が逆襲をかけてきた。数時間したら、ネメシスに乗艦する。荷物を部屋に置いて、数時間休んだら出発だ」
「敵の艦隊って、この前に叩いたはずじゃ?」
「リベリオンの物量と修理力はすごいよ。サウスダコタを全滅させたら、モンタナで補充してきた」
「グレードアップしてるじゃないデスか」
「そーなんだよ。あいつら、数ヶ月ごとに戦艦が竣工してきやがる。しかも、突貫工事でアイオワの損傷艦を直してきやがった。魔法でも使ってるのか?地球連邦でさえ、宇宙戦艦を直すのに一ヶ月はいるぞ」
黒江も驚きの物量である。実のところ、リベリオンの建艦能力は2年で10隻を超える戦艦を同時に竣工させることが可能である。これは当時にリベリオンに次ぐ軍艦の建艦能力を持っていた扶桑でさえ、大和型を同時に4隻が限界であるので、建艦能力において、リベリオンが突出していたかがわかる。しかも、他の艦艇と同時に、である。
「正確には、43年度の計画艦が完成したんだよ」
「のび太か。まあ、季刊バトルシップ、月刊空母、週刊護衛空母とか言う国柄だしな」
「これを見て」
「工廠の写真か?」
「うん。リコちゃんに渡し忘れた写真だけどね。扶桑との戦争を見越して、ティターンズが来る以前に、フランクリン・ルーズベルトは43年度の建艦計画を完遂させてたらしい。その内の何隻かを18インチ砲に変えてるのを見た」
「大和型に対抗するためか」
「そう。敵は大和型を過小評価したのを反省して、艦隊単位で46cm砲を積む。こっちも51cm砲艦を増やさないとおっつかない」
「待て、越後は完成したが、もう一隻はまだ……」
「突貫工事でもう一隻はなんとか完成したよ。同時に建造していた美濃がね。こっちに三河を引き連れて向かってる。一週間前に南洋から発進したから、もうじき着く」
「なんか、信じられないくらいに大艦巨砲主義デスね」
「核兵器と発達した潜水艦がない世界の海戦はこんなもんだ。ま、戦後型潜水艦を持ち出しても、日本の鍛え上げられた対潜哨戒網をくぐり抜けられないから、無駄だけどな」
「この時代の空母艦載機は物量でこっちの防空を抜くしかないから、ジェット機があるこっちが頑張れば、大半は防げるけど、戦後のミサイルは戦艦の戦闘能力は奪えても、海に沈めるのはできない。これは、ぼくの世界の自衛隊の対艦ミサイルの実証実験で証明されてる」
「M動乱で廃艦になった陸奥を標的にしたんだっけ」
「ああ。ぼくが大学の頃だったかな。93式空対艦誘導弾の標的に使ったら、細かい艤装品は壊せても、船体装甲の最重要部は貫けなかった。潜水艦で89式魚雷を片舷に集中打することで海没処分したんだけど、自衛隊の対艦ミサイル開発陣の面子は丸潰れだったんだ。現代艦を壊すんなら有効だけど、戦艦を撃沈するには、21世紀の魚雷でも6発以上を片舷に当てる必要があるってのは、めんどくさいからね」
「そうなんデスか」
「扶桑は不沈対策を旧式艦にも施してたから、陸奥でも四発の89式魚雷に耐えたのさ。日本の防衛省の役人は『大正時代のポンコツは一発で撃沈だ!』と息巻いてたらしいけど、実際は扶桑が研究してた不沈対策で簡単に沈まないから、青くなったらしい。大和型が史実で片舷10発なんだし、それに次ぐ防御性能だった陸奥が5発くらい耐えても不思議でないさ」
喫水線下への魚雷は戦艦のみならず、艦への一番有効な攻撃だが、あくまで潜水艦による対艦攻撃の一手段であり、対艦ミサイルで戦闘能力を奪うのも選択肢である。
「もっとも、これは無人の艦での実験だからね。実戦ではダメコンが入るから、そう上手くはいかないよ」
「で、のび太。例の手筈は?」
「セイバーさんには話を通してあるよ。真名のアルトリアはイギリス読みじゃなくて、ローマ表記だってのはややこしいから、ぼくが代わりに声明を出しといたよ」
「たしか、アルトリウスって軍人がローマにいたから、あいつの親父がその名に肖ったのかもしれないな」
「翼さんとマリアを鍛えるのデスね」
「俺なりの禊だよ。あいつに二人を聖闘士としての基礎が整うまで鍛えてもらうのさ」
「あたしもですか?」
「いや、お前は俺が最初からレクチャーする。お前は実戦経験が豊富にあるだろ?それに、7人ライダーの攻撃に一応は耐えられたからな。アルトリアに頼んだのは二人の体作りだよ」
「仮面ライダー、か……。ただのサイボーグなのに、聖闘士と戦えるのは反則な気が?」
「あの人たちはそんじょそこらのサイボークとデキが違うからな。おまけに仮面ライダーJの登場で大地の精霊の加護がついたらしいから、今じゃ、ノイズと素で戦えるらしい」
「うわぁ、なんと言おうか…」
「仮面ライダーJ。最後の昭和系の仮面ライダーで、14番目の改造戦士。これまた未知の技術で生体改造された仮面ライダー。大地の精霊の加護を受けてるから、精霊が力を貸す時に巨大化するってオマケ付きだ」
仮面ライダー、とりわけ昭和仮面ライダーは平成ライダーが特殊能力や超能力、そもそも人間以外の新たな種族になっていたなどの面で異能なところを持つのと対照的に、昭和仮面ライダーは外見上は人間だが、脳髄と一部の臓器以外は機械に置き換えられていたり、生体そのものを改造されたりして物理的・生物学的に人間では無くなっている。本郷は最初期に『元の人間へ戻るための研究』をしていたが、ヒーローとしての仮面ライダーが求められるようになるにつれ、本郷はその生き方を選んだ。体がたとえ不死身になっても。
「ところで、のび太。お前はどうするんだ?」
「今回はついていくよ。ダブルスペイザーを宇宙科学研究所から借りてるからね」
「よく借りられたな」
「大介さんがこっちに来てるしね」
「さて、お前らは出立の準備を始めろ。俺はリコが帰り次第、事務処理を始める」
『了解』
切歌(大人)とのぞみは準備のために執務室を出る。
「くそ、図上演習が延び延びになっちまったよ」
「ま、10回の訓練より一回の実戦だよ」
「それは事実だな」
「エリカ・フォンティーヌの姿で真面目にすると変な感じだよ?」
「コメディリリーフの側面あるからな、エリカは」
黒江は姿に合わせて、MP18短機関銃を持っている。エリカ・フォンティーヌは短機関銃二丁を持っている設定なためだ。青年のび太とは対等な友人関係であるので、タメ口になっている。のび太は準備のため、黒江の執務室を出る。それからまもなく、リコから写真を手渡された星空みゆきが報告に訪れ、黒江は海軍が急に慌てた理由を悟るのだった。
――そして、その頃、何処かの海上では、46cm砲/三連装十二門に換装された改モンタナ級戦艦が颯爽と海上を疾駆する。建造途上で砲を換装した強化型の同級は大和型より門数は連装ではあるが、建造中にバルジを増設し、砲を18インチ三連装砲に強化したために攻撃面は完成時の大和型を若干上回る。扶桑海軍が情報を聞くなり狼狽したのも当たり前であった――